ミラ子の娘。   作:宮川 宗介

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第二十五話

トレセン学園には1周2800Mにおよぶ、障害専用のトレーニングコースが配備されている。

そのコースを、わたしは順調に駆け抜けていた。

 

「ふっ……!」

 

最後の障害を飛び越えて、春の緑に色づき始めた芝の上を全力で疾走する。

そしてそのまま、スピードを落とすことなくゴール板へと飛び込んだ。

 

3月中旬に行われる、阪神スプリングジャンプに向けての調整は好調だった。

 

「ゴール! タイムは……うむ、いい感じだな。なによりここ最近、飛越がずいぶん良くなった。なにか自主トレをしているのか?」

 

タイムを測っていたトレーナー兼父親は、目ざとくわたしのジャンプの上達にも気づいてくれたようだ。

 

「いや~、やっぱわかっちゃうか。自主トレってほどのものでもないけど、実は最近、いろんな名ジャンパーの動画を見て研究してるんだよね」

 

お褒めに与ったわたしは思わずニヤニヤしながら、その秘密をトレーナーに伝えた。

結果がすべてのこの世界ではあるが、工夫や努力が認められるとやっぱり嬉しいものだ。

 

「なるほど、どんなジャンルでも一流の動作というのは勉強になるものだからな。特に参考にしたウマ娘はいたのか?」

「え~っと。いたことは、いたかな……」

 

トレーナーの質問に、わたしは少し言い淀んでしまう。

 

とても参考になった過去の名ジャンパーはいたんだけど、彼女の名前を出すのは気恥ずかしいというか、ちょっと口に出しにくいというか……。

 

「なんだ、歯に物が詰まったような言い方をして。グランアンネリーゼとかリーチヨハンナとか、参考にした目指すべき先輩の名前を出すのがちょっと恥ずかしいのか?」

「いやぁ。そのお二人からなにか飛越技術を盗めたのなら、はっきりそう言うよ」

「違うのか。じゃあアクサナデイジーの良いジャンプはとても参考になったけど、同期ゆえのライバル心があるからそれを認めたくない、とかなのか? エルサも意外に負けず嫌いなところがあるんだな」

「そういうわけでも……もちろんその三人のジャンプもしっかり研究したよ。でも自分のジャンプの参考にするのが難しそうだったんだよね」

 

苦笑しながら、わたしは実らなかった研究成果をトレーナーに報告する。

 

グランアンネリーゼさんのジャンプは完成されすぎていてとても真似できる気がしなかったし、リーチヨハンナさんやアクサナデイジーさんとわたしではかなり体型が違うので、二人のフォームは残念ながら参考にできなかったんだ。

 

「ふむ。確かにお前の走りだと、あの3人を参考にするのは難しいかもしれないな。じゃあ一体誰なんだ? 言いたくないなら無理に問い詰める気はないが、知っておくと俺も指導の参考にできると思ってな」

 

うん。

まぁ、そうだよね。

 

別に隠すつもりもないんだけど……。

 

わたしはちょっと上気した頬を自覚しながら、彼女の名前を口にした。

 

「……イロゴトシさんだよ。世代的には、オジュウチョウサンさんの少しあとのウマ娘になるのかな」

「ん、そうだな。イロゴトシといえば、中山グランドジャンプを連覇している名ジャンパーじゃないか。何を恥ずかしがることがあったんだ?」

 

わたしから答えを聞き出したトレーナーは、変なやつだな、という顔をしてこちらを見る。

 

「いや、もちろん彼女は偉大な名ジャンパーだよ? でも……イロゴトシの名前の意味って、その……」

「うむ。歌舞伎で恋愛や色恋沙汰、特に濡れ場を演じるのが得意な役者のことをそう言うな」

「そんなことを公の場で娘に堂々と語るな!」

 

周りに人がいなかったとはいえ、あまりのデリカシーのなさに実の父親を思わず怒鳴りつけてしまった。

 

怒りにまかせてゴルシ流ドロップキックを繰り出さなかったわたしは、本当に偉いと思う。

 

そういうわたしも、AIに教えてもらうまで彼女の名前の意味を知らなかったんだけどね。

ちなみにイロゴトシさんの現役時のビジュアルは名前とは裏腹に、黒髪ロングの清楚な感じのウマ娘だったようだ。

 

「何を怒っているのかよくわからんが……なるほど、イロゴトシを参考にした理由はわかる。彼女はお前と体型が似ているし、飛越の質も通じるところがある。ふむ。良いお手本を見つけたかもしれんな」

 

トレーナーはポケットからスマホを取り出すと、アプリでメモを取り始めた。

 

あのスマホはトレーナーが普段使っているノートパソコンとタブレットに連動しているから、そちらの方にも今日のデータとイロゴトシさんのことを送信しているのだろう。

 

「これでよし、と。それにしても、もう体の方はずいぶん仕上がってきたな。次走は初めてのGⅡ挑戦でもあることだし、このコースで一本併走トレーニングをしておきたいところなんだが……」

 

トレーナーはそう言って腕を組むと、難しそうな表情を浮かべた。

 

「ここでの併走相手となると、なかなか見つからないよね」

 

そんなトレーナーを見て、わたしも苦笑するよりない。

 

障害レースはもともと走っているウマ娘が少ない上、オープンクラスに所属しているウマ娘ともなると、さらに数が限定されてしまう。

 

それだけでもお互いのスケジュールをすり合わせるのが大変なんだけど、障害競走のオープンウマ娘は数が少ないがゆえに、レースで何度も対戦する機会が増えることになる。

 

そんな状況なものだから、ジャンパー同士でダートや坂路での併走トレーニングを行うことはあっても、お互いの手の内を明かさないために、障害コースでの併走は避ける傾向にあるのだ。

 

それに障害レーストレーニングコースでの併走は、身体への負担が大きいということもある。

だからトレーナーもわたしが障害レースに慣れるまでは、ここのコースでの併走を取り入れてこなかったんだと思う。

 

それでも、併走トレーニングが必要な場合は……。

 

「仕方ない。たづなさんに言ってST-2(サティ)を借りてくるか」

「そうだね。それが一番いいかもね」

 

ST-2(サティ)はお父さんがお母さんを担当していた時期にシュガーライツ博士によって開発された、完全自立タイプのウマ娘型アンドロイドのことだ(初期のサティはコンソールで操作するタイプだったらしい)。

 

今のわたしのように、ちょうどいい併走相手が見つからない時は、学園に申請すればいつでも貸し出してくれる。

 

メカウマ娘とも呼ばれるサティは、わたしたちウマ娘よりはるかに速く、長い距離を走ることができる。

 

だから彼女を併走に使う時は、うまく速度やスタミナを調整してやらないといけない。

 

サティをフルスペックで走らせたら、1万メートルを時速200キロで走り抜ける(しかも絶対にバテない!)ただの化け物ウマ娘と化してしまうからだ。

 

そんなもの、あのアーモンドアイさんでも勝てないだろう。

 

そうだ。

アーモンドアイさんで思い出した。

 

ちょっと前から、わたしたちウマ娘を育成する【ウマ娘ラブリィダービー】ってアプリを遊び始めたんだよね。

 

そのアプリはその名の通り、ウマ娘を育成してストーリーを楽しんだり、育てたウマ娘をオンライン上で対戦させられるってゲームである。

 

で、そこで登場するアーモンドアイさんの強いこと強いこと。

昨日クロノジェネシスさんの育成してて彼女とぶち当たったんだけど、まったく勝てる気がしなかった。

 

あの強さは全然ラブリィじゃねぇ。

鬼神も避けよ、ラムも避けよの強さである。

 

閑話休題。

話をサティに戻そう。

 

まぁサティはロボットとAIの組み合わせなんだから、生身のウマ娘が勝てないのは当たり前なんだけど。

 

「トレーナー。サティって開発当初はめちゃくちゃ脚が遅かったってホント?」

「ああ。なんというか、最初期のサティはまるでブリキのロボット玩具みたいな動きで……っていっても若い人にはブリキがまずわからんか。そうだな。昔のSFアニメを見ていると、たまに『ウイーン、ウイーン』って感じでやたら遅く動くロボットが登場したりするだろ?」

 

ああ。

なんか全体的に四角くて目がライトになっていて、手がスパナみたいな形をしている、現実ではまずお見かけしないロボットのことかな?

 

「うん、なんとなく想像はできる」

「一番最初のテスト走行のサティは本当にあんな動きで、初めて見た時は正直『これをウマ娘並のスピードで走れるようにするのは無理があるだろ』って思ったもんだ。でも、ライツ博士には『絶対にサティをウマ娘と同じスピードで走らせたい』という強い想いがあった」

「へぇ。サティの開発の裏側には、そんな秘話があったんだ」

 

今じゃウマ娘がサティより脚が速い時代があったってこと自体がちょっと信じられないけど、どんな素晴らしいテクノロジーでも、そういう小さな一歩から始まるものなんだろう。

 

「ひょっとして、トレーナーとお母さんも博士に協力したとか?」

「ああ。俺達だけじゃなくて、博士の気持ちに色んな人が共鳴して力を貸した。(はばか)りながら、俺とミラ子もその一員だったというわけだ。最後の試走の時、サティとミラ子が同着を分け合った時は思わず涙腺が緩んだもんだ」

 

それは……みんなの思いが結実したその現場に立ち会っていたなら、わたしもきっと、こみ上げるものを感じずにはいられなかっただろう。

 

テクノロジーの進化と聞くと、ついてこれない人、理解できない人を置き去りにして、どんどん勝手に進んでいくような、冷徹なイメージがつきまとう。

 

でもテクノロジーの発端はいつも『もっと、世の中を便利にしたい』『もっと、世の中を面白くしたい』『もっと、困っている人たちの助けになりたい』という、純粋な人の思いであることは間違いない。

 

今でこそ当たり前のようにわたしたちの生活に溶け込んでいる人型のロボットであるが、その開発過程には様々な技術的困難が伴ったと聞いたことがある。

 

その困難に挑戦し、ウマ娘と同じ速度をメカに与えるという難題を成し遂げたシュガーライツ博士には、一体どれほどの強い思いがあったのだろうか。

 

「おっと。こんな余計な話ばかりしてたら、練習時間がなくなってしまうな。俺はサティを借りてくるから、お前はしっかり走れるようウォーミングアップをしておくように」

 

その時の話をもう少し聞いてみたかったけど、トレーナーの言うことも正論だ。

また話を聞く機会もあるだろうと思ったわたしは、トレーナーの指示に「わかったよ」とだけ返事した。

 

*

 

『トレセン生徒番号139087。登録名・エルサミラクル。主な近親ウマ娘にヒシミラクルが該当。ヒシミラクルはワタシとの併走実績あり。シニア級1年目。所属クラスタ・障害レースオープンクラス。OK?』

 

練習場に連れてこられた(運んでこられた?)サティを起動させると、瞳に明るい光が宿ってわたしの顔を認識した。

 

サティに搭載されているAIは学園のデータベースとつながっていて、初めてサティと併走する場合でも顔認証させるだけで、詳しいわたしのデータや能力までが読み込まれる。

 

「OK。トレーニング条件はトレセン学園の障害トレーニングコース。距離は2800M。モードは全力併走モードで脚質は逃げに設定。エルサミラクルの走力と飛越技能をインストールしてくれ」

 

全力併走モードは、わたしが本気で走ればギリギリ(クビ差以内で)サティを打ち負かせる強さ、という設定らしい。

他にも強めモード、ウマなりモード、微差勝ち併走モード、微差負け併走モードなどがあるそうだ。

 

トレーナーの言葉に反応して、サティは瞳から青白い光を発しながら顔を動かし、わたしの頭の天辺から脚の先までその光を当てた。

おそらく、わたしの全身をスキャンしているのだろう。

 

『OK。……エルサミラクルの走力及び障害飛越能力を把握。他にご指示は?』

「以上だ。スターターピストルの射撃音と同時にスタートしてくれ」

 

トレーナーが指示を出すと、サティの全身が一瞬青く輝いた。

 

『指示内容を復唱。トレーニング条件を確認。コース・トレセン学園障害トレーニングコース。距離2800M。全力併走モード。ワタシの脚質は逃げに設定。スタートはスターターピストルの射撃音と同時。OK?』

「OK。……よし、エルサ。サティと同時にスタートラインについてくれ」

「了解」

 

わたしは頷いてから、白線で書かれているスタートラインに脚を置き、スタンディングスタートの構えを取る。

そんなわたしに追随するように、サティも並んで同じポーズを取った。

 

「よーい……」

 

パンッ! とトレーナーが手の中のスターターピストルを鳴らした。

 

今日のサティは逃げに設定されているだけあって、いいスタートを切ってわたしをぐんぐん引き離していく。

 

わたしは彼女から離れすぎないように、少し出脚を使って5バ身ほど後ろにつけた。

 

最初の生け垣障害を、サティは完璧なフォームでジャンプする。

その飛越の美しさは、グランアンネリーゼさんのものと遜色なかった。

 

すげぇ。

 

あのメカウマ娘、飛越もトップウマ娘クラスのものでこなせるのか。

トレーナーが『サティはやろうと思えば、空も飛べるぞ。ウマ娘的に意味がないのでやらないが』と冗談言っていたが、まるっきりの嘘でもないのかもしれない。

 

おっと、余計なことを考えて最初の障害物でつまずいては目も当てられない。

 

わたしは走りに意識を戻して、イロゴトシさんからインスピレーションをいただいたジャンプで最初の生け垣をクリアした。

 

イロゴトシさんのジャンプを参考にした、といっても、大きくフォームを変えたわけじゃない。

少し上半身の角度を深くして、腕のふりをわずかに小さくしただけだ。

 

でも、それだけの工夫で跳躍力がアップして、着地の時の衝撃が激減したのには感動した。

 

新フォームを試すために体育の時間、ハードルを倉庫から引っ張り出してきてうまくいったと感じた時は、なんとも言えない喜びが体中を包みこんだものだ。

 

人間、自分の創意工夫が実った! と実感できたときほど、嬉しい瞬間はなかなか味わえないだろう。

 

そんな調子でわたしとサティは土塁、竹柵、水濠、バンケットと設置してある障害を次々とクリアしてゆく。

 

どの障害にも脚を引っ掛けることなく、綺麗に飛越することができたと思う。

 

第4コーナー手前に設置してあるラストの生け垣障害をジャンプして、あとは最後の直線だけになった。

 

先をゆくサティとの差は、およそ3バ身ほど。

 

「ふっ……!」

 

ここでわたしは残していたスタミナを末脚に変え、脚をトップスピードに乗せた。

 

春疾風(はるはやて)が、わたしの頬に一段と強く吹きつける。

 

ここまでマッチレースを引っ張ってきたサティとの差が、みるみるうちに縮まってゆく。

 

よし。

この調子なら、あのメカ娘を差せる。

 

わたしはここまで、この併走(トレーニング)をミスなくうまくやれたはずなのだ。

 

残り、100M!

 

「っ……!?」

 

……なのに、残り半バ身ほどが、なかなか縮まらない。

 

焦りからか、背中と脇から吹き出る冷や汗が、止まらない。

 

「どうしたエルサ! 最後の気力を振り絞れ!!」

 

トレーナーから、そんな檄が飛んでくる。

 

くそっ、勝手なこと言いやがって……!

言われなくたって、こっちはもう全力前進で走ってるよ!!

 

その怒りを鞭に変えて必死に両脚を引っ叩いてみたものの、どうやってもその半バ身が埋まらない。

 

結局その体勢のまま、一体と一人はゴール板を駆け抜ける。

 

負けた悔しさを噛み殺しながら、ギャロップからキャンターへとスピードを緩め、ゴールから数メートル先でとりあえず脚を止めた。

 

「はぁっ……はぁ……はぁっ……ふぅっ……」

 

立ち止まったわたしはゆっくりとした腹式呼吸を意識し、2800Mの距離に7つも設置されている障害物を飛んだせいで激しく乱れた息を整える。

 

『指示されたトレーニングを終了。結果はワタシの1/2バ身差勝ち。エルサミラクルの敗因データをワタシとコネクトしているトレーナーのデバイスへ送信しますか?』

 

こっちは全力で走って息も絶え絶えだというのに、サティは息一つ乱さず、喜びの感情をあらわにすることもなく、淡々と結果をトレーナーに報告している。

 

ちぇっ……。

 

相手がAIのメカウマ娘と分かっていても、その余裕の態度(これも人間のひん曲がった視点である)に腹が立つのだから、人間の感情とはなんとも身勝手で不思議なものだ。

 

「ああ、頼む」

 

トレーナーの返事を聞くと、サティの瞳が黄色に光った。

 

『スマートフォン、ノートPC、タブレットへのデータ送信完了。ご確認を』

「すまん。助かる」

 

相手はAIなのだから別に礼を言う必要はないと思うんだけど、思わずそう返してしまうのはトレーナーの人柄だろう。

 

トレーナーは尻ポケットからスマホを取り出すと、画面をスワイプしてサティから送られてきたわたしのデータを確認し始めた。

 

「ふむ……サティのデータによると、スタートダッシュに少し問題があったようだな。今の飛越フォームにも、まだまだ改善の余地がある。それに平地を走っている時のスピード調整も、甘い部分がありそうだ」

「ええ……マジすか」

 

サティの評価を聞いて、わたしは思わずがっくりと肩を落としてしまった。

 

自分の中では、間違いなく今の全力を出し切ったつもりだったのに……。

 

でも全力併走モードの彼女に負けてしまった、ということは100%のわたしの実力を出すことができなかった、という確かな証拠だ。

 

「意外と自分の全部の力を出し切るって、難しいことなんだね……」

「そうだな。人間、97%や98%の力は存外に出せるもんだ。だが、100%となるとこれがなかなか難しい。だが、どんな状況でもレースで100%の実力を出せるスキルとメンタルを身につけておかないと、これから先GⅡ、GⅠという極限の微差を競う厳しい舞台で戦っていくことはできないんだ」

「うん……」

 

トレーナーの厳しい言葉に、わたしはうなだれたように頷くよりなかった。

 

これからわたしが挑もうとしているレースには、グランアンネリーゼさんのような超天才だけでなく、彼女を追いかける一番の旗手とされている同期のアクサナデイジーさんに、大レースで常に安定した成績を残すリーチヨハンナさんなど、数多の強豪が待ち受けている。

 

そんな中に飛び込もうとしているのに、自分の実力を100%出しきれないというのでは、確かに勝負にならないだろう。

 

いみじくもトレーナーの言ったように、強者たちはみな自分の能力の限界までトレーニングを積み、その先の微差を競っているのだから。

 

「いつでも自分の力を全部引き出せるようになるには、結局地道にトレーニングを積むしかないんだろうね」

「そうなるな。もちろんお前には、トレーニングを相当頑張ってもらわねばならん。だがお前が実力を100%引き出せるようになるための方法を考えることに、俺も骨惜しみはしないつもりだ」

 

いつものように平坦な口調でそう言ってくれるトレーナーの顔は、なんだか少し頼もしく見えた。

 

それがちょっと悔しかったので、

 

「まぁ、トレーナーはあのヒシミラクルという名ステイヤーを育て上げた名伯楽だし? 距離の長い障害レースを走るウマ娘を育てるのも朝飯前だとわたしは信じてるよ」

 

と軽口を飛ばすと、トレーナーは「気軽に言ってくれるなぁ」と呆れたようなため息をついて肩をすくめた。

 

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