ゴーティス使い俺、呪術の次元は禁止カードが多すぎる【改訂版】 作:月日は花客
高羽の使うカテゴリが思いつかないっす。助けて。
「日車センセーはさ〜、医学会に向いてそうだよな〜」
「弁護士は医師とは畑が違うが」
「や、そーゆーことじゃなくて」
あ、どうも。何でもいいからゴーティスの新規をくれ、遊海です。
今、俺は最近仲良くなった術師の日車センセーと決闘しつつ雑談している。
日車センセーはなんというか、この世界に遊戯王があったらドンピシャ世代なんじゃない? って感じの年齢で、真面目だしカードゲームとか興味無いかなってダメ元で誘ってみたら遊び始めてくれた良い人だ。
デッキは《エンディミオン》だけど、古いフォーマットの懐かしカード……例えば《双頭の雷龍》とかも好きみたい。やっぱあのあたりの世代に刺さる絵柄してるのかな。
《双頭の雷龍》はかの魔のゲームDM4でも序盤大活躍しますからねぇ、今でも何となく頼りになると感じている方も多いのではないでしょうか。
色違いの《二つの口を持つ闇の支配者》くんがメメントで復活したりと、現代でもたまに思い出すタイミングがあったり。
あ、自分はDM4はやった事ないです。リモコンでひたすら赤外線でのカード入手とか、してたんですか? 実際。
最近だとSwitchで諸々過去の遊戯王ゲームが移植されて遊びやすくなってるらしいですよ。俺はできないけど。
話が逸れた。
日車センセーは弁護士で頭がとっても良い。そしてある種会話をメインにした職業だからか、効果処理の言葉が整然としてわかりやすかったり、効果の説明も上手い。
インストラクターとしてやってけるんじゃないかなってレベル。ルールの飲み込みも過去一番早かったかも。
ルートが多く、カウンターの管理やペンデュラムでの破壊とEXゾーンでの効果、カウンターをコストにした妨害の打ちどころなど、自由度が高いエンディミオン。
それを高度に使いこなしているのは、その明晰な頭脳があるからこそなのかもしれない。
《DD》とかも上手く使ってくれそうと感じる。アドリブに強い感じ? 盤面の理解と解決法の見出し方が速いからこそ、手番のタイムギリギリまで使って最善策に辿り着かせるのが得意なのだ。
後手に回らざるを得ないゴーティスとしてはなかなかに強敵で難敵だ。
俺から白星を取ったのも日車センセーが一番早かったかもなぁ。詳しくは覚えてないけど。
頭が良い人っていうか、理解のための学びと努力をしっかりできる人はやっぱ何やらせても強いんだなぁと。
そのルート構築力や、盤面の流れを爆速で理解する記憶力、そして時には博打にも出てみる度胸とロマンを忘れてないあたり、医学会員としてかなり名医になると思う。
彼なら救えるかもしれない……《ウィンドフレーム》や《漆黒の魔王LV8》を……。
まぁ、医学会をやる以上膨大な遊戯王カードのデータの把握や、裁定の穴を見つける探知眼が必要なので、後者はともかく前者はある程度歴を積まないとキツイだろうけど。
これでも日車センセーはまだ所持デッキも一個のビギナーなんですよね。怖。
「センセー的に、エンディミオンの他に組んでみたいデッキとかあるんです?」
「ああ……このデッキをひたすら改造していくのも楽しいが、別のテーマに手を出すのもまた違う知見が得られそうだな」
「あんまカテゴリに縛られず、グッドスタッフ作ってみるのも楽しそうっすけどねー。回せた時のドーパミンえぐそう」
夏油くんは最近《銀河眼》とかに手を出し始めた。彼はもう……バカみたいな火力を出すことに取り憑かれてしまったんだよ……。
まぁサイバー・ドラゴンで攻撃力一万越え作るのとか楽しいもんなー。脳筋の道が舗装されていってる。
あとは西宮ちゃんや三輪ちゃんは《ウィッチクラフト》や《メルフィー》の新規に喜んでたね。
ウィッチクラフトはともかく、メルフィーはわりとカードプール少なかったから増えてよかったねぇ。明確な着地点が定まった感じ。
新弾では城之内くん! の強化が来てるから、原作好きとしては組みたいところ……なんだけど、呪霊のドロップカードって、新弾は若干出にくいっぽいんだよな。
絵違いとかもレア枠でなかなか手に入らん。
繁忙期にかき集めても絵違いや最新弾カードは数えるくらいしか出ない。
俺も絵違いマスカレーナとリトルナイト欲しいんですけど??
あとデフォルメアーゼウス。デフォルメシリーズかわいくて好き。
「センセーはルールの理解と暗記も早かったし、そもそもジャッジマンがいるから審判やりやすそうで良いっすね〜」
「ジャッジマンはあくまでも裁判用なんだが……?」
「えー、でもなんか行けそうじゃないです? “ジャッジ”って名前だし」
遊戯王のルールは一見複雑なようで複雑だぜ!!
まぁジャッジのお世話になることも多々あるんですわ。迷惑行為とかではなく、ルールの裁定としてね?
やだよジャッジマンに「対戦相手が死亡した場合は、プレイヤーの勝利となります」とか言われんの。
シャッフルとかも最近は色々議論されてますからねぇ、無作為化って難しいねんな……。
「ジャッジマンは、相手の言葉と日車さんの言葉を聞いた上で判決を下すわけで、つまり相手の盤面と日車さんの盤面を見た上で的確な裁定を下すことが可能なんじゃないすか?」
「拡大解釈というよりは無茶振りだろうそれは」
「人間やってみれば意外となんとかやれたりするんすよ。ジャッジマンに聞いてみたいことあるんで、ちょっと出してもらってもいいすか?」
「大学の後輩を呼ぶノリでジャッジマンを呼ぶな」
と言いつつ出してくれる日車さん。優しい。
ジャッジマンは、戦闘ではない空気と、机に広がるカードたちに若干困惑したようなそぶりを見せた気がする。こいつってどれくらい自我があるんだろ。
まぁ術のことはよくわからんので、俺は気になっていた質問――いや、問い合わせをしてみることにした。
俺が挙手すれば、その場に沈黙が降りる。
その中で、ハッキリとそれを言葉にした。
「《ポールポジション》についてですが、装備魔法で強化されたモンスターが、フィールドで一番攻撃力が高い状態になりました。この場合、魔法カードの効果を受けないモンスターが効果を受けている事になり、矛盾が発生しませんか?」
その問いに、ジャッジマンは沈黙する。
いや、これは関係無い質問への無視ではない……考えているのだ、ジャッジマンが!
日車センセーは、「え、対応してるのか、何それ知らん……怖……」と困惑している。
そして数秒の間ののち、ジャッジマンは如何にも営業スマイルといった作り笑いを浮かべて答えた。
「ご質問の状況がデュエル中に発生した際には、対戦相手の方と話し合って進めていただいたり、大会中であれば審判の判断で進めていただけましたら幸いでございます」
そして、その笑顔のままジャッジマンは消えた。
清々しいほどの丸投げスマイルだった。
「…………」
「…………」
「いやぁ、結局話し合いが裁定になっちゃうんすね〜」
「話し合いによる解決が推奨されるカードゲーム、何かがおかしくないか??」
まぁ、決闘中に相手が死んだら生き残りが勝ちになることが公式の世界で、こんな回答はままある事だぜ。
肩の力抜けよ。
「これから裁定に迷ったらジャッジマン呼んでもらおうかな」
「万が一処刑人の剣が発動したらどうするんだ」
「そりゃもう、殺しあって最後に立ってた方が勝ちっすよ」
「正直に言わせてもらうが、このゲームどこか狂ってるんじゃないか?」
日車センセーの真面目な言葉に、俺は黙って腕を組むことしかできなかった。
俺たちは雰囲気で遊戯王をやっている。