ゴーティス使い俺、呪術の次元は禁止カードが多すぎる【改訂版】 作:月日は花客
《ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン》は怒っていた。
他ならぬ己の
このマスター、自分を扱うのがとてつもなく下手だ。最初こそは慣れない決闘に仕方がないだろうと寛容な態度でいられた。
しかし、このマスターは一向に決闘が上手くならない。才能が無いのではない、むしろ彼は聡明な方だと思っている。
決闘者としての自覚や向上心が足りないのだと気づいた時には、ライバルであるサイバー・ドラゴンに毎回やられる始末。
カオスMAXは自分が強靭で無敵で最強であることを自負していた。
だから、「このカードが弱いんじゃないか」とマスターが言ったときには、思わず咆哮しコイツを踏み潰してやろうかと思ってしまったほどである。
しかしマスターの態度が、彼自身が最強であること、それにのしかかる重圧からくるものだと言うことは、カオスMAXも重々承知していた。
何回も何回もロクな調整をせずにライバルに挑んでいく様は滑稽だし正直迷惑極まりない、プライドを傷つける行為だったが、負けることにもどこか楽しさを見出しているところは好ましく思っていた。
だから、カオスMAXはこの状況にとてつもなくイラついていた。
この空間にはカオスMAXが入ったデッキとマスターのふたりだけだ。なぜかと言うと、マスターより前、自身を生み出した遊海と言う男のカードを人質にとられ、この男はまんまとちっぽけな箱に封印されてしまったのである。
正直言って油断が過ぎる。
今までもそう言った場面が多々あった。攻撃力の上がるサイバー・ドラゴン相手に無策に突っ込んで行ったり、伏せカードを警戒もせずに攻撃しカウンターを喰らったり、メタを張られてそもそもカオスMAXが出られなかったり。
そう言った状況が何回もあったのに、こいつは決闘から何を学んだのだと怒りすら覚える。
そして、崇高な美しい龍である自分がこんな結界一つに囚われていることも、カオスMAXを更にイラつかせる要素であった。
だから、星空の気配を感じたとき、それはもう気分が高揚した。
パキ、パキ、と結界を崩していく音がする。
突然の結界の崩壊に、マスター自身も驚いているようだった。
結界が崩れるのも無理はない。カオスMAXの「いつかの主人」はライバルのために冥界にまで飛んだのである。多少次元が違おうが、突破できる力を持ったカオスMAXにこの程度の結界など薄紙も同然であった。
「獄門疆が……破られる!?」
バキン。と重金属がへし折れるような音と共に、カオスMAXはその顕現への産声を上げた。
地下に現れた巨大な龍に、あちこちの壁や天井が崩れるが、そんなものカオスMAXには関係が無い。
「ははっなんだよこれ!! 遊海の術式か!? カオスMAXが呪力も無しに実体化してやがる!」
「────!!」
カオスMAXは吠えた。
それは自身の召喚を知らせる鬨の声であり、今からなすことへの意気込みでもあった。
カオスMAXの機嫌は正直最悪だ。なんせさっきまで窮屈な所にいたのに、外に出てもまだ窮屈な地下空間。
はやく広い空間で存分に翼を広げたかった。
「行こうぜカオスMAX! とりあえず外だ……」
「────!」
とりあえずやること。
それは今まで煮湯を飲まされてきたこのマスターに、怒りのバーストをぶつけることであった。
*
五条悟の封印が解かれた。
それは呪霊側にも呪術師側にも予想だにしたい出来事であった。
本当に突然だった。
何があったのか、五条悟が何をしたのかもわからない。
ただ、ここからアドバンテージは呪術師側にひっくり返る。
「おい!? 何故五条が復活している!?」
漏瑚が、そう叫ぶ。
なんとか危機を察知し外へ逃げていた羂索はその帳に広がる満天の星空に歪な笑みを浮かべた。
「遊海宙の術式……いやこれは領域展開だ!! それによってモンスターたちが実体化している!!」
「はぁ!? それならこちらも領域展開で……」
「無駄だ! この領域展開は『相手を閉じ込めること』を放棄している!!」
この領域展開は、宿儺のような閉じない結界に似ているが、そうではない。そもそもあれは宿儺だからできることである。
遊海の場合、「ありとあらゆるものに馴染む」と言うものか。相手の領域を邪魔せず、しかし確実に浸透してくる。
おそらく術式の必中効果も放棄しているだろう。
だが……だからこそ恐ろしい。
この領域展開は術師を殺すまで止められない。しかし本人は五条のようなワープが可能な上タイマンでの戦闘でしか有効打を与えられない。
更に本人にもモンスターの無条件実体化が適用されるとしたら……?
「まずは五条を探せ!! 恐らくは獄門疆を内側から破ったモンスターも一緒にいる!」
「んな探さなくてもここに居るよ」
羂索がそう叫んだ瞬間、強大な呪力を伴った衝撃が漏瑚を襲った。
「がはっ……!」
「カオスMAX〜、機嫌直してくれよ。この呪霊好きにしていいからさ」
その横には、巨大な……青い瞳を爛々と輝かせたドラゴンが、明らかに苛立ちを隠さずに飛んでいた。
その視線が漏瑚を捉える。
「いけ! 混沌のマキシマムバースト!!」
「っがああああああ!?!?!?」
そのドラゴンから放たれたブレスは、漏瑚の呪力による防御を容易く貫通し、その体を切り刻んだ。
「だがこちらにも《覇王龍ズァーク》が……」
領域展開が敵にも反映されるなら、このズァークだって実体化出来るはず。
羂索はそう思い、そのカードに呪力を流す。
「…………??」
しかし、それは何故か実体化しない。立体映像にも、ならない。
まるでただのおもちゃのカードのように、無音で羂索の手に収まっているだけだった。
「何故っ……!!」
「よぉ羂索。派手にやってるみたいだな」
そこに現れたのは、青いパーカー。
この領域を展開している遊海宙その人だった。次元の裂け目から降ってきた彼は、ストンと羂索の目の前に着地する。
「わざわざ目の前に来てくれて感謝するよ、この領域は君のだろう?」
「せいっかーい。で、お前の今の疑問を当ててやろうか? 『どうしてズァークは実体化しないのか』」
「…………」
羂索は内心で毒づきながら表面上の微笑みを浮かべる。
遊海はまるで羂索が手のひらの上だとも言うように、ニヤリと口角を上げていた。
「お前は結局さ、俺を五条悟封印のための道具にしか使っていなかったわけだ。カードも、遊戯王も」
「…………」
「だから、カードはお前に答えない。代弁してやろうか? 『享楽主義なだけで世界を破壊しようともしないお前は、我に相応しく無い』……だってよ、はは!」
「ふざけっ……!!」
「決闘しようぜ、羂索」
さっきまでニタニタと笑っていた遊海から目の光が消える。
声も数段低いものになり、それは確かな怒りと失望を滲ませていた。
構えられたデュエルディスクには、彼が磨きに磨いたデッキがセットされている。
それに、羂索は、ひくりと頬を引き攣らせて、告げた。
「私は、決闘はしない」
アンケート期限は今夜23時まで。
多かったもので羂索の結末を確定させます。
─追記─
確定しました。
融合解除を結末とさせていただきます。
羂索に使うカード
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マインドクラッシュ
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超融合
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融合解除