ゴーティス使い俺、呪術の次元は禁止カードが多すぎる【改訂版】 作:月日は花客
伏黒恵は決闘者である。
宝玉獣使いとして、幼少期からカードに親しみ、師に鍛えられ過ごしてきた。
黒い制服に、黒いデッキケース。しかしその中には、色鮮やかな戦友たちが詰まっている。
伏黒は、未だ一人の教室から出て、先輩達に会いに行こうとしていた。
五条に連れられていた時は合わなかったため、今日が初対面だ。後輩として、挨拶しておいた方がいいだろうという考えである。
ガラリと二年の教室の扉を開ければ、その音に反応した二年生達と目が合う。
そして、彼らの間に電流が走った。
そう、決闘者同士は惹かれ合う──!
「何使いだ」
「宝玉獣っす」
真希の言葉に、伏黒は速やかに答える。
その言葉に、二年生達はすっとデッキケースを構えた。皆、お揃いの黒のデッキケース。
それは、伏黒が持っているものと全く同じだ。
伏黒もまた、デッキケースを構えれば、いうことは同じ。
「決闘……しますね?」
「ああ!」
*
「お、やってるね〜」
決闘の声が響く教室に、夏油が入ってくる。
今はちょうど、伏黒の《究極宝玉神レインボー・オーバー・ドラゴン》がパンダの《ベアルクティ─セプテン・トリオン》にとどめを刺すところだった。
「ぐわぁー!!」
「対戦ありがとうございました」
「伏黒超つえー! なんだそのカード!」
「いくら! うに!」
伏黒は遊海に数年単位で鍛えられた決闘者である。同じく鍛えられている夏油との対戦により、そのデュエルタクティクスは超絶進化を辿っていた。
「遊海さんにはかなり絞られましたからね。簡単には負けられません」
「五条の秘蔵っ子ってより遊海の作り上げた決闘マシーンって感じになってんな」
「彼は私と同じく遊海とほぼ互角の実力を持っているからね。ビギナーズラックでも覆せない実力差があるぞ」
「あー! 負けたの悔しー! もう一回だ恵」
「次は私の番だろ!」
決闘に強いと年齢関係無く尊敬を集めるもの。伏黒はすっかり、二年生のメンバーに馴染んでいた。
高専教師として、遊海に伏黒を頼まれていた夏油もこれには一安心である。
と、ここで五条も教室に入ってきた。書類仕事をしていたはずだが、放ってきたな。
「あ、遊戯王やってる」
「五条さんも始めたんですよね? やりますか?」
「今日僕デッキ持ってない」
「悟……それでも決闘者かい?」
「呪術師なんですけど」
夏油はなにかと勝負を挑んでくる五条を、遊戯王で黙らせることを覚えてしまったので、最近五条がそのツッコミに回っている。
ブルーアイズを《超融合》で素材にされたときは泣いたし、カオスMAXにゴレンダァ! されたときは叫んだ。
今までの呪力で勝っていた部分が、決闘になると逆転してしまったのである。
何度ハンカチを噛んで負けを惜しんだことか。
「恵、次の任務仙台ね」
「はぁ? 決闘中に気が散ること言わないでください」
「恵、最近辛辣さに拍車がかかってない? 遊海に何吹き込まれたの?」
伏黒は知っていた。
己の調伏成功を我が事のように喜び、玉犬と遊んでくれた《ゴーティスの灯ペイシス》や《揺海魚デッドリーフ》を五条が「キモい」と言ったことを。
何度も苦戦させられた《
そして遊海が高専所属を蹴った元凶のことを。
それにより、伏黒の五条に向ける言葉の鋭さはナイフのように尖り切っていた。
呪術の師として信用はしているが、尊敬はしていないというやつである。
最近呪術師に戻ってきた七海も似たようなことを言っていた気がする。
「すっかり高専が決闘者だらけになってしまった」
「まぁそれで恵は術式かなり拡張したんだろ? いいことじゃん」
「そうだけどさぁ〜遊海ってほんと遊戯王を広めることには本気だよね」
「熱意がすごいもんな」
ここにはいない、あの熱い決闘者を皆考える。
青いパーカーに青い機械、魚のテーマを使うのに、その心は熱く燃えたぎっているのだから、人間外見ではわからないものだ。
「七海たちが戻ってきたから、今度こそ遊戯王に染めてみせるって言ってたね」
「マジで? あの二人も決闘者になんの?」
「マジで見境ねぇな」
そこまで接点がない二人にも布教しに行くつもりの遊海に、五条が驚きつつも呆れる。
あの情熱はどこからくるのだろう、本当に芯から根っこまで決闘者だ。
自分の術式には思い入れが湧くものだが、あれほど外部にアピールしているのも珍しい。
「本来なら、誰にも教えない方が初見殺しになるのにな〜」
「それよりも対戦相手を作る方が大事って話してましたね」
「戦闘狂……」
決闘が関わらなければ穏やかないい青年?なのに。
「あとなんで歳とらないの?」
「それは僕にもわかんないんだよね〜、な〜んか違和感はあるんだけど」
「六眼でもわからないのか……」
聞けば睡眠食事もほぼ必要無いらしい。ほぼ人外の域に達しているが、術式の影響なのだろうか?
本人もわかっていないらしいので、謎は謎のままだ。
「呪詛師の目的も気になるし……ああー! なんでこんな謎が多いんだよ!」
「それが呪術界って感じだからねぇ」
昼下がり、デッキをシャッフルする音が高専教室内に明るく鳴っていた。
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一度削除し、改訂版だというのにここまで伸びてくれたのはひとえに読者の皆さんのお陰です。
本当にありがとうございます。
ラストまで頑張ります!