『この試験では仮免許取得者ではなく、「プロヒーロー」そのものとして、どれだけ適切な行動を行えるか試させていただきます』
「あ、HUKの人達今回もいるんだ」
「今回はあの減点が更にひどくなるのかなぁ」
『はい、今回も救助者役には要救助者のプロとして「
要救助者のプロ・・・・・・?それに名前が「私達を助けて会社」は流石にないんじゃないか
『今回は先程とは違い各個人をポイントで採点していき、演習終了時に基準値を越えていれば合格です、十分後に開始なのでトイレ等済ませて下さいねー』
「・・・・・・ふぅ、何とかアナウンスは終わりましたけど。一体何なんですか、試験一週間を切ってるのにいきなり『乱入時の仮想
「ハハハ、いやホントすまなかったと思ってるよ」
「いや警察の人もいたし断れるわけないですって、それだけ重要なんですか?この『
「・・・・・・そうか」
「えっとぉ・・・・・・大丈夫です?」
「・・・・・・あぁ、少しね。それに、来たからには、本気でやるよ」
ジリリリリリリリリ
『ヴィランによる
「まずは被害者の避難が優先だ!」
「誰か戦闘系個性持ちいるか!?避難者とヴィランを一刻も早く引き離さないと!!」
「とりあえず被害が一番大きい都市ゾーンへ!!」
周りも動き始めたか・・・・・・なら!オレの姿を思い描け───!!
「このカマソッソ、飛行が行える!故に安全かつ素早く救助者を運ぶことが可能だ!要救助者はオレの所に!!」
「おお、頼もしい!」
「お願い、移動系個性持ちこっち来て!!」
救助者の救助活動、それも敵がいる場所ならば一刻を争う事態だ。オレは今のところオレの個性を『思い描いた時に蝙蝠の権能が体に現れる』個性だと認識している。オレは戦闘も可能だが対複数よりもどちらかと言えば対単体。故に今すべきは救助者を避難場所へ運ぶこと!ヴィラン迎撃は範囲攻撃持ちに任せた方が効率が良い!!
「カマソッソ、到着した!」
「この子を!」
「はっ、はっ、はっ、ゔゔゔゔあ゙あ゙あ゙あ゙!!!痛い゙い゙い゙い゙!!お母さんがああああ!!!たすけてえ゙え゙え゙え゙え゙!!」
「出血が酷いな・・・・・・少年、呼吸は出来るか?一旦落ち着け、歩くことは出来るか?落ちついたら母がいる場所を答えれるなら答えてくれ」
「ふぅ、ふぅ、はぁ・・・・・・そこの、瓦礫に゙。足がい゙だぐで、歩けない」
「聞いたな!?オレはこの子どもを運ぶ!子どもの母は任せた!!」
「はっ、はい!」
「少年、このカマソッソがいるからにはもう安心だ。カマソッソはカーン時代に臣民の子の子守をしていたこともあるからな」
「あり、がとう(ふむ、最初の呼吸、歩行、家族の確認良し。そして家族の居場所を質問する時に焦らせていない。こいつ、中々やりおるのぉ。何言ってるのかは不明だが)」
「カマソッソ、重傷者を連れてきた!呼吸可能、受け答えは出来るが歩行困難!出血が酷いからすぐ処置をしてくれ」
「分かった!後あなた飛行持ちの個性!?なら今の戦線の状況と救助者の数をおおまかでいいから空から見ることは出来ない?被害者の数次第で避難エリアを拡大するから!」
「了解した、ついでにまた重症者も運んでこよう」
高度が必要だな、ならシューズの加速で速度を一気に稼ぐか。
するとカマソッソは片足ずつ、シューズを履いたままつま先をトントントン、と軽く地面に三回打ち付ける。すると『加速シューズ』の根幹を為すブースターが起動。カマソッソは足に伝わる力を利用し一気に加速、そのままその大きな翼ではためき、上方向へと急上昇。ブースターは起動してから十秒で自動的に切れるようプログラミングされているため、ブースターからの加速は無くなったがそれでも十分な程の高度に到達した。
「戦況確認と重症者数の確認か、戦況はあらかた見えるとは言え重症者数は細かい数までは分からんな・・・・・・」
ヴィランとヒーローは都市部、まだ傷病者が数多くいるエリアで戦闘を行っている。これはそもそもヴィランがテロ起こしたという試験内容も悪さをしているのだが、傷病者の避難が完了していないので大型範囲攻撃を可能とする個性持ち達が迂闊に攻撃出来ない状態にある。単体攻撃に長けたヒーローが一人ずつヴィランを倒したり抑えたりしているが、カマソッソが目視で見える戦力はヒーロー側約二十名に対しヴィラン側約五十名。制圧が完了するまでにはまだまだ時間がかかる。そして救助者救出のために動いているヒーローはその他約八十名で、都市郊外・戦闘区域共に順調に救助が進んでいる───が、戦闘区域近くが最優先でヒーロー側もそれを理解していはいるが、戦闘に巻き込まれる可能性があるためかあまり救助されてない救助者が目立つ。更にカマソッソが気づいた最悪なこととして、ヒーローとヴィランが戦っている場所、ヒーロー側はその手前側の救助活動を行っているが、
「であるのならば!!」
カマソッソは決断した、現状空を飛んで活動出来るのはカマソッソのみ。ヒーロー達がヴィランを制圧・拘束するまで、もしくは移動個性持ちが気づき活動を始めるまで、カマソッソが戦闘場所奥の人達を救助するしかないのだ。二人ほど重傷者を助けてから情報を伝えればいいと考え、カマソッソは急降下、ヒーローとヴィランが戦っている場所の上空を通過し、都市ゾーン奥に単身突入した。カマソッソは「早く助けなければ」と、そう思ったのだ。
・・・・・・だが、これは、聡明なカマソッソにあるまじき「大きなミス」である。いくら奥に救助されていない人達がいたとしても、ヒーローならば冷静に、せめて「情報を連絡」してから救助に向かうべきだった。現状、カマソッソしか戦闘場所奥に救助者がいることを知らないし向かっていない。其れ即ち、
「ヒーローが上空を通過したぞ!」
「飛行個性かよ面倒臭え!奥のやつらは人質として使える、空いてるやつ回せ!」
「はい『火炎放射』ァ!させるわけないよねぇそんなこと!」
「あっっつ!?」
「ゴ・・・・・・貴様ァ」
「はいはい確保、そこの人、この人らもお願い」
「承った」
「(さっき飛んでた人・・・・・・カマソッソさんだよなぁ、あっちに何かあるのか?・・・・・・っと)」
「ぼさっとしてんなやヒーロー!」
「数が多いなぁ!それもしぶとい!」
「
「(どういう意味なんすかねぇそれ?)」
カマソッソの単独行動を見て、更にはヴィラン役からの意味深発言を聞き出した『チャッカマン』、個性「放火」の「
一刻、一刻と、時間は進み、試験は続く。この後
「カマソッソ、到着した!
「おぉ、ヒーローさんや。助けに来てくれたのかい」
「ご老人は意識がはっきりしているか、ここにいる人達の人数と重傷者がいるかどうか訪ねたい」
「ここには・・・・・・十人程残ってしまっておる。逃げようとしても前にヴィランがいて逃げられなくてなぁ。後、おぉい、優子さん。ヒーローが来てくれたぞ」
「本当ですか!すみません、この子の怪我がとても酷くって!!!」
「ふむ、見せてみ・・・・・・ろ」
出てきた親子は今回呼び出されたHUKにおいて今回が初参加の実の親子、まだ若いのにこの仕事を選んだ母を周りのHUKの人達は嬉しがっていた、ただ普通の親子。本当は子ども役は大人がやらなくてはいけないのだが、シングルマザーである母にとって、まだ幼い子を一人残すのはと、色々あり一緒に試験に参加することが出来た普通の親子。今悲痛な声を出している母親は演技だし、意識がないように見える子どももただ眠っているだけ。
だが、カマソッソからして見れば普通の親子には到底見えなかった。いや、見えているのは確かに赤ちゃんを抱いた母の姿。だが、重なったのだ。嘗てのORTとの決戦の時、「せめてこの子だけは」と言いながらも、自分諸共”炉”に身を捧げた親子に。それが同一人物であることはあり得ない。だが、その子どもを抱いた時の立ち姿が、どうしようもなく重なってしまったのだ。
「(何だ、何なのだ、これは。どういうことなのだ?)」
「・・・・・・あの?」
「っあぁ・・・・・・これは、酷いな。意識がないのか、脈はある。何故こんなにも血まみれに?」
「爆弾が近かったみたいで・・・・・・私は巻き込まれなかったんですが、この子が・・・・・・」
「なるほど・・・・・・ご老人、最優先はこの子どもだ。オレは先にこの二人を避難場所に送る。しばし待ってて貰うことにはなるが、その間に人を二人一組にまとめておいて貰いたい」
「分かりました・・・・・・信じていますぞ」
「無論だ、ではご婦人、しっかり捕まってて貰いたい」
「はい、よろしくお願いします!」
BOOM!BOOM!BOOM!BOOOOOOM!!!
「きゃああああああ!!!」
「今度は何事だ!?」
都市ゾーンでヴィランとヒーローが戦闘している場所を真ん中としよう。現在、東西南北の端で爆発が起きた。カマソッソがいるのは北側。そして北側が一番遅く、一番大きい音がした。これはカマソッソが北にいたから大きく聞こえたのではない。
ならば、ならばならばならば。北が意図されて一番被害を大きくされた理由は?一番最後の爆発、一番大きい爆発。そして、南側がスタート地点のヒーロー側において最も遠く、最も目立つ真ん中。ヒーローと対峙するヴィランならば、それが一番派手なボスなら、ヒーローとは真逆の位置から来るのがセオリー。つまり、カマソッソは冷静な判断を欠いた結果、様々事情が絡み合い「大外れ」のくじを引いてしまった。
「
『増援の
「(最初からヴィランがいる+追加のヴィラン投入で数は一気にヴィラン側へ有利に!それも四方向で追撃されるから各地で対応しなきゃいけないのに加え、北はまだ全然救助が進んでいないのによりによってオールマイトが出現するエリア!本免だからというべきか、プロでももはや対応不可能の領域に片足突っ込んでるレベル・・・・・・さて、どうなるのか)」
「さて・・・・・・む、すぐ側にいた、って・・・・・・あの姿!!!!」
「オールマイト!?」
「説明していた事態が起きてしまった!君達は塚内君に連絡した後、試験の内容通り進めてくれ!カマソッソ、いや、森鎌 想太は私が捕らえる!!」
「りょ、了解です!」
「ぬううううううん!!!!」
「オールマイト・・・・・・!!ヴィラン役で参戦か!」
カマソッソは初めて、焦りにより心臓の鼓動数が増加している。まだ見つかってはいないが目の前には現状NO.1ヒーローと追加ヴィラン。対してカマソッソは一人であるのに加えて、救護者の避難が何も出来てないときた。一刻も早く判断し行動しなければならない状況である。
「ヴィランが来る!皆一旦建物の中に隠れ」
「───スマッッッシュ!!!!」
ドゴン!と一際大きい音がした
「がッ──!?」
ドッ!ドッ!ドゴオオオ!!!
「───かはッ!」
何が起きた?避難を指示しようとした次の瞬間、オレの体が吹き飛んでた。クソ、体は建物打ち付けられこのザマだ。痛いな、だが、立てない程ではない!!・・・・・・く、もう来たか!
「やってくれたな・・・・・・オールマイト。こういう試験の場ではNO.1でも手加減するものだと思っていたが」
「・・・・・・・・・・・・」
「何故何も答えない?なんだ、ヴィラン役に入り込み過ぎているのか?前はあんなにハイテンションで陽気だったのにか」
「・・・・・・カマソッソ、いや、森鎌 想太。やってくれたな、あくまで一般人を装っていたわけか」
「───あ?」
「とぼけても無駄だ、吐いて貰うぞ、オール・フォー・ワンの居場所を・・・・・・!!」