『おいでよ魔法少女村(不法占拠)』のSS(ショートショート)   作:ユウキング

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あんな直接的なストレス要因があるならこんな魔法少女もいるだろうなぁって思い書いてみました


反魔法少女的魔法少女(前編)

「魔法少女に必滅を!我々にささやかなる幸福を!!」

 

「「「魔法少女に必滅を!我々にささやかなる幸福を!!」」」

 

魔法少女という人類に対する巨大で悪質なストレス要因がある為、人々は常にかなりの不安と焦燥感さらに恐怖に憎悪までも募らせており、魔法少女という共通の仇敵を持つ者同士は団結しやすく、結果この国では宗教がありふれたものになっていた。

 

かく言う俺が今演説を行っている集まりも─この国では珍しくなくなったどこにでもある宗教団体の1つ『救済教』である。初めは魔法少女に殺された親族がいる者達同士で慰め合っていたただの集会がいつの間にか数が増え、俺は教祖という荷が重すぎる肩書きを背負っていた。

 

「私達はただ平穏に家族と過ごしたかった…それさえも許されない世界に希望なんてあるでしょうか!いや、ないでしょう!!魔法少女という存在に怯え生きる日々にどれ程の価値があると言うのでしょう…こんな世界なら死んだ方がマシだと悲観してしまうのは仕方ありません。

 

ですが!私達は出会う事が出来ました!そう!『救済教』の中で同じ境遇に立たされた同志達に!お互いに慰め合い、支え合うい、分かち合う…これこそ何物にも勝る幸福と言えるでしょう!!」

 

わぁぁぁあ!!

「「そーだそーだ!」」「私ここに入って本当に良かった!」「俺も!」「俺達は皆家族なんだ!」

 

俺の演説を聴いていた信者達が万来の拍手と共に感情のままに言葉を紡ぐ、そう『救済教』の教義は魔法少女に対して何かをする事ではなく魔法少女など忘れ・避け、過去の不幸にしがみつかず未来の幸福を皆で掴もうという幸福理論である。

 

「皆、今日も集まってくれてありがとう。名残惜しいが今日の集会はここまでn…」

 

カツンッ

 

俺がいつもの様に集会の終わりを告げようとすると、何かを落とした様な音が鳴り響く。いや、響くというにはあまりにも小さな音で、聴き逃してもおかしくなかったはずなのに誰もが─数百人。この空間にいる数百人がその音を聞き振り向く

 

そこにあったのはどこのスーパーにも売ってある調味料のボトルに細長い棒が刺さった子供が作ったような()()()()だった。だがこの世界ではこのステッキは子供の玩具ではなく恐怖の対象であった

 

「「「うわぁぁぁあ!!!」」」

 

「「「キャァァア!!」」」

 

一瞬で数百人の信者達はパニックになりステッキから距離を取る

 

「落ち着いて!皆!落ち着いてくれ!!ステッキは触らなければ何も起きない!すぐに政府関係者を呼ぼう!さぁ落ち着いてくれ!!」

 

俺の掛け声で信者達は徐々に落ち着き大きな被害は出なかった、だが逆に冷静になった事で頭が回りだした者も現れる。

 

「もし…もし、これが本物の…()()()()()()()()ステッキなら俺は触れるぞ…!」

 

「馬鹿!お前何言ってんだ!魔法少女になる奴は1万人に1人いるかどうかで、もし失敗したら筆舌に尽くし難い死が待ってるんだぞ!!」

 

「分かってる…でも、それでも…俺は許せねぇよ魔法少女が…!俺の父ちゃんを殺した奴を殺せるなら1万分の1でも可能性があるなら魔法少女になってあいつらをぶっ殺したい!!」

 

男達の諍いを静かに聞いていた他の信者達もその慟哭に共感し始める

 

「俺も…俺も試してみたい!」「わ、私もっ!」「俺だって死ぬ覚悟はあるぞ!」

 

信者達の熱狂が高まり、またも収拾がつかなくなったが今度は止める事をしなかった─いや出来なかった。今までの人類が行ってきた攻撃では魔法少女達を殺すのは不可能と言われている以上俺達が魔法少女に何をしても無駄だと悟っていた。

 

だからこそ仲間同士で傷の舐め合いを是としてきたが…魔法少女なら魔法少女に傷を付けることが出来るらしいという噂を思い出し俺も思わず【復讐】という久しい感情が湧き上がる。そして俺は素になって声を上げる

 

「皆!聞いてくれ!!俺達の気持ちは皆同じだと思う。皆と支え合い生きるのも良いが、出来ることなら自分の手で魔法少女に対する復讐…それは誰もが考えた悲願であり、俺も同じ気持ちだ!だから魔法少女の力を使うというのは大いに賛成する!

 

そこで1つだけ頼みたい事がある、俺は皆が醜く死ぬのを見たくはない…だから最初の運試しは俺にさせてくれないか…?」

 

「幕別教祖様を!?」「あまりにも危険です!!」「教祖様に何かあったら私達…とても耐えられません!」

 

「でも…復讐の資格が1番あるのも幕別教祖様だよな…」「そうだな、俺達を救ってくれて、かけがえのない仲間と出会わせてくれた教祖様なら俺は魔法少女になれると信じてる!」「俺もだ!」

 

俺の話に反対する大勢の人が徐々に同情や共感によって賛成派に変わっていく中、俺はステッキの前まで歩いていた。

 

「ありがとう皆…皆の願いの為に、俺なってみせるから。」

 

決意を言葉にすると信者達はただ黙って目を瞑り手を組み黙祷を俺とステッキに捧げていた、そして俺は遂にステッキに手を伸ばす。

 

あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙!!!

 

ステッキを手にした瞬間尋常ではない痛みが全身に走り俺は叫ぶ事しか出来なかった

 

(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い怖い怖い怖い怖い助けて助けて助けて助けてごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい)

 

先程までの威勢など嘘だったかの様に情けない言葉ばかり頭に浮かぶがステッキを離すことさえ出来ず永遠とも思える苦痛を味わう、そして今際の際で1つの感情に支配される

 

(死ねない死ねない死ねない死ねない皆の皆の皆の復讐復讐復讐を死ねない死ねないシネ…ナイ…シ…二…タ…ク…ナ…イ…)

 

死にたくないと心の中から祈った瞬間まっ黒な笑顔と目が合った気がした。その時、痛みが消え俺は死んだのかと思った束の間─今度は逆に周りの信者達が叫び声を上げ出す

 

「「ギィャァァアア!!」」「「痛い痛い痛い!死にたくない死にたくない死にたくない!!」」「「助けてお母さんお母さんお母さん!!」」

 

阿鼻叫喚という表現が正しい程の地獄を─俺は小さくなった体でステッキを握りしめながら震えて眺める事しか出来なかった

 

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魔法少女になった俺はしばらく呆然とした後、ふらつく足で自分の家に戻っていた。何も考えていなかったが無意識の内に帰巣本能でも働いたのだろうか、俺は恐怖と無気力感を体と一緒に布団で包み入れることしか出来ずただ震えて蹲っていた。

 

それから何日経ったのだろうか、眠る事も出来ずひたすら歯を鳴らし続けていたら不意に外から声が聞こえた。

 

「また魔法少女が!」「魔法少女のせいで!」「あんな奴らなんで生まれてきたんだ!」

 

それを聞いた時、震えが止まり俺が生きている意味を思い出した。

 

(そうだ…俺が魔法少女になったのはあいつらを殺すためだ、皆が復讐を果たす為に俺を魔法少女にしたんに違いない…!ならいつまでも燻っている訳には行かないよな皆!!)

 

この体は皆からの贈り物だと気付いた俺は体を動かし始めた、山へ行き魔法少女となった体の動かし方・魔法の出し方に使い方をひたすら独学で学び数年が経った。─山から降りた俺はスーパーに寄ると店内は大混乱になり罵声や物を投げられ周りには誰も居なくなった

 

「皆…魔法少女に苦しめられてきたんだな…絶対に俺が殺してやるからな…!」

 

俺は罵声や物を飛ばしてきた仕打ちへの怒りを本人達ではなく、憎悪される所業をしてきた魔法少女に向け包丁やナイフを手にして誰もいなくなったレジに代金を置く。

 

〜魔法少女村〜

 

「ここが魔法少女村…」

 

遂に仇の住処まで辿り着いたことに感慨深いものを感じ、ナイフを持つ手に力が入る。

 

「あれぇ〜?どなたですか〜??」

 

そんな俺に話をかけてきたのは黒髪の後ろ頭にリボンとカジュアルな格好をした女性、学校の特別授業(魔法少女について)で習った事のある人物・根室だ。

 

「ナイフなんか持ってたら銃刀法違反で捕まっちゃいますよ〜、めっ!」

 

子供を諭すかのような小馬鹿にした口振りで近付いて来たた根室に、俺は魔法を展開し全力でナイフを振りかざした。

 

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晴耕という魔法少女は常に酩酊状態?であり常にお酒に飢えていた。今日も出会う魔法少女達にお酒をせびってお酒が来るのを待っていたが、先程買い出しに行くと言った根室がいつまで経っても帰ってこない。いつもならそこまで気にならず我が家(ボロテント)から出ないが、もうじき酒が切れる為渋々だが重い腰を上げ根室を探しに行く。

 

「もぉぉぉ!根室ちゃぁぁん!!早く帰って来てぇぇぇえ!!」

 

情けない事を叫びながら歩いていると魔法少女村の入口付近にナイフを持った女性、そして近くに横たわる根室がいた。

 

「…?根室ちゃぁぁん!何遊んでるのぉぉぉ!!??お酒はぁぁぁ??」

 

根室のいつもの遊びだと思った晴耕がいつもの調子で声をかけると根室は息も絶え絶えな青ざめた顔を晴耕に見せかすれ声を出す

 

「…はぁ…はぁ…晴、耕さん…やっと、死ねますよ…お、さき…に…。」

 

そう言うと根室は動かなくなる。傍にいた女性こと幕別は次の標的を見つけ上機嫌に話し出す

 

「俺が魔法少女を殺したぞ!俺が!お前らを!!魔法少女を全員殺してやる!!次はお前d…」

 

ビュン

 

幕別が話終える前に晴耕がとんでもない速さで根室の亡骸に近寄る

 

「おい…根室、起きろ。俺はそう言った冗談は嫌いだと言ったはずだろ。おい」

 

シラフになった晴耕が根室の頬を軽く叩きながらいつもとは似ても似つかない口調で根室に話しかけるが反応はない

 

「ねっ根室さん!?」

 

「ネムロマン!どうした!!」

 

そこにツインテールの魔法少女苫小牧と全身包帯巻のような白髪の魔法少女白老が集まる。それを見た幕別は喜びに震える

 

「一気に魔法少女がこんなにも!俺は付いてるなぁ…待っててくれ皆、俺がコイツらを地獄に落としてやるからな…!」

 

それを聞くとそれまで静かにしていた晴耕が幕別に話しかける

 

「これ…お前がやったのか、確かに我々は何人も人を殺した悪で常に死にたがっているどうしようもない存在だが…これは少し不快だな。」

 

「ヒッ…」

 

晴耕の本気で怒った顔に同じ魔法少女になったと言うのに幕別は蛇に睨まれた蛙の様に固まってしまう、その一瞬の静寂を白老が壊す。

 

「お前がネムロマンを殺したのか!?許さん!覚悟しろ!!」

 

そう言いながら殴りかかってくる白老の様子は少しふざけて見え、お陰で幕別は正気に戻る。

 

「おらぁ!」

 

白老の全力パンチが幕別の顔に入る

 

ベキ

 

「…?」

 

鈍い痛そうな音が鳴る、ちゃんと入ったはずだが白老は何故か不思議な顔で己の拳を見つめる。確かに良いパンチが入ったが魔法少女の全力パンチはこんなものでは無い、戦車の装甲さえ容易くぶち破る程の威力なのだから相手が魔法少女であり効果が薄いとしても周りに被害が出ていないとおかしい

 

「…それが君の魔法だね…?」

 

晴耕がそう言うと苫小牧も白老も訝しげな表情をし首を傾げるが、幕別だけは笑っていた。

 

「すげぇなあんた…もう俺の魔法を見破るとは…!そうこれが俺の魔法『魔法消滅』だよ!俺も魔法が使えなくなる代わりにお前らも魔法を使えないし肉体はただの少女になる!だから戦うなら拳じゃなくて人間様が作った武器の方が強いんだよっ!!」

 

サクッ

 

魔法を見破られた事に多少驚いたが、幕別は会話しながら持っていたナイフで驚いている白老の首筋を刺す。

 

「ゴブッ…」

 

「白老さん!」

 

普通の人間の体になってしまった白老の首からは大量の血が流れ白老は崩れ落ちる、そんな白老に苫小牧は回復の魔法をかける。

 

「だ、だだ大丈夫です、今助けます!」

 

「ふ〜ん、お前は回復する魔法が使えるのか。面倒だな先に殺すか」

 

幕別が苫小牧に向かってナイフを振りかざそうとした時

 

「ふぁ〜よく寝たぁ…ってあれ!?私生きてるじゃん!ちょっとー!やっと死ねると思ったのに!!」

 

殺したはずの根室が蘇り全員が驚く

 

「はっ!?お前は完全に殺したはず!」

 

「…根室。」

 

「ゴブッ…ネム、ロマン…生きてんじゃ…ねーか…」

 

「根室さん!良かった!!」

 

幕別は驚愕し、晴耕はなんとも言えない感情を含み、白老は死にかけながら喜び、苫小牧は安堵する。そんな様子を見て根室は申し訳なさそうに笑う

 

「あはは…ごめんね心配かけちゃって、でもちゃんと死ねてたと思うよ?あの子の魔法わかった気がする。欠点がね」

 

「俺の魔法に欠点!?そんな事あるはずない!俺の俺達の魔法はお前たちを殺す為の完璧な魔法なんだ!」

 

「そうだね〜『魔法少女を殺す』って点では完璧だね、人類がどう頑張っても出来なかったことだ誇っていいよ。でもねそれは『自分と誰か1人を魔法を封じて人間にする』つまり人間にする対象を変更したら殺していても魔法少女に戻っちゃうんだ」

 

「…はっ…?」

 

「私達魔法少女は死んでも魔法少女だからねぇ〜人間から魔法少女に戻った瞬間蘇生と肉体の再生が始まっちゃうんだ〜不憫だよねぇ…」

 

「…は??」

 

根室がなんて事ない様子で解説する様子に幕別の脳は理解するのを拒否していた。




ここまで読んでいただきありがとうございます!とりあえず魔法の弱点まで書きたかったので早足になっちゃいましたがなんとか書けました…全然ショートショートじゃねぇじゃん!って書き終わって気付いてしまいました…(笑)とりあえず続きありますので二話編成のショートショートお楽しみください!
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