「師匠、こんなのどうやって倒すんですか!? いくら切ってもキリがないですよ!?」
私はさっそく師匠に連れられて、ナメクジの化け物と対峙していた。
巨大な人間サイズのナメクジ…… いや、手のひらサイズの大きなナメクジの集合体はどれほど切っても群体のうちの数匹を断つだけで、その隙間はすぐに他のナメクジたちによって塞がれ終わりが見えなかった。
「まったく、そんな体たらくではおぬしの一刀にはたどり着かんぞ」
そういってあきれ顔で私を見つめる師匠。そんなこと言われても、どうしろって言うんですかぁ。
「し、師匠! これが、言ってた不死身の怪物ってやつですかぁ!?」
先ほどようやく教えてもらったけど、どうやらここには不死身の化け物がいて、それが私の修行にもってこいだからって戦わされて! これどうしようもないじゃん!
「……はぁ、見ておれ」
そういって師匠がため息をつくと同時にナメクジの怪物から距離を取る。こういう時は大体私が近くで巻き込まれるとか関係なく切ってくるし、実際すでにあのナメクジ真っ二つに切れているし。
「で、でも師匠! こいつ切ってもすぐ再生しますよ!? どうやって倒したら……」
「だから見ておれと言ったであろう」
そういって抜身の刀を鞘に納めて、金打。
すると巨大な体を構成する手のひらサイズのナメクジたちすべてが、ひとりでに真っ二つにされて崩れ落ち、ナメクジの質感と模様のした卵へと変貌しました。
……えぇ?
「よいか? この手の輩は、群体の中に司令塔を担っている個体が付き物だ」
「な、なるほど…… つまりはそいつを切ったわけですね? そ、それで、全部真っ二つになったと」
「いいや、そいつを切ったところでそうはならん。司令塔を切ると同時に心の太刀でも切り付け、全てのナメクジどもを『自らが切られた』と錯覚させたのだ」
「……?」
何言ってるんだろうこのジジイ? ついにボケちゃったのかな?
「よいかハガネよ、刀とは鍛えれば自ら振らずとも相手を断ち切ることもできる」
「そしてその刀を極めた先、これぞ我が一刀と言える一振りを目指すのだ」
「でも心の太刀で切るのは無理がありますよ師匠!!」
この人本当に化け物だ!? でも私も鍛えればこんなことができるように……
「……あれ? そう言えば、さっきの怪物って不死身って言ってませんでした? 師匠ついに不死身の殺し方まで習得しちゃいましたか?」
「馬鹿を言うな、出来なくもないがそんなもったいないことするわけないだろう」
あっ、出来なくはないんだ。さすが師匠、もう刀でできることは何でもできるんじゃないかな?
「そこに趣味の悪いイースターエッグみたいなのが落ちてるだろう?」
「イースターエッグ?」
「……卵だ。時間が経てばそこからさっきの奴が復活するらしい」
「ほぇ~」
なら、復活するまでは休憩時間ってことですかね? 休憩時間があるなんて、久々に気が楽な……
「もちろん復活するまでは他の怪物と戦ってもらう」
「えぇ!? そりゃないですよ師匠!?」
「残念だがもう呼び寄せておる」
「いったいいつの間に!?」
「さっきの心の太刀の応用だ、遠くの相手に挑発的な殺気を飛ばし、呼び寄せる。便利だから今後教えてやろう」
「そんなのいりませんから!?」
結局私は合計3種類の化け物たちと戦う羽目になりました。しかも最後の方は処理が間に合わず3体同時に戦う羽目になり、これから師匠がこの修行に飽きるまでこれが続く事実に涙することになりました……