しがない一転生者の徒然 作:ふなぐち又兵衛
2025/08/28追記、またもやマカーブルさんからFAをいただきました!
いつもありがとうございます、今回はまあ思わず笑っちゃうシロモノでしたw
ネタバレ防止の為に、後書きの方に掲載させていただきます。
──怨嗟刀はいい、掠めるだけで
──剣鉈・
──宮城の白衣を着た眼鏡の先生から受け取った、この『
──これを手に殺る気を滾らせている限り、手足が飛ぼうが胴に穴が空こうが、
──頭が割られようが首がへし折られようが、瞬きひとつの間に元通りだ。
──問題は、激戦は似蛭と対にして振るわないと、餓えと疲労が酷いということと。
──さすがに、破れた衣服までは繕ってくれないことだな、とは思うが。
──
──……技師さんの奥方も、「人前に出るならちゃんと服は着なさい」と小言を言うようになったし。
最近、母が、曾孫が生まれたというのに、一層野ば…野性的になってしまった。
右手に短剣、左手に両刃剣を握り、時折口に、禍々しい剣鉈を咥えるようになったのだ。
そんな母の姿を見かけた息子の後輩が、銀縁眼鏡越しに真っ赤な目を丸くして、
「ゾロじゃねーか!」だの「エンバのヒューリー*1じゃねーか!」だのと、
やかま…にぎやかに騒いでいたのは何だったのだろう。
ただ、宮城から届けられたという、三方に刀身を備えた両刃剣*2を手にしてから、
母がキズを負ったまま帰還する事態そのものは、ほぼなくなった、とは思う。
それはいいものの、
「「ちゃんと! 服を!
縮こまることが増えていないか、あの人は。
それと、母が近頃親しくなったという、会津の旧家のご令嬢だという、
笹の葉めいた長い耳の目立つ若い女性も、
「おばあちゃまは、もう少し見た目に気を使った方がいいと思うのです」
「豆柴ニキ様も、きくりネキ様も、草神ネキ様も、『おばあちゃまが暴漢に乱暴をされたような格好なのに、
依頼の報告を優先したかったのか、平気で支部内を闊歩していた』と、困ってらしたみたいなのです」
「……それと……クロアネキ様のお母様にはその……今度いっしょに、
お礼を言いがてら、あらためて謝りに行った方がいいと思うのです、
ふたりして血だらけになり過ぎて、心配させてしまったみたいなのです」
などと、苦笑しながらたしなめて、母をむむむとうならせていたのを見かけた。
……母は強引かつ大雑把ではあるが、意外と人の話というか、
忠告は聞くんだよなあ……納得さえすれば、だが。
なお、これは余談だが。
私は、くだんの会津出身のご令嬢を見かけるたびに、
「アカン、ビビアンちゃん見てるとお酒飲みたなるわ、耳が笹かまぼこそっくりやもん。
せやけど、ゆなちゃんもことちゃんも乳離れしてくれへんと、飲んだらアカンよなあ」
などと、再び目立ってきた腹を撫でた、息子の妻のぼやきをついつい思い出してしまう。
彼女のためにも、息子の妻のためにも、
つとめて忘れなければ──ちなみに、私のふたりめの孫は、
「乱暴
オラあ
私は依頼受付の席で、そっとため息をついた……ワンパターンという言葉を知らんのか、この70歳児は。
黒札たちも黒札たちである、こんな落ち着きとギャグセンスの無い、
乱暴な女子児童にしか見えない老婆のどこに、そんな魅力があるというのだろうか。
それにしても、黒札という人種はその……私の息子も、
その後輩の少女? ……まあ少女でいいよな、
どいつもこいつもヘンタイで多淫…じゃなかった、女性の好みが特殊で、艶福家が多い、と感じる。
もはや平成の秩序は遠くになりにけり、悪魔への、メシア教への、
ダークサマナーへの、或いは食い詰めた暴徒への、力こそが正義。
そうなってしまったのは理解できるが、納得には未だ時間がかかりそうだ。
……私は非常に恵まれた境遇にいる、というのも、わかってはいるつもりなのだが。
特殊、特殊といえば、だ。
明日子嬢のパートナーだという、血の色の瞳を持った、有翼の白い少女。
夏の桃、冬の柿の時期になると宮城からやって来て、
果物といっしょに親子丼やシャモの丸焼きを旨そうにかっ食らいコーヒー牛乳を呷る、
黒髪の少女が連れているのを見かける、色黒な女性と似通った容姿の、白い女性。
たまに
どこか機械めいた印象な、長い銀髪の女性──は、どうも息子の妻とは、親しい間柄のようだ、
互いに娘だという赤ん坊を抱いて談笑しているというか、
息子の妻の話に、銀髪の女性が相槌を打ちつつ、話を切り返して、
息子の妻がオーバーなリアクションをとっているのを見かける──など。
こう言うのはなんだが、彼女たちの容姿を見るに、私の母の現在の姿から、5、6年ばかり成長させたような、
肌も髪も白くて、ふっくらした体型の女性を伴侶とした御仁が多くないか? 黒札という人種は。
いつの夜だったか、夕食のあとで、そのような話題をふってみたことがあった。
「山梨のカミサマはハア、若白髪で色白な
マシロさんも、おリンさんの連れでだ……ブラン? さんも、
新潟の、
「ノアはん?」
「んだ、そのノアさんだァ、みーんな、ナナコさんとおんなし、カミサマだっぺ?」
「せやね。 ばーさん、わかるん?」
「分がっつぉ、ナナコさんも、その若白髪のオッカらも、ニオイが人間とはちげえからよぉ」
──警察犬か何かかあなたは。
笑みを交わす母と息子の妻の姿に、思わずそうこぼしたら、
「おれは犬に化けられるしなあ」
「
「
狗賓っちゃ、
などと、何故か吊るし上げられたようになってしまった。
「ホクト、気ニスルナ、特異ナノハゴス…ユートノ、
マア、オレモイヌノ範疇デハアルンダガナ、じゃあないんだよ、アルト。
でも、初孫と妻が笑ってくれているから、まあいいか。
そう私も頬を緩めていたら、母がまたぞろ「んん?」と首をひねり始めた。
「待でよ……オレや
うっすらナナコさんやマシロさんみでなニオイすんのも、根っこはカミサマがら来でんのけぇ?」
「……もしかして、私も有斗も、お義母さんや
「ないない」
「ビビアンちゃんたちが
「ユーキ、ナヒタガ白イ髪ナノハ豊穣神ノ先祖返リ、ヒノエノ髪ガ白イノハ、実年齢ノ関係ダ。
ゴスヤオマエガ、白髪ニナルコトハ恐ラク無イ、覚醒者ハ老化シナイカ、老化ガ極端ニ遅イカ、ダカラナ」
「老化が極端に遅いって……私、
「おれも中学に入学してから見た目変わってねえしなあ」
「オレニダッテ…ワカラナイコトクライ…アル…」
「んー、ゆーちゃんもおかあはんも、コボルトの血ぃひいてはるからやないの?
ちんまくてかーいいんは、なあ」
「「そ れ か あ ……でも、このトシでかわいいって言われてもなあ」」
「ハア、ドイツ? の狗賓だったなコボルトちゃ、銀山の鉱脈で悪戯しでけつかるっちぇよ」
「ソウダナ、犬ノ頭部ヲ持ツ、小柄ナヒトガタダ」
「なら私も顔が毛むくじゃらになったりするの?」
「今ナッテイナイナラ、ナランダロ」
などと、妻と息子夫婦とその使い魔が、母を交えて雑談していた事もあったか。
それはいい、それはいいんだ、問題はここからであった。
「悪戯、かあ」と息子がぼやいた途端、
息子夫婦がそれぞれコールタールやヘドロじみた死んだ目でため息をついて、
「
「姫木、メル? 菜日田さんのとこでこないだまで下働きしてだ、眼鏡かけだデコの広い若白髪のワラシだな?
その……メル、さんがなじょした?」
「いや、その、ね」
「こんな本、描きくさってたんですわ」
「ナナさん!」
「ゴス、アキラメロ、ムシロイイ機会ダッタト思エ、
ヒノエトユーキトホクトニ、黒札ノ恥部ヲ曝シテ、注意喚起デキタトナ」
「アルトまで!?」
息子の妻がテーブルの上に広げたのは、カラフルな表紙を持った、薄い漫画本のようだった。
『メルリーの福島支部探訪記』と題されたその漫画は。
「「「…………」」」
私の息子と明日子嬢を含めた黒札5名が、桃や柿に魚介などを手に脇を固めた、表紙のイラストはいい。
白いコートを羽織った小柄な眼鏡の少女が、額が目立つ童顔をふりふり、
ガイア連合福島支部の各部門を見学、紹介してまわる内容もいい。
多少デフォルメが利いているものの、明らかに誰が誰だか分かる、
福島支部所属の黒札や金札たちの絵は……まあいい、たぶん。
しかし私はあそこまでしかめ面をしていただろうか、
妻も母も口許を手で抑えたり、顔をそむけて噴き出したりしていたが。
内容はまあ問題はなかった、ハズだ、本編の内容は。
何故か東方氏の細君や、リーゼントの技師どのの奥方が、
私の母や、息子や、明日子嬢とそのパートナーの少女ともども、
鞍草女史の音頭取りで、巫女姿で奉納舞を舞わされていたり。
酒瓶片手に酔って顔を真っ赤にした廣井支部長が、
息子の先輩の
満開の桜並木の下で、焼き鳥やシャモの丸焼きにかぶりつきながら、酒盛りをしていたり。
私の妻が、鞍草女史や、彼女が娘のようなものだといっていた少女ともども、浴衣姿で、
切り分けた桃だの、カツオのタタキだのが盛り付けられた皿を手に、微笑むシーンが挟まっていたり、
小名浜の海で、首長竜の姿をした悪魔にまたがった、宮城の
セーターと
似たような格好をした技師どののお孫さんともども、幸せそうな顔で天神さま*3を頬張っていたり、
鞍草女史の経営する居酒屋で、私と東方氏が、酔い潰れて寝こける廣井支部長を背景に、くだを巻いていたり。
ここまでならまあいい、ここまでならまあ許せる、ここまでだったなら、だ。
イチイチそういう着飾った少女や女性が出てくるシーンを挟まねば描けんのかオノレは、と呆れはするが。
許せなかったのはラストの1枚絵だった。
今年の年始に、沖縄から懇親会に来たという、ハワイからの避難民の少年少女たちをもてなすため。
私の母が、息子が、東方氏の細君と娘とそのパートナーが、息子の先輩の女性ふたりと、
別の先輩の……妻? にしては若過ぎた気もするが、色黒でふくよかな、金髪の少女ともども。
ムームーなるワンピースと花飾り姿で、一斉に踊りを踊った際の醜態を、再現したシロモノだった。
アレを醜態と言わずしてなんという、息子の妻は初孫が居るデカい腹をかかえてビビアン嬢と大はしゃぎをし、
東方氏は飯野青年ともども、酷い頭痛をこらえるような顔を手のひらで隠し、
私は
……島崎医師*4には、専門外のところで、苦労ばかりをかけている気がする。
絵とはいえ何故私の妻までフラダンスを踊らされているんだ。
おまけに技師どのの妻子まで。
「ドカルトニキのお孫さんは描いてないからセーフ!」じゃあないんだよ姫木さん。
……先日、鞍草女史の店で、頬に血の気をのぼらせた東方氏が言っていた、
「私たち……俺たちにも、理不尽に抗う、戦うための力は必要だと思うんです。
少なくとも俺は、娘や妻のおまけではいたくない」
との、血を吐くようなうめきに、同意せざるをえない日が来たのだろうか。
ただなあ、その後で、
「……だから、できれば、黒井さんにもつきあっていただければ、ありがたいなあ、と」
などと、おどけた苦笑いとともに手を合わせられたのは、その……。
「アンタは間違いなく明日子さんの父親だよ!!」と怒鳴らなかった私を、誰か褒めてほしい。
・眉間にシワを寄せた豆父
「俺の女房もオフクロも息子も、アイドルでもエロ本の出演者でもないんだが」
・孫娘をあやす豆母
「将来
・シャモのもも肉と、純米からじし(蓬莱山)入りのコップを手にした豆婆
「有斗にナナコさん、着でる
・省エネモードのストラップサイズな豆シオン
「ホクトモコーイチモデモニカヲ着テ前線ニ来ル気カ、オレハオマエタチノ盾ヤ足ニシカナレンガ、頑張ロウナ」
・手羽先にかぶりつく豆柴ニキ
「山梨に注文すればあるんじゃないかな、それはそうとして地獄に堕ちろ姫木愛琉」
・トリモモを頬張る豆嫁
「衆合地獄に堕ちてまえナマモノネキ、やね……まあウチもゆーちゃんもそこ行きなんやろな、きっと」
・首から下を畑に埋められ周囲の土をアースムーバーに固められたナマモノネキ
「メルリー死すとも同人は死せずー!! だから早く発掘してくださいお願いしますおなかすいた……」
・酒盛り中なガイア連合福島支部の皆様withグリル・トーチャリングを仕掛けた幼女ネキ
『あーシャモの丸焼きうめー、ナマモノ本描きやがったバカチンを埋めた目の前で食べるのは尚更うめー』
・一般通過田舎ニキwith破裂☆さん、ハルナちゃん
碧神さんへ
第一子ご誕生、おめでとうございます
ノアさんとおハルちゃんに、おいしい果物やお菓子を、おなかいっぱい食べさせてあげられる日が楽しみです
いつの日か、事態が、時代が落ち着いたら、北海道や宮城や沖縄に、みんなで食べ歩きに行きましょう、
願わくは、そちらの九重さん、秋葉さん達や、うちの東方さんもいっしょに
しかし、九重さんを通して簡易シキガミ体をもって呪いから解放した雪華*5さんですが、
彼女への情報開示は、やはり拙いですかね?
今のところ、 碧神 凍矢のあの字も、彼女には伝わっていない筈なのですが 黒井 有斗
名無しのレイさん、田舎ニキの長女ちゃんのお名前、お借りします。
もとい、そちらのお話では、まだ破裂☆さんのお腹の中ですのに、
こちらの話では出産済み、みたいなカタチになってしまってすみません。
しかし、豆柴ニキの父親には、
「アラフィフなのに女子中学生にしか見えない合法ロリを嫁にして、
息子を産ませたロリコンのアンタにだけは、ヘンタイって言われたくねぇ〜!!」
とでも言うべきなんでしょうか。
なお当人は「たまたま妻が若く見えるだけでだな!?」などと熱弁しておりますw
それにしても、新米おじいちゃんなアラフィフおじさんのぼやき節って、カオ転三次としてどうなのよ?
と思いましたが、楽しく書けました。 読んでいただけましたら、幸いです。
そしてこちらがマカーブルさんからいただいたFAとなります、
埋葬されるナマモノネキ、だそうですw
【挿絵表示】
……カブかニシャア!!w(福島弁で「カブかあなたは」と言う意味)
もとい、この肌と髪の白さ、瞳の青さよ……。
これは由太郎ニキもキョドる、でも中身はナマモノ同人バカ一代なんだよなあ……。