ゴーティス使い俺、呪術の次元は禁止カードが多すぎる【改訂版】 作:月日は花客
「最近《サイバー・ドラゴン》に《銀河戦士》を入れ始めて」
「ああ〜噛み合ってるし良いんじゃない」
「ただデッキ枚数が中途半端になるので、もう60枚デッキでやろうかと」
「事故が怖いなぁ」
俺と夏油君はいつも通り、雑談と共にデッキをいじっていた。
俺は高専からも一級相当のフリー呪術師と判断されているため、気軽に入っても問題無い。近くに寄った時は高確率で遊びに来ている。
いや、任務受けてないわけじゃ無いよ?? めっちゃ祓ってるよ?? ただやっぱ東京の任務って多くてね、《次元の裂け目》でポンポン飛べちゃうから移動時間ほぼゼロだしさ。
冥冥さんに何割か取られているけど、報酬もちゃんと振り込まれている。戸籍が無いのにどうやって口座をつくったか? まぁ代理を立てましたよ。なんで戸籍すら消えてんだクソが。
そんなわけで、俺は毎日ホテル暮らしでもなんら問題は無い財力を手に入れたのだ!
家を買う予定は無い。なんか数年やってるうちに放浪が体に染み付いちゃったのだ。慣れって恐ろしい。
「もうちょっと来る時連絡とかしてくれません? 私だって毎日デッキを持ち歩いてるわけでは無いのだけれど」
「身分証無いから携帯作れないんだよね。そう言っておいて毎回ちゃんとデッキ持ってる夏油君にLOVEあげちゃう」
「いりません」
なんだかんだデッキホルダー着けて持ち歩いてる夏油君、ツンデレかな?
俺も利便性のために腰に下げるようになったなぁ。なんせいちいちリュックから出すのめんどくさい。デュエルディスクにずっと入れてるわけにもいかないし。
「どう? 最近はストレス溜まってない?」
「呪術界は相変わらずクソですけど、悟や硝子もいるし溜まってはないですね」
「良かった良かった。非術師全員殺すとか考えるなよ〜」
「あの時はかなり尖ってましたから……九十九さんの後の言葉も頭から飛んでましたし」
一、二年前の夏油君と比べるとかなり丸くなったといえよう。ピリピリした空気は無くなり、余裕さを感じられる。
この界隈の不満はあるようだが、思い詰めてはいないようだ。なりよりなにより。
「遊海さんはまだ悟が嫌いですか」
「未だに俺のモンスターをキモいと言ったこと謝られてないんで。絶対許さん」
「あ、いたいた遊海ー!」
「ゲッ」
噂をすれば……。
五条は何故か俺を探して、校舎内をウロウロしていたようだ。俺はお前に用は無いんだが。
「傑、ちょっと遊海借りるね」
「どーぞ」
「ああっ夏油君テメェ売りやがったな俺をオ!!」
あわててデッキをホルダーにしまえば、五条に二の腕を掴まれて瞬間移動する。
パッと変わった視界は、普通の民家だった。
畳敷きの古アパートのようで、素朴なイグサの匂いがする。
そこには、黒くツンツンした髪が特徴的な子どもが座っていた。
「恵、ただいま〜。連れてきたよ、コイツが遊海一級術師」
「急に飛びやがってデッキ落としてたらどうするつもりだったんだボケナス」
「……無理やり連れてきたんですね」
呆れた様子の少年。彼も五条に振り回されてる気配を感じるぞ〜?
わかるよ少年、この禁止カードさっさと禁止になれって思うよな。大会で使えなくなってしまえ。
「じゃあ、遊海、あとよろしく」
「はぁ!? せめて説明くらいしろ不審者ヘッド──チッ消えやがったか」
マジで一回規制されてくれ。
特級として誰よりも働いてるしかなり忙しいのはわかるが、普段の態度どうにかならんのかアイツ。
さて……子どもに汚ねえ言葉を聞かせてしまった。しっかりしてるし、この子が理由を知ってるから五条も俺を放置したんだろう。
「先ずは自己紹介だ。俺は遊海宙、一応一級術師で……高専所属ではないが、フリーでやらせてもらってるって感じかな」
「伏黒恵です。……五条さんの、弟子……みたいな事をしてます」
「伏黒くんはなんで俺が連れてこられたのか知らない?」
「なんか、『恵は式神使いでしょ? まぁ暇そうな式神使いが一級にいるから、修行してもらいなよ』だそうです」
「あの野郎」
何が暇そうだって? こっちは合間を縫って夏油君と
「まぁいいか、文句は今度言おう。確かに俺は式神……式神か? あれって……使いだが、伏黒くんもそうなんだな。見せてもらっても?」
「はい。……玉犬」
伏黒くんが手を犬の影絵にすると、両隣に白と黒の大型犬が出現した。これが伏黒くんの術式か。
かっこいいじゃないか! モフモフだし。
「へぇ! 良い術式じゃん」
「鍛え……られそうですか? 修行は……」
「うーん、取り敢えず伏黒くん」
カードゲームって、した事あるか?
*
「いいか? ここがモンスターゾーンで、こっちが魔法罠ゾーンだ。それで……」
「……あの、なんで突然カードゲームを……?」
プレイマットを敷いて遊戯王のルール説明をしていると、伏黒くんがそう聞いてきた。
しばらくは黙って聞いていたけれど、我慢できなくなって控えめに挙手している。
「ん? あー、俺の術式は言っちゃえばカードゲームだからな。あとで伏黒くんにもデッキを渡すから」
「えっ!? しゅ、修行は……?」
「他人の術式から学ぶのもまた修行よ! それに式神を扱う上での参考になると思うぜ」
まぁほら、
本音は伏黒くんに少し息抜きして欲しかっただけだが。
まだ小学生とかだし、そんな中修行! 修行! 鍛錬! とか息が詰まる。初対面で緊張しているようだし、ちょっと気が抜けるくらいがよく頭に入ってくるだろう。
「よーし、それじゃあ待望のデッキ選びだ! 遊戯王には色々なテーマがあるから、絵柄や効果で好きに選ぶと良い」
「思ったより多い……ええ……」
ズラリと並べられたデッキたち。あれから更に増え続け、チェーンバーンやマテリアクトル、ウィジャ盤なんかも揃えました。
徹夜で整理しまくったデッキたちは全部取り出すと壮観! 我ながら積み重ねてきたものだぜ。
「ええっと……」
「そうだな……伏黒くんの術式は動物の式神なんだろ? ならここら辺は現実の動物と近い感じのがいるぞ」
「あ、これ……」
そうして、伏黒くんが手に取ったのは《宝玉獣》だった。
動物に近くて、かわいいしかっこいい。動きは複雑だけど決まると超快感! なテーマだ。小学生がやるには少し難しい気もするが、初めて選んだテーマというのは一生の思い出。そこは水を差さないでやろう。
ちなみに俺は出てきたカードでシナジーも何もない紙束デッキを組んだのが初めてだ。まともなテーマを触ったのはゴーティスが初めてかも。あの頃はパック剥くだけで幸せだったし、対戦相手いなかったし……。
「じゃあ、やってみるか!」
「は、はい!」
うむ、大きな声でよろしい!!
作者が初めて組んだデッキは天気。