ダンジョンに初代ロトの勇者がいるのは間違っているだろうか。   作:ドラクエ11激推し侍

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なんというか、メインの筆休めのつもりで書いたはずなんですが、有難いことに意外と評価が付いたので続きます。
割と原作改変が著しい作品なので、合わない人も多いかと思われます。
その辺りは自己責任でお願い致します。

あと、主神はルビス様じゃないの?というコメントがありました。
ちゃんと理由はあります。ただ独自解釈が強かったり、作者が忘れている部分で矛盾が起きたりするでしょうが、どうかご容赦頂ければと思います。


迷宮都市オラリオ

 

 

 

 

 

 

 

 アナーヒター・ファミリアは、昨日遠征を終えて地上に戻ってきた。

 たった八人での遠征なので後処理は昨晩のうちに済ませられたが、グレイグ以外の全員が揃ってランクアップしたこともあり、のんびりできるわけでもなかった。

 

 まあ、ランクアップに関しては当初の予定通りではある。

 イレブンを筆頭に遠征前からしようと思えばできたのだが、伸び代を埋めるためにもお預けにしていたのだ。

 そのためギルドに申請するための書類などは事前に用意してあったし、これはそこまで忙しなく動くほどのことでもない、と思っていた。

 

 それに、最終到達階層の更新は話が別だ。

 フレイヤ・ファミリアの58階層を超えて、アナーヒター・ファミリアは60階層にまで到達してしまった。

 それ以降の階層は他派閥との連携が無ければ認められないとギルドに言われているので行かなかったが、何故58階層で留めなかったのかとファミリア団長のイレブンはげっそりした顔で嘆く羽目になった。

 

 何故ならイレブンは、本拠地(ホーム)の留守をグレイグに任せて他のランクアップ組を引き連れてギルドに報告をした結果。

 到達階層や団員の連続ランクアップについて、朝から夜までギルドに拘束されて報告し続けていたのだ。

 ロイマンだけなら途中でぶっちぎったかもしれないが、不運なことにギルドの主神ウラノス立ち会いのもとで話が行われた所為で、碌に食事を摂ることもできなかったほどである。

 ちなみに、ギルドは何度か人が入れ替わっていたのでしっかり休憩している辺り酷い。

 

 結局は虚偽の報告もなく、不正もないと神ウラノスの名の下にギルドが公式発表されることになった。

 ゼウス&ヘラ・ファミリアが残した過去の報告書を漁ってイレブンの報告と矛盾がないことを確認したり、嘘を見抜く神の眼前で不正はないと幾度も言葉にしたりと、まるで尋問でも受けているようだったと後にとあるギルド職員は語った。

 しかし、これは嫌がらせなどではなく、アナーヒター・ファミリアのためでもあるのがややこしい。

 

 それというのも、一般市民から多大な支持を受けているアナーヒター・ファミリアだが、当然のように悪感情を抱く輩もいるわけで。

 特に一部の面倒臭い神々からは蛇蝎の如く嫌われている。

 例として挙げるならば、イシュタル・ファミリアなんかも敵対派閥に含まれるだろう。

 これは九割以上は主神イシュタルの私怨だが、現在から八年ほど前、イレブンにすげなく袖にされたことから端を発している。

 美の神として絶対の自信を持つ魅了を以ってしても僅かたりとも靡くことはなく、イシュタル側から仕掛けた戦争遊戯(ウォー・ゲーム)でも格下であるはずのアナーヒター・ファミリアに惨敗。

 プライド諸共に様々なものを破壊されてしまい、結果として半ば絶縁状態にまでなっているのが現状である。

 

 このようにアナーヒター・ファミリアを目の敵にする連中からすれば、今回の複数ランクアップ申請や最終到達階層の更新は認めたくないところだ。

 ギルドとしては大々的に発表したいが、絶対に裏から妨害を受けることになる。

 オラリオにとって『人類の希望』の飛躍は、正しく希望となる。

 これを何も憂うことなく喧伝できないのは目に見えない部分でも、計り知れないほどの損失となる。

 そこで、ロイマンは考えた。

 祈祷で忙しいとかなんとか知らんけど、嘘を見抜ける主神(ウラノス)を巻き込めばいいじゃん、と。

 

 まず報告を受けた直後にギルド内の掲示板に大々的に貼り出して周知し、その間にイレブンを捕まえて神立ち会いの元で裏を取る。

 ちょっと情報量が多すぎて夜まで時間が掛かったのは誤算だったが、信奉者と呼ばれる一般市民でさえ一瞬耳を疑うような怒涛の報告だったこともあり、ギルド側が情報の正確性をしっかり確認する姿勢は好意的に見られた。

 敢えて人目に触れるところでイレブンを呼び出し、そういう姿勢を見せたこと自体が厄介な連中への牽制になった。

 これでギルドが公式発表をするまでの間、どのような噂が流れても誰も耳を貸さなくなる。

 オラリオの大多数がアナーヒター・ファミリアを信じていることもあり、敵対派閥の裏工作は失敗に終わり、無事にイレブン達の偉業がギルドにより喧伝されることになった。

 

 そんな事情があったのでイレブンは文句も言えず、気疲れで重くなった体を引き摺って、すっかり日の暮れた道を歩いていた。

 北東のメインストリートを真っ直ぐ進み、途中で裏路地を通って何度か角を曲がった先にアナーヒター・ファミリアの本拠地(ホーム)は建てられている。

 最初に目に入るのは、穢れのない純白の外壁で構成された二階建ての建造物だろう。外壁の中央にはちゃんと目立つようにと、竜に剣を突きつける戦士を模したエンブレムが飾られている。

 だが、建物自体はそんなに大きくはない。十人そこらの生活拠点としては問題ないだろうが、恐らく二十人くらいになると手狭に感じるような、そんな塩梅の大きさだ。

 むしろ建物よりも庭の面積の方が広大であり、今も幼馴染であるエマの愛犬ルキがイレブンの帰宅を察知して庭を抜けて走り寄ってきたところだった。

 

 

「ワンッ!」

「ただいま、ルキ」

 

 

 後ろ足二本で立ち上がるようにしてイレブンに飛び掛かってくる。

 もふもふを全身で享受しながら抱き上げて、そのまま本拠地(ホーム)の中へと入っていく。

 今日の疲れが癒やされていくのを感じることだろう。

 しかし、ルキが外にいたということは恐らく今は、そう思って庭を見ればエマと一緒に()()()()()()()()()()()がそこにいた。

 

 

「あら、イレブン!お帰りなさい。ルキが外に走っていったからそうだと思っていたけれど、丁度帰ってきたところだったのね」

「エマ。うん、ただいま。みんなにご飯をあげてたんだね」

「そうなの。この子達もお腹が空く頃だし、昨日イレブン達が持ち帰ってくれた深層の良質な魔石をあげてみたんだけど。ふふっ、やっぱり別格みたいだわ!食い付きが違うもの!」

 

 

 夢中になって魔石を齧るヘルハウンドの頭を撫でながら、エマは楽しげな笑い声を上げた。

 その個体以外にも数匹のヘルハウンドがおり、他にもコボルトやルー・ガルーの姿も確認できて、例外なく魔石に夢中になっている。

 こうして地上でモンスターを飼えるのも、目の前にいるエマの力によるものだった。

 

 イレブンを含めた八人の遠征組が過去に目立ち過ぎたことで、アナーヒター・ファミリアは八人だけで構成されているファミリアだと勘違いされているが、正確にはあと二人と一匹いることはあまり知られていない。

 そのうちの一人が、ここにいるエマだった。

 二つ名は『犬母(けんぼ)』。その名の通り、犬系のモンスターを使役する調教師(テイマー)であり、実力はLv.3の範疇に収まらないと言われている。

 本人の戦闘力はLv.2相手にも負ける程度だが、使役するモンスターの中には深層に出現するルー・ガルーまで複数匹いる上に、前述したように一匹残らず強化種になっているため、下手な第一級冒険者よりも強力な戦力を多数有しているのだ。

 元は上層のモンスターだったコボルトでさえ、今ではLv.3の冒険者に匹敵する戦闘能力を持っていると言えば、その恐ろしさが伝わるだろうか。

 

 そんなわけで、基本的にエマは本拠地(ホーム)の留守を守るために地上にいることが多く、ダンジョンには時々魔石集めで潜るくらいだ。

 更に使役するモンスターは強くても本人が弱いため、冒険者の間ではあまり話題に出ない。

 モンスター部隊は迷宮都市の警邏活動などをしているので有名ではあるが、どうしても肝心のエマの影が薄くなってしまうという仕組みである。

 まあ、エマに功名心とかは無いので、特に気にしてはいないのだが。

 

 

「それはよかった。いつもエマや神様の護衛ご苦労様。また明日からよろしく頼むよ。もちろんルキもだ」

「ワンッ!」

『『『ギャウッ!』』』

『『『バウバウッ!』』』

『『『ウォンッ!』』』

「みんな任せろー、って言ってるみたいね」

 

 

 イレブンの言葉に、各々が一鳴きして返事をする。

 何故ルキにも声を掛けたかと言えば、犬であると同時にアナーヒター・ファミリアの眷属でもあるからだ。

 二つ名は『超犬(スーパー・ドッグ)』。ただの犬であるにも関わらず、主人のエマやイレブンを助けるために覚醒してLv.4に至ったとんでもない犬だった。

 実は『超・戦士†犬勇者(スーパーウルトラアルティメット・ドッグ)』とかいう、前世の記憶を持つイレブン的には受け入れ難い名前だったので、神会(デナトゥス)にアナーヒター・ファミリア総出で乗り込もうとした結果、満場一致で現在の二つ名になったという経緯がある。

 なお、イレブン以外は元の二つ名も格好良くて悪くないと思っていたのは秘密だ。

 

 

「あっ、私ったらいっけない!イレブンにお客様が来てるのを言い忘れてたわ!もう一時間くらい待ってもらってるから、早めに行ってあげて!」

「僕にお客さん?そんな約束した覚えはないけど。名前は聞いてる?」

「えっと、名前は教えてくれなかったんだけど、女性の人で()()()()()()()()()()()()()()()って言われたわ」

「……!!本当にそう言ったんだね?分かった、伝言ありがとう」

「う、うん。また後でね」

 

 

 そんな和やかな雰囲気は、エマの伝言を聞いて吹き飛んだ。

 その言葉が間違いないとして予想通りの相手ならば、先方は既にだいぶ機嫌が悪い可能性がある。

 約束もなく来ておいて理不尽な話だが、そういう相手なのだから仕方がない。

 ギルドでのあれこれで疲れているのに休む暇もなく面倒ごとが押し寄せる。泣きっ面に蜂とはこのことか、と溜息を吐きながら応接室へと急いだ。

 

 

 

 

 

 ◆◇◆

 

 

 

 

 

 アナーヒター・ファミリアの本拠地(ホーム)、『無垢の神殿』は二階が団員の寝室で、一階は執務を行う仕事部屋や居住空間になっている。

 そのため、客人を持て成す応接室も一階に用意されていた。

 

 イレブンが応接室の前に辿り着くと、部屋の中から言い争う声が聞こえてくる。

 この元気な声は間違いなくベロニカだろう。

 だが、肝心の相手の声はしばらく耳にしていなかったので、それだけでは確信を得るには至らない。

 どちらにせよ入る以外に選択肢はないため、諦めた顔で扉をノックした。

 

 

「あらっ、どなたぁ〜?」

「僕だよ。今帰ったところなんだけど」

「その声はイレブンちゃんね?入っていいわよぉ〜!」

 

 

 シルビアからの誰何に答えれば、すぐに入室の許可が下りた。

 扉を開けた先には、予想通りというと無性に悲しくなるような光景が広がっていた。

 

 

「だ、か、らぁ〜っ!!アンタは常識ってものがないのっ!?遠征が終わった翌日に約束も取り付けずに来ておいて、あたし等に文句付けるって何様っ!?信じられないんだけどっ!!」

「…………いつになれば、その煩い口を閉じる?貴様(おまえ)が言うように、今は大人しく待っているじゃないか」

「ちっが〜うっ!!イレブンの帰りが遅いと分かった時点で日を改めるのが筋ってもんでしょうがっ!そこをどうして帰ってくるまで他人の家に居座るなんて発想が出てくるわけ!?だから常識がないって、あたしは言ってんのよっ!!」

「…………そうか。ならば、手伝ってやろう。そうすれば雑音(おまえ)も静かになるだろう?」

「上っ当よ!!この天才魔法少女ベロニカ様の力を、骨の髄まで分からせてやるわっ!!」

 

 

 一触即発。不倶戴天。犬猿之仲。

 そのどれもが、恐らく表現として状況に適しているだろう。

 髪を振り乱しながら吠えるベロニカと、外套(コート)で身を隠した見覚えのある女性が視線だけで相手を殺せそうな迫力で睨み合っていた。

 ベロニカが手元の杖を握り締め、女性が剣の柄に手を掛ける。

 どうやって止めるべきかと姉の隣の席であわあわしているセーニャがひたすらに癒しだった。

 

 奇跡的に噛み合わない両者の会話を聞いていると、イレブンは頭痛がしてきた。

 部屋の中を見回してみれば同じような痛みを感じているのか、主神アナーヒターが青白い顔で胃を押さえて遠くを見ていた。

 カミュは処置なしとでも言うように両手を上げて肩を竦めており、シルビアはあちゃーと目に手を当てながら空を仰いでいて、ロウとマルティナとグレイグは静観している。

 今にもドンパチ始めそうだった二人だったが、部屋に入ってきたイレブンを一瞥して、気が削がれたように席に座り直した。

 

 

「イレブン、お疲れ様。もう用は済んだのね?」

「……うん、大丈夫。ウラノス神の名義付きで公式発表してるから、変な奴等も出て来ないと思う」

「それは朗報ね。ただ、しばらくは身の回りに気を付けるようにしましょう。今のあたし達に手を出す馬鹿なんていないと思うけど、一応ね」

「そうだね。カミュ!ここにはいないみたいだし、あとでマヤにも伝えといてくれる?」

「おうっ!今日は代わってやれなくて悪かったな」

 

 

 簡潔にまとめた結果そういうことに決まった。

 Lv.7以上が八人所属する上に、ルー・ガルーの強化種というLv.5と同等の戦力も複数いる。

 ルキはもちろん、カミュの妹であるマヤはLv.4で『黄金』という二つ名を持っているし、格下相手には無類の強さを発揮するのだ。

 それこそ相手になるのはフレイヤとロキのところくらいだろう。数にこそ差はあるが、質で優っているので抗争でも起きれば互いに無事では済まないに違いない。

 

 そして、イレブンは女性の正面に座って向き合う。

 最後に顔を合わせたのは六年前だが、不思議なことに全く姿が変わっていないような気がした。

 実際のところは分からないが、全身に纏う強者の雰囲気というのか。

 そういうものが、変わっていない。…………いや、むしろこれは()()()()()()()()()()

 イレブンが察したことに気付いたのか、その女性は僅かに笑みを浮かべた。

 

 

「久しいな、『奇跡の子』よ」

「そちらこそ。六年ぶりですか?『()()』」

 

 

 その言葉に、身を隠していた外套(コート)を脱ぐ。

 顕になったのは漆黒のドレス。『静寂』のアルフィアの代名詞でもある『魔法衣』。

 瞬間、アルフィアは抑えていた覇気を解放した。

 

 

 

 

 

 現在から七年前、オラリオを恐怖の坩堝に叩き込んだ元凶の一人。

 ヘラ・ファミリア所属の冒険者。Lv.7に至った英雄。

 アストレア、ロキ、アナーヒターの三つのファミリアが協力してようやく打倒し得た────かつて『悪』を掲げてオラリオを火の海へと変えた才禍の怪物。

 

 

 

 『静寂』のアルフィア

 

 

 

 それが、七年前の姿そのままに、そこにいた。

 その痩身から放つ覇気を、当時とは比べようもなく増しながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





はい。

アルフィア生存√です。

わぁー、ぱちぱち。
やったね、ベル君。家族が増えたよ!

話は変わりますが、いざ書くと決めれば私も欲しいものがあります。
どうか皆様にもご協力頂けると助かります。
高評価、お気に入り登録、感想、ここ好きなど。
主に作者のモチベーションに関わりますので、是非ともよろしくお願い致します。


【登場人物紹介】

・アルフィア
31歳。女性。灰色のロングヘアー。オッドアイ。
ヘラ・ファミリアの元エース。現在は????・ファミリアに所属している。二つ名は『静寂』。
七年前のオラリオ襲撃時はLv.7だった。今は????。
基本的にダンまち原作と同じ流れを辿ったが、本来死ぬはずの運命を捻じ曲げられて現在も生き続けている。イレブンとの関係性は複雑怪奇。
魔法主体と見せ掛けて、実際そうでありながら怪物の名は過言ではなく、接近戦も糞ほど強い才能の暴力。魔法剣士の完成系。
実は、原作主人公の伯母。あとなんか、不治の病を克服したらしいよ。おめでとう!少し雰囲気が柔らかくなっているっぽい。甥っ子、イレブンの二人は特に気に掛けている対象なんだとか。
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