ゴーティス使い俺、呪術の次元は禁止カードが多すぎる【改訂版】   作:月日は花客

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☆30:ゴーティスの交流戦③

 

 ドラガイトの攻撃によって、花御は大幅に体勢を崩した。3000のダメージだ、痛く無いはずがない。

 ブリューナクによって追撃ができないのは痛いが、次で仕留めればいい。

 そう思っていた時だった。

 

「おおっと、流石に花御だけでは君相手はキツかったか」

 

 羂索の声がした。

 上空、あの時の巨鳥に乗ってこちらを見下ろしている。

 思わぬ援軍に、俺はギチリと奥歯を噛む。羂索は間違いなく特級に認定されるだろう呪詛師だ。俺が花御と戦っている間に生徒たちを蹂躙する可能性を予測して、背筋が凍る。

 五条たちは何をしているんだ? まだ何かに阻まれて来れていないのか?

 

「《羂索……!》」

「やぁ花御。喜びなよ、援軍さ。まぁ戦う気は無いけど」

「は……?」

「やぁ遊海クン、元気にしてた? 久しぶりだね」

 

 その言葉に、羂索はちゃんと俺と決闘の関係を隠す意図があることに気づく。

 俺もそのままそれに乗っかり、「何の用だよ」と返す。

 遥か上の宙空からこちらを窺う羂索は威厳たっぷりで、デラックストリプルアイスストロベリーバニラパフェを食べていた奴とは思えない。そのことに若干吹き出しそうになりながら、俺はキリリとシリアスフェイスを保つ。

 

「花御を助けに来たのさ。ここで倒されるのは……うーんまぁ、拙いからね。そして君に伝言を渡しに来た」

「伝言……?」

「とりあえず、花御は返してもらうよ」

 

 伝言、と言う言葉に気を取られていたせいで、飛び上がって鳥に着地した花御を止められなかった。伏黒の式神と違って、決闘中の俺のモンスターは俺の命令でしか動けない。

 その思考の隙を突かれたことに、俺は少し苛立つ。思わず口汚い言葉が出そうになるが、喉元でグッと堪えた。偉いぞ、俺。

 生徒たちに移すわけにはいかないからな、口の悪さを。大人としてある程度見本は示さねば。

 

「《助かりました。あのままではジリ貧だった》」

「なぁに、このくらい当然さ。……と言うことで、遊海」

 

 羂索は俺の元まで、まるで重力を感じさせないような動きで降り立ち、動けない生徒をよそに俺に耳打ちした。

 

「────」

「…………わかった」

 

 それはそれにそっと頷く。

 羂索は満足したように頷くと、また巨鳥に乗って去っていく。帳もまた、羂索たちの姿が消えると同時に晴れた。

 俺は決闘を終了し、モンスターたちをデッキに戻す。モンスター達はどこか気遣わしげにこちらを見たが、何も言わなかった。

 

 シン、と嵐の後の静けさが高専の森の中に満ちる。

 誰もが俺に目線を向けている。当然だろう。あの羂索に気に入られ、伝言を伝えられた。それは彼らに聞こえてはいなかっただろうから、意識を向けられるのも当たり前だ。

 しかしその視線は、俺には慣れないもので……しかし会話を始めようにも、何と言ったら良いのかわからない。コミュ障がここに来て牙を向く。

 

 そんな沈黙を破ったのは、あの白髪箒頭の一声だった。

 

「あれ、もう終わっちゃってた?」

 

 *

 

「ふむ……とりあえず全員が無事で良かった。特級が逃げたのは痛いが、お前達に死者が出なかったことが何よりの吉報だ」

 

 夜蛾学長は、集まった生徒達にそうを声を投げる。

 実際俺が来るまで相手をしてたわけだし、怪我人こそあれ死亡者が出なかったのは重畳だろう。先生方も肝が冷えたはずだ。

 

「そして遊海、現場にいち早く駆けつけ、生徒達の代わりに戦ってくれたことを感謝する」

「いや、当然のことをしたまでなんで……。結局逃げられたのは俺の責任でもあります」

「いや、十分な戦果だ。生徒達を守り切ってくれてありがとう」

 

 夜蛾学長に頭を下げられるのは、何と言うか恐れ多い。なんだろうな、フリーの呪術師よりも圧倒的に立場は上だろうしさ。真面目な人だからついこっちも釣られてしまうというか……。

 五条が来る頃には全てが終わっていたのもあって、生徒達を全員無事に守り切った俺には素直に敬意を向けられている。慣れない。

 というか羂索が生徒達に攻撃しなかったのは俺がいたからなのもあるだろう。裏切りに近い行為をしている手前素直に受け取れない。

 

「すごかったよな、ドラゴンが完全に花御の回復を止めていた。どういうことなんだ?」

「腕二付ケテイル絡繰ハ……」

「あのかわいい式神、もう一回見てみたいな」

 

 京都校メンバーからも興味が向けられているが、どことなく気まずい。東京校メンバーがあまり気に入らない目で彼らをみているからだ。

 遊戯王に興味を持ってくれるのは大変嬉しいが、ちょっと一人で処理するには重すぎるものを今の俺は抱えている。

 

「おい! 遊海さんは東京(うち)のメンバーなんだからな。あんまベタベタすんなよ」

「お゙がが、じら゙ず」

「狗巻先輩は喋らない方がいいんじゃ……」

「遊海さんはフリーなんでしょ? 別に術式教えてもらうくらい良いじゃない!」

「聞き捨てならないわね。術式は呪術師とって秘匿する価値のあるものってわからないの? 交流戦の時も思ってたけど、アンタ気に入らないのよ」

 

 …………仲良くして欲しいものだ。渦中にいるのが俺だから俺が始末を付けろよ。と先生メンバーが目で語っている。

 京都校メンバーを遊戯王沼に嵌めるのは確定として、なぜ東京校メンバーはそんなに京都校を目の敵に……?

 もう試合は終わったはずなんだが。

 

「モテモテだねぇ、遊海」

「それは良いんだが……対立は予想できなかったぞ」

「そりゃ、みんな自分の師匠を取られたくないんでしょ〜」

 

 五条がそう言うが、俺はあまりピンと来なかった。

 遊戯王を教えてはいるけど、ぶっちゃけ体術とかさっぱり教えてないからな。それに遊戯王もほぼ俺が対戦したいからだし。

 なにより羂索との関係での罪悪感が俺をひしひしと刺してくる。

 

「……で、羂索に何を言われたんだい?」

「それは……」

 

 俺は、本命だろうその問いに口を閉ざす。

 言っていいか迷っているのだ。

 羂索の伝言は「三日後23時、あの時のカラオケで」というものだった。完全に決闘のお誘いである。

 つまり、俺と羂索が内通? しているとバレる確率が超あるのである。

 どうしてくれよう、この空気。

 

「言えないことなのかい?」

「んだよ、お前らしくない」

「いや……これは俺だけが知っておくべき事だろうな、と」

 

 俺が選択したのは「言わない」という道だった。だって怖いじゃん、呪詛師として五条とか夏油くんに追われるの。嫌じゃん、俺死にたくないしまだ高専のみんなと遊戯王で遊んでいたいよ。

 

「なんだよ、言えよ」

「遊海さん……」

「ごめん、これはさ、まぁ……俺が始めたことでもある。から……。言えない、ごめん!」

 

 パン! と両手を合わせて頭を下げると、五条たちは不承不承聞かないことにしてくれた。や、やさしい……! 俺なら決闘して吐かせるのに……!

 吐いたら今ここで殺される可能性あるから絶対言えないけどね。

 

「というか、後半戦どうします? 個人戦とかやってる場合じゃないでしょ」

「一部はもうすでに満身創痍! って感じだしね。うーん……ここは今回の功労者である遊海に決めてもらったら?」

「えっ俺!?」

 

 本来は団体戦と個人戦に分けられて試合が行われるそうだが、特級の乱入でみんな消耗しているし、怪我でそれどころじゃない奴もいる。だから代替え案を探そう、と言うことなのだろうが……。

 五条の無茶振りはいつ治るのだろう。

 

「でも、それ俺に言ったら一択になるぜ?」

「うん、何となく予想できる。当てられる自信がある」

「じゃあせーので言うか。せーの」

 

「「遊戯王しようぜ!!!」」

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