よくネットにある二次小説にありがちなことが起きたといえば、理解していただけるだろうか?
今まで生きてきた世界がガラッと変わる。
創造の世界の産物や人物・魔法が当たり前のように存在する世間に変わった。そんな体験をまさかしようとは・・・・。
何、あれ?
無燈和真は唐突に表れた“何か”を見る。
半身が霧散したガリガリの男性が胡坐をかいていた。
和真が先ほどまで待っていた横断歩道ではなく無機質な紺色の壁、そして天井に部屋にはすでに役目を終えたのか埃をかぶった機材がある。
「“マスター・ドライバー”の同位体も・・・・住まう世界が違えばここまで違うか」
半身の消えた男性が言う。
「すまない、先に君を巻き込むことを詫びておこうと思う。」
何を言っているのかと和真は言おうとしたが声が出ない。
「私と同じ過ちを起こそうとしている者がいる。多くの世界が交じり合い、場合によっては消滅するだろう、彼らと協力して止めてほしい。我が娘たちが力となろう」
半身の消えた男性の言葉は、和真にとって意味の分からない言葉だったが、とりあえず男性が抜かした“娘たち”とはすぐに出会うことになるとはこの時思ってもみなかった。
無燈和真はけたたましい目覚ましの音で目を覚ます。
前日の夜に起きた不思議事件、拾ってきた十字のクリスタルがあしらわれたネックレスが光ったと思うと美少女が現れて共闘した事だ。
昨晩の話をしよう。
仕事の反動からか寝過ごしてしまい、普段なら縁のない新宿に来てしまった。
世間では「異常気象が~」とか「超常現象が~」とニュースで連日報道されているらしいが和真にとってどうでもいい、その日の仕事を捌ききって今日のうちに帰る。
ただそれだけを考えていたがその日はトラブルが続き、仕事は円滑に進まず時刻は零時を回った。
「とにかく寝たい・・・」
迷い込んだ繁華街は、客引きと酔っ払い・・・とにかく人でごった返していた。
「ん?」
そんな中で、行きかう人々の間に翡翠のクリスタルが浮いていた。
十字に彫り込まれたネックレスの装飾のようなクリスタル、自然と手を伸ばすと装飾にしては意外と大きく、小さ目のガラケーと同じくらい大きい。
(なんでクリスタル浮いている?)
そんな事を考えていると手の中のクリスタルが光を放った。
一瞬で視界を奪うほど強い光、それが収まると繁華街に溢れていた人は消えて目の前には一人の少女が、自分の手にはクリスタルを柄にあしらった剣を持っていた。
「私はホムラ、貴方が私のドライバーですか?」
どういうわけだか少女はゲームのコスプレをしていてキャラ名を名乗った。少なくとも和真にはそう受け取れた。
記憶にあるゲームに似た記述・設定があることを覚えている。
「おや、同調したのか・・・・」
後方、三十メーターくらい離れたところで中年のおっさんが立っていた。
くたびれたサラリーマンという表現が的確に的を射ていると思う彼はカバンから拳銃のような何かを取り出した。
それを己の首筋に押し付けて引き金を引く。
プシッ!と空気の受ける音が聞こえ、オッサンは拳銃にも似た何かを放り捨てる。
「何と言ったかな?“ドライバー”がいたときはドライバーを殺せば・・・あ!」
和真は弾かれた様にホムラの手を引いて走り出した。
あ、ヤバい!
それがあのサラリーマンを見たときに感じた第一印象だ。
ホムラを見て、最初に抱くのはコスプレ女子という感想だろう。
少なくとも和真が今まで生きて培った常識がそう結論付けた。しかし、和真は彼女が本物のブレイド・・・自分と同調、契約みたいなものをした相方であるということを認めている。
何分、いきなり手を引かれて走っていることに困惑しているホムラの気持ちが伝わってくるからだ。
「逃げ切る算段があるんですか!?」
「ない!」
「それじゃ私を置いていけば!」
「それはできない!多分、意味がない!!」
ギャーギャーと口論しながら人気のない繁華街を駆け抜ける二人。どれくらい走ったかわからないが、危険リーマンは追ってきていない。
「逃げても無駄だよ?」
ふっと耳元でささやかれた気がする。
いつの間にか追いつかれ、変化した右腕を振り上げている。
右腕は鞭のようにしなり、それでいて伸びている。
「危ない!」
振り下ろされた狂鞭を眺めていることしか出なかった和真をホムラが突き飛ばしながらバリアを張った。
とても現実とは思えない。