しがない一転生者の徒然 作:ふなぐち又兵衛
えーと、はじめまして。
ボクは
はい、前世の記憶持ちってヤツです。
ボクは、二十一世紀の日本で生きて死んだ、オタク趣味な男性の記憶をかかえたまま、
よりによって、メシア教なんて害悪カルトがのさばる、
イカれきった、平成日本に生まれ変わってしまいました。
しかも、今世は、自分で言うのもなんですが、かわいい顔をした、健康優良児な女の子でした。
……天使とは名ばかりな、見た目だけはおキレイ*1な害鳥に洗脳されて、慰み者にされて、
挙げ句、救世主って銘打たれた、生贄を生み出すための、孕み袋に、苗床になれ、と?
ふ っ ざ け ん な !
あ、すみません、取り乱しました、話を戻しますね。
はい、それは、高校に入学して、初めての夏休みに入ったばかりの頃でした。
どうにか今世の自分の身体と折り合いをつけて、
慣れない人づきあいを必死に愛想笑いでやり過ごし、
楽しみはガイアアニメーション──ところで、メシア教がある世界でガイアとか、
厄ネタのニオイしかしないんですけど──の作品と、
おっかなびっくりだけど、
それでもすべてのストレスをひと時だけ忘れさせてくれる、夜のひとりあそ……ゴニョゴニョ。
すみません、最後のは聞かなかったことにしてください。
えーと、なんだか人喰い熊が人里に降りて来ることが増えたとか、
ガイアグループ(またガイアかよ!)がガイアフォンとかいうスマートフォンを売り出したとか、
どこぞの半島だったり、海の向こうの大国だったりから、連日ミサイルが飛んできたりだとか、
そういうキナ臭いニュースにうんざりしていたボクは、
この身体になって初めて、
それは、帰宅途中、いつの間にか閉じ込められた、
堂々巡りの、そびえ立つコンクリート群のハザマでのこと。
うっすら見え隠れする、生理的な嫌悪感を惹起する見た目で、
ボクをエサとしか見ていないのがまるわかりな、小さなヒトガタの群れ。
そして、そのヒトガタをものともせず、視界を塗り潰さんばかりの、
真っ赤な獄炎を喚びよせて焼き祓った、金の髪と翠の瞳の、戦乙女。
そう、ハッキリと視認することもままならない、化け物の群れに追い回されて、
息も絶え絶えになってへたり込んだ、ボクを見下ろしていたのは。
前世で親しんでいた、とある日常系アニメに出てくる、
エセ関西弁な女性教師のキャラクター瓜二つ……というには、
やけに背が高くて、出るところは出てて、引っ込んでるべきところは引っ込んだ、
サバゲーのプレイヤーみたいな衣装に身を包んだ、絶世の美女でした。
「な、ななこ
「あ?あー、あー……ゆーちゃんゆーちゃん。
生きとったコぉ、おったでー。
でもな?このコ、たぶん、ゆーちゃんとおんなじやわ。
製造部の人らみたいに、ウチのこと、ななこ先生や、って。
あ、もういつもの顔に戻ってええやろ、
ワンコのまんまやと、要らん手間かかるかもわからんし」
「まじかよ……っと、そうだね、今行く」
金髪美女の呼び声に、変声期前の高い声で応えて、
ボクのメガネ越しの視界に映り込んだのは、小柄な人影でした。
「え……黒鉄アルトやん、帽子かぶってないし、学ラン着てないけど、黒鉄アルトやん」
「誰だよそれ」
そこにあったのは、前世でちょくちょく楽しんでいた、
アスキーアートで描かれた、オリジナルキャラそっくりな顔立ち。
もとい、見た目は長めの黒髪を大雑把に切った、中学生……いや、小学生の男の子そのもの。
ただし、右肩には、観光地のチャチなおみやげとは一線を画す、ゴッツい木刀をかつぎ。
身につけているのは、かたわらに立つ金髪美女とお揃いの、
防弾ベストめいた防具と、ポケットだらけのカーゴパンツに、黒くいかめしい半長靴。
腰にはよく見ると、どこぞの世紀末救世主伝説の序盤に出てくる、
鉄仮面の愚兄かって言わんばかりの、ソードオフショットガンをブチ込んだホルスター。
総じて、「ちっちゃいからってナメんなよ」と全身全霊で主張する、
背伸びした印象を受ける、先程の金髪美女に優るとも劣らない程に、整った顔立ちの美少年でした。
その美少年は、へたり込んだままのボクと視線をあわせると、
長いまつ毛が生えそろった大きな目をまばたきさせて、おもむろに左手を差し出してきました。
「えーと、立てるかな?」
わー、深夜アニメでレギュラー張れそうな声ー……じゃないや。
ボクは両手を伸ばして、思った以上にゴツゴツとタコの浮いた、
あったかい手のひらを握り、下半身に力を込めようとしたのですが。
「ごめん、立てない……」
情けない声を漏らすことになってしまいました。
や、だって、こんなに走り回ったの、前世の分も合わせてもなかったんですもん!!
しかもあきらかにボクを嬲ろう喰おうって悪意マッシマシな、
化け物の群れに追いかけられながらでしたし!!
自分でも思った以上に息が続いてて、長い時間逃げられてビックリしましたけど!!
うう、情けない、恥ずかしい……。
目頭が勝手に熱くなって、それらの負の感情をかき立てるのが余計にツラい。
と、眉尻を下げてうずくまったままのボクと、
困った顔になった男の子の間に割り込んできたのは、眉間にシワを走らせた金髪美女でした。
「いつまでウチのゆーちゃんの手ぇ握っとんねん。
ホラ、立てへんならウチが運んだる……ゆーちゃあん、あとで、オ・ハ・ナ・シ、しような?」
わー、ヘドロが溜まったような色の目だあ、ニッコリ笑ってるのに目はぜーんぜんわらってないやあ。
つーかこの笑顔、やけに既視感があるというか、白面の者というか……トガちゃんじゃね?
……これまでもだけど、よく漏らさずに済んだよね、ボク。
などとほざく
前世でもしたことなかったですけど、される側になるとか思ってもみませんでした。
わーすっごいいいにおいするー、外人さんみたいに色白なのに、こどもみたいにお肌すべすべー、
まつ毛まで金色でばっさばさー、でもあきらかにふいんき*2がカタギじゃねえー。
「……スマン、あんさんのこと、ほーり出してええか?」
「ゴメンナサイおいていかないでください」
へー、怒った美人は威圧感十割増しなんだー、明日子知らなかったよー。
左のコメカミに青ざめた十字架を浮かべたその笑顔は、八重歯がやけに鋭い気がしました。
そう思った次の瞬間、整っているものの、どこか幼い雰囲気の顔立ちから、険がスッと抜けて。
浮かび上がったのはやわらかい、無邪気な好奇心のにじむ、翠色の視線でした。
「あー、そーいえば、聞いとらんかったわ。
あんさん、名前なんてゆーん?」
「あっはい……ひがしかた、あすこ、です」
「ふーん、あっちゃん、でええか」
──ほないくで、ゆーちゃん、ミナちゃんたちんとこ、戻ろ?
そう男の子に声をかけて、ずんずんと歩き出した金髪美女の腕の中で、
ボクはあわてて、口を開いて、訊ねていました。
「あのっ!あなた、たちの、おな、まえ、は?」
「ナナコ」
「
あっさりと応えてくれたことに面食らいながらも、ボクは伝えるべき言葉を舌に乗せ、
「た、たすけてくれて、ありがとうございまひた!」
……かみました。はずかしい。
「「どういたしまして」」
でも、ドジなボクが目にしたのは、花が咲くような、ふたつの笑顔でした。
ああ、内側から弾んで、胸が痛いや。
ボク、弾むほどおっぱい大きくないんだけどなあ。
「……センゴク権兵衛にカメオ出演*3してた、宮下英樹先生版のお豊?
世界樹のガンナーのコスプレした、ヒロアカの飯田くん?
あと……えーと……棍棒、毛皮のフード付きマント……ってーと、ヘラクレス風味の、メス、ドラ、フ?」
「おはん何言っちゅう」
「キミは何を言ってるんだ」
「わたしメスドラフじゃないもん!」
「で、飯田くんが乗ってるのは……ハニワ?」
「アア、確カニ、オレノ見タ目ハ、ハニワダナ」
「うお声シッブ……ボクが女の子なら妊娠してたよ」
「いや女の子だろオメーはよ」
「へ?女の子でしょあなたも」
「いや女の子やないかいオノレは」
「いや女の子だろうキミは」
「いや
「ハイ……おれたち、ですよね」
わー、『めんどくせえ』って言葉をカタチにしたような、
コールタールが焦げたような色の目と、コーヒーが傷んだような色の目だあ。
飯田くん(仮)はガラスが煤けたような色の目だし、
メスドラフちゃんはアメ玉がカビたような色の目ー。
それで、ボクをかかえてるななこ先生(Lサイズ)は、
「ヘドロが溜まったような色の目ぇ言いたいんやろ、言われ慣れとるわ、聞こえとるで」
……よくご存知で。
引きつった愛想笑いを浮かべるボクの耳には、
ドッと疲れましたと言わんばかりの、ため息の五重奏が押しつけられました。
会話を再開させる口火を切ったのは、サバゲースタイルの黒鉄アルトこと、ゆーとくんでした。
「とりあえず、異界も崩壊しそうですし、
この……ヒガシカタ?サン?からは、
「うげ」
「ミナ。
……いや、気持ちはわかる、わかるよ、うん」
なんだろう、死んだ目で相談する皆さんから、
『話題にしたくもない例のあのタコ』みたいなオーラが立ちのぼってる気がするぞお。
ボクもそのタコさんと同類扱いなのかあ……ああ、
ミナちゃんなんて、
……しかしマジでけえなコイツのおっぱい。
ななこ先生(Lサイズ)よりふた回り増しででけえぞ。
「ま、ここでいつまでもボーっとしとっても始まらんもんな。
アル公、縮んどきーや」
「アア、メガネ…ンンッ、スマン、シュウ、降リテクレ」
「わかった」
げんなりしているボクを尻目に、飯田くん(仮)……じゃなくて、シュウさん?が、
サラブレッドサイズのハニワから降りた途端、その姿がパッと消え失せました。
……え゙、なに?手品?イリュージョン?
あ、よーく見ると、スマホのストラップくらいに縮んだ犬型ハニワが……ふよふよと、浮いて、る?
そのまま犬型ハニワは、ボクの目の前まで漂ってきて、ボクをお姫様抱っこしたままの、
金髪美女の着た防弾ベストのスキマから、彼女のフトコロの中に、潜り込んだようでした。
「ポケットニ入ッタゾ、撤退シヨウ」
「ハイハイ……ったく、姉ちゃんの胸にまっしぐらに飛び込んで来るとか、甘えたな弟やなあ?」
わー悪いカオー。
その時金髪美女が浮かべていたのはどことなーく、
大昔のカーレースのアニメに出てきた犬のキャラクターみたいな、ニヤリ笑いでした。
まわりの人たちも、それぞれ苦笑いしてるみたいです。
それにしても、あのイヌハニワ、咳ばらいもうめき声もエッロ。
と、ボクがイヌハニワの声を反芻してうっとりしてる間に、
ミナちゃんと呼ばれた子のまわりに他の人たちが集まって、
気がついたら、ボクたちは、あの忌まわしいコンクリートのスラム街から、
小綺麗なビルの一室らしき場所に、瞬間移動したみたいでした。
「ようこそ、ガイア連合福島支部へ。
で、保護眼鏡ニキ、このメガネをかけた、三つ編みの女の子は、どこの誰?」
出迎えてくれたのは、紫がかったロングヘアをおさげ髪にした、キレイな女の人。
そして、彼女の問いかけにハキハキと応えたのは、
夏に似つかわしくないコート姿に眼鏡をかけた、長身の青年でした。
……暑くないのかな、汗は掻いてるように見えないけど。
「はい、廣井支部長。
僕らが発見した、幽鬼 ガキが群れを成し、妖鬼 オニがボスの異界に巻き込まれていた、
おそらくは半覚醒の、『俺たち』かと。
と、前後しましたが、くだんの異界は、僕たち六人と、
豆柴ニキの仲魔のアガシオン・カニスモデルにより、ボス討伐の上、攻略済みです」
「ボスのオニは
「ウチがいっちばんガキを消し炭にしたったんや」
「ナナさんナナさん、張り合わなくていいから」
「そーそー、どっちもすごいって、がんばったって、
わたしも、豆柴ニキも、よくわかってるから、ゆーまも、ナナコも、鼻息荒くしないで」
わー、なんだか女の子のアニメ声がもうひとり分増えてるぞー?
つーかシュウさん?保護眼鏡ニキ?の言った、六人目ってどこにいるのー?
ゆーとくんナナコさんシュウさんミナちゃんに、ゆーまさん、の五人、だよね?
アガシオンカニスモデルって、たぶんあのイヌハニワだよねー?
心霊現象?あ、なんだか、疲労と心労も重なって、目眩が……。
「……きゅう」
「「「「「「「あ」」」」」」」
「気ヲ失ッタカ……」
その日のボクの最後の記憶は、どこか呆れと哀愁と、
おまけに憐れみを帯びた、イヌハニワのイケボでしたとさ、ちゃんちゃん。
…………ここで日常に戻れれば、楽、だった、のかなあ。
★新人覚醒者が自己紹介するスレ Part.XXX
245:名無しの転生者
ふふふ、こわい
この状況に一番戸惑ってるのはボクなんだよね
246:名無しの転生者
ようこそ せいれい じんじゃへ
247:名無しの転生者
新入りが来たぞ!囲め囲め!
248:名無しの転生者
>>245
スペックハラデイ
249:245
>>248
HN:クロア
年齢:16歳
出身:福島県
職業:高校生
Lv:1
スキル:アギ ムド マリンカリン
ステータス:【魔】【運】型
こんなんでいースか?師匠(コキ…)
250:名無しの転生者
絵に描いたような後衛型だなあ
ショタおじの厳しい方の修行受けた?
251:名無しの転生者
現役の高校生だとお!どこ住み!?
252:クロア
>>250
Yes
もう二度と受けたくない
>>251
故郷から拉致られてガイア連合山梨第二支部
前世は死因:テクノブレイクの高血圧なピザヲタ♂だったけど、それでもいい?
253:251
>>252
あっ、忘れてください(メソラシー)
254:名無しの転生者
現金なヤツw
255:名無しの転生者
前世でテクノブレイクした俺らとか初め……てでもないな、稀によくあったわ
ああ……マリンカリンが生えてきたのってそういう……
256:クロア
やめてくれ>>255
その視線はボクに効く
やめてくれ
死因の追体験で覚醒するってよくあることなんだね
異界に迷い込んだボクを助けてくれた豆柴ニキもそう言ってた
257:名無しの転生者
豆柴ニキの後輩か
そういえば出身地も同じじゃねーか
258:名無しの転生者
ところでなんでハンネがクロアなん?
259:クロア
>>257
質問したら出身高校も同じだった
独り立ちできるまで先輩って呼んでつきまとうつもり
向こうも乗りかかった船だって同意してくれてる
でもシキガミちゃんの視線が時々こわい
>>258
http://KRA〜*5
260:名無しの転生者
クロい髪の アストルフォな ネキ
だからクロアネキ、ってか?
シキガミちゃんに関しては……うん、イ㌔
あの娘の重さとフリーダムっぷりはアンタマジでシキガミかと疑いたくなるもん
261:名無しの転生者
>>259がテクノブレイクを追体験したのか……
此方も抜かねば……無作法というもの……
262:名無しの転生者
>>261
天狗<判断が遅い
263:251
>>259
やっぱ連絡先交換とかしない?
あっゴメンウソシキガミちゃんそこはやめてええええええ
264:名無しの転生者
>>263
ギルティ
265:名無しの転生者
>>263
萎えろ
266:名無しの転生者
>>263
もげちまえ
267:クロア
>>260
Yes
>>261>>262
http://BTM〜*6
>>263
ボクなんかよりシキガミちゃん大事にしろよばーか
ボクも早くお迎えしたい
268:251
>>267
ウッ ふぅ…
269:名無しの転生者
>>267
ウッ ふぅ…
270:名無しの転生者
>>267
ウッ ふぅ…
(中略)
279:クロア
ここは賢者が多いインターネットですね
ボクもう帰っていいかな?
280:名無しの転生者
こいつはえらいハリキリガールがやってきたじゃねえか……ウッ ふう…
281:名無しの転生者
>>280
いや誰だよお前
・クロアネキ
ムダに容姿がいい新人のTS勢俺たち
喰われるエサでしかない現状から脱却したいので力が欲しい
あとチヤホヤもされたいし何よりシキガミちゃんが欲しい
実は覚醒時にマリンカリンが生えてきたのにともなってバストが成長&両性具有化している
・豆柴ニキ
なんか図々しいなコイツ……
このあと目茶苦茶豆嫁に搾られた
あくまでも豆嫁一筋
・豆嫁
なんや重たいなコイツ……
このあと目茶苦茶豆柴ニキのMAGやら何やらを搾り取った
気まぐれに製造部謹製である容姿偽装用の伊達眼鏡をかけて黒髪モードになった上で
髪を赤いリボンで三つ編みにしてみたら、たちまち豆柴ニキが萎れたのでひと安心
・保護眼鏡ニキ
なんだか胃痛の種が増えそうな気がする
・牡丹ネキ
なんだかバカ友が増えそうな気がする
・チェストニキ
読んでみたかったなあ、センゴク権兵衛とやら
・酒カスネキ*7
胃が痛い……クロアネキは、地元にUターンしてきてくれるかな?でも性格難アリっぽいしな……
ほぼほぼ容姿説明回。
いつもにも増してお下品な話を書いてしまいましたが、読んでいただければ、幸いです。