転生したらガイアデルムとなった件   作:アーロニーロ

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転スラ関連ははじめてだから初投稿です。


死亡からの転生

 

 大学生となった俺の人生を言葉にすると『特に変わり映えのないもの』と評した方がいいのだろう。Switchを持った俺は思わずそう考える。

 

 割と金銭には困らない家庭に生まれて、自分で言うのもなんだが俺のことを愛してくれている両親からめいいっぱい愛されていると言ったところだ。高校に関しては両親の職業柄を無視してゴリッゴリの理系分野へと進んで割と偏った知識を持って理系大学への入学へも成功したという特に起伏のない人生を歩んでいる。

 

 身長も低い訳ではなく、顔もまぁ悪い訳ではない?んじゃないかな?だけどモテない。本当にモテない。高校こそ理系という分野もあってほぼ男子校のようなものだったが、小中とそこそこというかかなりの美系に囲まれながらも女友達は出来ても告白されることはついぞなかった。

 

 え?告白しなかったのかって?……度胸がなかったから無理でしたね。

 

 まぁ、そんなこんなで人生イコール彼女いない歴を満喫している俺ですが、目下最大の悩みを抱えているわけです。それは、

 

「なぁ?聞いてる?」

 

「聞いてるよ。将来についてだろ?」

 

 そう、自身の将来についてである。

 

 一年の頃からむさ苦しい青春を謳歌しつつも勉強は頑張ってきた。そうしているうちに大学に入学してから早くも2年が経っていたのだ。未だに2年生のくそ序盤とは言えども3年生になってからは流石に就職を考えなければならないのだ。それこそ将来のことを女とでなく男と話し合わなければならないという事実から目を背けても、だ。

 

「やっぱさぁ、免許色々と取得してるし実家の料亭を継ぐわけか?」

 

「あー……そう、かもしれないなぁ」

 

 高校からの付き合いである田口愛賀の言葉に思わず俺は曖昧な答えを出す。

 

「お!やっぱりな!お前が料理上手いのは寮にいる連中の間では結構有名だからなぁ」

 

「はははは……」

 

 田口のテンションに俺は愛想笑いをしながら返す。田口には実家をつぐとは言ったが正直、継げる気がしない。何せ俺の実家の料亭はミシュランとかそういう肩書こそ存在してないが割と有名な店舗だ。だからこそわかるのだ料理に関する大学に進なかった俺が居座っていいような場所では無いことを。大学に入ったのも正直なところ箔をつける為に入ったようなものだ。

 

 このまま宙ぶらりんのままで本当にいいのだろうか?そんなことを思っていると隣からSwitchを取り上げられる。

 

「ま、本気で家を継ぐ気ならゲームのし過ぎはよくないんじゃねぇの?」

 

「おい返せよ。つーか、テメェこそスマホゲーやってんじゃねぇか。…タイトルこそ忘れたけど転スラのアプリゲーだったか?」

 

「おおぉ!!なんだよやっと転スラに興味を持ったのか!?」

 

「…ヤッベ」

 

 藪蛇ったと思った時にはもう遅かったようで田口はホームの最前列にいる俺の隣で転スラの魅力を語り始める。

 

 なんとなく察したと思うがこいつは熱狂的な転スラファンなのだ。元々、高校時代にリゼロやこのすばを好いていたこともあってこの二つの小説を持ち込んでいた俺に話しかけてきたのがコイツとの出会いだった。この時の俺は転スラの名前こそ知っていたのだが、内容は知らなかったのだ。それでまぁ、せっかくラノベ関連に詳しい奴と仲良くなれるチャンスではと転スラに興味ある風に聞いてみたのだ。

 

 それが俺の運の尽きだった。瞬間、田口の口から溢れ出す転スラの魅力の数々。休み時間を全消費し切るまでその口が止まることはなく、帰り道にまでついてきた時は二度とこの話題を出さないと誓ったほどだ。

 

 後日、渡された転スラの小説を半ば強制的に押し付けられた。正直、趣味の押し付けに対して辟易しつつも悪い奴では無かったのと食わず嫌いならぬ見ず辛いはよくないと思って見てみた。結論から言うと内容は面白かったにつきた。世界観、敵味方のキャラクターなど時間を忘れて見入ってしまうほどには。しかし、そんな俺でも読むのを諦めてしまったのである。その原因は、

 

「で、だ!また一緒に読もうぜ!!なんだったらアプリも入れよう!!」

 

「設定が濃すぎるから嫌」

 

「なんでだよ!?リゼロも大概だろーが!?」

 

 リゼロは国とキャラの相関図くらいだろ凝ってんの。と返しつつウザ絡みしてくる田口の手を払っていく。これが俺が転スラを読みやめた理由だ。なんていうかスキルの数が多すぎるのだ。ストーリーは滅茶苦茶いいよ?それは認める。でも、主人公とかその陣営だけでも滅茶苦茶キャラが凝ってるせいで読み直す必要があって凄い疲れるのだ。

 

「ケッ!そんな頭だからテメーの推しのモンスターはラスボスなのに人気が低いんだよ」

 

「テメェそれ言ったら戦争だろうが!?俺の頭はともかくガイアデルムを馬鹿にしやがったなぁ!!」

 

 聞き捨てならない一言に俺は思わず噛み付く。そう、最近やり込んでいる俺の青春とも言えるモンハンことモンスターハンターに俺好みのモンスターが出てきたのだ。しかしランキングはまさかの141位。しかも周りからの評価もボロカスと散々なものだった。なんで人気ないんだよ。パシフィック・リムに出てきそうな見た目が最高にカッコいいじゃんか。

 

 まぁ、それでも俺のガイアデルムへの愛が尽きるわけではないからいいんだけどね。いいんだけどね。

 

 内心、グラグラになっていると少し遠めの隣から咳が聞こえてくる。それを見ると凄い迷惑そうな顔してこちらを見てくるおばさまがいらっしゃった。どうやら騒ぎ過ぎたらしい。

 

「この会話は大学に着いたら決着つけるからな。逃げんなよ?」

 

「上等だコラ。おはようからおはようまで転スラのことしか考えられないようにしてやるからな」

 

 怖過ぎんだろコイツ。俺は何されんだよ。すると遠くからカンカンという音と共に電車が現れる。それを見た俺達はいつでも乗り込めるようにと前へ一歩歩く。

 

 瞬間、強い衝撃を受けてバランスを崩し、視界が回りながら浮遊感、そしてガツンッという衝撃が頭を走った。何だ?何が起きた?

 

「――――」

 

「――――ッ!!――――ッッッ!!!」

 

 状況がわからないから思わず喋ろうとしても喋れた気がしない。それどころかこちらを覗き込むアイツの声さえも聞こえない。何も、出来ない。なんかあたまのほうだけお湯に浸かったような暖かい感覚がする。

 

《確認しました。血液が不要な身体を作成します。……成功しました》

 

 なのにそれ以外はすごく寒い。

 

《確認しました。対寒耐性獲得……成功しました》

 

 体にガタガタという振動を感じる。ああ、そうだ。俺さっきまで電車を待ってたんだ。忘れてた。

 

《確認しました。五感強化、思考加速、獲得……成功しました》

 

 それにしてもこの後、大学に着いて早々、アイツと転スラ談義かぁ。講義の前にこれとか疲れs

 

 考えられたのはそこまでだった。頭の中でグチャッという音共に俺の意識は暗い闇の底へと落ちて行った。

 

 

 目を開けるという感覚もないまま漠然と闇が広がっているのがわかる。それだけで理解できた。ああ、俺死んだんだ、と。

 

 よし、せめてこうなった理由を考えよう。じゃなきゃ怖くてやってられんわ。もしかしてさっきバランスが取れなかったのって背中から押されたのか?で、俺は頭から着地することになって思考ができなくなった。電車が近くまで来てたのは知ってたし回避は当然無理。……それじゃあ、さっきのグチャッて音は俺の頭が潰れた音ってことか?……推理はここまでにするか。

 

《確認しました。ユニークスキル『落下者(オチルモノ)』を獲得……成功しました》

 

 それにしても死んだのか、俺。こんな呆気ないのか。なんっっっも成せないまま終わったな俺の人生。……暗いの話はやめよう。なんか辛くてしょうがなくなる。せめてそうだなぁ。

 

 あ!来世の話をしようか!あったらだけど。そうだなぁ、格闘技とかやったことなかったし次はモンハンのモンスターみたいに強くなって戦ってみたいなぁ。

 

《確認しました。ユニークスキル『闘争者(タタカウモノ)』を獲得……成功しました》

 

 んで、次も人間だとなんか飽きるだろうからやっぱ強い生き物がいいよなぁ。それこそガイアデルムみたいに竜種とかいいよなぁ。あの悪魔っぽいところとかキュリアを用いた戦闘法がすごいそそられたよなぁ。

 

《確認しました。『吸血』、『竜鱗』『竜力操作』、『眷属召喚』を獲得……成功しました。『五感強化』、『思考加速』、『吸血』、『竜鱗』『竜力操作』、『眷属召喚』を統合しユニークスキル『小竜公(ドラクル)』を獲得……成功しました》

 

 ……さっきから聞こえるこの副音声みたいなの何?いや、恐怖心が紛れるから全然いいんだけどさ。それにしてもなんか急に眠くなってきたな。いよいよもって俺の人生も終了かぁ。死ぬまでの間、少しだけ意識があるって本当だったんだな。

 

 それが、俺こと松前直哉の、人間として(・・・・・)この世で思った最後の言葉だった。

 

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