「オレとオールマイトで作った渾身のハンバーグ定食だ!好みでチーズソースもあるぞ!疾く食らうが良い!!ご飯と味噌汁のおかわりもあるぞ!」
「「「「「「「いただきまーす!!!」」」」」」」
「やべめっちゃ美味い!」
「肉が口の中で溶ける・・・・・・噛む毎に甘い!」
「我迸る肉に絡むチーズ欲す・・・・・・・・・・・・あ、美味しいこれぇ」
「生徒達スゴイ喜んでる・・・・・・頑張ったかいがあったね、私ほとんどカマソッソ君の指示に従ってただけだったけど」
「オールマイトが手伝ってくれなかったら今も作業中だったろうさ・・・・・・しかし・・・・・・うむ、自分が作ったモノでこうも喜ばれると・・・・・・嬉しいな」
ある者は我を忘れるかのように、ある者は一口を噛みしめるかのように、味わい方こそ違えど、彼等は皆喜びの表情を浮かべている。
それだけでカマソッソとオールマイトは報われたようなものだ。・・・・・・ただ、一人を除き
「・・・・・・・・・・・・」
「む、どうした。オマエは食べぬのか?」
プッシーキャッツや教師陣も食べる中で、テーブルに座りながら料理に手を付けようとしないこの中で最年少であろう人物が一人。
ぶすっとした表情を浮かべ、ただただ無言の子供・・・・・・洸汰であった。
「・・・・・・・・・・・・」
名前も知らぬが・・・・・・この子供、まだ五歳にも満たない年齢だろう。なのに、何故・・・・・・そんなにも絶望している?何故そんなにも疲れ切っているのだ?
「・・・・・・食べれぬか、少年。ならばオレが直に食べさせるのもやぶさかではないが」
「・・・・・・いらない」
「おい・・・・・・」
洸汰はまだ普通なら保育園などに預けられていてもおかしくない歳。
だが、普通を失ってしまった少年は、見限るように、責めるようにカマソッソを少し見ると、とぼとぼ歩いて部屋へと戻っていってしまった。
「・・・・・・んー」
「何かあったか・・・・・・ミリオ」
「いやー」
「・・・・・・zzz」
ちらり、とカマソッソは洸汰がいる部屋を覗く。洸汰はあれから何も食べていないのだろうが、部屋に戻った後、風呂にも入らず眠りについてしまったのだ。時間も夜の十時なので子供が起きているのには辛い時間だろう。
「なぁ」
「カマソッソさん、何かあった?」
「・・・・・・あの子は誰かの子供なのか?」
カマソッソはプロが集まり合宿について話し合う部屋でプッシーキャッツに質問を投げかける。オールマイトも、イレイザーも、マイクも子供は持っていない。
あるとすればプッシーキャッツの中の誰かの子供だという可能性だけ。
「あの子・・・・・・洸汰は私の従甥なの」
そう言ったのはプッシーキャッツの伝達役マンダレイ。彼女は最初、カマソッソ達に、「子供を一人連れて行く」とは説明していたが、細かい事は説明していなかったのだ。
「洸汰は四ヶ月前に両親をヴィランに殺されて・・・・・・身寄りが無かったあの子を私が引き取ったの」
「なるほど?にしては何故だかオレを睨んでいたのだが」
「それは・・・・・・多分、洸汰の両親が『ウォーターホース』って言うプロヒーローだったんだけど、ヒーローなのに自分を置いてったからってヒーローそのものを敵視してるからかな・・・・・・」
「ふぅむ・・・・・・」
正直、だからと言ってオレに出来ることはほとんどない。洸汰の両親が殺されたのももう過去のこと。これから洸汰がヒーローとどう向き合うのかも洸汰自身の問題。
ヒーローとして活動していた親がヴィランに殺された、だからヒーローに関わらない。なんて選択を洸汰が取ったとしても、それは洸汰自身の選択の結果なのだ。下手に口出しをすることではない──
「・・・・・・・・・・・・」
──だが、そうして放置してしまってはあまりにも悲しい。洸汰が自分で物事を考えられるくらいの歳だったのならオレはこうして考えなかっただろう。洸汰はまだ自分で何をすればいいかも分からない子供だ、誰かが側で支えてやらねばならない。
「私も頑張って話そうとは思ってるんだけど・・・・・・中々上手く行かなくて」
・・・・・・そう、洸汰にはもう、支えようとしている人はいる。支えるのはカマソッソの役目ではない。だが、せめてオレに出来ることがあるとしたのなら、それは精々がヒーローについて教えたり、美味い料理を作ったりしてやるくらいのことだ。
「時間が落ち着かせるのを待っている状態・・・・・・ということか」
「まぁ、そんなところ」
完全なる忘却をすれば苦しまずにするだろうが、それは小さき子供がすることでも、出来ることでもない。何、オレの時とは違い、側に支えてくれる存在が光汰にはいる。ならば、いつかは乗り越えられるだろう。
「なるほどな・・・・・・感謝する。少し気になったものでな」
「大丈夫、ちゃんと伝えなかった私も私だし」
・・・・・・まぁ、後で何か言葉くらいはかけてみるか
〜二日目〜
実力差。この世の中にはこういった言葉が存在する。頭脳?力?どれでもいい。重ねてきた年月、質、量。この世界ならば個性での戦闘。ある世界では魔術・魔法での戦闘。力とは己を示す絶対の構成要素だ。それは無論相手も。ならばならばならば、AとBが仮に戦ったとしよう。Aの力量は100、Bの力量は50だとして、この数字が実力。AとBの数字の差の50、これが実力差。立ち回り・相性・工夫、それらで多少誤魔化せはしようが根本的な差は50で変わらない。
プロと高校生とは、こういった例に例えられる程の実力差があるのだ。
一人目
「セイッ!!」
「良い突きだ!だがそれだけでは当たらない!!」
正直 一正、個性『カラテ』!ジャパニーズカラテっぽい攻撃の威力、正確さが上がったりするぞ!純粋な増強系個性だ!下段払いからの上段回し蹴りのコンボは大人にも通用する!だが名前からも分かる通り、攻撃の筋が正直すぎる所が難点だ!ちなみに彼は極真空手を使う。
「素早いですね・・・・・・」
「フハハ、捉えられるか!?」
まともに戦えば、カラテの突き、蹴り、受けはカマソッソに『技』として通用するだろう。一正はそれを狙っていた。だがこれは空手の試合でもなければ本当の実戦というワケではない。ならばカマソッソがすることは一つのみ。あまり大きい怪我をさせずに実践形式の模擬戦闘として生徒に実力を叩き込むことのみだ。
「フゥ・・・・・・」
対して一正が構えたのは片腕を前に出し、もう片方を水平にして脇を締める構え。前足を浮かせ重心を後ろ足にかける型であり、普通の相手ならばカウンター狙いの構えとして良い選択だっただろうが、カマソッソは違う。
「前足の重心を移してしまうのは、素早い相手には愚策だ」
「ッ──」
至極単純な話だ、後ろ足へと重心を移す、なら重心がかかってない前足を一瞬で払えば良い。死角から急襲したカマソッソは一気に一正の正面に回り下段払い、これによりカマソッソは一正に近づいてしまったが、体勢が崩れていく中で一正が打てる技は限られている。
「オオッ!」
その中で一正が選んだのは、払われた左足を地面につけ軸足にしての上段後ろ回し蹴り。
カマソッソは身長が190と高めなため、これも正解に思われたが──
「しゃがんでしまえば何も問題ではないな」
個性と幾度の修練によって鍛えられた後ろ回し蹴りは、確かに当たれば強力だ。一正の目には、直前まで確かに当たったと確信出来ていたが、わざわざ当たってやる義理もない。
中段前蹴りなどであれば、カマソッソでも後退せざるを得なかっただろうが、上段回し蹴りなのであれば、わざわざ後退しなくともしゃがむだけで事足りる。
「次からはフェイントをかける等するべきだな。オマエの攻撃は線が見えやすい」
カマソッソが軸足を手前に引くだけで一正の体勢は崩れ、今度こそ終了。
カマソッソの勝ちである。
二人目
「狂宴!破魔!廻天!内に秘められし我が力よ、強大な壁をも堕とす真の力よ!今ここに顕現せよ!!これぞ天神による断罪なり!『ゼウス・ディザスター』!!!」
「これまた強力な!」
堕天 戒斗、個性『厨二病』!厨二病っぽいことを厨二病っぽく言えば個性が意思と言葉を汲み取りなんか厨二っぽいことが起こるぞ!!普段もなんか厨二っぽくなるけどそれにしても強力な個性!でも強力な攻撃であればあるほどその分のカロリーが必要なんで、コイツはほぼ常にガリッガリだ!!
「風、雷、雨───成る程!確かにこれは災害だ!」
戒斗により放たれた災害達はカマソッソを追尾する。吹き荒れる風の塊、荒れ狂う水の塊、そして光り轟く一本の雷。どれ一つとっても『脅威』と言って差し支えない
「はぁ、はぁ・・・・・・だってそれ、僕の全力だもん」
戦闘訓練のため、カマソッソに与えられた模擬戦場をぐるりと旋回しても、戒斗が放った災害達が消える気配はない。
「待て、これオレじゃなかったら結構危なくないか・・・・・・?」
一つは当たれば身が刻まれそうな暴風、一つは当たればトルネイドどころじゃない水流、一つは当たれば某十万ボルトなんて比じゃない電雷。結構危ないどころの話じゃない。
「受け止めるしかないだろうこんなモノ・・・・・・!!」
宿の周りが木が生えまくっている林やらなんやらでたくさん。せめて雷が木に直撃し火が出て燃え上がるのは避けなければならない。なら、受け止めて消すしかないだろう!!
「模擬戦では全力を出さないよう決めていたが、一時全力解放だ!」
衝撃等で周りに被害が行かないようカマソッソは上へ上へと上昇する。
雷達はご丁寧に上までついてきてくれるようだ。
「使用者の意思か、それとも熱源か何かを追う性質でもあるのか?」
「・・・・・・今は、コレを消すことだけに神経を注ぐとするか」
バリバリッ!!
凄まじい轟音だった。
方や神の権能を権限させた超自然の超質量。
方や蝙蝠の王として力を振り絞った巨大な鎌。
破壊するしか能力の無い災害達に対し、カマソッソは打ち消すように力を込め、自然科学と相対した。一瞬の刹那、一瞬の爆発の後、残ったのは高らかに笑う蝙蝠のみ。
「フフ、フハハ、キャハハハハハハ!!!!」
蝙蝠は超自然に打ち勝った。
「これが神の力か?これが天空神の真髄か!?」
蝙蝠は偽の神の力を嗤った。
「
「さて、オマエ、動けないのか」
「いや、動けはします。ただエネルギー使い果たしたので何か食べ物を・・・・・・」
「後で、個性伸ばしの所へ行け。・・・・・・アレは明らかに制御出来ていない威力の攻撃だった。それとも何か、わざとああしたのか?」
「・・・・・・全力出してボコボコに鍛えてもらえって先生に」
だからと言って全部を出すのは違うだろうが・・・・・・
堕天 戒斗の個性『厨二病』は、今の通り超強力な攻撃を放つことも出来るが、代償としてカロリーが必要になる。普通なら動けるようにとか、次への攻撃のためにとか、十分な余力を残して使う個性だ。
だがあろうことか戒斗は「今の全力はどこまで通用するのだろうか」と魔が差した考えをし、体内の残存カロリーのほとんどを使用し、先の攻撃を行った。文字通り全身全霊全力全開の一撃である。プロ以外、生徒にでも向けようものなら大怪我待ったナシのものだった。
そこら辺はまだ子供、ということか・・・・・・?
「オマエの個性はかなり強力だ。だが、強力故に危うい。もっと自分の個性の力を考え、制御して使いこなすことだな」
「はい・・・・・・」
堕天 戒斗の戦闘不能により、勝者カマソッソ
もうお気づきだろうが、カマソッソ、それにオールマイトはこの通り挑まれた生徒達の相手として立ちはだかり、実際に戦闘する模擬実戦を行っていた。ちなみに担当はカマソッソがA組、オールマイトがB組である。
プロが目の前にいるなら胸を借りるつもりでぶつかってこい、そうイレイザーやマイクは生徒達に言ったのだろうか、個性伸ばしと平行して行われているこの自主希望制の戦闘訓練は、今の所上を目指す生徒達にとって良い刺激となっていた。
「あ、カマソッソ!次は俺の番だよね!!」
「オマエは・・・・・・」
『カマソッソ、もしコイツが来たらビシバシ鍛えてやって欲しい。まァ難儀な個性だ、扱うのにも時間がかかるんだろう。・・・・・・だが、戦闘センスが高いおまえが見たら、何か変わるかもしれん』
「・・・・・・
「あ、俺ってば有名人?っし・・・・・・じゃあ、いっちょやっちゃいますか!!」
個性『透過』・・・・・・なんでもまだ全然上手く使えないんだったか
「いつでもいいぞ」
「流石の余裕だよね!それじゃあご指導ォー」
「よろしくお願いしまーす!!!」
「あべ」
「・・・・・・えぇ」
瞬殺
あえてもう一度言おう、瞬殺!!!
具体的に言うと焦って個性を発動するタイミングを間違えたミリオが、裸の状態で地面からカマソッソの目の前に飛び出してきて、カマソッソに撃ち落とされてゲームセットである。勝者、カマソッソ。
「何が起こった・・・・・・?ワープ、ではないよな。個性は透過なのだろう?」
「イエス・・・・・・透過を利用した現象なんですよねコレ。咄嗟に体勢を変えたのは良かったけど、偶然が重なった結果で必然ではないなぁ・・・・・・」
ミリオからすれば、個性を発動して地面に落ち、地面の中で個性を解除することで、体が物質の外側に『弾かれる』ことを利用したモノ。
だが、何も知らないカマソッソからしたらいきなり半裸になった生徒が地面に消え、いなくなったと思ったら地面から飛び出してきたのである。
奇怪も奇怪な現象過ぎてカマソッソ自身まだ良くわからないでいた。
「まだ他の人来てませんよね、もう一回お願いします!!」
「情報量が多いわ!とりあえず服を来てからオレに”個性”の説明をしろ!!」
「イエッサー!!」
まだまだ終わらない林間合宿である。
厨二病君のゼウス攻撃の威力は某爆裂娘の爆裂魔法よりちょっと弱いくらいとでも思って貰えれば・・・・・・