闇の魔法使いの卵   作:黒歴史量産機

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更新再開します。
戻ってきたら感想を2つも頂いて、評価バーに色がついていました。
ありがとうございます!!!

(サブタイトルつけ忘れてました! 2024/12/08 23:15)


9 夜の学校って興奮するよね

 カパルディとバーティはけたたましい楽器の音で目を覚ました。時刻は夜の11時半。消灯時間をとっくに過ぎている。カパルディは頭を抑えながら音の発信源である俺を睨みつけた。

 

「……何やってるんだよ」

「何って、バグパイプの演奏だけど」

「夜中だぞ?」

「お前らを起こそうと思ったんだよ」

 

 今日は水曜日。真夜中に天文学の授業がある日だ。そろそろ準備をしないといけないのだが、二人が一向に起きる気がしないので無理やり起こしてみた。バーティはいつも授業の合間や夜遅くまで勉強しているから起きなかったのも説明できるが、授業中や、スキマ時間にしょっちゅう寝ているカパルディが起きないのはいかがなものかとは思う。

 

「そんなに大きな音たてたら無関係の上級生も起きるだろ?」

「スネイプ先輩に教わった防音呪文をかけてるので音漏れの心配はありませ〜ん」

「用意周到だな」

 

 まだ眠そうにしているカパルディとは対照的に、バーティはすでに教科書をまとめ始めている。やはり優等生とその他の差はこういうところでつくのか。

 一方あの無口な少年はというと、すでに起きて立っていた。というか寝ていたのかどうかすら怪しい。本当に人なんだろうか?

 

 

* * * * * * *

 

 

 ホグワーツというのは在学生に見合わないくらい広大な敷地を持っている。なので授業の組み合わせによってはかなり急がないと間に合わなかったりする。もちろん教職員側もそういった配慮はしたうえでスケジュールを作っているので、絶対に間に合わないということはない。

 

「間に合うから良いけどさ、教室まで20分以上かかる学校っておかしくない?」

 

 授業に間に合わない、ということは絶対にないが、それでも時間がかかるのは事実である。天文学の授業が行われる天文塔はホグワーツ内で最も高い位置にあり、そこに行くには最終的に何百段とある階段を登らないといけないのだ。

 

「たしかになんでこの学校ってこんなに広いんだろうな」

「昔は生徒数が多かったんじゃないのか? 国際機密保持法が施行される前は魔法族とマグルの混血が今より多かったはずだから、魔法族全体の人口が多かったんじゃないかと思う」

 

 俺の疑問にカパルディとバーティも同調する。どうやら二人もこの学校の広さには少しばかり疑問をいだいていたようだ。

 長い廊下を抜け、俺達はあの入り組んだ動く階段のある部屋に到着した。

 

「おお……」

 

 夜の暗闇で、古城を僅かな松明と蝋燭の光だけが照らしていた。階段はまるで踊っているかのように優雅に動き、要建築の美しい土色の壁を色とりどりの肖像画と炎の温かい色が飾っていた。

 

 何が人々をここまでウィザーディング・ワールドに惹きつけるのかと考えると、やはりその『美しさ』が大きな役割を果たしていると言える。優雅なホグワーツ、重厚な黒いタイルで覆われた魔法省、安全地帯の象徴である隠れ穴、活気あふれるダイアゴン横丁や、幻想的な守護霊の呪文、美しさと残酷さを併せ持つ悪魔の護り。魔法界だけが持つ神秘的な雰囲気や非日常的な感覚に心を奪われた人は多いだろう。無論、俺もその一人だ。

 そして今、俺は自分の目で、その美しさを心に体感することができている。

 

「……幸せだなぁ」

「確かに綺麗だけど、そこまで言うほどか?」

「――そこまで言うほどだね」

 

 バーティにはわからないだろう。俺は今、本来なら決して手に届くはずのない、決して触れることのできない領域に足を踏み入れている。

 俺は今、ウィザーディング・ワールドにたしかに「居る」のだ。

 

「生きててよかったよ、ほんとに」

 

 

* * * * * * *

 

 

 天文学の授業は全寮合同でやるらしい。教授はアレクセイ・プラチェットという人で、夜だというのに元気な人だった。生徒が眠そうに目を擦る中、彼は陽気に望遠鏡の使い方を説明していた。

 魔法界の望遠鏡はかなり優れていて、ピント調節や細かい作業を自動でしてくれる。拡大率も普通のそれとは比べ物にならない。月なんか地面に落ちている小石を数えられそうなくらいだ。

 

「あの星は何だ?」

「それは……アルファ・ケンタウリだな」

「カパルディは星に詳しいのか?」

「天文学は得意なんだ」

 

 カパルディの言葉に嘘はなかった。俺やバーティが見つけた星の名前を全て正確に言い当てたあと、教授の質問にも見事に全て答え、スリザリンに得点を入れていた。そういえばこの前の日曜日に読んでいた本も天文学についてだったっけ。他の授業では眠そうにしているのに、えらい違いだ。

 

「見直したよカパルディ……」

「お前に見直されてもなぁ……」

 

 俺からの称賛に、カパルディは微妙な表情で応える。なんだよ、もっと素直に嬉しそうにしてくれてもいいのに。

 

 その日の天文学の授業は、ほとんど望遠鏡の説明だけだった。その後は生徒が自由に星を観察し、その位置と名前を記録するだけだった。この授業は好きかもしれない。

 

 

* * * * * * *

 

 

「それにしてもカパルディが勉強方面で優秀だとは思いもしなかった」

「どういう意味だコラ」

 

 天文学の授業が終わり、俺たち四人はまた暗く長い廊下を歩いていた。

 そしてちょうど階段にさしかかった時――

 

「おい」

 

 後ろから声をかけられた。振り向くとそこにはグリフィンドールの生徒が五人ほど立っていた。全員手に杖を握っている。

 ……まずいな、杖を構えようにも手に教科書を持ってる以上、手を伸ばすと目立つ。

 

「なにか用かな?」

 

 バーティがグリフィンドール生の相手をする。どうやらバーティも彼らを警戒しているらしい。

 

「さっきみたいに先生に媚びへつらって加点されるとか、まさにスリザリンらしいね」

「お言葉だが、俺達は別に先生方に媚びてなんかいない。怒りをぶつけたいなら、別の相手を探すことをおすすめするよ」

 

 どうやら相手はカパルディが大量に加点されていたのが気に食わなかったらしい。元々スリザリンとグリフィンドールの間には大きな溝がある。さらに戦争中であることがその溝をより深める要因となっていて、現在二寮間では一触即発の雰囲気が漂っていた。

 

「とぼけるなよ。お前だって他の授業で加点されまくってるだろうが」

「それは単に俺の実力だよ。ちゃんと授業内容がわかっているから加点されているだけだ」

 

 バーティの言っていることは全て正論だ。だが相手は自分たちの間違いを認めようとしない。典型的なグリフィンドールだ。

 その後も言い合いは白熱し、相手とバーティの罵り合いは更に過激になっていった。

 

 相手の一人がついに我慢しきれなくなったのか、杖を構えて呪を放った。

 

「ヴァーミリオス!」

 

 赤い閃光が放たれ、カパルディの胸に直撃した。

 

「あ――」

 

 そしてカパルディは、階段を転落していった。




ホグワーツってどの授業でどの寮が合同でやってるんですか……?
誰か教えて……
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