「行くよ!」
掛け声とともにナメクジの化け物、『スネイルレイン』に立ち向かう。
手にはマシロちゃんから手渡されたE.G.O.、黒いガラスの破片のような剣。E.G.O.がどんなものかは聞いていたが、本当に手に持つだけで使い方がわかるなんて……
「これなら…… ふっ!!」
「……!!」
動きの鈍重なスネイルレインに対して、すれ違いざまにE.G.O.で切り付ける。するとスネイルレインは声にならない叫び声をあげる。
「うげぇ……」
先ほど切り付けた部分を見てみると、その部分の小さなナメクジたちが黒く染まりもだえながら分離していく。地面に零れ落ちたナメクジたちはのたうち回ると、やがて動かなくなって黒い灰となってE.G.O.に吸い込まれていく。
「まぁ! すごいわサクラ♪ 初めての戦いとはまったく思えない!」
「えっ? まぁ、それほどでも……」
マシロちゃんの言葉に照れてみるけど、よくよく考えればE.G.O.を使えばだれでもこんな風に動けるんだから私の実力じゃないよね? なんかちょっと恥ずかしい……
「と、とりあえずこのまま…… えっ!?」
この調子でこの幻想体を倒そうとスネイルレインに向き直ると、予想外の光景が目の前に広がっていた。
先ほどまでは一体の巨大なナメクジだったはずなのに、気が付けば周囲に3体の猫ほどの大きさのナメクジが存在していたのだ。
「あら、以前はこんなことできなかったのに…… やっぱりクリフォト抑止力ってすごかったのね」
「や、やばっ!?」
いくら遅くっても、やはり数は力だ。
とりあえず向かってくる小型のスネイルレインに向かって刃を振り下ろして両断すると、頭の上にべちょっと粘着質な音と共に何かぬめぬめしたものが落ちてきた。
「……えっ、まさか」
私は恐る恐る頭の上に手をやると、ぬめぬめとした何かが手に触れ、即座に頭の上から振り払った。
「いやあぁぁぁぁぁ!?!?!? 最悪最悪最悪最悪!!!!!!」
狂乱してE.G.O.を振り回し、周囲のナメクジたちを切りつける。
そのおかげかスネイルレインたちもあまり近づいてこなかったおかげて、少しして冷静になるとふと違和感を覚える。
なんか、私が切りつけているナメクジたち、多くない?
「……えぇぇ」
少し落ち着いてから周囲を確認すると、上から手のひらサイズのナメクジたちが降って来ていた。それはまるで、『スネイルレイン』という名前の通りに……
そこで私は、やめておけばいいのに天井を見上げてしまった。
もちろん後悔した。なぜなら案の定、天井には手のひらサイズの大きなナメクジたちがびっしりと蠢いていたのだから……
「うっ、うわあぁぁぁあぁ!!!!!」
拭いきれない嫌悪感を振り払おうと、一心不乱にスネイルレインに突っ込んでいく。
この元凶を倒せば、こいつら全員消えてくれないかなぁという、淡い期待を込めての行動だった。
「このっ! くらえっ! 消えろっ!!」
飛び掛かってくる小型のスネイルレインたちを切り裂きながら、一番大きなスネイルレインに向かっていく。
すると大きなスネイルレインはぶるりと体を震わせると、再び分裂して小さなスネイルレインを生み出していく。
「もうっ、これじゃあイタチごっこ…… あれ?」
このままだとジリ貧だと思っていると、分裂したスネイルレインは、少し小さくなっていることに気が付いた。
おそらくはあのナメクジたちの総数は変化しないのだろう。それなら無限に増えるわけじゃない?
でもそこまで小さくなっているようには……
「あっ!?」
そこでさらに気が付く。上から降ってきているナメクジたちが、スネイルレインの身体に取り込まれていっていることに。
こいつら卑怯だ!? 弱っても自分で回復できるし分裂もできるなんて!?
「こ、こうなったら速攻で本体を倒すまで!!」
このE.G.O.の特性はなんとなく理解している。
切り付ければ黒い刀身から色が相手に移り、それをうまく相手に溜めきれれば相手の力を封じることができる。
それが今の私にできるかどうかはわからないけど、とにかくやってみる価値はある!!
「喰らえ!!」
とりあえず分身たちを切りつけて本体に接近する。動きは遅いし分身たちは一撃で倒せるから意外と何とかなる、あとは本体を切り刻むだけ!!
「なっ、うまくいかない!!」
でも、本体を切り刻んでも最初の時のように黒く染まったナメクジを分離させられてしまいうまく黒色を貯められない…… いや、その分うまくダメージを与え続けられていると考えれば大丈夫!!
「うわっ、あぶなっ!?」
スネイルレインの飛び掛かり攻撃をすんでのところで避けて、側面から切りかかる。いくら天井からナメクジが供給されるからって、こっちの減らす速度の方が何倍も速い!
……天井から私に降りかかってくるものは、とりあえず考えないことにする。だって意識したら発狂しそうだし。
「いい加減に…… 終われえぇぇぇぇ!!!!」
だいぶ小さくなってきたスネイルレインを、思いっきり一刀両断する。すると小さい分黒色の侵食が早かったのか一瞬で全身が黒く染まり、灰となってE.G.O.に吸収されていった。
「はぁ、はぁ…… な、何とかなったぁ~」
スネイルレインが消え去り、大きな卵だけが残ったのを確認してへたり込む。
体は汗でベタベタ、ついでに粘液でねちょねちょ。ナメクジたちは消えたんだから、どうせならこの粘液も一緒に消えてよぉ……
「サクラ、お疲れ様」
気が付けば、マシロちゃんが私の傍までやってきて正座で座っていた。太ももをポンポンしているってことは、膝枕してくれるのかな?
ここはその好意に甘えておこうかな……
「ありがとう、マシロちゃん……」
「ふふっ、こちらこそ、ごちそうさまでした♪ ありがとうね、サクラ♪」
ありがたく彼女に膝枕されると、頭を撫でられてうとうとしてしまう。
そして、気が付けば私は、まどろみの中に意識を投げ出してしまうのでした……
今更ながら、Twitterを始めました
小説のことや、以前話していたロボトミーのTRPGについて呟いていこうと思っています
特にTRPGことについては一人で作ることに限界を感じていますので、様々な人の意見をお聞きしたいと思っています
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