『あぁ!サリー!僕は・・・・・・君をずっと信じていれば良かった!今更になってこんな思いを抱いてしまうなんて・・・・・・失格だ、男として』
『そんなことないわブライアン!!私もどうかしてた!あなたは私のことを思ってくれていたのに、私はそれを裏切りそうになってしまった!どうか、どうか許して!!』
『あぁ、もちろん許すさ!!・・・・・・でも、もうどっちも遅いね、運命は僕達に時間なんてくれやしないのさ』
『えぇ・・・・・・でも!最後は二人で・・・・・・』
『あぁ、愛してるよ、サリー・・・・・・』
『私もよ、ブライアン・・・・・・』
「はぁーあ、話題作って聞いたからどんなもんかって期待してたのに、そこら辺のラブロマンス映画と変わんなかった。ねぇ?想太さん・・・・・・」
「っぐ・・・・・・良い話ではないか・・・・・・ここまでとは・・・・・・やるな、汎人類史・・・・・・」
「嘘!?泣いてるの!?なんで!?え、もしかして想太さんってロマンス系に弱いの?ちょっと意外・・・・・・」
「昔から創作には弱いのだ・・・・・・」
プロ本免許を取った週の日曜日、カマソッソは免許を取ったお疲れ様会的な感じで雪芽と出かけていた。雪芽が先週のヴィランから襲われていた礼も含めてカマソッソを誘ったのだ。近くの大型ショッピングモールで買い物などを楽しんでいたら、雪芽が折角なら何か映画を見たいと言い出したのだ、当然カマソッソは映画なんていう文化を知らないので見るものは雪芽にお任せ。雪芽は当然のようにカップルが見るようなラブロマンス物を選んだのである。
で、大体感動系のラブロマンスそれも洋画、それを作り物には感涙するカマソッソが見たらどうなるのか?号泣である。一般人が見たら「まぁ定番だな」「それなりに感動出来る」程度の評価の映画でも、作り物には遠慮なく泣くカマソッソが見たら号泣するに決まっているのだ。ちなみにこの映画でカマソッソの汎人類史に対する評価が少し上がった。
「さて、映画を見た次にやることと言ったら⋯⋯」
「言ったら?」
「スイーツだよね!美味しいスイーツ食べに行こう!!」
「先程までポッブコーンとやらを食べてたではないか⋯⋯」
「それは別だよ⋯⋯とそろそろ行かないとかな」
「?」
「1時から始まる限定シュークリーム!あと10分しかない!!ほら、行こう!!」
「???」
『いらっしゃいマセ!「クリーム甘井」のシュークリームはもう少しでの販売となりマス!!整理券を受け取りになって並んでお待ち下サイ!』
「すごーい!『クリームヒーロー ホイップマン』だ!」
「有名なのか?」
「子供がいる主婦世代に人気だね、こうやって全国のスイーツ屋さんとコラボしたりするから、スイーツ好きな人からは大体認知されてるよ」
「ふむ、変わったヒーローもいるものだな」
「想太さんもプロになったんでしょ?ヴィランが現れたら自分で動けるんだもんね、カッコいいなぁ」
「・・・・・・まだデビューすらしていないがな」
『シュークリーム、販売となりマス!!』
「うーん甘い!やっぱり行列が出来るだけあるねー!!」
「『甘井』のクリームだけに『甘い』、ということか」
「・・・・・・え?」
「・・・・・・・・・・・・なんだ」
「あっはははは!!!想太さんダジャレなんて言うんだね!いきなり言うから固まっちゃった!!」
「やはりオレでは駄目か!俗に言う『キャラ違い』というヤツだな!くっ!!」
「ちょっと意外だっただけだよ!想太さんダジャレなんて言う性格じゃないと思ってたから!でも大丈夫!ちゃんと面白かったし!!」
「ちゃんと面白いとは何だ」
オールマイトのようには行かないか・・・・・・あいつは自然とギャグを出せる。ネットで調べたらそれがもうオールマイトの一部として受け入れられていた。ヒーローを本格的にやるならやはり個性を出して上に登りたいと考えたはいいものの、上手く自分のキャラをどうしたらいいのかが分からんな
「想太さんが言うとアレかもね?ギャップ萌えになるかも!」
「『ギャップ萌え』・・・・・・?」
「うん、想太さんって普段クール系の人でしょ?それがいきなりダジャレとか言ったら普段とは違って面白いなぁって」
「ふむ、別にオレが言うのもデメリットばかりではない、ということか」
「私的にはそれでライバルが増えても困るんだけど・・・・・・」
「ん?何だ?」
「いやいや何でも!?それよりさ、想太さんもシュークリーム買ったの意外だったなぁ。甘いもの好きなの?」
「連れてきたのは雪芽だろうが・・・・・・まぁ、甘いものも嫌いではないな」
「そっかそっか、実はね、私のお母さんの方がかき氷屋さんやってるんだぁ。今度想太さんにお礼代わりにご馳走したいと」
「はっはぁー!!この商品は俺達のもんだぜぇー!!」
「む?」
「え?」
声がしたのはカマソッソと雪芽の後方。振り返ると宝石店の物品を荒らし、店員までも人質に取った二人組の異形の姿をした人物がいた。
「おっとこのショッピングモールにお出かけの皆さん、どうか通報だけはしないで下さいよ?しちゃったら・・・・・・この人がさぁ」
「ひぃっ!!」
「兄貴!ウダウダしてても店側からアラームがなっちまう!とっととずらかるべ」
「そうするかぁ!!邪魔したな!市民の皆さん!」
ヴィラン二人組は店員を連れたままその場から逃走、残ったのはカマソッソや雪芽、そして有象無象の一般人達。
「・・・・・・ヴィ」
「ヴィランだぁあああ!!!!」
「きゃあああああ!!」
「警察は!?ヒーローは!?」
「こんなショッピングモールにいるわけないだろ!?いたとしても警備員が精一杯だ!」
「とりあえず通報!通報を──」
「鎮まれ!!」
「「「「!!??」」」」
「オレのデビューがこんなところになろうとはな・・・・・・雪芽、お前は一般人の避難誘導を。出来るか?」
「うん・・・・・・想太さんは」
「今からは『カマソッソ』だ。コスチュームを着てきたのが功を奏するとはな・・・・・・」
「それコスチュームだったんだ」
「ふ、デザイン案共々提出しまくってやったわ。さて・・・・・・行くか」
「ヒーロー!?こんなところにいたのか!?」
「見たことないな・・・・・・」
「あれ?『ホイップマン』は?」
「このモールにいる者に告ぐ!現在モール内をヴィランが逃走中!この声が聞こえたものから外に避難を!!」
「飛んでる・・・・・・」
「あのヒーロー超イケメンじゃない!?カッコいい!!」
「ねぇ、ホイップマンはどこ行ったの?」
ヴィランと言えど人が多い所で犯罪を犯そうとするのならば何も無策で突破出来るとは考えていないだろう。そう考えると人が多い正面ゲート、またはその他のゲートから脱出するとは考えにくい。であるならば、オレが向かうべきは───
「兄貴ヤベェ!もう一般人が避難し始めてる!もうちょい混乱してるかと思ったのに・・・・・・もしかしたらヒーローがいたのかも!」
「いると言っても一人か二人くらいだろう。それに、俺達ならヒーローの一人や二人くらいどうにでもなるしそもそも戦う必要すらない。そのために俺達は屋上に向かってるんだろ」
「まぁそりゃそっか。で、コイツどうすんの?」
「んー!んんー!!」
「逃げられるまでは保持だ。最悪人質にして逃げるからな」
「えへっ、りょうかーい」
「そら、もう出るぞ───」
「ほう、意外と早かったな」
「「─は?」」
『こちら東京都某区にある大型ショッピングモールです!!通報によりモール内で二人組のヴィランが出現したことが確認出来ました!モール内には多数の市民がおり混乱が続いております!またヴィランは人質を取り逃走している模様!モール内ということもあり、近くにはヒーローがいない可能性が高く、対応の遅れが懸念されています!!・・・・・・では引き続き詳細を───待って!あれ写して下さい!!』
『皆さんご覧になられているでしょうか!?モールの屋上、ヴィラン二人と対峙している一人の人物───ヒーローです!!いち早く駆けつけたのでしょうか!?ですがあんなヒーローいたっけ・・・・・・・・・・・・今情報入りました!!ヒーロー名「カマソッソ」。今週の本免許試験で見事合格した新人ヒーローです!!』
「・・・・・・報道用のヘリか、撮られているな。ふむ、デビューにしては中々の舞台が出来たか?」
「へ、俺達ァ別にあんたと戦わなくてもいいんだがなぁ。人質取ったまま逃げれりゃ」
「遅い」
「あ!?人質が!?」
「何してんだジロー!!人質取られたらこっちが危なくなるだろ!?」
「ごめん兄貴!でも今の早すぎだよ無理だ!!」
「・・・・・・いや、いい。どうせ他のヒーローは屋上だし来るのが遅れるだろう。こっちは二対一それもあっちはわざわざ人質を抱えてくれると来た。とっとと潰して人質取り返して逃げんだよぉ!!宝石も早く売っちまわねぇとだしなぁ!!」
「・・・・・・というわけであんた、とっとと潰すぜ」
「・・・・・・あれ?人質は?」
「何!?」
兄弟か?こいつらは。ウダウダ無駄に喋りすぎたな、作戦会議に夢中でオレが人質を扉の方に置いてすぐ逃げさせたのを見ていなかった。顔も隠していないし、先の人攫いと比べれば相当格の落ちるヴィランだろうが、まぁこんなものか。
「生憎こちらはデビュー戦というものだ。少し格好つけさせて貰うぞ?」
「あら、新人ヒーローちゃんですか。それは残念、デビュー戦で俺達なんて、可哀想なヒーローだなぁ」
「これなら楽勝だね兄貴!!」
その自信はどこから湧いてくるのだ・・・・・・?だが、いい。これはデビュー戦、オレは何事にも妥協はしない。派手に行こう。このための名乗りも
「改めて挨拶をしよう猿ども!!正義に仇なす
「悪を断つ蝙蝠の王、カマソッソの雄大さを!!!」
「知らねぇよやっちまえ!!」
「あ、兄貴コンビネーション・・・・・・!」
「愚形、憐れなほど愚形!!人数差があるにも関わらず一人ずつ来るとは!!蛮勇、だが強大な壁を前にして取る行動としては愚策!!まずは動く者より動いていない者!・・・・・・そらァ!!」
「・・・・・・げふ」
「ジロー!クソが!俺を先に狙うだろう突っ込んできてんだから!!ォオ!!」
「・・・・・・やはり、ぬるい」
「何──」
「止められる、と踏んだから先に動いていない方を片付けたに決まっているだろう。弟の方は首を峰打ちだ、ただの気絶。だがお前は、本気でかかってきたな?ならば殺す他あるまい、オレの本気の一撃で死する他あるまい!!!」
「ぐぁっ!?(俺を空中に投げ飛ばした!?軽々と!?どんなパワーだよクッソ!!)」
・・・・・・今オレはあの技を使えるのかどうか、ずっと考えていた。理論的には可能。だがミクトランのオレのように、爆発的な火力は出せまい。即ち身体の限界。・・・・・・もしくはオレに何かが足りない。不十分とは言えオレが今出せる最大の
「蝙蝠よ、オレに纏え!!太陽無き世界の技なれど、太陽有る世界で放てない道理はなし!!いざ征かん、恐怖を体現せし”炉"と共に!!・・・・・・『
『以上、現場からの報告になります!新人ヒーロー「カマソッソ」が二人組ヴィラン「カエルスーパーブラザーズ」を撃破・確保に成功しました!!・・・・・・あ!今そのカマソッソさんがモールから出てきたようです!!』
「キャー!カマソッソ様ー!!」
「うわ・・・・・・ドタイプかも・・・・・・」
「翼が生えてる・・・・・・蝙蝠のような見た目をしているけど個性が蝙蝠なのか?それにしてもデビューでこの動き、少し戦闘慣れしているというか、ある程度場数を踏んでいるヒーローの動きだった。それに最後に繰り出した巨大な鎌・・・・・・相当訓練をしたんだろうな・・・・・・僕も、個性があったら・・・・・・」
「なんだ、この人だかりは・・・・・・雪芽、避難させたはずじゃないのか?」
「それが、一部の人はこうやって応援するって聞かなくて・・・・・・でも凄いじゃん!デビュー戦、それもそこそこ名の通ったヴィランを単独撃破だよ!これは売れるかもねー」
「そんな適当な話あるのか・・・・・・?」
『すみません!ヒーロー「カマソッソ」さんですか!?どうやらモール内の避難指示から人質解放、ヴィラン捕獲まで一人でやっていたとの報告が!』
「雪芽、少し離れていろ・・・・・・あぁ、確かにオレがカマソッソで間違いない」
『ヴィラン確保おめでとうございます!それも今回がデビューだったと届いております!また更にはあの「人攫いのゴロウ」の撃破の噂も・・・・・・ええと、とにかく今の心境等何か、一言下さいませんか!??』
一言・・・・・・一言。こういう時は変に長過ぎても駄目だし主張が強すぎても駄目だとオレの本能が訴えかけている!!オレが今一番言うべきことは何か、何だ?・・・・・・・・・・・・自己PRを含めたデビューの感想!これで行くか!
「他にヒーローがいなかったとは言え、モールの一般人達を混乱させてしまった・・・・・・ように思う。まだまだこれからだ、『蝙蝠ヒーロー カマソッソ』をこれからよろしく頼む」
どうだ、今オレが考えうる限り最善の言葉ではないか!?
「「「「「「「キャアアアアアアア!!!!」」」」」」」
『・・・・・・感動しました!!こんな瞬間に立ち会えるなんて・・・・・・ありがとうございました!!皆さん、ご覧頂けたでしょうか!?これはまさに歴史的瞬間!超新星の蝙蝠ヒーロー「カマソッソ」出発の瞬間に私達は立ち会えることが出来たのです!!』
思ったよりもウケすぎているような気がするのだが・・・・・・
「『超新星!!堂々デビュー、蝙蝠ヒーロー カマソッソ』だってさ!ネットニュースの一番上に載ってるしネットじゃ『カマソッソ』がトレンド入りしてるよ!デビュー大成功だね」
「オレの想定を超えすぎているような気がするのだが」
「そりゃそうだよ、結局あの『ホイップマン』も戦闘系個性じゃないから避難誘導に徹してて、その中で真っ向から立ち向かった上に、屋上であんな派手な戦闘しちゃうんだもん。それに想太さんね、元々のビジュが良いの!だから人気出やすいのは当然!更にインタビューでのあの顔!そりゃみんな惚れちゃうよ!!!」
「オレがどんな顔してたと言うのだ・・・・・・」
この後この事件を報告した際に塚内から、ばったり出会った際にオールマイトから祝福兼イジりの言葉をかけられたのは言うまでもないだろう。
「俺達まだ本編に出ていないけどカマソッソのコスチューム紹介してくぜアゲテケよ!?アーユーレディ!?」
「俺いらないだろ」
「第一にカマソッソが普段着としても使える基本コスチューム『カーン
「非常に合理的だな」
「そして二番目だがラスト!!カマソッソは己の体で戦うからコスチューム自体あんまいらないんだな!ズリィー!!ってことで高性能スニーカー『シバルバー:冥界』だ!厨二クセェなぁカマソッソ!!シルバーだかシバルバーだか知らないが色は黒!!走りやすいことだけが特徴のスニーカーと思っちゃあ大間違い!」
「非常に合理的だな」
「カマソッソは個性を使用すると手足共にコウモリの爪になっちまう!手はどうでもいいが、足は靴がビリビリになっちまうだろ!?それを解決するためにカマソッソは『変形するシューズ』の製作を依頼した!つまり足の形が変わっても靴自体が変形してそれにフィットするようになってんだ!科学スゲェーってことでこれもあまり深く突っ込んでくれるなよ!?」
「非常に合理的だな」
「ということでカマソッソのコスチューム紹介は以上だ!!俺はこの合理的ボット連れて退散するぜ!!あばよリスナーの皆!次会う時は本編でな!!評価感想ドンドン待ってるぜイェア!!」
「非合理的な時間だったな」