「お疲れ様。」
「お疲れ様です、プロデューサーさん!」
「今日も大盛り上がりだったじゃないか。さすが日本一のアイドルだな。」
「私だけの力じゃありません!プロデューサーさんが居てこそです!」
彼女がアイドルとしてデビューして5年。彼女は瞬く間に階段を駆け上がり、日本一のアイドルになった。彼女がこうしてキラキラと輝いている姿を見るたびに思う。あの時彼女を見出した自分の眼は間違っていなかったのだと。
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最初は偶然だった。人生につまづき迷っていた俺の目に、一生懸命自分のライブの宣伝をしている女の子たちが映った。多くの人が通り過ぎていくその光景を見て、俺はチケットを受け取った。最初は誰にも見向きされないその姿が可哀想に見えたのかもしれない。そう俺の始まりは特別有名でもなんでもない気付けば解散していそうなグループだった。でも人生に光が見えていなかった俺にとって、どんなに苦しい状況でも夢のために走り続けている彼女たちは輝いて見えた。
そこからはすぐだった。俺には誰かの光になることはできない。それでも誰かの光になる存在を支えることはできる。そう思った俺はアイドルのプロデューサーになった。
そこで俺は運命の出会いをした。
「君、アイドルになってみないかい?」
最初は当然警戒された。いきなり声をかけてアイドルになってみないか?などといっても怪しい勧誘にしか見えなかったのだろう。その後はなんとか粘って連絡先を交換し、何度も説明をし、いずれは俺の熱意が伝わったのか渋々ではあったがアイドルとして活動していくことを決意してくれた。勢いで俺が一生そばにいるとかなんとか言った気もするが、まあ細かいことはいいだろう。
そこからは早かった。最初は他のアイドルと同じように地道に活動していった。しかし彼女には才能があった。彼女はどこまでもアイドルに適していた。美しい顔立ちに、美しい声、完璧なスタイルから男女ともに魅了してしまうような笑顔、性格まで全てが完璧だった。そしてそれ以上に彼女には不思議なカリスマ性があった。見るもの全てを惹きつけるような不思議な魅力。それが彼女の美しさをより一層際立たせていた。そんな彼女がトップへの階段を登り切るまでそう時間はかからなかった。
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「そろそろかな」
彼女は十分に育った。今までは彼女の希望で自分1人でマネジメントを行っていた。しかしそろそろ限界でもあった。企業側としてももっと売り出していきたいと言っていたし、自分はここらで身を引くとしよう。彼女が自分を信頼してくれているのは嬉しく思う。しかし今後もっと大きな舞台で活躍していくなら、自分にだけ頼っている現状はあまり良くない。なにより自分もそろそろ新しい光を探しにいきたい。彼女のマネージャーの立場を辞して新しいアイドルのプロデュースを始めよう。
自分が彼女のマネージャーを辞して新しくプロデュースをすると伝えた際、上からは少し難色を示された。どうやら俺には彼女のプロデュースをこのまま続けてほしいらしい。ずっと彼女のそばに自分が居続けるわけにもいかないだろうと言っても、君さえよければそれでいいと言われる。
なぜこんなにも渋られるのかはわからなかったが、ならば思い切って辞めて別の事務所で働こうと思った。曲がりなりにも彼女を発掘したのは自分なのだから、ただのマネージャーでも拾ってくれるところはあるだろう。
事務所へ辞表を出した際はとんでもなく引き止められた。どうしてそこまで自分にこだわるのかはわからないが、自分の人生をどうしようが自由だろう。ここを出て彼女を超えるようなアイドルを生み出してみせる。自分が見出したアイドルがライバルになるとは不思議な気分だ。
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彼女から電話がきた。会いたい、会って話がしたいと言っていた。確かに彼女には碌な話もせずに担当を離れてしまった。事務所がなかなか首を縦に振らないもんだから半ば勢いに任せて飛び出してきてしまった。その結果別れ方が適当になってしまったのが良くなかったのかもしれない。電話口の彼女は少し怒っているような気もした。
こちらとしては会社であってきちんとお別れを済ませる程度だと思っていたのだが、あちらから指定されたのはとあるバーだった。例え元マネージャーだとしても、夜中に男とバーで会うというのはあまりよろしくない。どうかと思ったのだが彼女はどうしてもと言って聞かなかった。確か昔にお酒が飲めるようになったら一緒に飲もうと言っていた。彼女は今でもその約束を覚えていたのだろう。
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俺は周囲に気をつけながらバーへ入った。そこではすでに彼女が待っていた。ろくに変装もせず、堂々としていたため少し心配になってしまった。変装をしていても彼女のオーラは隠しきれない。それでも仮にも男と会うのだ。彼女には自分が日本一のアイドルだという自覚があるのだろうか。
「久しぶりだな。」
彼女からはしばらく返答がなかった。何かを耐え忍んでいるような、感情を押し殺しているようなそんな感じがした。
「お久しぶりです、マネージャーさん。」
しばらくして彼女は振り返った。その時には先程の不穏な空気感もなくなっており、何か勘違いだったのだろうかと思った。
「その、すまなかったな。急に出ていってしまって」
「・・・マネージャーさんはどうして私の前からいなくなったんですか?」
「君はもう十分すぎるほどに育っていた。もう俺がいなくても1人でやっていけるだろうと思ってな。新しいアイドルを発掘したいって気持ちもあった。ただ事務所引き止められてな。だったらと思い切って別の事務所に移ったんだ。」
「新しい・・・アイドル?」
「そうだ。俺の夢は人々の人生の光になれるアイドルを見つけ出すことだ。」
「浮気?・・・私を捨てたの?」
「違う。そもそも浮気ってなんだ。君ならもう1人で大丈夫だと信頼してるからこそ送り出したんだ。」
どうしたんだろうか。少し今までと違う。ステージで魅せていた輝きとは違う、何かドロドロとしたような感じ。この子は本当に俺がプロデュースしたアイドルなのだろうか。
「とりあえず何か飲もう。乾杯でもしようじゃないか。」
空気を変えるためにもとりあえずお酒を飲もう。お酒を飲んでリラックスすれば少しはよくなるかもしれない。
「マスター俺は、「マスターあれをお願いします。」」
「なんだ?この店に来たことがあるのか?」
「ええ、まあ事前に調べておいたんです。」
でてきたのは見たことも無いようなお酒だった。
「マスター、これはなんていうお酒で?」
聞いても特に答えてはくれない。仮にも客が質問しているのだからそれくらい答えてくれてもいいだろうに。
「「乾杯」」
一口飲んでみる。不思議な味だ。
「どうですか?美味しいですか?」
何がおかしいのか、さっきまでの不穏な空気はどこへいったのか。彼女は楽しそうに俺のことを眺めていた。やはりお酒を飲んだおかげだろうか?まるで念願叶った子供のような、俺が惚れ込んだあのキラキラした笑顔でこちらを見つめていた。
「不思議な味だ。俺は今まで飲んだことがない。」
率直にそういった。そう言うとやはり何かがおかしいのか、より笑みを深めて彼女は語りかけてくる。
「私本当に寂しかったんです。あなたがいなくなってしまって。ずっと私のそばにいるからって言ってくれたのに。」
「それはすまなかったと思っている。しかしこれが俺の夢なんだ。わかってくれ。」
彼女は微笑んで何も喋らない。しばらく沈黙が続く。そういえばこの店には誰もいない。彼女が人払いをしておいたのだろうか?それに気づいた時、急に視界が歪んできた。何かがおかしい。俺はこんなに酒に弱かった覚えはない。
「すまない、少し酔ってしまったのかしれない。水を、」
そう言って伸ばした手は隣から伸びてきた手によって止められる。
「大丈夫です。大丈夫ですから。全て私に任せてくださいね、◽️◽️◽️さん。」
何を言って?そんなふうに聞こうとするも言葉が出ない。意識が混濁していく。何も・・・わからなくなっていく。最後に見たのは、輝きに満ちた彼女の笑顔だった。
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「・・・ここは?」
目が覚めたらどこともわからぬ場所にいた。ここはどこなのだろうか。
「おはようございます。マネージャーさん。」
目の前には彼女がいた。
「俺は昨日お前と酒を飲んで、そこから確か意識が・・・。」
そう言って起きあがろうとすると何かに阻まれる。これは・・・鎖?
「これは?どうなっているんだ?」
焦る俺に彼女は言った。
「安心してください、マネージャーさん。それは仮でつけているだけのものです。マネージャーさん次第ではすぐに外しますよ。」
彼女は何を言っているのだろうか。言っていることがよくわからない。
「マネージャーさんがこれからも一生私のそばにいるって、そう約束してくれればいいだけですよ?」
これをつけたのは彼女なのか?そもそもなぜこんなことをするのだろうか。
「何をふざけているんだ。早くこれを外してくれ。」
「ふざけてなんかいませんよ?私はいつだって真面目です。あなたの言葉を、存在だけを支えにずっとずっと頑張ってきました。」
「あなたのためを思って頑張ってきたのに、あなただけが私の生きがいだったのに!」
「あなたが私を裏切るから、浮気なんかして他の女のところに行こうとするから。妻としてそれを咎めるのは当たり前のことですよね?」
・・・彼女が俺に依存気味な気はしていた。だか離れればそれで終わりだろうとたかを括っていた。
「嬉しかったんですよ?私が人生に迷ってもうどうしようもなくなっていた時に、あなたは生きる意味を見つけてくれた。こんな私を一生支えてくれるって言ってくれた。」
「ファンなんていう有象無象のためじゃない。あなただけのために頑張ってきたのに。」
彼女の輝きが・・・汚れていく。光が見えなくなっていく。理想のアイドルが、崩れていく。
「安心してください。ちゃんと記者に情報も流しておきました。」
そう言って見せられた記事には、あのバーを出たところでタクシーに乗る前に、熱いキスを交わす男女の姿が写っていた。
「もうこれであなたは私のものです。私はあなただけのアイドルです!」
俺はどこで間違えたのだろう。
「あなただけが私にとっての生きる希望の光なんです。」
「だからいっぱい・・・愛し合いましょう?」
違う。俺は間違えてなどいなかった。だって俺は・・・彼女の光になれたんだから。
誰かR18書いてください。
作者は面倒くさがりの飽き性なので、気分が乗らなければ今後消息不明になります。
一応題材としてはバンドマンと作曲家、人気者の幼馴染と僕があります。執筆はかけらも進んでません。
そして作者の性癖として、ヤンデレの中でも普段は明るい子だけど心の中にドロドロとした感情が眠っている子か、普段素っ気なさそうな子が本能のままに襲いかかってくるシュチュか生意気な子が本性見せるのが1番興奮するので、基本的に陰キャ系ヤンデレはあんまり出てこないと思います。