ゴーティス使い俺、呪術の次元は禁止カードが多すぎる【改訂版】 作:月日は花客
今、俺は泣いていた。
「うわっ遊海さんなんでそんな号泣」
「うっうっ、虎杖くん、俺はねぇ……夢だったんだよ、こうして高専で決闘大会を開くのが」
もちろん今までも総当たり戦やトーナメント形式で遊んだこともあった。しかし、そのどれもが全試合観るとなるとかなりの時間がかかってしまう。大抵誰かに任務が降りてきてしまい、中途半端に終わってしまう。
故に、ここ暫くは大会形式はやろうともしていなかった。
だが、今こうして京都校すら巻き込んで決闘大会を公式にひらけていることが、俺は嬉しくてたまらない。
「決闘者が増えてる……遊戯王の輪が広がっている……ううっ!」
「な、泣いてる……あの遊海さんが本気で……」
「どんだけやりたかったんだよ」
「何年越しの夢か……お前達にはわかるまい……」
コツコツと、最初に夏油くんに始まり、伏黒くんや現二年生たち、七海君たち……ああ、本当に長かった!
途中で羂索とかいうイレギュラーも誘うことになったが、うん、まぁ、ほら。遊戯王って悪役も遊戯王してくれるやん。決闘で決着つけてくれるやん。そんなふうにならないかな。
もういっそ呪術じゃなく全ての雌雄を決闘で決すれば良いのでは?
あ、でもカード自体が俺の術式だから俺に有利に働きすぎるのか……ええいめんどくさい。
「すべてが決闘で決まる世界になれば良いのに……」
「なんか恐ろしいこと言ってる」
「放置してリーグ表作るよーみんなクジ引いてー」
俺を無視して仕切り始める夏油君も、かなり強くなった。
裏サイバー流にも手を出し、古代遺産を強化し、最近は武神を組み始めた夏油君はこのメンバーで一番多種のデッキを持っている。
メイン火力はやはりサイバーだが、この前古代遺産で伏黒くんに勝っているところを見た。うむ、励んでいるようで何より。
トーナメント表は公平にくじ引きで。ホワイトボードに名前を書いて、ついでに使用デッキも表記しておく。
シードは伏黒くんが取ったようだ。
「はーい、じゃああらためて俺からデュエルトーナメント・オブ・高専交流会について説明しまーす」
「いつの間にか仰々しい名前がついてる」
「まぁほら、本人が夢だったって言ってるから……」
生暖かい視線をスルーして、俺は両学長及び教員に具体的にどんな事をするのか説明する。
京都校の先生方は遊戯王知らないからね。
「遊戯王というカードゲームは、基本的に一対一の個人戦です。今回はトーナメントで最終的に勝ち残った人がいる学校を勝者……とすると東京校が有利すぎるので、ポイント制にします」
「ポイント制?」
「相手に勝利すれば1ポイント、一度に3000以上のダメージを与えて勝利すれば更に1ポイント、相手のエースカードを破壊すれば1ポイント……と、決闘の内容にポイントを設けます。優勝すれば5ポイント、準優勝は3ポイント。トーナメントの最終勝利者ではなく、それぞれのチームでの合計ポイントを競ってもらう」
「なるほど、単なる勝敗ではなくいかにポイントを稼いで勝つかが重要になってくると」
「エースカードはホワイトボードにテーマと一緒に書いてあるから参考にしてほしい。あくまでも優勝を狙いに行くか、負けても良いからより多くのポイントを稼ぎに行くか……それはそれぞれのチームで話し合うなりして決めてくれ。東京校にはさっき言ったハンデもちゃんと付けるからな」
「まぁこんくらい縛ってもらわないと平等にならないわよね」
西宮ちゃんが当然とばかりに鼻を鳴らした。
東京校はみんな俺謹製初心者向けデッキにも上手く適応できたみたいだし、なんとか展開ルートを覚えた程度の京都メンバーにはかなり有利と言える。だからこそのハンデなのだが。
でもメカ丸くんや東堂くんはかなり順応が早く、スラスラと展開ルートを覚え他テーマの要注意カードへの対策を練っていた。
因みに初心者デッキの内容は秘匿しているが、汎用で入れているカード……《サイクロン》や《魔法の筒》なんかは公開している。
「東京校メンバー、タイムアウトは容赦なく負けと見なすからなー。お前らの鍛え上げた判断力ってやつを見せてやれよー」
「おうよ、遊海が見てるとこで下手な決闘なんてできないしな」
「京都校メンバーは不利な対戦になってしまって悪いが、そのデッキは東京メンバーと同等の力を持つデッキだ。最後まで諦めずに頭を捻って戦ってほしい」
「ワカッテイル」
「ま、言っちゃえば知恵比べみたいなものでしょ? 京都校は優秀ってのをよく覚えておくことね」
うむうむ、両者気合いが入っていますね。これはいいトーナメントが期待できそうです。
最速キルで優勝のポイントを掻っ攫うか、コツコツポイント獲得条件を達成していくか……。どちらも一長一短、チームでの方向性も重要になってくる。
作戦会議も程々に、まずは加茂くんとパンダがリングイーン!
……それぞれの戦いを細かく描写したいが、正直言ってこの人数でのトーナメント戦、しかも凶悪カードが控えめのゲームスピードが遅めに設定されている戦いとなると……とんでもなく長い時間と言葉が必要になる。
というわけで、惜しいが割愛!!
すまん、野薔薇ちゃんと真依ちゃんの美女対決とか、加茂くんの突然の花札豆知識披露とか、東堂くんの絶妙に……うん、暴言はいけないよな。なプレイングとかとか、言いたいことは山ほどある……。
伏黒くんは順調に勝ち進んでいたし、虎杖くんは宿儺が手札をバラすのを必死に抑えつつも虚しく敗北。野薔薇ちゃんは真依ちゃんに勝てたことで気が緩んだのか意外にも三輪ちゃんに敗北。
あと、今回のトーナメントの場合同じ学校同士での対戦があるが、その場合ポイント獲得はできない。悪用できちゃうからね。
いや〜パンダくんの《竜輝巧メテオニス=DRA》と狗巻くんの《バグリエル・ド・ヌーベルス》の儀式対決は見ものでしたね。
やっぱり東京メンバーはカードの扱いに慣れている。シャッフルや効果の宣言に淀みがない。
京都校の初々しさも俺にはニッコリなものだったが、三輪ちゃんが強い。剛運っていうかマジでデッキ操作してる? レベルでプレイングの邪魔がない。
東堂くんもこの手のゲームに慣れているのかかなり勝ち進んでいるけど、三輪ちゃんが本当に強いのだ。意外と言ったら失礼かもしれないが。
因みに三輪ちゃんとメカ丸くんがVSになった時はメカ丸くんの自主サレンダーで即終了となった。好きな娘の好きなモンスター、傷つけたくないよね。
さてさて、勝敗はあれどポイントも忘れてはいけない。
傾向としては東京校が優勝を狙いに確殺を決めていくスタイル、京都校がコツコツとポイント条件をクリアしていくスタイルで分かれたようだ。
ポイント条件は俺が手書きでパパッと表を作っているので、それをこまめに確認しながら進める決闘となる。頭をフル回転させる決闘は二校の生徒たちの大きな刺激となったようだ。時折「これは術式に活かせるのでは……?」という呟きが聞こえてくる。
「《ガーディアン・キマイラ》で《ミセス・レディエント》にアタック」
「う……ま、負けました〜」
決勝は伏黒くんと三輪ちゃんのキマイラVSメルフィーという相対となった。
決着は伏黒くんの勝利。途中《森のメルフィーズ》に翻弄されているところもあったが、概ね危なげない勝利だ。
三輪ちゃんも、敗色が濃厚だと判断するやなるべく相手にポイントを取らせない動きに切り替えたのも良かった。初心者にしては見事な動き。才能あるよ。
「総合ポイントは東京校58、京都校47で……東京校の勝利!」
「よっしゃー! 伏黒最強ー!」
「三輪ちゃん、ナイスファイト!」
「えへへ、途中までは優勢だったんですけどね……」
いやぁ伏黒くんやっぱ強いわ!
慣れないデッキにハンデたっぷりなのにすらっと勝って見せたもの。準優勝までなんだかんだ楽勝していた三輪ちゃんにも驚きだがね。
血の流れない盤上の戦いだったからか、それともコミカルなキャラクターによる二次元の戦いだからか、トーナメントが終わった後の空気は案外良好なものだった。
「今回の勝ちは東京校だけど、京都校のメンバーも慣れない中すごく接戦を繰り広げていたと思う! 俺はもう泣きそう、てか泣いてる」
「本当に泣いてる……」
「涙腺はち切れてんのかなってくらい泣いてる……」
これには俺も滂沱の涙。
両者の健闘に祝福あれ。今なら十字だって切れるよ。
「これにて交流戦完! ってね」
「むむむ……つ、次こそ勝ってやるんだから!」
「おー、いつでも受けて立つぜ、真依。ま、私の本気のデッキはまだ早いかもだけどな」
「っなによ! 私の魅惑の魔女だって……!」
ふむ、真依ちゃんはリベンジを所望か……ふふふ、策略通り!!
京都校には負けず嫌いが多い、そして勝つことに貪欲なメンバーも多い。
そんな彼ら彼女らが東京校に負けたら……再戦を望むのはもはや確定事項!!
なんなら勝っても「リベンジを受け付けてあげるけど?」みたいな目線で東京校に立ちはだかりそうなのでマジで確定ルート!!
その心は!
「遊海さん、私にこのデッキ預けてくれない? ぜっったいにあの女に勝ちたいの!」
「俺も親友との戦いに満足したわけじゃない……、宿儺に邪魔された感もあるしな」
「うんうん……その言葉を待っていた!!」
デッキ授与の時間だぁー!!!!!!!