ゴーティス使い俺、呪術の次元は禁止カードが多すぎる【改訂版】 作:月日は花客
あれから数日。
ビジネスホテルや漫喫に泊まりながら、俺は街を転々としていた。
目的はそう、化け物探しである。
初日、ホテル内でパックを剥いたところ、ゴーティスには一切シナジーの無い通常モンスターばっか入っていて、デッキ強化とかできなかったのである。
俺はゴーティスデッキをさらに強化しようとカドショを巡る直前にワープしたため、高価な汎用魔法罠やエクストラモンスターがあまり居ない。これは貧乏学生だった俺の懐事情も関係している。
確かに遊戯王は好きだが、そうポンポン三千円五千円だののカードは買えんのである。だからこそバイトで手に入ったまとまった金でカドショに行くのを楽しみにしていたというのに!
というわけで、数打ちゃ当たるという思考で化け物を狩ってパックをゲットしよう。という事だ。
この世界に来てから、あまり疲労や空腹感、眠気なんかを感じなくなった。
どういう原理かはわからないが、俺の身体はなにか変異して不思議な事になっているのかもしれない。寝ようと思えば寝れるし、食べれば美味しいと感じるんだけどね。
だから割と体力無視で強行軍ができる。走っても疲れない。でも野宿は勘弁なので途中泊まれる場所がなさそうな時は大人しく交通機関を使っている。
この世界は、どうやら過去の日本らしい。
俺のいた日本とほとんど変わらないように思えるけど、遊戯王が無かったりと若干の差異がある。
年は2007年。当時の俺はギリギリ3歳かな? かなり巻き戻っていることは確かだ。
俺の持ってるスマホはこの時はまだ無いわけなんだから、そりゃ使えないわ。でもニューロンは使える。遊戯王のアプリだから? でもマスターデュエルやリンクスは無理なんだよなぁ。
ニューロンはカード管理とデッキ作成の時のお供にしている。店舗情報や最新パックの情報が見えないのは寂しいが、しょうがない。
化け物は廃墟や人気の無い森によくいて、もう結構な数を消したと思う。大抵のやつは、除外に耐えられないのだ。
普通に攻撃して破壊することもあるけど、ゴーティスのデッキの都合上やはり除外……除外は全てを解決する……!!
基本相手一体を除外か破壊すれば勝ちなので、下手な対人よりよっぽど楽だ。物足りなさもあるけど。
パックもそこそこ集まってきているが、雑魚を蹴散らして出てくるやつはほとんどゴーティスでは使い道のないカードばかり。
やはり一定の強さがある奴を倒さないとレアは出ないのかもしれない。
「今日も今日とて化け物狩り〜っと」
「産土神……!? 報告と違う!」
「ん……? お、なんか強そうな奴いんじゃ〜ん!」
既に誰かが交戦していたようだが、苦戦しているし俺がもらっても問題ないだろう。
という事で乱入だぁ! ペナルティの2000ポイントくらいくれてやるよ!!
「突撃、となりのレアカードぉ!!」
「一般人……!? 早くここから離れて!」
「お気遣いなく、一般通過
「は?」
相手は今までの雑魚とは明らかにオーラが違う。つまり、レアカードが見込める相手ということ!
もう闇鍋パックを無感情に開ける作業は嫌なんだよ。もっとゴーティスサポート寄越せよ。その為に俺は目に入れたくもない化け物を探しては戦ってるんだぞ!
「
「呪術師……? なにを」
「わぁ! なんか綺麗な式神だよ、七海!」
「ちょっと黙れ灰原」
デッドリーフを綺麗とは、見る目があるじゃないか。
俺はここでターンを相手に渡す。化け物は攻撃しようと構えたが……相手ターンに動けるのがゴーティスの強みだぜ!!
「シフを効果で特殊召喚! そしてシフ、デッドリーフでチューニング、シンクロ召喚! 《ゴーティスの大蛇アリオンポス》!」
相手ターンシンクロは無法。
現れたのはシアンの体にぼんやりとマゼンタが光る異形の大蛇。
化け物の巨体に届くほどの体長は、怪獣バトルのようで圧巻だ。まだ展開途中だけども。
「アリオンポスの効果でゼップを除外。ゼップの効果で特殊召喚! そしてさらにシンクロし、《
白闘気白鯨の起こした大津波が化け物を襲う。しかし、ダメージを受けた反応はあったものの化け物が消えることは無かった。効果破壊耐性でもあるのか……?
アリオンポスの効果で墓地のゼップを除外し、《ゴーティスの朧キーフ》を手札に加えた。
白闘気白鯨の攻撃は2800。
次の俺のターンにそれで倒せればいいが……。
「さぁ、どう出る?」
「────!!」
化け物はその巨体を振り回し、白闘気白鯨に攻撃してきた。轟音と共に、白闘気白鯨が破壊される。
初めて攻撃力2800が破壊された!? やはりコイツは他の化け物とは一味違うようだ。ワクワクしてきたぜ!
「墓地のデッドリーフを除外し、白闘気白鯨をチューナー扱いで特殊召喚! さぁ、俺のターンだ、ドロー! キーフを特殊召喚し、シンクロ召喚《
真っ白な、双頭を持つ四脚龍が召喚される。さらに効果でトークン……白いオーラを纏った真っ白なカードが出現した。
攻撃力3300のレベル10モンスター。化け物より体躯は劣るものの、白闘気白鯨を上回る攻撃力。
それがバケモノに襲いかかる!
「オラァ! レアカード落とせ!!」
「────!!」
轟音の叫び声と共に、化け物は破壊された。ガラスをぶち破ったみたいな派手な音と共に、掻き消える。
いた場所に残されたのは、パック……ではなく、ワンボックスだった。
「ボックス!? マジで!? ウッヒョー太っ腹ぁ!!」
「は、産土神が……祓われた……!?」
「すごかったね! 君、何者?」
「ん? ああ、すっかり放置しちゃってたな。大丈夫か?」
金髪の青年と、黒髪の青年。金髪の彼の方は信じられないものを見たかのように目を見開き、黒髪君はキラキラと瞳を輝かせていた。
黒髪君はデッドリーフを綺麗だと言ってくれたので俺の好感度は高い。
それぞれ軽傷は負っていたが、命に別状は無さそうだ。
「俺は遊海宙! 決闘者だ。こっちは相棒のペイシス!」
「僕は灰原雄って言います! わぁ綺麗、ペイシス、よろしくね!」
「あ……自分は七海建人と言います。助けていただき、ありがとうございます」
「え? あー、まぁ救助目的というより、
人命救助とか崇高な精神じゃなくて、完全に物欲で乱入したからな。感謝されても気まずい。
灰原、七海と名乗った二人は、あの化け物……ジュレイ? を倒す為に派遣された人らしい。しかし報告と違う規模に絶体絶命だったところを、俺があっさり倒したもんだから驚いたそう。
俺としてはもう完全にカードに目が眩んでたというかなんというか。
「呪霊を知らない……ということは、もしかして呪術師ではない……?」
「というか決闘者って?」
「ああ! まぁ今回のことは気にすんな、無事で良かった! それじゃあ俺は帰るんでさらば! ボックス開封ヒャッホーイ!!」
「え、ちょ」
目先にあるボックスという宝を開封したすぎて、挨拶もそこそこに《次元の裂け目》を使ってワープする。
決闘じゃない時にカードの効果を発動すると、戦闘用ではない便利な効果を発動できることに最近気付いたのだ。
次元の裂け目は自分が行きたい場所にワープできるから、使い勝手が良くて重宝してる。基本、ホテルとかに行くことが多いが。
いやー、ワンボックスうまうま! 強いやつはやっぱドロップ美味いんだな!!
開封が楽しみだ!