しがない一転生者の徒然   作:ふなぐち又兵衛

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会話と地の文の練習です。
お下品です、短いです。


飯野修の憤慨〜豆柴、酒盛りに巻き込まれる〜

飯野修は激怒した。

修にはオカルトはわからぬ、修はただの大学2年生である。

学業に励み、幼馴染兼恋人のミナの尻拭いをして暮らしてきた。

しかし、自堕落に関しては、人一倍敏感であった。

そう、たとえば。

 

「だーれが森田直哉の転生体やっちゅーねん!!

 新婚ホヤホヤ☆若奥様*1のウチを下ネタキャラ扱い!?

 人の心とかないんかああああ!!」

「また上層卒業試験落ちたあああ!!

 シューくんごめええええん!!

 わたしがひとりで飛び出してったばっかりにぃいいいい!!」

「血糖値……血糖値……私もついに銀時ニキの仲間入り……。

 うふふ……ノーシュガー、ノーライフよ……。

 糖分カフェインアルコールのことよね、三大栄養素って」

 

帰宅したところで、先日からミナと暮らし始めた新居*2の居間に設置したこたつに、

3名ほど、胸だけはデカいコドモ*3がブチ刺さって、

こたつの天板に、ツマミの残骸とカラの酒瓶を並べてクダを巻いている、今のような場合など、である。

 

「もうええ、ウチ、メスカクエンでええわ、

 ゆーちゃんとずーっとええことして暮らすんや……んっ……♪」

「ナナさん!ここ人んち!人んちだから!!」

「シューくん、おかえり、お酒おかわりい……あ、カエレルダイコンだこれ」

「お邪魔してます……ねえ飯野くん、私思うのよ、

 適当な刃物を膵臓と腎臓*4にブッスリ刺して、引っこ抜いて、

 そこの黒井くんにパトラとディアかけてもらえれば、

 無限にコーヒーもお酒も飲めるようになるんじゃないかしら、ってね」

「ナギはん、ゆーちゃんにブッスリヤラれるんは、

 ウチの専売特許やで、ネトラレ、ダメ、ゼッタイや」

「わーブッスリとかひわーい☆

 わたしもネトラレはむりですねー、とるのもいやー」

「私はもうそういうこと自体が無理……。

 勢いだけのお粗末なのも、これ見よがしにムダにデカいのも、飽き飽きしてるのよ、実家でね。

 ふたりとも、優しくしてくれるパートナーは、大事にしなさいね?」

「「りょーかーい!!」」

「と、やさしく言うたらあれやな……ミナちゃん、どっちが好きなん?

 ウチ手前をコリコリされるの好きやねん。

 ゆーちゃんがすーぐ泣きそうな顔になるんが、たまらんくてなあ」

「奥をグリ、グリ、ですかね?

 最初はちょっと痛かったんですけどねー、

 覚醒してレベル上がってから、急に慣れてきたって言いますかー」

 

馬鹿が3匹、小柄な被害者を1名ほど抱きすくめて、好き勝手にさえずっている。

小柄なふんわりした黒いセミロングで、アメ玉がカビたような色の目の、ミナ。

長身で長い金髪をうなじでまとめた、ヘドロが溜まったような色の目な、ナナコ。

背が高く、黒髪を巫女のように束ねた、ドブ川が腐ったような色の目は、ナギ。

いずれも爆乳美女と称して差し支えのない容姿の持ち主なのだが、

あふれ出るアルコール臭と、話題の内容が、それを台無しにしてしまっていた。

耳目と鼻孔を陵辱する惨状を前に、肩を落とした修の口から、

重たいため息が、長々と吐き出された。

 

というか、だ、ミナ、一升瓶はコップじゃないんだ、ラッパ飲みはやめなさいはしたない。

ナナコさん、黒井くんを抱きしめっぱなしなのはまあいいとして、

無理矢理キスしようとするのはやめてあげてください。

舞原さん、それじゃ失血死する方が先じゃないですか。

ダメだ、言葉じゃ彼女たちには届かない、

そもそも僕が彼女たちに言葉を伝える余裕がない。

 

「……男性として恥ずべきことであるが、僕は、彼女たちに制裁を加えたいと思う。

 黒井くん、キミの最愛の人に手を上げることになるが、すまない」

「いいえ、身体が自由になるなら、おれが先にやってましたから。

 むしろ早くやっちまってください、首締まってきて(ぐる)じいんで」

 

ナナコの伴侶にして主人であるはずの有斗の、コールタールが焦げたような色の目と、

修の眼鏡越しに淀んだ、ガラスが煤けたような色の目が、

お互いの(つがい)と、おまけのナギに対する、うんざりとした諦念に結びつけられた。

修の口から、今度は細い吐息がこぼれ、右腕がスッと天を指した。

 

「歯を食いしばれ、ミナ、ナナコさん、舞原さん」

「ぎゃん!」「あだ!」「げふん」

 

レベル30の覚醒者、レベル20台前半のシキガミと覚醒者の脳天めがけて振り下ろされた、

もうひとりのレベル30覚醒者の手刀は、

すさまじくイイ音を三連続で、冬の乾いた空気に響かせることになった。

手刀を振り下ろされた側の頭の中身が、アルコールで萎縮しており、

スキマが増えて、反響する余地が増えていたからが故の、快音であろうか。

うめき声の三重奏を踏みにじって屹立するように、

青年の低い声が、その場に居合わせた者たちの耳朶を這い回った。

 

「……目は覚めたかな?覚めたなら結構、片付けの時間だ、

 自分の出したゴミは自分で捨てなければ、ああ黒井くんは座っていてくれ、僕は彼女たちを手伝おう」

「あっはい」

「なつかしい痛みね……実家のクソどもよりは愛を感じるだけ、悪い気はしないけど」

「ミナちゃん、飯野くん早口やけど、怒ってはる?」

「すこーしイライラしてる感じですかねー……ゴメンナサイ、さっさと片付けマス」

 

こうして、酔っ払って発情した、嫁シキガミの魔の手から解放された、二足歩行の豆柴は、

頭に大きめのコブを生やした美女が三人、家主たる長身の青年が持ってきた数種類のゴミ袋に、

酒瓶やツマミの残骸を仕分けして突っ込んでいく光景を、

こたつに入ったまま、眺め続けることになりましたとさ、どっとはらい。

 

「あ、トイレどこっすか?」

「玄関のすぐ脇だよ」

 

 

 

 

・豆柴ニキ

山梨県の星霊神社から、今のねぐらである千葉県への帰還中、

神奈川県にある、保護眼鏡ニキと牡丹ネキの住むマンションに寄り道したら、このザマに

ところで4人とも、その首から提げた手書きの反省文パネルは何なんですか

飯野さんは何も悪くないですよね

・豆嫁

「ウチは人様んちでワイセツな行為に及ぼうとしました」

あたまいたい

・牡丹ネキ

「わたしは酔っ払って探索に必要なアイテムまでムダに浪費しました」

はきそう

・脱毛ネキ

「私は酔って凶器をもって自分を傷つけてもらうよう教唆しました」

もう少し飲みたいかしら

・保護眼鏡ニキ

「僕は酔っ払いの狼藉を止めようとして恋人や友人たちの脳天に手刀を振り下ろしました」

舞原さん、これ以上カラの酒瓶を量産しないでください、コーヒー淹れますから

黒井くん、これはケジメだよ

・銀時ニキ

ご本家様のやる夫スレ短編「カオス転生ごちゃまぜサマナー 小ネタ とある地方の異界事情」シリーズより

*1
まだ未入籍、そもそもシキガミに戸籍はない

*2
ガイア連合が用意したシキガミとの同居向け物件

*3
約2名はタッパもムダにデカい

*4
糖尿病と腎臓結石




お目汚し、失礼しました。
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