ゴーティス使い俺、呪術の次元は禁止カードが多すぎる【改訂版】 作:月日は花客
俺の名前は
一般
休日、今日も今日とてカドショ巡りをしていた俺は、カードケースの重さと引き換えに軽くなった財布の軍資金を補充すべく銀行に寄っていた。
無事ATMから札を下ろし、LP(
景色が違う。
俺がさっきまでいた銀行は背後から消え、ただのコンビニになっている。周りも、都会の大通りではなく田んぼとのどかな田舎風景。
幻覚や熱中症を疑ったが、身体はどこも不調じゃない。むしろ遊戯王に触れていたのでお肌ツヤツヤだ。
「どこだよここ……」
スマホを見ると、圏外どころかネットにも繋がらない。SNSなどの連絡手段も軒並み死んでいる。唯一起動したのは、遊戯王ニューロンのみ。
さっきまで普通に使えてたのに突然壊れた?? というかニューロンしか使えない故障って何??
ニューロン自体も店舗情報なんかは使用できないし……この不可思議な状況に、俺は困惑したまま立ち往生する。
コンビニの無駄に広い駐車場が、なんだか寂しくも不穏だ。
「取り敢えずコンビニでここが宮城ってことはわかったけど……マジでなんで?」
コンビニは普通にコンビニだった。宮城限定のお菓子が売られていたので多分宮城だ。宮城のどこか知らんけど。
適当に買ったコロッケを食べながら、人里がありそうな方に歩く。たぶん車が無いとどこにも行けないほどの田舎ではないだろうから、なんとか駅まで行って……東京に戻って……。
せっかくカードのために下ろした金が、交通費で消えそうだ。なんでワープなんてしたのだろう。
「モンスターの仕業だったり……なんてな」
「こぉんバんんわァ」
「はいこんばん……ヒュッ」
現地のお婆さんだと思って返事をしかけたが、視線を向けると絶対に違うことに気づいてしまう。
膿んだ皮膚、裂けた口とその中に並ぶ不規則すぎる歯列。目玉は異様なほど黒目が大きく、まるで手招きするようにこちらに体を向けていた。
「化け物っ……!?」
「こォォん二ぃぢわぁはははははは!!!」
「ぎゃ━━━━!!!」
化け物はその長く不潔そうな爪を伸ばし襲いかかってきた!
間一髪で避けるも、爪が当たったアスファルトには大きな亀裂ができている。つまり、俺なんかが当たったらそれこそ腹に穴が開く。
「死にたくなーい!!」
「あは、あははははははは」
「何笑ってんだカス! ふざけんな! 来んな!」
虚勢を張って罵倒するも、化け物には通じていないのか全く持って響いてない。攻撃は俺が逃げれば逃げるほど苛烈になっていき、さっき頬に掠って血が溢れた。
こんな知らない場所で、化け物に襲われて死ぬのか? ニュースで不審死なんて報道されて、ネットで陰謀論を囁かれて。
そんなの────嫌に決まってる!!
「ッうう゛ー!!」
「はははははははははははは」
「死にたくない……死にたくないッ!!」
せめて、カードだけでも。
そうリュックに手をかけた時、俺のメインデッキ……ゴーティスメインのデッキケースが輝きながらリュックから飛び出してきた。
バラララ、と高速でシャッフルされ、いつのまにか俺の腕に現れた青いデュエルディスクに収まる。それはまるで、合図のようで。
「やれって事かよ……俺のデッキは無茶振りすんなぁ!」
「あは、あは、あは、あは」
「応えてくれよ、俺のカード……! ──
そう宣言すれば、キラリとディスクが光り、手札が配られる。先攻、後攻を決めるコイントスは無かった。既に攻撃されてるからだろうか。
俺のデッキは大好きなゴーティスを主力に、ゴーティスとシナジーがあるやつを突っ込んだ感じだ。今日はフリーマッチができればいいなくらいで出かけていたので、デッキパワーは大会レベルとかではない。
そもそも俺自身があまり大会とかは出ず、黙々とデッキの最適解やパターンを考えるのが好きなタイプだったからそんなに環境メタもしてない。
そんなことはどうでも良くて、決闘だ決闘。真面目に命がかかってるんだぞ。
「ドロー! ……よし、メインフェイズ《ゴーティスの灯ペイシス》を召喚!」
青いデュエルディスクにカードを置くと、フワッと目の前にペイシスが現れた。オーロラのように輝く、ほんのりとピンクを帯びたメンダコのモンスターだ。それが実体をもって俺の目の前に浮かんでいる。
「スゲェなにこれ!? リアルソリッドビジョンじゃん……!!」
興奮も束の間、脳裏に描いた展開ルートを掻き消さないように、俺は効果を発動させた。
「ペイシスの効果発動! ペイシスを除外して、手札から《ゴーティスの守人イーノック》を特殊召喚、効果で除外された《ゴーティスの灯ペイシス》を特殊召喚!」
ゴーティスは自分のモンスターを除外ゾーンに送ったり除外から引っ張ってきて戦うテーマだ。墓地は第二、除外は第三の手札とはよく言ったもので、グルグルとフィールドと行き来して仲間を増やし強化していく。
除外ゾーンへ行ったペイシスはカードの姿に戻り、フィールドから消える。
代わりにイーノックというマンタのようなモンスターが現れた。そしてイーノックのひと鳴きで、除外へ消えたペイシスが戻ってくる。
「……アイツの攻撃幾つだ?」
モンスターはそれぞれ攻撃力と守備力があるが、目の前の化け物はカードじゃないので数値がわからない。
俺のフィールドで今一番攻撃が高いのはイーノックの2100。しかし数値が不透明な相手に突っ込むのは少し不安になる数値だ。
「念の為シンクロしとくか……イーノック、ペイシスでチューニング! 《ゴーティスの双角アスカーン》をシンクロ召喚!!」
イーノックとペイシスを墓地に送って召喚されたのは、サメのような、トビウオのようなシルエットをした二つの角を持つモンスターだった。発光体がぼんやりと怪しげに光り、その大きなヒレをより派手に見せている。
アスカーンはどの動物にも当てはめられない、形容し難い鬨の声を上げる。その迫力は正に俺が妄想の中で思い描いていたアスカーンそのものだった。
「アスカーンの効果発動! アスカーンとお前を除外する! ……できるよな?」
相手がフィールドにいるモンスター扱いなら、これで行けるはず……!
カードに戻るアスカーンを横目に、俺は化け物を睨みつけていた。
作者は遊戯王OCGをプレイしていますが大会成績は無い、マスターデュエルでギリゴールド4くらいにいる人なので
デッキの完成度とかにはある程度目を瞑ってください。
相性の良いカードなど教えてくださると助かります。