勇者王は偉大なる英雄《ヒーロー》   作:しらすの番人

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プロは卵に負けられない

 

「まず個性の説明ですよね!」

 

「服を着ろと言ったはずだが?」

 

 あっやべと笑いながら地面に落ちた体操服を拾い着替え始めるミリオ。

 

 笑いが絶えない子供だな、とカマソッソは率直な感想を持った。明るく、元気で、今も自分の”個性”を上手く扱えず何も出来なかったも同然なのに、それでいて反省するでも落ち込むでもなく笑う。カマソッソもやれやれ、と先二人の生徒とは違う態度になる生徒。

 

 

「改めて俺、『ルミリオン』の個性は『透過』です。壁とか物とかなんでもすり抜けれます!さっきのはすり抜けることを利用して地面にすり抜ける・・・・・・『落ちてた』んですよね、簡単に言うと」

 

「・・・・・・強いではないか、その個性で何故さっきはああも焦っていたのだ?」

 

「チッチッチ、違うんですよねコレが。何と!全身に個性を使用している最中は、全部すり抜けるんです。光・音・空気エトセトラも全部です、全身に個性発動すると、ガチ何にも感じられなくなります。目の前も真っ暗になるし」

 

「服がすり抜けていたのも個性の影響か」

 

「そうですね!コスチュームだったら自分の毛も混ぜて作られてるんで一緒に透過するんですけど、今はただの体操服ですし。で、さっきのはとりあえず様子見しようとしたら間違って個性発動しちゃって、さっき言った通り個性使うと呼吸出来なくなるんで焦ってそのままTHE・ENDです」

 

「なるほど・・・・・・」

 

 

 『難儀な個性』とはそういうことか相澤・・・・・・『何でもすり抜ける』。大いに強いじゃないか、表面だけを見れば。オレの攻撃だってすり抜けられるのだろう、初見で見れば『無敵』、だが全身に使用すれば地面に落ちていくというハリボテ仕様。これは使用者本人が個性について熟知していることが前提で無ければならないな・・・・・・

 

 

「親はどうなのだ?突然変異でもない限り、”個性”は親からの相伝か類似だろう?」

 

「あっハイ、父が俺と同じ個性だったんですけど、扱いムズすぎてヒーローなるの諦めたって言ってました」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 ほぼ個性についてのノウハウが無い状態か、こいつ・・・・・・ミリオは言わば『何をしたらいいのか分からない』状態、自分の個性についてはある程度試したりしたのだろう、地面に落ちたり全てが通らなくなるのを知っているのはそれを体験したから。

 恐らく先の言い分的に地面に落ちる疑似ワープを利用しようとはしていた、だが個性の練度・自身の経験が足らないせいで上手く扱えていない・・・・・・というよりそれ以前の問題。肉体は鍛えていたのかガッシリとしていて個性さえ扱えるようになれば化ける。ならば、

 

 

「通形ミリオ、オマエは今、自分に何が足らないと思う?」

 

「うーん、個性の扱い方とかですかね?」

 

「それもあるな、だがまずは『知識』だ。その次に『練度』、『判断力』」

 

「練度と判断力はなんとなく分かるんですけど・・・・・・知識ですか?」

 

「そうだ、オマエは先程個性を解除し地面から現れた時、『咄嗟に体勢を変えた』と言っていた。個性発動中には何も感じることは出来ない、と言っていたのにだ」

 

「そうですね、こう、なんとなくこんな体勢取ればこの角度でこの方向に行くのかな、ってのがあって。それに体勢なら個性発動中でもある程度は変えられるんで」

 

「ならばそれを突き詰めろ。逆立ちでもなんでもいい、どの体勢で地面に落ち、どの体勢で地面から出ようとしたらどのように出てくるのか。それを何通りと試し、理解し、己の知識としろ。オマエの『全てをすり抜ける』、『地面に落ちたら相手の視界から消える』性質はオマエの唯一無二。知識を得て、細かい部位まで個性を制御出来るようにし、いつ個性を使うか使わないか判断出来るようになれば、オマエの鍛えられた肉体と合わさり、文字通り『無敵』のヒーローにだってなれる可能性がある」

 

「マジですかい!燃えてきたァ!!・・・・・・早速試して来ていいですか?」

 

「善は急げという言葉があるだろう。行動するなら早めにな」

 

「よォし行ってきます!あ、この期間中に後一回は挑みに来るのでそん時はよろしくお願いしますね!!」

 

 

 そう言うとミリオは「ありがとうございました!」と礼をして早速透過して地面に落ちていきながら個性伸ばしの場所へと戻っていった。

 

 

「・・・・・・威勢と元気は良かったな、あと数日でどれだけ伸びることか」

 

 

 ミリオへの指導が終わったからと言ってカマソッソの仕事が終わったわけではない、まだまだ未熟なヒーローの卵をカマソッソはビシバシと鍛えるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ・・・・・・あ、カマソッソ君、お疲れ。どうだった?そっちの一日目は」

 

「お疲れだ、オールマイト。まぁ、何と言うか個性的なヤツラが多かったな」

 

「こっちもさ。・・・・・・いやホント、最近の子って元気があるよ」

 

「オールマイトは大丈夫なのか?その・・・・・・活動時間とやらは」

 

「いつもみたいにヒーロー活動してないからね、それに誰も来なかったら今みたいにトゥルーフォームで休憩してるし・・・・・・フン!この環境なら一日六時間はマッスルフォームで活動できそうだ!HAHA!!」

 

「元気そうだな」

 

 

 最初こそオールマイトが林間合宿に来ても活動時間のせいでまともに生徒を指導出来ないんじゃないかと思っていたが、杞憂だったようだな。

 

 む、そう言えばオールマイトがこの一週間はヒーロー活動しないということは・・・・・・

 

 

「塚内もこの一週間は安らかに過ごせるのではないか?」

 

 オールマイトがヒーローとして活動するたびに仕事が増えていたからな・・・・・・オレは報告書を作っているから問題ないが。まぁ、一週間でも気が休まるならそれはそれで

 

「あぁ、塚内君なら今ロンドンにいるよ」

「なんで?」

 

 

 ロンドン・・・・・・イギリス・・・・・・海外ではないか!なんだ?旅行か?別にオールマイトの仕事を処理する以前に塚内は警察ではないか。それとも何だ、有給でも取ったか?

 

 

「時計塔に行ってるよ、私もまだ詳しくは教えられてないけど、カマソッソ君が言ってたカルデア?と関係があるっぽい」

 

「わざわざオレのために・・・・・・」

 

「ところがどっこい、今度カマソッソ君にも説明するけど、今年の一月にその時計塔からの・・・・・・魔術師?とかなんとか名乗る奴らが急に日本で暴れてさ、”個性”っぽいものの複数使用とか疑わしい場所はあったんだけど、当時の私含めヒーローはただのヴィランとして扱ってた・・・・・・けど、その時確かに一人のヴィランが『オール・フォー・ワン』と口にした」

 

「オール・フォー・ワン・・・・・・!!」

 

「その時に私はまだアイツが生きていたのを知ったんだけどね、でも当時はそれ以上の情報は得られなかった。けど、最近になって捕まってた一人のヴィラン・・・・・・魔術師から、カルデアだったり魔術師はロンドンの時計塔と関係していると判明した」

 

「その魔術師はオール・フォー・ワンについては何も語らなかった。私達はアイツについての情報をほとんど入手出来ていないからね・・・・・・私達はカマソッソ君の件とも合わせて、魔術師とオール・フォー・ワンが繋がっているのか確かめるためにも、一度ロンドンに行く必要があると判断した」

 

「それで塚内は今ロンドンへと行ったのか・・・・・・」

 

「本当はカマソッソ君にも相談して、私達二人も行くべきだったんだけどね、どうしても都合が林間合宿と重なっちゃってさ」

 

「あー」

 

「塚内君には通訳の人と私の知り合い、『グラントリノ』って言う信頼出来る人についていって貰ってるから大丈夫だとは思うよ」

 

「ふむ・・・・・・」

 

 

 オール・フォー・ワンが関係しているかもとは言えオレのためにも塚内ははるばるロンドンまで行っているのだ・・・・・・後で何か奢ろう

 

「結局オレ達は塚内達の帰りを待つしかないということだな」

 

「そういうこと、おっと、そろそろ就寝の見回りの時間だ。じゃあねカマソッソ君、三日目も頑張ろうぜ!!」

 

 

 

 

 

三日目 模擬戦闘訓練

 

 

 

鈎爪(かぎづめ) 掛留(かける) 個性『フック』

 

 

 

「一旦拘束させて貰います!」

 

「手足から伸びる細長い爪で体を拘束・・・・・・してどうする?」

 

 鉤爪 掛留の個性フックは、手や足の先端がフックのような形に変形し、手と腕、足と付け根を境にして細長いロープのように伸ばすことが出来る。ロープは物を取ったり人を拘束したりを色々便利ではあるが、この個性の真骨頂は伸びた所も自分の体の一部として扱えるということ。つまり、

 

「叩きつける!!」

 

「ぬ──」

 

 巻き付けたロープをカマソッソごと空中へ、そのまま手を振りかぶり、地上から5m程の高さからカマソッソを落とした。

 鉤爪 掛留はさながらカウボーイの投げ縄のようにロープを扱えるのである。

 

 

ブチ、ブチ

 

「ッ、切れたか」

 

 ロープが切れても使用者本人に痛みはないが、切られたという不快感が残る。ロープが切れてもそのまま手足が無くなるということはなく、自動的に手や足も元の形に戻るようになっているのだ。

 

「十分に個性を活かせている、後は更にロープの長さや強度を伸ばしたりすることくらいか?」

 

「はや─」

 

 掛留は十分に個性を理解し、扱えていた。勝負の分け目となったのは単純な力量。

 上から拘束され敗北。勝者、カマソッソ。

 

 

 

陸上(くがうえ) レッカ 個性『オーブン』

 

 

「熱く!もっと滾らせる!!!」

 

「『ハンドオーブン』!」

 

 レッカの個性オーブンはその名の通り、体の表面をオーブントースターのように赤く、熱い温度まで引き上げることが出来る個性。故にただただ熱を纏った腕だけでも、それは必殺の一撃となり得る。

 

 

「当たればだがな?」

 

「クソおお!やっぱ駄目かー!?」

 

 その個性の性質上、火力こそあるものの、機動力にかけるというのがレッカの弱点だろうか。対してカマソッソは機動力に長けている、いつものようにカマソッソは背後から抑えようとして──

 

「出来ればこれは使いたくなかった──が!本気を!滾らせよう!!『火火ダルマ』!!」

 

「んな・・・・・・」

 

 

 レッカの現時点での最大技であると同時に、自身をも苦しめる諸刃の剣。

 体全体に個性を使用することでどこを触っても超高温の生身攻撃許さないマンへの変貌である。

 

「おおッ・・・・・・!」

 

 これをレッカが使用している間は、レッカ周辺の空気も超高温となるため、遠距離攻撃を持つ個性持ち以外は迂闊には近づけない。

 カマソッソは瞬時にそう判断し、ならば技が解かれるのを待とうとしたが──

 

 

「・・・・・・あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ!!!!!」

 

「何だ・・・・・・?──ッ!おいオマエ!その技を止めろ!!!」

 

「滾ッ・・・・・・らせ!」

 

「るか阿呆!」

 

 

ゴッ

 

 

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」

 

「貴様・・・・・・『個性が体に合っていない』のか?」

 

「・・・・・・ッ」

 

 

 先程、諸刃の剣と言ったのは、発動中踏ん張るためにまともに動けなくなることでも、周りの空気にまで影響が及ぶことでもない。『個性が体に合っていない故に長時間発動は自身にダメージが行く』からである。

 

 事実レッカの体には少し腫れのようなものが。身につけている衣服こそ火ではなくあくまで熱なため燃えたりはしないが、自身の皮膚は違う。その個性の影響をしっかりと受けてしまうのだ。

 

 

「そうです・・・・・・俺のこの体は、個性に合っていない」

 

「ふむ・・・・・・」

 

 

 熱系または炎系ヒーローだとオレはエンデヴァーしか知らんが・・・・・・熱を扱う個性なのに、その個性に対し体に熱の耐性がないというのは・・・・・・苦しいな

 

 

「だが!貴様自身それを理解していたのだろう?何故あんな無茶を・・・・・・」

 

「俺!昨日の個性伸ばしで、もしかしたら行けるかもって思ったんです!今までは体が持たないから長くは出来なかったけどって・・・・・・でも、たった一日で変わるわけなかった」

 

「俺!憧れてる人がいるんです!その人に追いつくためにって頑張ってきたんです!!」

 

「・・・・・・オールマイトか?」

 

「は・・・・・・いや、いいえ。俺が憧れてるのはあの人じゃない。エンデヴァー!個性的にも!あの理性的な性格も!憧れは・・・・・・エンデヴァーです」

 

「?そうか」

 

 ・・・・・・オレには少し、他人の表情から情報を読み取れる。何かの得意能力ではなく、長年の経験で。こいつは今・・・・・・一瞬だが表情を変えた、かのように見えた。憧れに遠いと再確認したからか?何か引っかかるが、今はそんなことより、

 

 

「オマエは早く宿に戻って相澤に怪我の処置をして貰え、いや本当に。顔が少し腫れたように見える。このまま何も説明せずにいたら相澤に問い詰められるのはオレなのだ」

 

「はい・・・・・・すみませんでした」

 

「オレに謝らなくとも良い。ただ、まァ、相澤から二言くらいあるのは覚悟しておくのだな。そら、行ってこい」

 

 相澤のあのだらんとした目・・・・・・キレると赤く見開くのだよな・・・・・・普段静かな人が起こると怖いというのは誰が言ったものか

 

 

 

 

「ふぅ・・・・・・後出来ても一回か二回が限度か」

 

 林間合宿の予定として、午後五時には全活動を終了し、夜ご飯の準備に取り掛かるよう生徒は言われている。カマソッソ達プロもそれは例外なく、寧ろ二日目以降は生徒達がプロの分までご飯を作ってくれるので、実質五時までが仕事である。

 

 

「やっほー、想太さん」

 

「・・・・・・・・・・・・ふぅー」

 

 もちろんそんな簡単に終わるわけがなかった。

 

 

「雪芽・・・・・・そうだな、今回はまだ一回も来ていなかったか」

 

「・・・・・そうだね、ずっと個性伸ばしで自分に足りない所を鍛えてたから」

 

 

 雪芽は口調は変わっていない、だが、明るさがないのだ。いつものように太陽が上る空のように笑うのでもなく、ただ、ただ、微笑で話す。暗い中で降る雪のように。

 

 

「なんかいつもと雰囲気が違う・・・・・・な?」

 

「そう?じゃあ少しは変われたってことなのかな」

 

 ビュォ、と一筋の風が吹いた。まだ気温は二十五度近くあるはずなのに、吹いた風はどこか涼しい。

 

 

「戦闘訓練、もちろん相手してくれるんだよね?」

 

「あぁ、そうだな」

 

「もう始めちゃっていーの?」

 

「・・・・・・いつでもいいぞ」

 

 

「じゃあ」

 

 

「速攻で」

 

「ッ・・・・・・!?」

 

 ビュッと、カマソッソは頬の近くを何かが通り過ぎたのを感じた。

 雪芽が精製した小さい氷柱。「もう始めて良いのか」と問う前に、雪芽は戦闘の準備を行っていたのである。

 

 

「不意打ち!立派な策略だ!だが・・・・・・ぬうっ!」

 

 驚いたのは一瞬だけ、すぐに意識を引き戻したはずだった。だが雪芽はそれを呼んでいたかの如く、カマソッソの顔に向け精製した雪を飛ばした。それ自体に威力は無い、ただ冷たいだけの普通の雪、だが、カマソッソが少し目を瞑るのには十分だった。

 

 

「後ろがガラ空き──」

 

「させるわけないだろう!」

 

「だよね知ってる」

 

 目を奪ったならどうするべきか、相手の視界に入らないよう、つまり死角に移動するべきだ。だがそれはカマソッソも使う常套手段。カマソッソが腕を振り近づけさせないようにするのも雪芽は予想していた。これまでで雪芽はカマソッソを相手にして完璧な立ち回りをしていたのだ。

 

 

「『アイシクル・スピア』」

 

「上か!」

 

 カマソッソは今までで、生徒達は後ろに回り込んで対処された時、そのまま後ろに後退してしまうのが勿体ないと感じていた。何故ならカマソッソ相手に近づいたのに、離れてしまったらカマソッソ相手に距離を詰めるのをもう一度しなければなくなるから。

 

「(避けるのが間に合わんなコレは!!)」

 

 雪芽は違った、後ろに後退するのではなく、思い切りジャンプしての上からの攻撃を選択した。これはカマソッソにとっての数少ない対処法。カマソッソは機動力を活かして距離を詰めたり、逆に距離を空け自分の得意な空間を押し付け戦うスタイル。

 こうして上から攻撃された場合、腕ではリーチが足らないため一旦離脱するか飛ぶかの二択しかカマソッソは取れないのだ。

 

 そして、先手を打たれたことにより回避・離脱ともに間に合わない。カマソッソは雪芽の攻撃を防御するしか無くなった。

 

 

パキパキパキ

 

ドゴッ!!

 

 

「・・・・・・ォォオ!!!」

 

「まだまだ」

 

 カマソッソは何とか上から放たれた氷の長槍を腕で受け止め、耐えることに成功した。だがこれと言って状況は変わらない。雪芽の攻撃が雪芽の攻撃、依然ペースは雪芽のまま。

 

「(一旦距離を取らねば!)」

 

「はい、他の事考えた。足、凍ってるよ?」

 

「──ンな」

 

 正直、カマソッソは雪芽がここまで強かった、あるいは強くなったと想定していなかった。今の雪芽はさながら将棋でゾーンに入った棋士。一歩ずつ、着実に主導権を握り続けることで、ついに一瞬、カマソッソが凍った地面から足を剥がす間という無防備な瞬間を獲得した。

 

 

氷晶双剣(クリスタル・ブレイズ)!二つで一つ!!氷で止め、氷で穿つ!!!」

 

 完璧な判断、完璧な作戦、完璧な個性の扱い。雪芽はカマソッソの想像以上にカマソッソを追い詰め、またこの時点では勝っていた。

 

 

「───そこで近接を選んでしまうのはまだまだ判断が甘いな!雪芽!!」

 

「ッ・・・・・・嘘」

 

 雪芽がカマソッソの想像以上であったように、カマソッソもまた、雪芽の想像以上だった

 

 

ガシッ・・・・・・

 

ドゴッ!!!

 

 

 

 

 

「あたた・・・・・・はぁ、負けちゃった」

 

 あの状態から何とか肩を掴んで地面に打ち付けれたから良かったものの・・・・・・反応が遅れていれば、負けたのはオレだったな

 

 

「すまん、雪芽、少し力が入り過ぎてしまった・・・・・・大丈夫か?」

 

「うん!平気平気!怪我もしてないし、ステインの時の想太さんと比べたら全然だよ!!」

 

「む」

 

 静岡のこと・・・・・・まだ根に持っていたのか・・・・・・?

 

 

「雪芽・・・・・・最初来た時、何故あんなにも暗く、冷たかったのだ?」

 

「えっとぉ・・・・・・ほら、私って自分で言うのもアレだけどお調子者って言うか・・・・・・何ていうか活発?でしょ。少し冷静になって周りを見れるようになれば想太さんにも届くかなって・・・・・・」

 

「まぁ・・・・・・」

 

 ならばあの冷たい空気を放っていたのは冷静になっていたからだと?もはやアレは冷静を超えて修羅ではないか・・・・・・?

 

 

「・・・・・・兎に角、最終的にはオレの勝ちというワケだが、アレは実質オレの負けだ」

 

「別に最終的に想太さんが勝ったんだから謙遜しなくて良いのに」

 

「内容的にオマエに軍配が上がるだろう、見事だった。最初からあの一連の動きを想定していたのか?」

 

「大体はね、想太さんとまともにやって勝てる人なんてそれこそオールマイトくらいだよ。想太さんってさ、近くで見ても遠くから見ても圧倒的!って思えるくらい強いんだけど、それって全部近接なんだよね」

 

「そうだな、なにせオレは遠距離での攻撃手段を・・・・・・今は持ち合わせていない」

 

「含みのある言い方辞めてよ・・・・・・で、じゃあ遠距離で攻めようってなっても、速すぎて攻撃する前に終わっちゃうんだよね」

 

「まァ、な。遠距離攻撃持ちは近づくに越したことはない」

 

「そこで私が考えたのが、『カマソッソさんの動きを封じてみよう作戦』!近距離強い、遠距離もすぐ来るからあんまし意味ない。じゃあもう近距離で封じるしかないよね!ってコトでなるべくカマソッソさんに視界を与えない・行動をさせないってことを念頭に置いて挑んでみたの」

 

「負けちゃったし次からは別のコト考えるけどね!」

 

 

 ふむ・・・・・・近距離で撹乱されるのがオレの弱点だったのか。雪芽のことを子供だからと甘く見ていたな。これはキチンと自分の行動を見直さなければ

 

 

「ほら行くよ、今日はカレー作るらしいし!想太さんも手伝ってね!!」

 

「もちろんそれは構わないが・・・・・・って引っ張るな引っ張るな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オール・フォー・ワン、本当によろしいので?三日目ではなく五日目に襲撃で」

 

「どうしたんだい黒霧、何か不安な事でも?」

 

「いえ、五日もあれば卵達も個性伸ばしで更に強くなるのではと」

 

「それよりも個性伸ばしによる疲れの方が大きいさ、それに・・・・・・」

 

「今回は三日目のレクがキャンプファイヤーで、五日目が肝試しだそうじゃないか。わざわざ自分達からバラバラになってくれるんだぜ?これを利用する手はないよ」

 

「ですが・・・・・・」

 

「・・・・・・まだ何かあるのかい」

 

「流石に二日目までLoLをやっているのはどうかと?」

 

「黒霧、そっち敵行ったぞ」

 

「仕方ないじゃないか、こうやって弔が手伝ってと言ってるのだから。なぁ弔」

 

「先生ちゃんと画面見て、乙ってる」

 

「おっと」

 

「はぁ・・・・・・」

 

 

 ヴィラン側・ヒーロー側、どちらにとっても真の林間合宿はこれからである

 




もうオール・フォー・ワンがネタ枠としてしか見れなくなってきてる・・・・・・

わちゃわちゃしてるヴィラン側って良いと思うんです
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