ゴーティス使い俺、呪術の次元は禁止カードが多すぎる【改訂版】   作:月日は花客

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連載中のONE PIECEと遊戯王クロスオーバーでの主人公、遊鳥旅途くんに登場してもらっています。
こちらも頑張って書いてる最中なので、読んでない方は是非。







リクエスト番外編:遊海と遊鳥

 

「「お互いの近況を話さないと出られない部屋……?」」

 

 俺は、横にいる背の低い男と声を合わせた。

 いつの間にか真っ白な正方形の部屋にいて、なにかの術式かと思ったらもう会えないと思っていた旧友の姿が。

 そしてこの、あからさまに設置された看板の文言……。

 俺と男……遊鳥(ゆとり)はお互いにそっと頷いた。

 これはご都合主義というやつだ。

 

「もしかして、お前もどっか異世界に行ってたりする?」

「する。なんか海賊とか海軍がドンパチやってる世界だよ」

「うわー、俺、なんか呪霊っていう怪異が人を襲ってる世界」

「お互い物騒な世界だね……」

 

 立ち話は辛いと言ったら、おあつらえ向きに二人分のソファとテーブル、ドリンクが生えてきた。なんだこの部屋。

 でも呪力を感じないし、ドリンクもたぶん毒の気配は無いから安全だと思う。

 ありがたくそこに座り、お互い慣れ親しんだ、しかし懐かしい声に耳を傾ける。

 

「俺はそっちで怪異を祓う職について、色々やってるよ」

「僕は旅人してる。いろんな島を巡ってるんだ」

「うわー、めっちゃいいじゃん。俺の世界と変わってほしいくらい」

「でも奴隷とかいるよ」

「やっぱやめとく」

 

 コイツも大概物騒で不便な世界に行っていそうだ。

 

「それで……お互いのデュエルディスクにそろそろ触れとく?」

「これな、俺はいつの間にかくっついてて、ゴーティスとかモンスターを召喚できるようになった。この力で怪異を祓ってる」

「僕も悪魔の実? ってやつを食べてこれが生えてきたんだ。僕もモンスターを召喚できるから、旅に活用させてもらってるよ」

 

 まぁ、だからといって楽というわけでも無いんだけどね……と遊鳥は辟易したように笑う。これは、女性に言い寄られて疲れていた頃の遊鳥の顔!!

 

「色々巻き込まれたり巻き込んだりして頭は切るわ骨は折れるわ。人は殺してないけどあっちは情け無用で殺しにくるから大変だよ……」

「うわー……。それをいうなら俺はもうとっくに人殺しだしなぁ。こっちもなんか上がドロドロしててきな臭いし、何信じればいいのかわかんなくなる時ある」

「お互い割とクソな近況じゃない?」

「くたばってないだけ幸運ってか?」

 

 笑えない冗談だ。

 

「でもさぁ、お互いに遊戯王モンスターがそばにいれくれるってのは、救いだよね」

「ああ……俺もゴーティスがいなかったらとっくに死んでたか狂ってたな」

「僕も僕も」

 

 やはり遊戯王……! 遊戯王は全てを解決する……!!

 

遊透(ゆとう)はどうしてっかな〜」

「っていうかあっちの世界では僕らは死んでるのかな?行方不明なのかな?」

「どっちにしろ失踪扱いかなんかだろ? 遊戯王の新弾楽しみにしてたのに……」

「それは……僕もだよ……」

 

 はぁ……とお互い大きなため息をつく。

 別に今の世界が完全に嫌ってわけじゃ無いのだが、あの平和な日本での日々はたまに思い出すと郷愁にかられる。

 俺の世界は日本だけど日本じゃない。遊鳥も日本じゃないだろう。あんな、血生臭い死体をしょっちゅう見ることになる世界より遊戯王の対戦で盛り上がっていたあの頃がよほど精神衛生的には良い。

 

「でも、そんな世界にまで自分のデッキがついてきてくれたことは素直に嬉しいよ」

「な! そっちって意思疎通できる? マスターって呼ばれた時感動した!」

「できるできる。あれはもう感涙だよね」

 

 リアルモンスターにマスターって呼ばれちゃったー! って暫く浮き足立つよねー、なんて存在しないあるあるを言い合う。

 しばらく昔のことや大学時代のことを話して、一息ついた頃。

 

「じゃ、決闘するか〜」

「最後の決闘って僕が勝ってたっけ?」

「覚えてない。ふふ、30歳を超えた俺の戦術眼を超えられるかな……?」

「あ、僕の方が上だ。僕今41」

「嘘だろ!?」

 

 お前いっつも酒買う時年確されんのにもうそんないってんの!? 俺は普通に買えるけど……。

 ちょっとそれはなんか、かわいそうだな……変に若作りってわけじゃないけど、人外さが強まるね。

 待て、俺も最悪寿命が無くて何百年と生きることになる可能性が……?

 ええい、決闘前に余計な考えは捨てろ!!

 

「プレイマットと計算機も生えてきた」

「本当便利だねこの部屋。ご都合主義過ぎるけど」

「よし、じゃあ決闘!」

「決闘! 久しぶりに泣かせてやるよ」

「かかってこいや小魚」

「あぁ誰が小魚だって!? お前こそ焼き鳥じゃねーか!!」

「勝手に調理すんな三枚おろしにするぞ」

 

 あー、このカードゲーマー特有のクソ煽りすら懐かしい〜。

 あっちではそうそうできない罵倒に頬を緩めていたら、相手もそうなのか半笑いだった。

 

「僕あっちでは穏やかお兄さんで通ってるから。ちっちゃい子もいるし」

「俺も年下いるからこういうのできないんだよねー。あーえんぺん出したら殺すから」

「相手の嫌がることをするのがカードゲームなんだよなぁ」

 

 こいつが穏やかお兄さん? 冗談だろ。確かに普段はそうかもしれないけど、決闘となると俺以上に口悪いぞコイツ。よく今まで猫被ってこれたな。

 

「はい《ふわんだりぃずと謎の地図》〜マスターデュエルの制限解除して運営」

「許されないから」

「ただのレア度Rのフィールド魔法じゃないですか! 何をしたっていうんですか!?」

「黙れ害鳥」

「逆に考えるんだ、規制は名誉と。あれっそう考えるとゴーティスって……」

「うるせぇ〜お前の羽ひきちぎってドリームキャッチャーに加工してやるからな」

「お前こそその鱗イヤリングにして耳に飾ってやるよ」

 

 ちなみにあんまりカドショでこういうやり取りをしていると普通に怒られるのでみんなは注意しような。いつだって相手に敬意を忘れちゃダメだぜ。

 俺たちはこういうこと言っても許される仲だからやってるんだ。

 

「だからえんぺんの効果おかしいだろ!! エラッタされろ!! お互い除外重視で相性わりーし!!」

「僕らのせいで遊透除外嫌いになったの笑うよね」

「クリアウィング使いは大変そうやなぁ……」

 

 でもあいつはあいつでお手軽妨害構えてくるの嫌だから許しません。カードゲーマーは己の握ったテーマしか信じられなくなる呪いにかかっているのだ。

 

 そうして6戦ほどした頃だった。

 

 巨大な轟音が部屋に響き渡ったのだ。

 

「遊海ー、無事ー? グレートティーチャー五条が助けに来てあげたよ」

「遊鳥無事かー? ルフィが心配してたぜ」

 

 どうやらお迎えが来たようだ。

 俺には五条が、あっちには赤い髪の男が壁を破壊してご都合部屋に無理やり入って来やがった。

 

「お別れだな」

「うん……とりあえず」

「「次は勝ち越す」」

 

 6戦3勝3敗。

 硬い握手を交わし、「対戦ありがとうございました。お互い頑張ろう」と声をかけ、俺たちは元の世界に戻っていく。

 

 久しぶりの旧友に次いつ会えるかは、わからない。

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