しがない一転生者の徒然 作:ふなぐち又兵衛
こんにちわ、前世はメタボなオタクくん、
今世はふたなり美少女高校生、東方明日子です。
あの夏の夕暮れ、ボクはガキの群れに追い回され、
力尽きてへたり込んだところで、豆柴ニキことゆーとくん「黒井、さん、やろ」と、
ナナコさん「……まあええわ、
転生者たちの首魁である、ショタおじこと、星霊神社の神主さんの
そして
おまけに立派に育った前世の相『棒』を取り戻し、さらに母性の象徴もパワーアップ!
「せやな、リズはんくらいはあるわ、ウチやナギはんよりはちんまいなあ。
まーミナちゃんとまーちゃんがおっき過ぎともゆーけどな。
……着替えン時に、見たくもないんに見てもーたけど、
ゆーちゃんのゆーちゃんよりおっきいのは、なんやハナにつくわあ……あだ!」
「ナナさん、今夜はおあずけ、添い寝もなし」
「え、え゙ぇええええええ!!
そんな、ウチにどーやって寝ろっちゅーねん!?
ゆーちゃんかて、その、ガマンできんやろ?な?せめて添い寝はしよ?な?な?」
「だーめ!ナナさん!今度という今度こそ、親しき仲にも礼儀あり!って言葉を覚えようね!!」
「ゆーちゃあん、かんにーん……」
ゔー……ちょっと背後がうるさいですけど、
これからボクの無双ロードが始まる、ハズ!!
「……だったんですけど、ねえ」
「わざわざ
休憩時間はもーえーやろ、はよ立ちーや、あっちゃん。
あ、立ちーや言うても、
「ナナさん、そういうはしたない冗談はやめてってば」
「うー……今日のゆーちゃんはキビシイわ」
よっこらしょ、と、Tシャツに簡素な胴鎧、おまけに厚手のカーゴパンツ姿のボクは、
どうにか今世の両親からもらった、二本のあんよで立ち上がりました。
あ゙ー、
「んー、今んとこ、浅層初日のおれよりはマシ、だったよな、目ん玉や手指飛んでねえもん」
「そら
後ろからチマチマぶっぱしとったあっちゃんより、
真っ先に飛び込んでくゆーちゃんの方が、早くて強くてカッコよくてかーええと思うよ?
キズだらけになられると胸痛いねんけど、エロかっこええし」
「はいはい、お世辞言っても、おあずけなのは決定だからね。
でも添い寝は、まあ、許す」
「よっしゃ♪おやすみのチューもええよな?」
「舌絡めるのはナシ!」
「えー」
「め、目ん玉や手指って……。
ところで、いつまで人の後ろで乳繰り合ってんですかね、このおねショタバカップルは」
ボクがのろのろと振り向けば、顎に手をやって思案する合法ショタ(23)に、
やたらタッパとケツとおっぱいがデカいパツキンのチャンネー(4)が、
サバゲースタイルのペアルックで、身長差をものともせずにじゃれついてやがりました。
ケッ、公道のド真ん中でイチャついてんじゃねーよ、です。
クソデカイヌハニワさん(3)もいるんだし、通行の邪魔なんですよホラホラ。
と、ボクが眼鏡の向こうで、覚醒にともなって赤く染まった目をすがめていると、
とある一般家庭で門番を務めている羽根つき犬石像めいた、シッブいお声が耳を愛撫してきました。
……ASMR音声作品とか出してくれないかな、3千円までなら払うから。
「ゴス、ナナコモ……アス、コ、モ、無駄口ガ多過ギルト、オレハ思ウゾ。
イクラ傷ヲツケラレル心配ガナイ敵シカイナイ階層トハイエ、タルミ過ギダ」
「「「それはそう」」やね」
「って、それはそう、じゃねえんだわ。
脱線しちまったおれもおれだけど、明日子さんも、ナナさんも、真面目にやっとくれ。
明日子さん、もげた目ん玉や指くらいなら、ディア一発で生えてくるんだ、たいしたこっちゃないよ」
「せやけどゆーちゃん、マジメも何も、アル公の後ろから、
あっちゃんがマリンカリンで足止めして、アギかムドでトドメ刺すだけやん」
ゔ、半分*1は当たっている、耳が痛い。
「なんにしても、そろそろ浅層の奥を目指してええんちゃう?
レベルも5まで上がったんやし、肉弾戦もさせてみん?
ウチ、あっちゃんには、早めに自分の血ぃ見せといた方がええと思う」
「まー、死ななきゃ治せるしね。
手足がもげてから本番*2とか、死んでからが本番とも言う*3し」
「うわあふたりとも発言がガイア。
ところですみませーん、せんぱーい、MP回復おなしゃーす。
あと目眩ふらつきが酷いんで早退させてもらってもいいですかー?」
「却下な、ほれチャクラドロップ。
んー、じゃあ、ド突き合いも、やらせてみよっか。
ナナさん、明日子さん連れてったげて」
「あいな」
ひょいっと。
まるでネコか仔犬みたいに、ボクは背後から伸びてきた、
ナナコさんの腕にかかえ上げられて、連行されることになってしまいました。
あ、やべ、このアマ、ボクの肩と首
「え゙。え、え……オニ!アクマ!ナナコ!!
ああ……染められちゃう、ボク、初めての血、流しちゃうぅうううう……!」
「そうほざけるってことはまだ余裕あるなコイツ。
ナナさん、明日子さんにマカジャマかけて」
「あいあい……まー悪魔なんは当たっとるで。
ウチはゆーちゃんの嫁で、シキガミで、専属☆サキュバス♡や。
あとウチを呼ぶならナナコさまって呼びぃ」
「へ……?あ、出ない、出ない……ギャーこいつらマジで魔法封じやがった!
火も呪いも出せないボクなんて!
ただかわいいだけのソーセージつき眼鏡っ娘じゃないですかーやだー!!
いやだー!犯されるー食べられるー殺されるー!!」
「黙レメスカクエン、観念シロ
「だいじょぶだいじょぶ、食い殺される前に殺せばいいんだから」
「アル公!
「食われるのは確定事項なんですかー!ヤダー!!」
で。
「欠損処女卒業おめでとはん」
「殴り合いでの殺魔童貞卒業おめでとう」
「セクハラ、ですよ、それ……ボクの腕、うでぇ……」
ガキとの一対一での泥沼の肉弾戦の末、ボクは生き延びられました。
代償は肘の先から噛みちぎられた右腕、そこからの激痛、
失血、涙、鼻水、おまけに……いや、黙秘させてください、ボクの尊厳のために。
失血と腕はナナコさんのディアラマで復元してもらって、
汚れはゆーとさんの木刀に付与されていた、弱体版のハマで洗浄済みとはいえ、なんでボクがこんな目に。
「安心しぃ、新しい腕、ちゃーんと動いてはるやろ。
とれてしもた方の腕も、ウチが冷凍保存しといたさかい、
「とれたんじゃないです、食いちぎられたんじゃないですかあ……。
まだ痛い気がします、生えたのに、動くのに」
「慣れろ」
「ガマンしぃ」
ボクの訴えに対して、鬼と悪魔の応えは短過ぎるものでした。
しかも、ダメ押しに埴輪が警報を発してきました。
「アスコ、立テ、マタ食イチギラレルゾ、モウ次ノガキガ来タ」
「マタだけにマタをガブり☆」
「ヒッ」
「やめてあげて、おれだって思い出すだけで痛いんだから」
「やだぁああああ!まだ前世込みで未使用なのにぃいいいいい!!」
「あーなつかしー
「その時のカーシーを即射殺して回復してくれたのはほんっと感謝してます」
「……おいしかったで、その晩ごちそうしてくれはった、二度目の
生え変わったばっかで不安そうやったゆーちゃんも、
ちゃんと元気になれるんがわかったゆーちゃんも、ホンマかーいかったわあ……♡」
「ぐうう、そんな目をしても、今夜はおあずけ!
噛まれた時は自分も半狂乱になってたくせに!このセクハラシキガミ!!」
「えーええやん減るもんやなしー、それにゆーちゃんがかーい過ぎるんが悪いんや、
ウチを四日三晩*4もすきほーだいにしはって、こんなお猿さんにしてもーた責任取ってな?」
鬼と悪魔がヘラヘラと乳繰り合ってるのから目を背けながら、
ボクは呆れたふいんき*5をにじませてたたずむ埴輪の犬に、力なく訊ねました。
「ねえアルトくん、このふたり、いつもこんななの?」
「ゴスハモット真面目ダ、ゴスダケナラ」
「ナナコさんはこんななんだね……よし、腕、痛くないや」
その日、ボクは右腕に続いて、左手の薬指と小指を、ガキに噛みちぎられました。
翌日、ボクの装備に前腕を覆う篭手と、甲の側に鉄板が縫いつけられた、厚手の革手袋が増えました。
翌々日は、ヘルメットと、脛当て。
四日目には、武器を、金属バットから、柄頭を尖らせた、小ぶりのメイス*6に換装。
ガキに右の前腕をかじらせて、つむじやコメカミを柄頭でブチ抜くのって、ラクです。
左利きになりそう。
「で、レベル上がったのはいいけど、グラム・カットと反撃が生えてきた*7のはなんで?
ボク、ジオかブフが欲しかったんだけど」
「そらそーなるわ、右の篭手ぇ、ガキの歯型だらけやないか」
「ためらいなく、正確に、コメカミや眉間や目ん玉に、
メイスの柄頭をブチ込めるようになってきたのはいいね。
足を止めずに、アギなんかもばら撒いて、逆に敵の足止めもできるようになれれば、なおいいな」
「わー、ゆーとさんがボクを見る目が、まるっきり補助輪なしの自転車を漕げるようになった、
我が子を見るお父さんの目だー、前世でも今世でも見たやつだー」
「……ウチあっちゃんのオカンちゃうで。
あとな、ゆーちゃんのことは、黒井、さん、って呼びや」
「イチイチ唇ヲ尖ラスナ、ナナコ」
「なーアル公、あっちゃん、
ゆーちゃんの子ぉ産んであげたいのに、シキガミて生まれのせいで産めん、ウチのツラさがわかるか?
やのにしれっとお父さんの目だー、なんて言われてみぃ?
ウチカクエンやのーて、セイテンタイセイになるで?」
「……ゴメンナサイ」
「せやで、あっちゃんはウチとゆーちゃんの間に割り込んどることを忘れんといてや。
わかったんなら、はよ一人前になって、ウチにゆーちゃん返して?」
「……コレデ、首カラ下ハ、
ゴスヲ手籠メニシヨウトシテイナケレバ、今少シ格好ガツイタモノヲ……。
アスコ、ナナコノ言ウコトハ、話半分ニ聞イテオケ。
ナンダカンダ言ッテ、ナナコハ、ゴスト戯レタイ、交尾シタイダケダ」
「って、それは言わんお約束やないかい!しゃーないやろ!
ゆーちゃんがあっちゃんの教育にリソースふってしもたせーで!
ウチに塩対応気味になってしもて!ゆーちゃん分が不足してるんやから!!
ウチが精神的に餓死したらどー責任取ってくれんねん!!」
「死ヌベキ者ガ死ンダ、メデタシメデタシ、トデモサエズッテヤロウ。
何ナラ、
安心シロ、
「なんやとこのポンコツ粘土細工がぁああああ!!」
「ゆーとさん、アルトくんとナナコさん、これでいいんですか?」
「ナナさんには今夜埋め合わせしとく、腰に貼る湿布用意しなきゃな」
わー、ゆーとさんの笑顔が煤けてるー、外見と実年齢とふいんきがチグハグだあ。
中の人はギリギリアラフォーのおじさんだって言っていたのも、なんだか頷ける気がしました。
ボクも前世と今世の年齢をあわせたら、おんなじくらいのトシになるはずなんですけどね。
ところで、リュージトリズって誰なんでしょう。
ボクのそんな疑問が解けたのは、お休みの日に、手作りの唐揚げと炒飯をごちそうしてくれた、
どこぞの声がカッコいい邪竜おじさんを彷彿とさせる、目つきと八重歯の鋭いお兄さんと。
表情も口調も硬いけど世話焼きな、短めの金髪のお姉さんを紹介してもらった時のことでした。
……あ、このコーヒーおいしい。
でも、そのコーヒーに、ラカント糖とミルクを、これでもかこれでもかとブチ込む、
LLサイズの真依ちゃんローポニテ*8付き?というか、目つきの穏やかな千冬姉?は、どういう人なんだろう……。
おまけ・ある日のボーイズ(?)トーク
「ところで皆さん!ここガイア連合山梨支部には!
悪魔しょうかんなるオトナのお店があると聞いたのですが!
行ったことってありますか!?むしろボク行きたいです!!」
「ねえな」
「
「明日子くん、未成年がオトナのお店に行きたいとか、大声で叫ぶのはやめなさい、はしたない。
あと言っておくけれど、僕もないよ」
「ナナさんいるしなあ、行きたいとか思ったこともねえや」
「うわあ……ミシン穴*9しかいねーんだ、このグループ……」
「軽石*10で悪いか、病気も貰わずに済むぞ」
「シキガミがおればよか」
「だよなあ、泣かせたくねえもん、怒らせたくもねえし」
「明日子くんも黒井くんも語彙が古いな……」
「オタクやってればそりゃ古い語彙も増えますって」
「おれはばーちゃんが褒めてたのを覚えてただけですわ、
馬鹿にしたもんじゃねえぞって言ってました」
「それにしても……ごめんよAIBO、
先輩たちは、シキガミちゃんお迎えするまで、実戦デビューはおあずけだって」
「俺もそうじゃったぞ、俺のシキガミ、元は馬上筒
「……へ?」
「器物型のシキガミが、女の子に変身できるようになる。
そんな汎用スキルカードを入手するまで、チェストニキは独り身だったってこった」
「……それってつらくなかったんですか?」
「俺だって
飯食って酒飲んで悪魔殺して木剣振ってればどうとでもなった」
「そこまでストイックになれませんよお……。
そういえば、皆さん、女性経験ってどんなでした?前世込みで。
ボクは、前世込みでまっさらでしたけど」
「なか。高校受験の朝に
「出張先が近かったんで、仙台の国分町*11」
「家出した先が東京だったんで、吉原*12」
「……福原*13」
「……オイ、前世はしろーとどーてーばっかじゃねーかよこのグループはよー」
「今世では人間童貞三人と、世にも珍しい黒札同士のカップルの旦那の方だぞ、震えろ」
「オマエも人間童貞になるんだよ!」
「バーナーニキに豆柴ニキ、ヤケにならんでもよか。
俺たちには、シキガミがおる」
「ミナには、もう少し、優しくしてあげよう……」
「あ、言い忘れてた。
明日子さん、これナナさんからの伝言なんだけどね。
『あっちゃん?ゆーちゃんの目ぇ盗んで、
ミナミィネキ*14はんのお店に行ったりしたらアカンで?
初物はシキガミちゃんにごちそうしたってや、
ウチもリズはんもまーちゃんもそーしてもろたんやから』
だって」
「……あらためて言われると恥ずかしいなオイ」
「俺にもわかる、こやいささか慎みがなか」
「いささかで済むのかな、これは。
まあ似たような身の上の僕が言えた義理でもないんだが」
「あの、皆さんホントにガイア?
今世でのその
・豆柴ニキ
クロアネキはおれが育てねばならぬ
最近、色々と思うところがある模様
・豆嫁
はよ巣立って行きやあっちゃん、ウチの堪忍袋の緒は脆いで
ゆーちゃんはもっとウチを構ってーな
・豆シオン
ナナコガ増エタ気分ダ
最近ヨウヤク、ナナコト、ゴスノ友人タチノ名ヲ、
マトモニ呼ベルヨウニナッタゾ
・クロアネキ
あっれー?ボク後方マジックユーザーとしてブイブイいわせる気だったのに、
クリティカル狙いの前衛アタッカーにされようとしてない?
それにしてもシキガミちゃんが欲しい……
あとなんなの、ゆーとさんたちの「パートナー以外に興味ないね」度の高さは?
のちに中層入りした辺りでコロシの愉悦も生えました
もといパートナー以外の女性とは性交渉をもたない男性のこと
動かしやすいなクロアネキ……。
ともあれまたお下品なお話ですみませんでした。
これからもお下品なネタざんまいになると思います、ご了承ください。
このひと月、楽しく書かせていただきました。
今しばらく、豆柴ニキの徒然におつきあいいただければ、幸いです。