ゴーティス使い俺、呪術の次元は禁止カードが多すぎる【改訂版】   作:月日は花客

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☆17:ゴーティスの百鬼夜行

 

「呪霊の不自然な活性化ぁ?」

 

 冥冥さんに呼ばれ、俺はとある個室料理店に来ていた。

 呪術師御用達と言われているそこは、防音や防犯がかなりしっかりしていて、店員も弱いが術式を持っている。

 蟹鍋で有名なそこで、俺と冥冥さんは近頃の不自然な呪霊の動きについて話していた。

 

「東京と京都に、呪霊が集まってきているんだ。それこそ、現地の術師による対処が追いつかないほどに」

「それって……年末が近いから? いやクリスマス?」

「それはわからないが、あまりにも……知能の無い呪霊の動きに違和感が見られる。何者かが糸を引いているかもしれないと上層部で話が出ているそうだ」

「呪霊が集まる、ねぇ……」

「操られている、というより……何かに追い立てられているかのようだ」

 

 渡された書類には、「窓」によるここ最近の呪霊移動のルートが示されていた。

 危険もあるためざっくりだが、確かに地方の呪霊が二つの都に集まってきている。

 呪霊は本来、生まれた場所からそう移動しない。テリトリーを持っているものが多い。

 ここまで長距離移動をするとなると、確かに違和感がある。

 

「うーん、呪詛師の仕業……ってのが上層の意見なんすか?」

「ではないか、という感じだね。人の影があまりにも見えない。それが逆に怪しい、と」

「規模的にはどんなもんなんです」

「ざっと、それぞれ千」

「1000!?!?!?」

 

 やべぇじゃねぇか!! そりゃその規模なら呪詛師の仕業疑うわ!!

 夏油君とおなじように呪霊を操ったり干渉できる術式とか? その数をただの呪霊単体のイレギュラー行動とは捉えにくいし……。

 どっちにしろ、東京と京都に危機が迫っている。

 それを共有するために、冥冥さんは俺を呼びつけたのだ。

 

「おそらく12月24日……大量の呪霊がそれぞれの都市に到着する。そのピークを狙い、全戦力で叩く」

「俺もそれに参加要請が……と」

「ああ、ただ君の術式は多数の敵には向いていない。だから、必ずこの事態をどこかで見ている敵……呪詛師の捜索を頼みたい」

 

 冥冥さんは、そこを区切りにぱきりと蟹の腕を折った。ぶわりと良い匂いが漂ってくるが、俺の意識はそちらに割けない。

 呪詛師の捜索。しかもここまで大規模な作戦は初めてだ。重く責任がのしかかるだろう。

 しかし、俺の戦力優先度は……多数戦となると低い。

 

「わかりました。といっても、手掛かりなくないです?」

「呪霊の中には特級らしき呪力も確認されている。おそらく、呪詛師が見ているとしたら……」

「討伐できる人材が限られた、特級の側……!」

「あるいは、数で押すか。数の方は五条と夏油に任せるとして、遊海の良いところは五条に匹敵する移動力」

「《次元の裂け目》……!」

 

 五条は無下限による瞬間移動が可能だが、俺もそれに近い力を持っている。

 次元の裂け目に頼れば、簡単に東京と京都を行き来できる。遊撃にはこれ以上ない能力。

 

「名付けて“百鬼夜行作戦”……。時は近いよ」

「臨むところです。決闘者は、脅威から逃げない」

 

 俺と冥冥さんの間で、鍋がグツグツと煮えたぎっていた。

 

 *

 

「百鬼夜行、遊海さんも参加するんだって?」

 

 別の日、俺と夏油君は今日も今日とて決闘していた。

 あの特別授業から、五条は夏油君に決闘を挑むようになったらしい。

 しかし、俺のガチデッキと6:4の接戦を繰り広げる夏油君とは、経験も知識も大違い。夏油君は「あれだけコテンパンに負けた悟は初めて見た」と大笑いしていた。なかなか良いストレス発散になっているようで。

 そもそもどっちも脳筋テーマだしなぁ、五条は絶対カオスMAXを出そうとするからわかりやすいんだよな、狙いが。

 夏油くんは最近先史遺産(オーパーツ)を混ぜ始めて、火力にさらに磨きがかかっている。

 罠や魔法で絡め手を使ってくる機会も多く、最初の動きでどちら重視か読まないといけなくなった。うっかりバック破壊を疎かにしていると《地獄の暴走召喚》で暴れられたりする。

 

 ちなみに、俺は定期的に夏油君、伏黒くんと「ワクワク☆ストレージ漁り祭り」を開催している。

 不定期に3人で集まり、俺が適当に分けたまま放置しているストレージから良さげなカードを漁るのである。

 流石に10年以上呪霊を倒していると、「なんだこれ?」というカードやテーマで括れないカードも出てくる。それらを魔法罠、特殊や通常などで雑にストレージボックスに突っ込んでいるのだが、たまに宝玉やサイバー・ドラゴンに合いそうな物もある。

 そういうのを見つけて、実際に決闘で試してみるというのが「ワクワク☆ストレージ漁り祭り」の概要である。

 大抵開催地は伏黒くん家。

 津美紀ちゃんが昏睡状態になって、伏黒くんはちょっとグレた。しかし、俺と決闘はしてくれるし、最近は俺が長期でいない時に夏油君とやっていたりするそう。

 喧嘩したり非行には走っていないようだから、まぁ良いかと放置している。反抗期もあるだろうし。

 多少グレようが覇王になったり闇人格出てこなければいっか。という気持ちだ。ていうか宝玉獣使いって闇落ちもセットみたいな物だし……。

 

「遊撃兼元凶の呪詛師探し。なかなか大役背負っちゃったよ」

「妥当だと思いますがね」

「文句は無いよ。そっちも多数戦でしょ? 厄介なことになったよねぇ」

「気は引き締めてますが、まぁこっちにもコスト踏み倒し『うずまき』があるんで」

「あれどういう原理なわけ?」

「手持ちの呪霊をランダムに裏側除外して、そのターン召喚できなくなる代わりに撃つんですよ。除外なら戦闘が終われば帰ってきますし、総合的には爆アドです」

 

 ほーん、裏側除外プラス召喚できない縛りってそこそこキツそうだけど、そのかわり超火力だせると考えるとまぁ釣り合うのか。

 呪霊操術自体を俺があんまり理解できてないからなんとも言えないけどさ。

 

「ったく、聖夜に呪霊祭りとか勘弁してほしいよ」

「本当は伏黒くんの家で『《ホーリーナイツ》縛り決闘大会』やる予定だったんですがね」

 

 テーマ《ホーリーナイツ》で固めたオリジナルデッキを使ったお遊び対戦である。必ず《聖夜に煌めく竜》を出さないと勝ってはいけないという特殊ルール付き。

 慣れてないテーマで四苦八苦するのが楽しくて、毎年のクリスマスにやっている。

 しかし、今年は難しそうだ。

 

「さっさと終わらせて一戦くらいはやりたいんだけどな」

「伏黒くんも残念がるでしょうしね」

 

 伏黒くんはここ数年で立派な決闘者になっているので、イベントでなにかと決闘を所望してくる。

 俺も時間に余裕があれば喜んで相手しているし、それによって津美紀ちゃんへの不安を軽くできるなら万々歳だ。

 本当に、あんな事をした犯人は誰なんだか……。

 

「被害が少ないと良いな」

「それを頑張るのが私達ですから」

 

 東京には、早めの雪がはらはらと舞い始めている。

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