闇の魔法使いの卵   作:黒歴史量産機

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原作での各キャラクターの口調がわかりません。間違ってたら指摘お願いします。


12 セルウィンの考え事

 マルシベールは、ホグワーツの中で俺が名指しで最も危険視している人物だ。

 原作の描写では生徒に闇の魔術をかけたり、果には在学中、ダンブルドアの監視する学校の中であるにも関わらず許されざる呪文を使用している。更に最も得意とする呪文が服従の呪文だ。こいつの機嫌を少しでも損ねると、詰みかねない。

 こいつの親は闇の帝王の最古参の部下の一人だ。息子であるこいつも純血主義思想を叩き込まれているはず。少しでもマグルを擁護するような言動を取ってしまうとどうなるかわからない。慎重に応対しなければ。

 

「……はじめまして、ユマノ・セルウィンです」

「そんなに緊張しなくていいって。ほら、俺達って先輩後輩つっても二学年しか変わんないじゃん?」

 

 当の本人は俺の気も知らないで陽気に語りかけてくる。

 隣りに座ったバーティが俺のぎこちない様子に勘づいたのか、しかめっ面をしている。だめだ、こいつの眼の前でそんな顔をしてると狙われかねない。

 

「そっちの人は? 友達?」

 

 まずい、バーティが警戒してるのがバレてしまった。なんとかしてここから穏便に話を逸らさないと――

 

「はじめまして。セルウィンと同室のバーテミウス・クラウチと申します」

「クラウチって、もしかしてお父さんは魔法省の?」

「……はい。父は法執行部の人間です」

 

 忘れてた、バーティの親父はクラウチ・シニア。死喰い人に真っ向から敵対してる人間のリーダー格の一人だ。死喰い人幹部の息子と、魔法省官僚の息子。絶対に出会わせてはいけない二人が鉢合わせてしまった。

 バーティは冷静だ。おそらく下手に騒動は起こさないだろう。だがマルシベールは何をするかわからない。なにせ情報が足りなすぎる。

 

「そうか、じゃあ割と有名人なんだな! スリザリンへようこそ!」

 

 マルシベールはニッコリと笑って握手を求めた。バーティもそれに応じた。

 どういうことだ? 本来なら敵対し合う立場のはずなのに、何故か歓迎までしている。こいつは何を企んでるんだ?

 

 結局マルシベールは特に怪しい動きはせず、単に俺が無駄に緊張して胃を痛めただけだった。

 

 

* * * * * * *

 

 

 時は進んで、一時間目の薬草学の授業。本日は今後の授業で扱う様々な器具の説明。

 

 少し時間が経って、頭もだいぶ冴えてきた。

 まず第一に思ったのは、バーティは絶対マルシベールのことを知っていたということ。親父のクラウチ・シニアから俺のことを聞いてたんだ、死喰い人の最古参の一人であるマルシベール家の人間のことは当然知らされていただろう。バーティがしかめっ面をしていたのは、マルシベールを危険人物として警戒していたから。

 第二に、マルシベールはバーティから情報を聞き出そうとしているということ。俺だってクソ親父にバーティから魔法省の動向を探れと言われてるんだ、より闇の帝王と関わりの深いマルシベール家の出身であるあいつが親に命令を受けていないはずがない。

 第三に、マルシベールが親から命令を受けているのであれば、バーティも同様に命令を受けている可能性が高いということ。バーテミウス・クラウチ・シニアは、政治家としては有能だが父親としてははっきり言って屑だ。あいつは自分の実の息子を間者にすることを躊躇わないだろう。

 

 さて、この3つから導き出せる結論は、バーティもマルシベールも裏では警戒し合うも、表向きは友好的に振る舞ってできるだけ互いから情報を聞き出そうとする、ってとこか。俺の役割はさしずめ二人の間の緊張が高まって騒動になるのを防ぐことだろう。だが、バーティは知っての通り優秀で自分から騒ぎを起こすことはないだろうし、マルシベールだってホグワーツで許されざる呪文を使用してダンブルドアにバレないだけの知恵と実力はある。二人共さぞ見事に本心を隠すことだろう。

 

「セルウィン!」

 

 考え事をしていると、薬草学のスプラウト教授に注意をされた。

 

「このドラゴン由来の堆肥はどういった種類の植物に使用されますか?」

「わかりません」

「話を聞いていなかったようですね。この堆肥は肉食でない、特に根の腐りやすい植物を栽培する際に使用します。ではグラップホーンの皮でできた袋はどういうときに使いますか?」

「わかりません」

「スリザリンから一点減点! 先ほど説明した通り、この袋は収穫したマンドレイクを一時的に保管するために使います。最後の質問です。この種類の植木鉢はどういった種類の植物を植えるときに使いますか?」

「主に悪魔の罠などの肉食の触手植物を栽培するときに使う植木鉢ですね。保護呪文がかかっていて、触手が暴れて周りの物や植物を荒らさないようにする機能があります」

「触手に関係ないところもちゃんと聞きなさい!」

 

 

* * * * * * *

 

 二時間目は防衛術。

 俺はこの授業が一番嫌いだ。なぜなら先生が鬼畜すぎるからだ。

 

「全員席についたな!」

 

 大きな声で叫びながら教室に入ってくるのは今年の闇の魔術に対する防衛術の教授、パグナックス・ムーディだ。この人は元闇祓いで、90歳を過ぎているというのに我々生徒よりも声量と熱意があり、更に点数管理も厳しい。特に俺たちスリザリンに対してはあたりが強く、事あるごとに減点している。この人の授業は進度がとてつもなく早く、一日で呪文を複数個覚えさせられ、次の授業に試験をしてできなかったら減点されるというひどい授業である。できるわけあるか! 因みにバーティは今のところこの授業で減点されていない。恐るべし優等生。

 スネイプ先輩も防衛術の授業の進度がこんなに早かったことはないと言っている。闇の魔術に対する防衛術の教授は長続きせず、1年毎に変わるので年によって当たり外れが大きい。今年はどうやらハズレのようだ。

 

「これから授業を始める! 遅刻のものは20点減点だ! 時間管理能力のない者は戦場ですぐにくたばる!」

 

 このように、この人は減点するときの点数が大きい。俺とバーティは昨日の夜に減点されたため今日もこれ以上減点されるのは避けたいところだ。俺は薬草学で一点減点されているのだが。

 

「今日は全身金縛り呪文について学習する! ペトリフィカス・トタルス!」

 

 ムーディ教授が最前列の生徒に呪文をかける。呪文をかけられた生徒はその場で動かなくなり、椅子から転げ落ちた。

 

「見ての通り、全身金縛り呪文は言葉通り敵を完全に動かなくすることができる! この呪文を覚えることができれば戦闘はかなり有利になる! ただしこの呪文を受けると身動きが取れず杖を振ることも呪文を唱えることもできなくなるので絶対に油断してあたってはいけない! 油断して儂の呪文を受けたお前! 油断は戦場では命取りだ、五点減点!」

 

 このように、ムーディ教授は理不尽に生徒から点を奪っていく。言ってることはある程度わかるのだが、それを俺達に実践しろと言われても無理な話である。こうして俺たち生徒に呪文をかけては減点するので、この授業では教授から呪文が飛んでくるかどうか警戒しないといけない。上級生はもっとひどい扱いを受けてるんだろうか。

 

「授業の残りは全てこの呪文の練習に使う! 次の授業でこの呪文を完璧にかけることができなかった場合、減点だ!」

 

 ……もうやだ。俺この人嫌い。




パグナックス・ムーディ

90歳を超えた元闇祓い。グリンデルバルドとヴォルデモートの時代の中でこの年まで生き残ったことから実力は容易に想像できる。
口癖は「減点だ!」
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