ゴーティス使い俺、呪術の次元は禁止カードが多すぎる【改訂版】 作:月日は花客
「遊海ってさぁ、呪霊を倒したらパックが出るんだろ?」
それはある昼下がりのことだった。
わくわくストレージ漁り祭りが終わり、机中に散らばったカードを集めていると、ふと真希ちゃんがそう切り出したのである。
「そうだな、呪霊をカードにしてるのかは知らないけど」
「なんかこう……拡張術式的な感じで、カード以外のアイテムも作れんじゃねぇかなって」
ほら、スリーブとかプレイマットとかそういうの。と真希ちゃんはろくろを回すポーズをした。
ほう、俺にとって呪霊=パックだが、その前提を覆し、他の遊戯王グッズを作り出す、か……。どうせなら一級くらい軽く祓ってくるから、受注生産スターダストフィギュア欲しいな。アレかっこいいけど一発で購入エンターキー押すのは躊躇する値段だったから、暴力で解決できるなら暴力で解決したい。
「それこそ、呪具的なものを生成できたら便利じゃねぇ?」
「確かに、その場で武器を調達できるのは大きいですね」
伏黒くんが同意する。
なるほどな、やってみる価値はありそうじゃねぇの。
「じゃあみんなだったらどんな呪具があると便利? 欲しい?」
「そうだなー、やっぱ火力のある刀とか武器が欲しいな!」
「しゃけ!」
「相手の術式に干渉できたりすると強いんじゃね?」
「取り回しの良いものが……」
あっという間に最強呪具議論に発展してしまった。彼らにとっては死活問題だから当然か。
俺も俺なりに何か考えないと。
そうだなー、やっぱ遊戯王的には原作内で登場した不思議アイテムを再現したさあるよな。それこそ、千年パズルとか……。
ただ、あればデカいんだよなー、普通の呪霊程度で作り出せる気がしない。絶対にカード5枚程度じゃ釣り合わない質量と力だ。
「特級だったら良い感じに作れるかもなー」
「いや、そう簡単に特級が出てきてたまるかっての」
「遊海なら大丈夫だろうけど、本来特級ってやべーんだからな??」
「いやいや、でもそのくらいの呪力が無いとカード以外のものなんて作れる気しないって」
1BOXレベルのやつじゃないと値段的にも呪力的にも釣り合わなくねぇ?
いや、そこが先入観になってるのか? 一つの縛りとしてはありだと思うが、俺が使えば化け物レベルの力を持つカードをただの低級呪霊から5枚もドロップさせてる時点で割と破格なのでは? そもそもなんで呪霊を倒すとカードがドロップするんだ? 俺の術式ってなんだ……?
と、思考が宇宙に飛びかけたところで仕事用の電話が鳴った。
「はい遊海です」
「仕事だよ、特級のね」
「タイムリ〜」
誰かが仕掛けたんじゃってくらいタイムリーだ。いやもしかして羂索が俺のことを監視して……!? いやそんな暇じゃないか、アイツも。
取り敢えず特級出たらしいし試すついでに祓ってきますかー。
「わり、任務入った。どうせだしなんか作れないか試してみるわ」
「おー、気をつけろよー」
「お土産期待してっからなー」
「赤シャリ!」
パンダたちに見送られ、俺は《次元の裂け目》で空間を飛ぶ。
「デッキセット。手札ヨシ、さぁ行くぜ、俺のターン!」
*
「できました」
「できちゃったか〜」
そうして俺の手にあるのは、丸い黄金の球体……そう、ミレニアムアイである。ペガサスが使ってたことで千年パズルの次に有名なんじゃ? って感じのアイテムだ。
「これなに? ただのボールに見えるけど」
「義眼みたいに眼窩に当て嵌めて使うんだよ。千年アイテムの一つだ」
「千年アイテム……? よく知らねーけど、なんかすごい呪力を感じる」
特級を祓った時、なんかこう……良い感じになれー! って叫んだらこれができていた。あの時の俺はフライング摂政ポセイドンを撃てていたと思う。
真希ちゃんからは呪力がある謎の球にしか見えないようだ。
「義眼として使うならなかなかリスクがありますね」
「そもそもこれの為に片目犠牲にするのかよ……って感じだしな」
「効果がわかんない以上下手に実験もできないよなー」
そう、誰も効果がわからないのである!!
こうなったら
俺が扉を開けた瞬間、五条の爆笑が響いた。
「あっはははははは!! また遊海がやべーもん持ってきてる!!」
「お、やっぱ効果わかるのか、便利だなその目」
「で、どういう顛末で手に入れたわけ?」
その、もう一つの六眼を。
そう五条が言った時、職員室内が圧倒的なプレッシャーに包まれた。
六眼? このミレニアムアイは六眼扱いなのか?
「相手の術式どころか思考、記憶、精神の残量まで分かる圧倒的な特級呪具。僕の六眼でさえカバーしきれないところをカバーできる伝説の一品。この世に存在しちゃいけないもの。どうやったのさ、遊海?」
「えぇ……なんかなんとかなれーって特級祓ったら出た」
カード以外も呪霊から出せないの? という話になった時だったんだよねー。と言えば、さらに爆笑が大きくなる。
夏油くんは若干呆れているようだった。
「そんなえげつない物をポンポン作り出されると困るんだけど。これ量産できたらとんでもないことになるよ」
「量産は無理だ。あとこれは持ち主を選ぶから、相当な奴じゃないとまず耐えられなくて死ぬと思うぜ」
ペガサスも運良く認められた主だったしな。千年アイテムは得てして人を選ぶのである。そしてこの世に一つしか存在しない。
「ふーん、形式としては宿儺の指に近い? しかし自我は感じない……つまり回数さえ試して適応者を見つければ第二の僕を生み出せる可能性が……? いや、そもそもどうやってあの量の情報に耐えられる脳を……」
五条も考察モードに入ってしまった。
思ったよりやべーの作っちゃった、どうするよコレ。みたいな雰囲気に包まれた職員室で、夏油くんの手を叩く音が響く。
「はい、取り敢えずそれは高専預かりね。絶対に呪霊や呪詛師に渡らないよう厳重に管理するから。あと、遊海はこれからは変な物を作ろうとしないように」
「まだ千年アイテムのレパートリーあるぜ? 人の心の部屋に入ったり魂封じ込めたり」
「変な物を! 作ろうと! しないように!」
念を押されてしまった。
高専生徒だったら確実に反省文書かせてたからね。と言われて、あー今度内緒で千年錠あたり作ってみるかと考えたのは俺である。
反省文レベルならまだ許される許される。てか高専の方で活用してくれて良いからねって渡したら良いんじゃないか?
「遊海、今『反省文レベルならまぁいいか……』って思っただろう」
「いやー不思議な力でしたね。それではまた次回、失礼しましたー!」
没収されたミレニアムアイを置き去りにして、俺は走って逃げた。
うわすごい夏油くんが追ってきてる音がする待って早いこれ追いつかr
リクエストまだまだ募集中です。
全部書けるかはわかりませんが……。
あと今年の冬コミにこれのまとめ本持ってこうかなと考えています。