ゴーティス使い俺、呪術の次元は禁止カードが多すぎる【改訂版】   作:月日は花客

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☆7:ゴーティスの最強②

 

「でも、俺は五条より夏油君と話す方がいいな」

「……は?」

「五条は確かに強いかもしれないが、対人での交流の仕方がカスだ。それは俺もわかるし、夏油君も知ってるだろう」

 

 初対面の相手に「キモイ」とか言う奴だ。コミュ障とか以前に、人としてどうかしている。叱られても直さず、他人を見ても我がふりを直さない。

 ぶっちゃけ精神年齢低い。クソガキ。

 

「まだ話して数分だが、俺は君の方がちゃんと話が通じるし、真っ当にものを考えてコミュニケーションを取ってくれると感じている」

「……それが?」

「ほら、五条は“最強”じゃない」

「…………はぁ??」

 

 最強というものは、基本的に一分野でしかなり得ない。それが俺の持論。

 破壊耐性や魔法罠の対処、汎用性。

 そう言ったものの中から、ごく細かい、一つだけで最強の座を得られるのだ。それはカードだけじゃなく、人にも言える。

 俺にとっちゃあ、今の夏油君は狭い一分野しか見れてない、極々小さくさらに色眼鏡までつけた顕微鏡を見ているようなものだ。

 

「私が五条専用通訳になれと?」

「そんなことは言ってない。お前が最強で全部一人でできると思ってる存在は、俺にとっちゃあ無欠どころか欠点だらけ。それなら夏油君のが余程優秀に見えるねってこと」

「……それは、遊海さんが私を知らないからで」

「この短期間でそう強く感じた。それは理由にならない?」

 

 そう言えば、夏油君は黙る。

 夏油君はなんだかんだ俺に敬語使ったり、なるべく強い言葉を使わないようにしている。それは礼儀とか、マナーとか、単純な人間性が詰まっている。

 五条はダメだアレ。よく今までハブにされず生きて来れたな。最強でも嫌われれば禁止リストに逝くんだからな。

 

「悟は、最強じゃない……」

「それにさぁ、別に最強が何人いてもいいだろ? 特級なんて俺からしたらそれこそ最強! って感じだし。最強と最強が合わさったらもう止められねぇもんな」

「……私はそんな強くは」

「だから、単純な火力とかの話はしてない! 五条は確かに一撃がやべーダメージしてるけど、夏油君は夏油君で気難しい相手とか、コミュニケーションが必要な相手には有利だろ?」

「……」

「あと、迷ったなら話せ。な? 幸いにもお前の周りには大人がたくさんいる。なるべくたくさんの人に共有して、辛さを少し担いでもらえ」

 

 ジワジワと顔を顰めさせていく夏油君は、俺のボケっとした観察眼から見ても思い詰めてそうで。

 それが爆発しないのは、五条や村の人に見られてるからかもしれない。五条はあいつちゃんと聞こえてねぇよな? 聞いてたら殴るからな。

 村の奴らはもう放置でいい。クソだもの。

 

「私は……非術師を何故救えばいいのかわからない。非術師の尊さも、愚かさも、同時に考えてしまう」

「うんうん、あの村のやつはクソだけど、世の中良い人もいるもんな。それでいいのさ」

「……それを最初に話した人からは、非術師を全員殺すのもアリだと、肯定されて」

「は??」

 

 なんだそいつバカか??

 

「いやいやいや、全然アリじゃないから。非現実的だから」

「でも同じ特級で……」

「いや、可能不可能じゃなくて、未成年の倫理観を見失った発言を手放しで“アリ”なんて言う奴はヤバいから」

「…………たしかに?」

 

 おっと夏油君が正気に戻ったぞヤッター!!

 マジで誰だそいつ。

 たぶん夏油君がポロッと「皆殺しにすれば良い」なんて溢したのを肯定したんだろうけど、本人も絶対肯定されると思ってなかった奴だぞそれ。

 むしろ「なんて事言うんだ!」って叱らないといけなかった奴だぞそれ。肯定されたらアクセル踏み続ける奴なんだ青少年ってのは。

 

「取り敢えず、五条がそろそろ限界になりそうだから落ち着こう。これ終わったらまた話聞いてやる。村は俺が通報しとくから、二人は双子の保護を頼む。あー、あの木の裏、あそこに双子を“飛ばす”からな」

「え? は、はい」

「おい五条もう来て良いぞ!!」

「なげーよ! ボケ遊海!!」

 

 五条が戻ってきたので、大木の裏に隠れてもらう。なにやらグダグダ言っていたが、無視。元はと言えばお前が親友の精神を慮らなかったのが悪い。

 

 さて、村人が困惑してるうちに双子を《次元の裂け目》で木の裏に飛ばしまして、村人には消し飛ばしたと言います。

 そうすればあら簡単! 村人は俺に感謝して、あの双子への呪詛を言い始めたではありませんか。マジで殺そうかな。

 いっけない☆ 我慢我慢〜!

 

 はい。

 

 と言うわけで、双子が急に現れて困惑してる最強二人組ごと次元の裂け目で高専近くの森にご案内〜!!

 

「はい、救出完了!!」

「すっげ……瞬間移動なんて俺でもできねぇのに」

「ここ……どこ……?」

「怖いよ……」

「双子ちゃん、もう大丈夫だよ。あとはこのお兄さんが君たちを守ってくれる」

「私!? あ、ええと……私は傑。よろしくね」

 

 うむ、若きパパとして頑張ってくれ。俺には無理だ。家も、たぶん戸籍も無いから。

 身分証明書無いと酒買えなくて無理ぽ〜。

 

「一度夜蛾セン通した方が良いでしょ。俺呼んでくる」

「ああ、頼む」

 

 俺は部外者なので、ここで待機! なんか高専に許可なく入るとダメらしい。まぁ学校の敷地だしね。

 許可して貰えば普通に行けるから、夏油君に頼んで許可出してもらお〜っと。

 

 *

 

「あの双子ちゃんは?」

「治療を受けてる。五条は報告中」

「りょ〜かい。じゃあ話の続きをしようか」

 

 自販機なんかが置いてある、校内の休憩所のような場所。そこに俺と夏油君は座っていた。

 俺はファンタメロン、夏油君はお茶を持っている。久しぶりの缶で飲むファンタだ。ちょっとテンション上がる。

 

「私は……ここしばらく、立て続けに非術師の澱んだ部分を見た。非術師からしか呪いは生まれない。この任務を受け、祓うマラソンゲームを終わらせるには……」

「非術師を全員殺すのも手、だと?」

「はい」

 

 うーん、やっぱり馬鹿の考えでは?

 非術師なんて特定できないほどいるし、外国から来た人は? ハーフは? そもそもそこまでの数消し飛ばしたら日本の国としての体裁が保てなくなって余計ゴタつくぞ。

 パッと考えるだけで面倒ごとがたっぷりだ。それでも呪霊を倒し続けることは苦痛ではあるんだろう、普通の人にとっては。

 いやでも、待てよ?

 

「夏油君の術式って何?」

「呪霊操術です。取り込んだ呪霊を操るっていう」

「へぇ……もしかして、なんかこう……取り込む時にデメリットあったりしない? 体力減るとか」

 

 効果を使うたびに何ダメージみたいな、コストがあるタイプの術式だったりしないだろうか。そしたら確かに苦痛だ。俺も、LP減ると普通に痛いからあんまり使わないようにしている。単純に、痛いから嫌。

 そういうのが夏油君にもあるのでは? という考えだが……どうやら当たったようだ。夏油君の表情が歪んだ。

 

「呪霊を……」

「うん」

「取り込む時に、球にして食べるんですが……」

「うんうん」

「クソ不味くて……吐瀉物を処理した雑巾を食べるような……」

「エグっ!? そりゃ辛いわ。よく今まで我慢できてたね??」

 

 キツすぎ〜無理〜なんでそんなデメリットあんねん。戦うために苦痛を我慢しないと言えないのは高校生には重すぎるよぉ!!

 

「でも解決できず……」

「えーと、待ってね、確かこの前のパックに……」

 

 ガッサガッサとカードケースを漁りまくり、見つけました《レインボー・ライフ》!

 本来は手札一枚を捨ててダメージを回復に変える効果だけど、この「ダメージ」を「呪霊玉の不味さ」と定義したらなんとかならないか!?

 

「夏油君、取り敢えずこのカードあげる!」

「なんですか? レインボー・ライフ……?」

「それ呪力通したら発動するから、今度呪霊玉取り込む時に発動させてみて! マシになるかも」

「え、どう言う仕組みで……?? いや、まぁ、受け取っておきます。ありがとう」

「多分いけると思う。無理だったらまた違うカード渡すわ、まだ手段にできそうなのあるから」

 

 っと、五条が俺を呼んでいる。報告で俺も何か書かなきゃいけないらしい。書類仕事めんどくさっ!!

 とにかく、夏油君にカードを渡せたし話も聞けたからひとまず安心かな……? レインボー・ライフが効果を発揮してくれれば良いんだが。

 夏油君を置いて、俺は教室へ向かう。

 

 窓からの光を逆光で受けながら、夏油君はそのカードをじっと見つめていた。

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