物語も熱い内に投稿するんだよね
「貴様・・・・・・ヴィランか?ヴィランだな?」
「ヴィラン?あんなやつらと一緒にしないで貰おうか。俺は粛清者だ。世に蔓延る贋物の英雄を排除する粛清者だ!」
「この状況を見てヴィランだと思わない者がどこにいる?」
カマソッソの目の前に広がっている状況は余りに酷い。今ヴィランの男の足元には刀で左腕を貫かれたままのヒーローだろう格好をした男が一人。意識はまだあり、カマソッソを縋るように見ているが、何故か自ら反撃しようとしていない。まるで
そして、更にもう一つ。ヴィランとヒーローの更に奥には、
ヴィランは包帯のようなマスクをしていて、赤のマフラーとバンダナをして───
「・・・・・・!!」
───『「ヒーロー殺し」、今日未明、静岡県の某市出没していたことが・・・・・・・・・・・・また、ヴィランは包帯のようなマスクをしており、日本刀のような凶器を所持していることが目撃情報から・・・・・・・・・・・・名はステイン、ステインです・・・・・・・・・・・・』───
「ヒーロー殺しステイン!そうか、昨日現れた某市とはここの事か!」
「俺を知っているのか?ならば話は早い。そうだ、俺はステイン。この腐りきった社会を正す者だ!」
「演説を行うのならばまずはそのヒーローを解放して貰おうか!!」
依然男にはヴィランの刀が腕に刺さっているままだ、無理に抜いては出血が酷くなる!であるのならば、どかすのはヴィランそのもの!!まずは一度突っ込み───
「避けるに決まっているだろう」
「ならば更に良し!!」
「・・・・・・引っ掛けか!」
最優先はまだ息があるヒーロー、次に奥で壁によりかかっているヒーロー。だが息のあるヒーローはステインの足元にいるため、何をするにしろまずステインどかさなければならない。そこでカマソッソが取った行動がこうだ、まずカマソッソがステインに右腕を振りかぶりながら突撃し、あたかも攻撃を当てようとしていると
一瞬の内にカマソッソは二人のヒーローを守れる状況を作り出したのだ。
「今の動き、俺の動きを見切ってから考えたものではないな・・・・・・
「貴様が逃げるかそのまま応戦するかの違いだ。逃げなければそのまま攻撃、だが、刺さった刀を抜き、そこから迎撃に応じるなどオレのスピードを前にして出来るわけないだろう。実際出来ていなかったしな」
「・・・・・・そうか」
「終わりだヴィラン、オレはこの二人を連れ離れるが、すぐに通報でやってきたヒーローや警察がお前を追うだろう。それでは──」
「待て」
「・・・・・・何だ」
「お前、見たことがあるぞ・・・・・・最近デビューしたやつだろう。俺はお前のことも探していたんだ・・・・・・答えてくれ、お前は何のために英雄を志す?」
「ヴィランに言うほどのものは持ち合わせていないが・・・・・・せめて言うなら、『全てを守る』ためだ・・・・・・もう、オレの目の前では、誰も失わせはしない・・・・・・!」
「ハァ・・・!そうか」
なんだその顔は、なんでこの状況で笑う事が出来る?状況は圧倒的にオレに優位。・・・・・・気味が悪いな、疾く退散するとしよゾク
「・・・・・・な、体が」
「お前は良い、生かす価値がある。だがそいつらは駄目だ。俺にはそいつを殺す義務がある」
何だ、何をされた?体が地面にくっついて離れない・・・・・・!気を付けてはいた、助けたヒーローが動けていなかったのは、ヴィランの個性によるものだろうと!だが、オレはヤツに触れていないし、触れられてもいないはずだ・・・・・・!何が理由でこうなった!?
「『何で?』と思っているな?確かにお前は早い、強いヒーローだ。立派な志も持っている、”本物”になれる素質を持つ人材だ。ハァ・・・・・・だが、一つ抜けがあったな。お前、あの時俺がただ回避しただけだと思ったのか?」
「何を、オレは何もされて・・・・・・!」
後ろから近づいてくるステインをただ見ることしか出来ないカマソッソ。だが、カマソッソは同時に『何で』動けなくなったのかの原因も見つけだそうとしていた。そして観た、よく観察しなければ気づかない程小さい傷が翼に出来ていて、そこからは少量の血が出ていたことを。ステインの刀にべったりとついていた血を。
「血を舐めるのが、条件か・・・・・・!!」
「ハァ、正解だ。まぁそれが分かったからといって何になる?」
クソ・・・・・・ヤツの言う通り、オレはあとどれくらいでこの体の硬直が解けるのかが分からん!血を舐めた量・・・・・・はないな、だとしたらオレの血を少なすぎるだろう。なら、後は、一度舐めたら永遠?それはないな、強すぎる。・・・・・・何かないのか、血関連で時間と関係ありそうなものは・・・・・・!
「さて、もうコイツは
「ひいッ・・・・・・!何でだよ、何で俺達なんか狙うんだよ!」
「貴様達が”贋物”のヒーローだからだ。私利私欲に塗れた俗物が・・・・・・貴様達は”本物”の
「じゃあ今からその本物ってやつになればいいんだろ!??」
「論外」
「あッ!?」
「ハァ・・・・・・人間の本質はそう簡単に変わらない、おまえは私欲を満たすために動く贋物にしかなれない・・・・・・!!」
チィ!オレはまた失うのか!?あの時とは違う、目の前で助けられるのに!?ふざけるなふざけるなふざけるな!この世界に来て決めたろう、オレは何であれ、せめて目の前のモノだけは全て守ると!!それがこのザマか────ん?
「全ては、正しき社会のために───」
「あ・・・・・・」
「させてなるものかあああああ!!!!」
ザシュ
「・・・・・・これは参ったな、
「何であんた動け・・・・・・俺まだ動けないのに」
「貴様、『血液型』は何だ」
「え・・・・・・Bだけど」
「・・・・・・オレはOだ。成る程、時間の差異は血液型だったか」
ステイン、本名
「いや、それよりアンタ背中・・・・・・」
「あぁ、今のは流石に効いたな・・・・・・今からオレが限界まで時間を稼ぐ、名前を知らなくてすまないが貴様は動けるようになり次第逃げて通報をしてくれ。・・・・・・もう一人はもう、助からん」
「ッ・・・・・・!!」
カマソッソは今殺されかけていた男を庇うために、背中からステインの刀をモロに喰らってしまった。どんなにカマソッソが強大でも、人間である以上、出血多量による身体機能低下と最悪の死亡は逃れられない。だが、今のカマソッソより、目の前の男の方が負傷が酷い。よってカマソッソは自分よりも目の前の男を逃がすために戦うことを選択した。
「時間を稼ぐ・・・・・・?それは無理な話だ”本物”よ。なぜなら───レロォ」
ゾク
「ぁ───」
「おい、おい!しっかりしろよアンタ!!」
「背中をほぼ真っ二つを描くように斬ったんだ。血がつくのも無理はないだろう──さて」
「嫌だ、嘘だろ。なぁ!やめてくれって!!」
「クソ・・・・・・!!」
「なぁ、”贋物”の方のヒーロー。お前は恥ずかしくないのか?初対面でそんなにも自分を庇ってくれるものがいながら、まだお前は自分のことしか考えられずにいる。どれだけ性根が腐っている?」
「オレが自分で助けに入った!それだけのことだろう!?オレの自業自得だ!」
「”本物”よ、お前はそうだ、十分に自分の務めを果たした。お前のようなモノが溢れた社会ならば良かったのだがな、所詮この世は贋物だらけの地獄だ。お前は強い、だからこそ、お前が動けないこの二分で全てを終わらせよう──」
「クッソこっちくんなって!まだ死にたくねぇ!!まだやりたいことがあんだよ!なのに、なのに──」
「やはり、やはりだ!人の本性は真の死線にて垣間見える!”贋物”よ!やはりお前は自分のことしか考えられない社会のゴミだ!!粛清されるべき側のモノだ!!」
「全ては、正しき社会のために!!!」
「クソぉおおお!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・オレは、実力が足りなかったのか?コイツを打倒する・もしくは逃走するためには。いや、正面からの力量勝負ではオレが余裕で勝っていただろう。アイツはオレのスピードに完全には反応しきれていなかった、完全には。では、オレがアイツの個性にかかり、ここまで追い詰められたのにはどんな理由があるというのだ?
アイツはオレとあの男を”本物”と”贋物”として区別していた。気にしている余裕がなかったが、今となっては戦闘中でもそのことについて考えなければならなかったのかもな。即ち知識不足だ。オレはあのヴィランについて、ただ漠然とした『ヒーロー殺し』という二つ名と『ステイン』という名前しか知らなかった。・・・・・・アイツには信念があったのだ、世の中を『正しき社会』にするという信念───待て、『正しき社会』とは何だ?
アイツは時々口にしていた、『私利私欲に塗れた俗物』『自分のことしか考えられない──』これがアイツにとっての”贋物”なのだろう。そしてオレは”本物”と判定された。・・・・・・然るに、オレが取った行動から考えて、アイツが目指す『正しき社会』というのは・・・・・・まさか
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「クソおおおお!!!」
「ステイン!貴様が言う『正しい社会』とは何だ!?」
「・・・・・・む」
「まさか、
「ほとんど正解だ、流石は”本物”だな。そうだ、オレが主張し続けた、『英雄回帰』の考えは
「貴様、その社会が実現したとて!先に待つモノの想像がつかないのか!?」
「・・・・・・?何を言っている?」
確かに、オレも経験していなかったらこんなことを言うこともなかったのだろう。
「自己犠牲が出来る人間だけが存在する社会!そんなものになってしまったら!待つのは『破滅』のみだ!!」
「・・・・・・!?何を!!」
嘗てのカーンがそうだったのだ、オレのために、国のために、
「オレがそうだった!!もし、あの場で『怖いから逃げ出したい』と誰か一人言っても、オレは逃げることを許したろうさ!人生とはその人物だけのモノなのだから!!だが、アイツらはオレに全てを託すことが
きっと、逃げ出したとしてもORTが逃げるのを許さなかった。全国民が一つになってくれたからこそ、乗り越えられたものだった。だが、結局『破滅してしまった』という事実に何ら変わりはない。・・・・・・今考えると、オレとあの国民達だからカーンは成り立っていただけで、本質的には何かが「普通」とは違っていたのだろうな。
「お前はヒーロー全員に『見返りを求めるな、自己犠牲でヒーローとして動け』と言いたいのだろう!それは無理だ!何故ならヒトはヒトである限り完璧にはなれない!!その思想に完璧に合っていた者達がいたとしても!必ずどこかに抜けがある!人類というのはお互いの欠点を補い合いながら歴史を紡いで来たのだろう!?一つにしてしまってどうする!だからこそ、底に待っているのは破滅の未来しかないと、オレは言っているのだ!」
「・・・・・・何を、オレの考えに」
「『英雄回帰』、それ自体は悪い考えではない、寧ろ称賛されるべき考えだ!だが、それを押し付けるのは違うだろう!!『見返りを求めない』?それはもうお前自身が無理だと言っているだろう!何故ならば、お前はこの『ヒーロー殺し』の活動の果てに『正しい社会』を実現しようとしている!これをお前にとっての欲望、『見返り』と呼ばすに何と呼ぶのだ!」
「俺自体が、矛盾の存在・・・・・・?」
・・・・・・今のオレの出来る限りを伝えたつもりだ。いくつかミクトランでの実体験が伴ってしまっているが、深く追求されないのを願うしかないな。・・・・・・と、いつの間にか二分経ったのか。
「動けるようになった!」
「・・・・・・えない」
「あり得ないあり得ないあり得ないあり得ない!!俺自体が間違っている?嘘だ、ならば俺は何のために・・・・・・・・・・・・いや!諦めるものか!!ハァ・・・・・・”本物”よ!俺を否定するならば、俺もお前を否定しよう!!」
レロォ
「あ、また・・・・・・」
「クソ・・・・・・」
・・・・・・届かなかったか。だが、それならそれまでだ。オレは、確かに自分で思っていたことをステインにぶつけられたハズだ。それでも、届かなかったと言うのならば、それはきっと、本根から分かり会えないだけなのだろう。この地球の人口は何十億といるらしいじゃないか、ならば、考えの合わないヤツがいても不思議ではない。
ポタ、ポタ、ザァアアアアアアアアアア
「・・・・・・雨」
そう言えば、五時頃から夕立がどうとか言っていたな。・・・・・・そう言えば、雪芽は大丈夫だろうか。今頃、怒っているのかもな・・・・・・
「雨、来た!!『
「グ・・・・・・!?今日は邪魔者が多い・・・・・・!!!」
「・・・・・・あ」
絶望的な状況を打開するための人物がここに一人。
「・・・・・・本ッ当に心配したんだから!!・・・・・・はぁ、想太さん!待ってて!今からコイツボッコボコにするから!!」
「・・・・・・雪芽」
夕焼けの空に雨模様、ここに一人、純白の雪を纏った少女が現れた。
一話で終わらそうと思ったんですけど、前後半になっちまいますねコレ。