ゴーティス使い俺、呪術の次元は禁止カードが多すぎる【改訂版】   作:月日は花客

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☆41:決闘者の渋谷事変

 

20:14 七海班

 

 伏黒はえもいわれぬ不安を抱えていた。

 東京に降ろされた謎の帳もそうだが、なにより遊海の失踪が脳内に暗い影を落としている。

 あれからもう何日も捜索を続けているが、彼の気配は何処にも見当たらない。

 最後の目撃情報はとあるクレープ屋をでたらしい、というあまり信ぴょう性に欠けるものだった。

 

「遊海さんが心配ですが」

「……はい」

「今は目の前の任務に集中してください。彼は強い、呪術師としての経験は私よりある。きっと生きています」

「……はい」

 

 七海にそう叱咤されるが、かの師の安否はやはり気になるところだった。

 そしてやはり、何か……何か違和感を覚える。

 羂索との謎の伝言、最後の任務、誰も目撃者がいないという最後の状況。

 そしてあれから、呪力を流してもカードのモンスターが立体映像にならなくなったのだ。

 遊海の呪力じゃないと実体化はそもそもしなかったが、立体映像……実態を伴わない立体化なら伏黒たちでもできた。

 それが、今は機能していない。

 

 やはり何か彼に異常があったとしか思えない。そんな中での大規模な帳展開。

 なにか、何かある。

 

「なー、その遊海ってあの一級術師の?」

 

 ふと、今まで蚊帳の外だった猪野が話しかける。

 猪野は七海とは関わりがあったが、遊海とは関わりがなかったな、と伏黒は思い出した。遊海は高専の若いメンバーとの関わりが多く、ある程度成熟した術師とはあまり関わりがなかった。

 それは彼の術式がカードゲームを模したものという年齢層の問題があったのかもしれない。七海や灰原といった例外はあるが。

 

「遊海さんは伏黒くんの師匠みたいなものだったんですよ! 遊戯王のですけど」

「遊戯王?」

「彼の術式兼カードゲームです。灰原、もう少し静かに」

 

 七海班は七海、灰原、猪野、伏黒の四名だ。そのうち三人には腰にデッキケースが収まっているのだから、彼の影響力が知れる。

 

「信じて待ちましょう! きっとまた1BOX抱えて帰ってきますよ」

「そう……ですね。すいません、弱気になってました」

 

 伏黒はそっとデッキケースを撫でる。その中にある相棒たち、エースカードは、ただ静かにその中に収まっていた。

 

 *

 

 21:18 副都心線B5F

 

「獄門疆 開門」

 

 それは不意のことだった。

 現れた箱が歪に開き、こちらを見つめる一つの瞳。罠だと瞬時に悟る。

 逃げなければ、と足を動かそうとした時。

 

「や、五条くん」

「は、」

「これ、なーんだ?」

 

 そう言って見せられたのは……紛れもない、遊戯王の、カード。

 《覇王龍ズァーク》、見たことないカードだが、確かに遊海のカードだ。彼の、ほんの僅かだが呪力を感じる。

 偽物? 偽造? いやあれは本物の──

 

 瞬間、五条の脳内に溢れ出す、遊海との……何十戦とやった、遊戯王の対戦時間。過ごしてきた、あの長い年月。

 

 刹那、彼の脳内では、1分など、とうに──

 

「お前……遊海を何処にやった!!」

「ひどいなぁ、私が彼に何かしたと思ってるのかい?」

「そうじゃないとお前がそのカードを持っているわけがない。アイツを……何処へやった」

「ふふ、これはね……彼が()()()()渡してくれたんだよ」

「……は?」

 

 まぁそれはいいよ。と羂索は笑った。もう目的は達成した。五条悟は封印される。

 獄門疆の中で永遠に。

 

「遊海は私に似ている。それだけ言っておこう。おやすみ五条悟。新しい世界でまた会おう」

 

 閉じられた箱で、五条はそっと黒いカードケースを撫でた。

 今日こそは、それを持ってきていたのだ。なんだか、持って行った方が良かった気がして。

 ケースの中に収まるカオスMAXが、まるで怒るような気配をもたげている。

 

「はは……それはどうかな?」

 

 暗い結界の中、五条は笑っていた。

 

 *

 21:22 冥冥班

 

「虎杖悠仁、五条悟が封印された」

「お前……与か!? 急にどうした!?」

 

 バチ、と突然耳に張り付いた機械から聞こえた声に、虎杖は別の班に居るはずの与幸吉からの連絡に驚愕の声を上げた。

 

「渋谷全域に探知と連絡用の機械を仕掛けておいた。これはその一つだ。いいか、もう一度言うぞ、五条悟が封印された」

「何を根拠にそれを信じればいいんだい?」

「それは俺の縛りの関係で詳しくは言えない。ただ、五条悟が持っていた遊海のカードの気配も一緒に途絶えている。頼む、信じてくれ」

「……わかったよ、それでどうすればいい」

 

「虎杖は明治神宮前に戻り地上から渋谷に向かってくれ。五条封印を術師全体に伝達、五条奪還をこちらの共通目的に据えろ」

「応!」

「冥冥は虎杖が抜ける隙を作ってくれ」

「わかった、あとで口座をおしえてね?」

「…………え?」

 

 五条悟が消えれば呪術界も人間社会もひっくりかえる。すまないが命懸けで頼む。こっちもそのつもりでいく。

 そう言うと、与からの通信は途絶えた。

 とにかく、今は先の指示に従って五条悟を奪還する。

 

「遊海さんは……ほんとに何処にいるんだよ……!」

「彼が失踪していた分の損失額は、きっちり払ってもらわないとね」

 

 冥冥さんの恐ろしい言葉にゾッとしつつ、なんだかんだ冥冥も虎杖もデッキケースを持ってきている。それは彼の存在を確かめるような祈りにも似たものだった。

 

 *

 

 21:27 夏油班

 

「夏油様、どうします?」

「五条悟の封印は拙いですよ」

「そうだね、菜々子、美々子。先ずは悟奪還を最優先。相手も無策では来ないだろう、慎重に行くよ」

 

 夏油班はもうすでに帳の中に侵入している。改造人間を殺しながら、虎杖の叫びを確かに聞いていた。

 

「こう言う時に遊海がいると便利なんだけどね」

「あちこちに自由に飛べる力……」

「無い物ねだりをしてもしょうがない。我々は我々の仕事をするだけだ、行こう」

 

 夏油は取り込んだ呪霊を次々と召喚していく。

 目の前には大量の改造人間が蠢いていた。

 

「フィールドの私の呪霊を任意の数だけ裏側で除外して……【極の番 うずまき】」

 

 その一撃は、まさに必殺の衝撃。

 その轟は術師たちが行動を開始した合図……いや、ゴングのように渋谷全体に鳴り響いた。

 

「遊海……君は何処にいる? 私のサイバードラゴンも寂しがっているよ」

 

 腰にあるデッキケースには、初めて手にしたあのモンスターが、そっと出番を待っている。








視点コロコロ変わって読みづらいの申し訳ない。

羂索に使うカード

  • マインドクラッシュ
  • 超融合
  • 融合解除
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