ゴーティス使い俺、呪術の次元は禁止カードが多すぎる【改訂版】   作:月日は花客

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☆13.ゴーティスの特別授業

 

 呼ばれて飛び出て特殊召喚! 遊海です。

 しばらく時が経ちました。具体的には2017年になりました。僕がこの世界に来てから二桁の年数が流れてしまったわけです。恐ろしいね。

 この数年何してたの? と聞かれても、呪霊を祓って決闘してましたとしか言えない。そのくらい特筆することもない数年だった。

 たまに伏黒くんの修行に顔を出してたくらい?

 中3に上がってすぐ、津美紀ちゃんが寝たきりになってしまったのだ。なんらかの呪いだと思われるが、正体はまだわかっていない。

 俺も元凶を探りつつ、こうしてここまで生き延びてきたという感じだ。

 で、情報共有がてら今日も夏油君に会いに高専へやってきたのだが……。

 

「特別授業ぅ?」

 

 いつもはデッキが握られている夏油君の手には、なにやら見慣れぬ書類の束が。

 そこには見出しに「高専外呪術師による特別授業の案内」と印刷されていた。

 渡されたそれを読んでみれば、俺のようなフリーの呪術師に、特別に高専で授業をしてもらおう。という提案らしい。

 高専の教師になった夏油君らしい、キッチリした印象を受ける書類の書き方だった。

 

「それを俺に? あ、冥冥さんの名前もある」

「はい。私自身もかなり遊海さんの指導で伸びた身ですし、できれば協力していただきたいのですが」

「いいけど……俺にそんな授業とかできるかなぁ」

 

 伏黒くんに修行は付けたけど、あれも実質遊戯王してただけだし……。でも遊戯王の腕は夏油君も伏黒くんも滅茶苦茶上がったんだよな……もう俺もフルパワーのデッキ使わないと油断できないくらい。

 若者の成長って恐ろしい。俺もまだ若いはずだけど。

 俺の見た目はやはり成長も老化もしないので、今でも20代前半に間違われる。本当は年数的に30入ってるのにな。

 俺は詳細の書かれた書類を確認しつつ、夏油君を見上げる。

 

「一年の担当なの? てっきり二年とかかと」

「そこは歴の差と言いますか……。冥冥さんは遊海さんより長くこの世界でやってきてますからね」

「ああ、なるほど」

 

 俺は冥冥さんの下請けみたいなもんだし、歴も浅いし突然現れたしで、保守派連中にはよく見られていないんだそう。術式も現代風味だしね、TCGはおじいちゃんにはなかなか理解できないわな。

 そんなわけで、あまり俺は評価されていない。こんなにも呪霊を祓っていても、保守派や上層部のじーさんには「ぽっと出の若造」らしい。五条に同じようなこと言えんのかって話だけどさ。

 

 現在一年生は四人! うち一人は特級! らしい。これ俺が教えることあんのかな。

 なんかやべぇ怨霊を連れてるらしいよ。怖いね、俺下手打ったら殺されたりしないかな……。

 まぁまぁ、後進を育てることは良いことなので、授業内容にあんまり口出ししないでね〜と言い含んで了承した。

 ポンと書類に俺の苗字による赤が咲く。

 

「じゃ、面倒な仕事も済みましたし決闘しますか」

「わぁい決闘者〜」

 

 *

 

「と言うことで、君たちの臨時教師としてこの五日間ほど担当することになりました、遊海宙です。等級は一級、好きなデッキ傾向は除外活用シンクロ。よろしくね」

「ラスト何?」

「しゃけ」

「よろしくお願いしゃーす」

「よ、よろしくお願いします」

 

 黒と明るい茶髪の二人の青年と、紅一点らしい眼鏡の女の子、そしてパンダ。

 パンダは夜蛾さんが作った呪骸だよね、初めて見た時は驚いたけど顔見知りです。

 パンダ以外は全員初対面なので、なかなか新鮮だ。あとなんか「しゃけ」って言った人いなかった? シャケってあの鮭?? なんで??

 

「俺の授業は、まぁ術式拡張できたらいいね、あと戦略とか学べたら良いね〜って感じの内容です。基本座学で、テストとかは特にしないけどちゃんと聞いてくれるとやる気が出まーす」

「戦略か……確かにそこまで学べてるわけではないよな〜」

「なんだ、体術じゃねーのか」

「いくら!」

 

 やっぱなんかおにぎりの具で会話してる子いるな。なんだなんだ術式の影響か? 知らんけど何言ってるか全然わからん。

 カツカツと黒板に説明を書くことにする。うわチョークとか何年振りに触ったっけ? 懐かしすぎてちょっとセンチメンタルになるわ。

 

「皆んなはカードゲームってしたことあるか〜? トランプとかじゃなくて、モンスターとかいるタイプのやつ」

「無い」

「無いな」

「こんぶ」

「僕はちょっとだけ……」

 

 カードゲーム、TCGと黒板に連ねつつ、生徒たちの声も聞く。一般家庭出身は特級の男の子だけらしいので、まぁ知らなくても不思議じゃないか。術者家庭ってなかなかお堅いらしいし。

 俺はTCGの説明をざっくりすると、デッキを取り出す。

 今日のために気合を入れて組み直してきました。ゴーティスデッキです。

 その中から一枚、《ゴーティスの灯ペイシス》を喚び出すと、ふわりとメンダコのようなモンスターが宙に現れる。その光景に、生徒たちは少し声を上げた。

 

「俺の術式はカードゲーム『遊戯王』! 俺の授業ではこの遊戯王から、戦略やなんやらを学んでもらう。後で授業で使うデッキをそれぞれ選んでもらうから、ルール説明はしっかり聞けよ〜」

「カードゲームの術式……? そんな現代っぽいのあるんだ」

「宙の術式はすげーからな。傑もそれで術式が強くなったって言ってたし」

 

 うむうむ、掴みは上々のようだ。

 夏油君はうずまきコスト踏み倒しとか、手札誘発とかでかなり参考になったらしい。夏油君の術式の詳細とか俺知らんけど、かなりの強化らしく五条が悔しがっていた。

 五条との喧嘩でなかなかやらかしているらしい。

 伏黒くんもかなり拡張されて、最近は脱兎を調伏したりもしたそうだ。これからが楽しみな弟子だ。

 そんなわけで、遊戯王が呪術師に効く! というのは実証されてきている。実績はあるから、俺もそこそこ好き勝手授業させてもらうぞ。

 遊戯王のルールを全体に概要だけ教えて、デッキを配るターンに。

 このためにストレージを見直し、初心者向けにデッキを組み直してきたのだ! テーマ全部!! 超大変だった!!!

 まぁその分、「こんなにあるの!?」と生徒が驚いていたから良しとしよう。その反応が見たかった。遊戯王のテーマって、属性とか種族とはまた違うから最初びっくりするよね。細かい、ワンデッキ組めない枚数の奴も合わせるとかな〜り羅列できるぞ。

 

「この中から一つ選びな。今日の一時間目はそれで終わるから、焦るなよ〜」

「俺はもう決めてるもんね〜」

「あっパンダこの野郎知り合いのアドバンテージを活かしやがって!」

「いくら! いくら!」

「え、時間足りるかな……」

 

 わちゃわちゃと選び始める一年生。いや〜かわいいね。

 遊戯王初体験の人を眺めるのはこれ以上ない贅沢な行為だぜ……! 存分に悩んでくれ、見てて楽しいから。

 こうして、なかなかなスタートで俺の授業は始まった。これで皆んな育ってくれると良いのだが……。

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