「オール・フォー・ワン?」
「あぁ、この世の全ての犯罪に関わっているとも言われてる犯罪者だ!『人攫いのゴロウ』も、アイツと関わっていた可能性があったから追っていたのだ!君には洗いざらい話して貰うぞ!!」
「何の話だ?オレが知るわけないだろう!」
「・・・・・・やはり、一旦痛い目に合わないと吐かないようだな!」
「何故そうなる!?」
話が通じないな、この男の本性がこれか!?国のNo.1ヒーローの座にいるものがこんな態度なのか!?そもそもオール・フォー・ワンとはなんだ、口ぶり的に人ではあるのだろうが考える時間が無い!
「『デトロイト──」
ッ!これは不味い、先程喰らったものよりいくらか強い!先程のでもまともに喰らったら後何発耐えれるかオレでも分からんというのに!!
「ちぃ───!!」
「──スマッシュ』!!」
───世界が震えた。オールマイトが放った本気の『デトロイトスマッシュ』。カマソッソは避けることが出来たが、オールマイトはそもそもカマソッソに当てる気は無かった、さっきのセリフも言わば一種の脅し。だがその握られた拳は地面へと打ち付けられ、この多古場競技場にいる全ての注意を引くこととなった。
「・・・・・・嘘だろう」
先程までオレがいた建物が
「くはは、ははははは!!!」
何故だろうな、喰らえばオレでも危険な技を本気で当てられかけていたのに、少し笑えてくるな。ヒトがここまでの威力の技を出せるとは!!これがNo.1と言われた男の実力・・・・・・!!今のオレはどこまで通用する?いや、通用するではないな、倒せるか?オレに、あの男が。
「上行ったぞ!撃て撃て!!」
「撃ち落とす!」
「む」
遠距離個性持ちか、厄介な。あの有象無象ども、ただでさえ数いるのが傍迷惑なのに個性までも使って妨害してくるか。
「降りて来てくれ森鎌君。君に一つだけ聞きたい」
「ハ、今更何を聞きたいのだ?」
「・・・・・・
「─む」
カマソッソは少し考える。今カマソッソが蝙蝠になっている仮称個性「蝙蝠」は、カマソッソが欲しいと願ったわけでも、逆に誰かから与えられたわけでもない。
「この蝙蝠の姿は気がついていたらなっていたのだ。雪芽を助けるその直前に、鏡を見て蝙蝠の一部が体に生えていることを知った。だからオレに「どうやって手に入れた?」など言われても、オレには「ただいつの間にかあった」という答えしか持たん」
「・・・・・・そうか」
後天的な個性の発現・・・・・・そんなことがあり得るのか?森鎌君は外見こそ生まれつき分かりやすい特徴を持つ異形型の個性、だがそれが発動型や変形型だった場合、私にはそれを判断するすべが無い。本当に知らない、そう信じたいが、森鎌君がヤツと関わりが無いとはまだ完全に言い切れない・・・・・・
「・・・・・・もういいか?」
試験の時間もある、・・・・・・・・・・・・そうだ、この”カマかけ”ならば、森鎌君が本当にオール・フォー・ワンを知らない場合即白だと判断することが出来るのではないか?幸い、先程のスマッシュのおかげで警察署君は近づこうとしていない。偶然とは言えちょうどいいな!
「森鎌君、キミは試験を受けるために移動して来たり、試験を受けていたりしたから知らないだろう、・・・・・・先程、オール・フォー・ワンは捕まった。そう!私の手によってね!!」
「・・・・・・・・・・・・」
もちろんこれはハッタリ。寧ろ居場所が分かるなら教えて欲しい。恐らく森鎌君が本当にオール・フォー・ワンと関わりがあった場合、ヤツは何らかの手段で森鎌君を常に監視出来るようにするだろう。そして森鎌君はその手段で本当にオール・フォー・ワンと連絡が取れないか確認するはず・・・・・・もしも本当に繋がっているならの話だが!さぁ、どう出る!?
「・・・・・・はぁ」
「そもそもそのオール・フォー・ワン自体知らないと言っているだろう。何故捕まったモノの話をオレに聞いたのかは知らんが、何も知らないヴィランなぞどうでも良い」
──そしてもし白の場合、示す反応は『無反応』。
オール・フォー・ワンと繋がっているなら、大元が捕まったと聞いて何かしらの反応を示さないわけがない
オール・フォー・ワンと繋がっていないなら、示そうにも何も知らないのだから反応の仕様がない
うん、これは───『白』だ。
「大ッ変申し訳ございませんでしたぁああああ!!!」
「何なんだ急に!?」
「となると私と塚内君はとんでもない思い違いを!?何してんだ私!一週間前に戻りたい!!」
「おいどういうことなんだ、オレにはさっぱり分からんぞ」
「あーえっと・・・・・・・・・・・・森鎌君を犯罪者扱いしていました」
「何だと!?」
「本当にすみませんでした!!!無個性って聞いてたから、無個性で『人攫いのゴロウ』を倒し、本免許試験の一次もトップで通過出来るわけないと思ってしまっていたんだ!そしていざ森鎌君を見つけたら背中に翼生えてるしこれは黒確定だなと思ってた数分前の私を殴りたい!!」
成る程・・・・・・?聞いてる通りの情報だと、『オール・フォー・ワン』は人に個性を与えられる、そしてこの世全ての犯罪に関わっていると言われている・・・・・・唐突だったがやっと状況が掴めて来た。えーつまり、無個性だと思われていたオレ(想太)がヴィランを倒し、更には先程の試験を一番で通過したからそのオール・フォー・ワンの仲間だと思われていたと。ん?結構危なくないかそれ
「えっと・・・・・・いた!おーい警官諸君!すぐ塚内君に「森鎌君は白」と伝えてくれ!後「謝罪の用意も」と!」
「りょ、了解です?」
「本当にすまなかった森鎌君!君をヴィランだと勘違いしてしまっていて!」
「それよりも殴った事の方が謝るべきじゃないのか?」
「いや、それは正規のルール内容だから私は悪くないと思う」
「は?」
「今回プロヒーローの本免許試験だろう?公には公開していないが、本免許試験では仮免許試験とは違って
「用意周到の状態でオレに奇襲を仕掛けたわけか・・・・・・」
「ヒーローはいつだって迅速にだ。あ、今私はヴィラン役だったかハッハッハ・・・・・・」
「なぁ」
「なんだい?」
「オレ達こうやって話してしまってるわけだが・・・・・・大丈夫なのか?結局オレはお前達の被害者というわけだろう?これで不合格とかになったら冗談にもならんと思うが」
「一応アナウンスしてる目良君には私から森鎌君のことは言っておいたから大丈夫・・・・・・なはず。誤解なことが分かった今、逆に私が不味い状況かもね」
「ヤバくないのかそれ」
「結構ヤバイ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ではオールマイト!ここからはヒーローとヴィランだ!オレと本気で戦って貰おう、先程の力を見て、オレはどこまでお前に通用するのか試したくなった!!オレと本気で戦うのならば今まで犯罪者扱いしていた事も水に流してやろう!」
「受けて立とうヒーロー!いやカマソッソよ!!」
カマソッソがオール・フォー・ワンと繋がっていると盲信していたオールマイト。オール・フォー・ワンと繋がってこそいないものの、「個性が急に発現した」という客観的に見れば怪しい事実を抱えていたカマソッソ。マジのガチでオールマイト達の誤解、カマソッソの冤罪だったが、ここに平和の象徴と冥界の王の戦いの火蓋が切って落とされた。
「やっべぇ何かそこかしこでドンパチ始まっちゃったぁ!これヤバイなぁ、カマソッソさんがいるトコにオールマイト出てきちゃったし・・・・・・というかもうここは俺いなくてもなんとかなるっしょ。あ、『火炎放射』〜」
「「あつうう!?」」
「よし、『ヒート・ブースト』!カマソッソさんがいるだろう北方面でも行きますかね!」
「ていうかこのブーストもうちょい速度出ても良いと思うんだけどなぁ。確かに体内と太陽から生まれるエコな火だけどさぁ!もうちょい速くてもいいような気がするなぁ!ねぇ君もそう思う?『火炎放射』ー」
「知らねあつ!!」
「『デトロイトスマッシュ』!!」
「当たらん!」
「ならば左で!!」
「スピードでは完全にオレの勝ちなようだ!そら、上空にご案内だ!!」
「ぐぉッ」
「上から─」
「『オクラホマスマッシュ』!」
「・・・・・・ぬぅ!回ってるから近づけないではないか!!」
「私もこの間は攻撃出来ないけどね・・・・・・なんて言うと思ったか!回転の力を縦に!『カルフォルニアスマッシュ』!」
「なぁ・・・・・・!?」
空中で竜巻のような回転をしていたオールマイトは体を前回りのように高速回転、その勢いのまま放たれたパンチはカマソッソを地面に打ち付けてあまりある威力。
「がふ・・・・・・くく」
くく、ククク、ハハハハハハハハハ!!ああ、これぞ喜びだ!強者との戦いで得られる興奮だ!久しく・・・・・・味わっていなかった。オレと互角に渡り合える、そんな生き物。
「これぞ強者同士の戦いだ!一つ一つの行動が影響を与える一進一退の攻防!!満足のいく時間だ!ここまで来た甲斐があった!」
「空中じゃあオールマイトさんに任せるしかないが」
「地上じゃ俺達もいるんだぜってことを」
「知らしめる!!」
「はいすみません通りますよ『火炎放射』ァ!!」
「「「あがっ・・・・・・」」」
「カマソッソさんすんません遅くなった。こっからは自分も加勢させて貰うぜ!」
「先の『チャッカマン』・・・・・・だったか、加勢感謝する。だが離れろ。ほら、来るぞ」
「私が空中から来た!!」
「うわ、マジでオールマイトいるよやばぁ」
「・・・・・・ん?カマソッソさんあんた、アイツと戦ってたのか?・・・・・・サシで?」
「あぁ。そうだが」
「あんたとんでもねぇなぁ。・・・・・・どうやったらオールマイトとタイマン出来るんだ。だけどまぁ、俺もそこそこ妨害は得意な感じなんですよねぇ」
「いや、あそこの建物にまだ救助者が十人程いる。お前はどうかそっちを助けてやってくれ」
「マジかよそっち行かなきゃじゃん。あ、カマソッソさん、この試験終了の条件は恐らく『全ての救助者が救助されること』。なんでオールマイトとタイマンしてんのかは分かんないけど・・・・・・もうちょい耐えて!今オールマイト来ちゃったら多分戦線崩壊するから!!」
「随分信頼されてるようじゃないか」
「はん、少し会話しただけだ」
「そうか、それじゃあ」
「続きと行くか?」
それ以上の会話は必要なく、また二人の間には音をも遅れてやってきた。後に競技場観客席にいたある人はこう語ったという。「化け物が二人いる」と。オールマイトは言わずもがな超パワーに超スピードの圧倒的な力で相手をねじ伏せる。カマソッソはパワーこそオールマイトに劣るものの、オールマイトを上回る速度で飛翔し攻撃を仕掛ける。どちらも近距離肉弾戦を得手とする二人。だが、互角という展開はこの勝負においてあり得ない。ルールに則っていたとは言え、カマソッソは先にオールマイトの『スマッシュ』を喰らっていた。当然ダメージは移動速度・攻撃力の双方に響く。いつしかオールマイトがカマソッソを捉え始めた。
「そこだ!」
「ふ、どうやら隙が、大きかったようだ!『デトロイト──」
「やはり・・・・・・タメが長いな!『シバルバーの大鎌』よ!!」
「SHIT!」
カマソッソは残り体力が少ないことを自覚している。故に高速飛翔して少しずつダメージを与えるより、一か八かのオールマイトとの超接近戦に持ち込むことにした。相手が超高火力で上からずっと殴ってくるのならば、その速度も超えて攻撃し続けなければばらない。故に回避も最低限に抑えるのだ。
「連打連打連打連打連打!!どうした!?このまま押し切るぞ!!」
「ぬぅ・・・・・・!!」
「そこだ──!」
「
「当たるものか──ッ!?お前、放せ──!!」
わざと、オールマイトはカマソッソに隙を晒しカマソッソに深く踏み込ませた。カマソッソは現状、翼による圧倒的なスピードを頼りにして戦闘を行っている。それは経験から裏打ちされた圧倒的な自信。魂が記憶を結び、経験があったからこその自分への信頼。「オレならばすぐに
「──スマッシュ!!』」
非常にシンプル、羽ばたくための翼を掴まれた鳥は飛べやしない。暴れるが、ただそれだけ。それは冥界の王たる蝙蝠も例外ではなく。焦りによりマッスルフォームによる拘束から逃れることの出来なかった蝙蝠は、顔を正面から殴られ墜落した。
「まだ・・・・・・まだァ!!!」
「しぶといな・・・・・・ハァ、ハァ」
「お互い様・・・・・・だろう!」
「まだ、立ち上がろうとするんだね。じゃあ、君はこの話を聞く権利がある。いや、ヒーローを目指すならば、避けては通れない話だ」
「何・・・・・・?」
「ハァ、ハァ。まぁ、少し老人の昔話と思って聞いてくれ・・・・・・・・・・・・人はいつかからか言ったものだ、私を『平和の象徴』と。・・・・・・私は許せなかった。奪った者が得をする世の中が、奪われた人の悲しみが憎悪に変わり、次の被害者を出す負の螺旋が」
「皆が笑って暮らせる世の中にしたいと願った。その為には『平和の象徴』が必要だった。かつて、人は怯えて暮らしていたから、心が闇に覆われていたから」
「皆、半径3メートルの自分を守ることで精一杯だった。だから私がやらなきゃって思った。
「それが私の、オールマイトの
「なぁ、君の
「オレの、
オレを構成するするものの大半が
やはり、オレには、カーンしかないのだ。オレにとっての
・・・・・・決めたのだ、オレは進むと。なら、立ち上がる理由は一つだけだ。オレは失ってしまったから悲しいのだ。今になって気づいても、何も出来ないから悔しいのだ。だが、オレの感情が正常に働いているから悲しくて、悔しくて、寂しくて、涙するのだ。
───私は『雄英高校ヒーロー科1-A』涼原 雪芽
───もしどっちも受かったらさ、二人でお祝いパーティしようよ!!
───この子の怪我がとても酷くって!!
───おぉ、ヒーローさんか。・・・・・・信じていますぞ
「オレが立つ理由はッ!
「・・・・・・全てを守るというのか?それはきっと長い苦しみの始まりだ。いや、或いはその口ぶり、もう苦しんで・・・・・・?それでも、全てを守るためには、圧倒的な力と、途方もない努力が必要だ」
「無論だ・・・・・・オレに、今のカマソッソに!忘却を超えた勇者王に!!不可能は無い!!!」
「そうか・・・・・・やはり、君ならば。いや、君だからこそ───」
「君はヒーローになれる」
ビ─────
『只今を持ちまして、配置された全てのHUKが危険区域より救助されました。これにて本免試験全工程、終了となります!!!!』
『癒えない痛み 悲しみでキズついた君よ 消せない過去を背負いあっていこう
生きる事を投げ出さないで』
これは、きっとあの人は知らない現代の歌。これは、きっと私達から見たあの人を歌う歌。願うならば、私達もあなたと一緒にいたかった。出来れば生きて、歌って、踊って、楽しんで。でもね王様、寂しがりな私達の王様、これだけは知ってほしいの、『私達はあなたが王で良かった』
───いつか、また会うことが出来たのなら。それはなんて素晴らしいことでしょう。
前話の展開があまりにもオールマイトアンチな展開だったことをここに詫びさせて貰います。
決して自分にはオールマイトを下げる意図が無かったとだけ伝えさせて頂きます。
最後に書いた歌詞は『D-tecnoLife』という曲の一部となります。見れば見るほど何故かカマソッソを見るカーンの国民達に見えてしまい、思わず載せてしまいました。良い曲なのでおすすめしときます。
使用楽曲:「D-tecnoLife」 UVERworld
アルバム Timeless
作詞・作曲 TAKUYA∞
途中、追加という名目の修正をいたしました。オールマイト視点を少し書くことで前よりかはオールマイトがカマソッソが白認定したことに具体性が増す・・・・・・はずです