Legacy of Reverie   作:名無しの権兵衛

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動物園:今後

「ただいまぁ~」

 

「……あっ! ヒカリさんお帰りなさい!」

 

 何とか死にたがりさんを満足させて、エンケファリンをもらって帰ってきました。

 

 すると、エントランスのところでサクラちゃんがお出迎えしてくれたので、エンケファリンを見せながら手を振ってみた。

 

 エンケファリンって、意外と小さな容器に入っていてびっくりした。こんな量で電力になるのかな?

 

「あっ! それを持ってるってことは、大丈夫だったんですね!?」

 

「うん、何とかなってよかった」

 

 正直、ちゃんとできるか心配だったけど、どうにか生き残れた。

 

 それでエンケファリンもそこそこもらえたし、たぶんお金に余裕ができるよね?

 

「あっ、すいません。終わった後の説明がまだでしたね! こっちに来てください」

 

 サクラちゃんに言われるがままについていくと、なにか物販の様なスペースに白い髪の妊婦さんがいました。

 

「あら、こんにちは。貴女がヒカリね?」

 

「は、初めまして、光です」

 

「私はクロって名乗っているわ、よろしくね」

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

 絶対偽名だ…… というか、クロって少し安直すぎませんか? 確かに服装は真っ黒だけど……

 

「えっと…… サクラちゃん、終わった後の説明って?」

 

「あぁ、それなら私が話すわ」

 

 サクラちゃんに話を聞こうとしたら、クロさんが代わりに説明してくれるみたい。

 

 なんだろう、手数料を取られるとかかな……?

 

「さて、まずここでエンケファリンを手に入れたとしても、それを現金化する際に伝手がなくて出来なかったり、ぼったくられてしまう可能性もあるわ」

 

「ついでに、そこで大金を手に入れて組織に目をつけられる可能性も……」

 

「……ゴクリッ」

 

 なるほど、確かにその可能性は否定できない。

 

 大金持ってたら狙われるし、持ってそうっていう可能性だけでも狙われるのが都市だ。

 

 ついでに、私に現金化の伝手はない。

 

「そこで、ある程度の手数料はもらうけどここで現金化できるっていうのが、私の仕事の一つ」

 

「へぇ~、それはありがたいですね。いったいどれくらいですか?」

 

「とりあえず1割の予定よ。伝手や諸々の安全を考えたら、かなり格安だと思うけれど?」

 

「いや、むしろそんな程度でいいんですか!?」

 

 てっきり最低でも3割くらいは持っていかれるかと思ってた。何なら最大で6割は持っていかれる覚悟があったのに……

 

「まぁ、そこらへんはここの主さんの意向よ。あの人、この都市の住人にもっとチャンスを与えたいって言ってたから……」

 

 なるほど、確かにそれならこのやり方も分からなくはない。

 

 伝手がなくても現金化出来て、目をつけられる可能性を少なくできる。

 

「……でも、ここで悪い人に出会っちゃったらどうしようもないのでは?」

 

「あぁ、そこは一応対策してるみたいだけど…… 正直言ってることがデタラメすぎてどこまで本当かわからないのよね」

 

 そこで夢で見た園長の姿を思い浮かべる。

 

 ……確かに、あの見た目の通りならデタラメなことができそう。

 

「それと、もう一つここでできることがあるの」

 

「えっ、もう一つですか?」

 

「えぇ、そのエンケファリンを換金せずに規定量集めることで、E.G.O.…… つまり、武器や防具を作ることができるのよ」

 

「……えっ?」

 

 武器や防具、それってつまり……

 

「都市を生きるためには、自衛手段も必要。それに幻想体の中には装備がしっかりしていないとあっさり殺されてしまう可能性のあるものもいる」

 

「たとえ力がなくても対抗できるように、特別な武器や防具を作ることができる」

 

「さて、ヒカリ……」

 

 

 

 

 

「現金か力…… どっちを選ぶ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ、ヒカリさん似合ってますよ!」

 

「えっ、そうかな……?」

 

「はい! すっごくエロいです!」

 

「そっかぁ、似合って…… すっごくエロいってどういうことサクラちゃん!?」

 

 全身の体のラインを隠すような拘束衣に体の自由を妨げない完全なおしゃれになってる拘束ベルト。

 

 肌の露出なんてないし体のラインも分かりずらいエロから一番かけ離れた衣装に思えるんだけど!?

 

「何言ってるんですか!? 隠れてるっていうのは一番妄想を掻き立てられるエロスなんですよ!? 男っていうのはモロよりもチラの方が好きなんですよ! 妄想でいくらでもエロいこと考えられますからね! 私もですが!」

 

「うぅぅ……////」

 

 何この子、そこまで言われると恥ずかしい、おうち帰りたい……

 

 なんかちょっと、防具を選んだことを後悔しそうになる。

 

 結局現金を持っていて襲われるよりも、少しでも丈夫な防具の方が襲われても生存率は高いと踏んで防具を作ることにしたけど、これでよかったのかなぁ?

 

 持ってるエンケファリン的には武器か防具、どちらかしか作れなかったし、たぶんこっちの方が良いと思うけど……

 

「ほらサクラ、その辺にしてあげなさい。ヒカリが困ってるわ」

 

「あっ、すいませんヒカリさん……」

 

「いえいえ、大丈夫だよ?」

 

「ほんとですか!? それじゃあもっと魅力を……」

 

「サクラ、リップサービスよ?」

 

 うっ、もしかしたらこの子ちょっと苦手かも……

 

 でも、悪い子じゃなさそうだしなぁ。

 

「今回は防具を選んだみたいだけど、もし次も来るつもりなら、またここにきてね」

 

「はい! クロさん、ありがとうございました! また今度!」

 

「えぇ、また今度」

 

 クロさんに別れの挨拶をして、サクラちゃんにも挨拶をしようとしたところで、クイッと袖をつかまれる。

 

「あの…… 帰ってきてからの約束、覚えてますか?」

 

「……あっ」

 

 そういえば、帰ったら色々とお話をしようと約束してた気が……

 

 でも、正直さっきみたいにぐいぐい来られても困るしなぁ……

 

「……だめ、ですか?」

 

 うっ、その上目遣いは卑怯だよサクラちゃん。

 

 君絶対末っ子でしょ? 甘え上手でしょ?

 

「……だ、ダメじゃないよ?」

 

「わーい、やったー!」

 

 OK出した瞬間に花が咲くような笑みになった……

 

 押しに負けた私はサクラちゃんと一緒にソファーのように向かっていく。

 

 男の人が弾き始めたどこか悲しい音色のピアノが、私の心境を表しているみたいだった……

 




“絞首台”

クラス ZAYIN

耐性 HP  混乱

斬撃 1.0 2.0

貫通 1.5 2.0

打撃 0.5 1.0



 『吊るされた一般人』から抽出されたE.G.O.防具。

 ZAYINクラスの装備らしくそれほど強くないが、一般路地裏民からしたら破格の性能をしている。

 特に打撃に耐性があり、ある程度の打撃攻撃であれば耐え切れるだろう。

 装備をしていれば首をくくりたくなる衝動に駆られる可能性もあるが、自身の正義をしっかりと持っていれば、そうたやすく呑まれるこのもないだろう。
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