ゴーティス使い俺、呪術の次元は禁止カードが多すぎる【改訂版】 作:月日は花客
俺とお前でシンクロ召喚。遊海です。
デッキ授与……ということでね、はい。
京都校の皆さんにはぜひやっていただきたい、遊戯王の魅力は伝わったようだし、東京メンバーにリベンジもしたいだろう。
「という事で君たちにはデッキ、デッキケース、プロテクター、プレイマットをあげよう! もちろん全員分、プロテクターは追加もあるぞ!!」
「えっ!? そ、そんな……良いんですか!?」
生徒たちよりも先に声を上げたのは庵さんだ。
「遊海さんは高専所属では無いあくまでもフリーの術師です。しかも一級……、そんな方の術式を軽々と生徒に譲渡なんて」
「いやー、大丈夫大丈夫! 俺の元を離れればただのトレーディングカードゲームさ。戦闘には使えないしおもちゃをあげるって感じだから!」
「っていうか東京メンバーは教師含め殆どが遊海さんからデッキもらってるから! リベンジしたいなら受け取ることよ? 真依ちゃ〜ん」
「っ貰えるなら貰ってやろうじゃない! それであんたのフルールを叩きのめしてやるから!」
「残念、私の本気デッキはブラックローズでーす」
「はいそこ喧嘩しない〜」
隙を見せるとすぐ野薔薇ちゃんと真依ちゃんが喧嘩を始める(最悪殴り合いに発展する)ので、諫めつつ俺はそれぞれのデッキケースとプレイマットを並べていく。
プロテクターもプレイマットも、呪術師らしく一律黒だ。俺は青で違うけど、まぁ術師特権ってことで。
「カードを失くさない、壊さない、譲らない。この三つを守ってくれるなら渡してあげよう! あ、庵さんもやります?」
「えっ私!?」
「庵さんからは五条をボコボコにしたい欲求を感じる……貴方ならきっとカオスMAXを踏み倒して五条にダイレクトアタックできるはず」
「訳すと『遊戯王なら五条は雑魚だから簡単にボコボコにできるよ』ってことだね」
「ぐっ……やります、教えてください」
はい新規決闘者一名様入りまーす!!!
歌姫さんが選んだのは《幻奏》デッキだ。歌姫って名前に合うね!組み合わせ次第ではカオスMAX越えの火力も出せるし、何より本人にやる気がありそうだからすぐ五条クラスに追いついてくるだろう。
「東京校にリベンジしたいかー!?」
「おー!」
「五条悟をボコボコにしたいかー!?」
「おー!」
「術式の拡張度を上げたいかー!?」
「おー!」
「なんでさっきから僕のサンドバッグが決定してるの?」
「悟……デッキも持ち歩かない君は決闘者としてまともな扱いはされないんだよ」
「これ訴えたら勝てるやつ??」
京都校もやる気十分! なようなので、スルッとデッキ授与。これから京都校でもストレージ漁り祭り開催しないとな、《次元の裂け目》でワープできてほんとよかった。
「あとマジで戦闘には不向きだからな! 俺と違って攻撃はできないし、盾にはなるかもしれないが殆ど数値ゼロみたいなもんだ。無駄に呪力も食うし……。遊びとして使う事! 以上、解散!」
「押忍!!」
「ふふ……なんかすっかり遊海の空気に乗せられちゃってるね」
「僕としてはボコされる運命が決定して面白くないんだけど!? 傑デッキ調整教えてよー!!」
「悟……普段の行いを顧みて少しは反省する事だね。あと私がデッキ調整を手伝うということは私に手の内を明かすという事だけど?」
「うわーん!!!!!」
五条の泣き声が聞こえるが、無視無視。
今は庵さんに遊戯王のルール教える方が優先でーす。
東京メンバーもガチデッキをチラつかせつつ、サブデッキで京都メンバーを相手しているようだ。交流戦が終わった今、完全に緩いフリー対戦ルームみたいになっている。
この空気、一生吸っていたいくらい心地いい。
「どうせだから五条のデッキの弱点も教えておきますね、あいつずっとカオスMAXに頼りきりなんで」
「あっ、ちょ、遊海! 情報漏洩だ!」
「《虚無の統括者》とか入れておけば楽にロックできますし幻奏は天使族なんで採用も手です。召喚コスト若干重いですが幻奏は展開サポート多いので大丈夫な筈。組み方によっては多少の妨害程度楽に越えられますし火力はカオスアンヘルで云々」
「今私術式詠唱されてます?」
「遊海! スイッチ入ってるから! 専門用語過ぎるから帰ってきてー!」
パンダに引き剥がされてようやく俺は幻奏のデッキを手から落とした。
いやはやこうスイッチ入ると初心者に無茶な説明をしてしまうのは俺の悪いところですな。
これで「えっ遊戯王って難しそう……やめとこうかな……」ってなられたら最悪だ。オタクの早口ポイントに反省する。
いや、遊戯王は実際複雑なんだけどさ。
「なんか……本当に遊海に染められてるよね、
「……狙い通りか、はたまた彼の熱意が自然とそうさせたのか……。わからぬところだが、いい風が吹いているのは間違いないだろう」
……ま、狙い通りかは置いておいて、遊戯王の熱は本物だからね。
「しっかし、今日の交流戦はほんと大変だったよな〜。まさか特級呪霊が現れるなんて」
「羂索と繋がっていたようだし、脅威だよね」
「……で、遊海が羂索から言われたことについてはやっぱり話す気は無いんだよね?」
「それについては本当に申し訳なく……」
堂々と「なんか敵のボスと遊戯王してまーす!」なんて言えないって!!
それに今回の目的は違うかもしれないしな。一応デッキの準備を万全にして臨んでいこう。
その後は、皆で遊戯王を楽しみながら束の間の平和を楽しんだのであった。
*
「薄々気づいていたけれどこの《覇王龍ズァーク》出しづらいことないかい? 出せば強いが出す前に決闘が終わっていそうなんだけど」
「お前俺がシリアスな雰囲気でここまで来たっていうのにお前お前お前」
カラオケの期間限定デラックスブルーベリームースベリーミックス盛りパフェを食べながら、羂索はズァークの召喚条件にケチをつけていた。
カラオケで甘党女子が食べるような物を注文すな。
しかしカードはちゃんと綺麗にプロテクターに入れられ、綺麗にデッキケースに入れられているのだから何も言えない。
「ズァークはまぁラスボスデッキみたいな物だから、出しにくいのは当然っしょ〜。」
「ラスボス?」
「アニメで……あっやべ何でもないです」
「どういうことだ、遊戯王のアニメなんて存在しないだろう」
「俺の頭の中にあります」
羂索がうわ……って引いた顔した。うるせぇなお前も頭の中で厨二的なあれこれ考えたことくらいあるだろいや遊戯王アニメは俺の世界では存在してたしアークファイブ普通に面白かったし評価は賛否あるけど俺は好きだけど!?
「まぁ君の妄想は置いておいて」
「うぜぇ〜カード渡さねぇぞこのやろ〜」
「そうしたら私と君の関係を高専にバラすまでだ」
グッ……絶妙に嫌な人質取りやがって。これで俺が羂索と遊戯王のやり取りをしているのをバラされたら、羂索の立場はほとんど変わらず俺だけ落とし穴にハマる。
この伏せカードを高専メンバーに見せるのは危険すぎる。彼らの信用を失うのは単純に怖い。遊戯王に依存している俺だが情はあるのだ。
「で、覇王眷龍についてなんだけど」
「いうて俺もズァークデッキなんてほぼ使ったことないしな〜、ここは仮回しで確かめていくしか無いんじゃねぇの?」
「いや採用数での確率論の話をしたくて」
時間は23時過ぎ。まだまだ夜は長い。
俺は一抹の罪悪感と共に、羂索と決闘の準備を進めるのであった。