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最終戦争によって滅亡した惑星フェデル―。
生き残った人類は、フェデルの衛星フォンブやスペースコロニーに移住した。
自らの手で母なる星を滅亡させてしまった人類は、新しい時代に自責と自戒の念を込めて
デバスト・センチュリー(D.C. 崩歴)
と命名した…。
D.C.0070年…
すなわち、人類が宇宙に移り住んで70年が経ったある日…。
突如
スペースコロニー国家ディオン皇国
が
スペースコロニー国家ジャンブーロ連邦
に宣戦を布告。
ディオン皇国に続き
スペースコロニー国家デラズ共和国
小惑星国家ズアシーク
もジャンブーロに宣戦布告した。
ジャンブーロはフォンブ政府軍とともにディオン、デラズ、ズアシークを迎え撃った―。
戦闘が激しさを増す中…
両陣営は
人型作業用ロボットを発展、武装化させた新兵器・人型戦闘機モビルスーツ
を開発し、戦線に投入した。
しかし、両陣営の戦争は、意外な形で終結した。
ディオン皇国の指導者であった
ギデン・ザヴィ
の死により、ディオン側が停戦交渉を開始。
D.C.0074年に、正式に停戦条約が締結され、4年近くにわたる戦争は終わりを告げ…
5年の月日が流れた―。
◇
D.C.0079年―。
新興スペースコロニー国家・カラバ民主共和国―。
運送業ガルダ・ロジスティクス社は、この日、ジャンブーロに作業用モビルスーツを搬入する仕事を請け負った―。
「今日の仕事は、ジャンブーロに作業用モビルスーツを運ぶという、超簡単な仕事よ☆」
と言うのは、19歳にしてガルダ・ロジスティクス社のスペーストレーラー・スターライト号のオーナーである
エリダヌス・ブランデンバウアー(通称エリー)
「たしかに、運ぶだけなら超簡単だ★
しかし
宇宙海賊
が厄介だ★」
と言うのは、スターライト号のパイロットの
ゼンラーノ・オンナスキー(通称ラノ)
「大丈夫☆
コンボイ船団に加わるから、軍の護衛がつくのよ☆」
と言うエリー。
「超簡単な仕事なのに、コンボイ船団に加わるんですか?」
と言うのは、スターライト号のオペレーターの
ショーゴ・オータ
「コンボイ船団に加わるから、超簡単な仕事なのよッ★」
とキレるエリー…。
「ま、たしかに、軍が護衛してくれるコンボイ船団に加われば安心だな。」
と言うラノに
「そうだね☆」
と同意するショーゴ。
「わかったら行くわよ!!
船団の出発は0時よ!!」
「「了解!!」」
と、ショーゴとエリーは、ラノが運転するワゴン車に乗り、宇宙港に向かう―。
◇
ガルダ・ロジスティクス社のスペーストレーラー・スターライト号は、全長50メートルの小型宇宙輸送艇であり
エリーの私物
である。
なんと、ガルダ・ロジスティクス社は
スターライト号以外の輸送宇宙船を所有していない
のだ…。
そもそも、ガルダ・ロジスティクス社は、エリーの父が創業した運送会社だが、彼の死後、エリーの母が事業を引き継いだ。
しかし…
彼女には、経営者としての資質が全く無かった…。
彼女が社長に就任してからは赤字の連続であり、借金返済のため、所有していた大型輸送宇宙船を手放したのだ…。
運送業者なのに輸送船が無いという情けない状況を見かねたエリーが、自身の私物であるスターライト号をガルダ・ロジスティクス社に貸しているのである。
つまり、ガルダ・ロジスティクス社は、エリーの私物を借りて事業を継続しているのである…。
いわば、ガルダ・ロジスティクス社の社長は、実質エリーである…。
スターライト号の船首にあるコクピットに入るショーゴ、ラノ、エリー。
「プラズマリアクター、始動!!」
と、船長席に座るエリーが指示を出す。
「プラズマリアクター、始動!!」
と、ショーゴは復唱して、プラズマリアクターの始動スイッチを入れる。
スターライト号のエンジンであるプラズマリアクターが起動する。
「出力上昇!!
70…
80…
90…
臨界!!」
と報せるショーゴ。
「スターライト号、発進!!」
という、エリーの号令一下
「スターライト号、発進!!」
と、ラノが復唱して、操縦桿を押す。
ラノの左隣に座るショーゴがスロットルを操作して、プラズマリアクターの出力を調整する。
宇宙港を出港したスターライト号は、コンボイ船団の合流宙域に向かう―。
◇
午前11時55分―。
スターライト号は、コンボイ船団に合流した。
コンボイ船団―。
それは、輸送船や軍の護衛艦を含めて数百隻からなる、全長数キロにもおよぶ大輸送船団である―。
《貴船のコールサインはヘンホ3401。
ブロックC3に合流せよ。〉
と、スターライト号に船団司令船からの通信が入る。
「了解。
ヘンホ3401、ブロックC3に合流します。」
と応答するエリー。
「ラノ。
ブロックC3に合流。」
というエリーからの指示を聞いて
「了解。
ブロックC3に合流。」
と、復唱するラノ。
ブロックC3は、船団でも前の方だった―。
出発予定時刻を10分過ぎて、コンボイ船団はジャンブーロに向かって発進した―。
◇
コンボイ船団が出発してから1時間後―。
宇宙港の作業員がタブレットを手に、荷物の集積所の点検をしていた。
「あ〜ん?
何だ、これ?」
と、集積所に残された、大きなコンテナを見る作業員。
「え〜っと…
何?
ガルダ・ロジスティクス社のスターライト号…?」
と、手にしたタブレットを操作して、コンテナのデータを確認する作業員。
「おい。
スターライト号は、いるか?
…。
何?
もう出港した?
荷物も積まずにか?
…。
えっ?
積んだ?
じゃ、ここに残っているコンテナは何だよ?」
と事務所に訊く作業員。
「なんてこった★
積み間違いかよ…★」
と、事務所からの返事を聞いて、あきれる作業員…。
◇
「プラズマリアクター、出力安定。
このままの状態を維持します。」
と報告するショーゴ。
その時、カラバの宇宙港から緊急通信が入った。
「こちら、ヘンホ3401、スターライトです。」
と、応答するエリー。
《貴船の積荷に誤りがあることが判明しました。
ただちに帰港してください。〉
と言われて
「はぁっ!?」
と、顔をしかめるエリー。
「何やってんだよ、まったく★」
と愚痴るラノ。
「しょうがないわ★
帰るわよ★」
と言うエリー。
「こちら、ヘンホ3401。
積荷の積み間違いにより、カラバに帰港します。」
と、船団司令船に通信を入れるショーゴ。
《了解。
ただちに帰港せよ。〉
と、船団司令船からの通信が入った。
「これより、本船はカラバ宇宙港に帰港します!!
反転、180度!!」
と指示するエリー。
「了解!!
進路反転、180度!!」
と復唱して、スターライト号を左回りに反転させるラノ。
スターライト号は、ただ1隻で、カラバの宇宙港に向かった…。
「それにしても、荷物を間違えて積むなんて…
あるんですね…。」
と言うショーゴ。
「まったくだわ★
どこの誰の荷物なのか、確認しといて。」
と言うエリー。
「はい。」
と、荷物の確認をするショーゴ。
データを照会すると…
「うわっ★
これ、軍事物資ですよ★」
と言うショーゴ。
「マヂかよ?
積み間違いにも、ほどがあるだろ!?」
と言うラノ。
「エラいモノ積んじゃったわね…★
とっとと帰って、積み直しよ。」
と言うエリー。
その時―
レーダーが、接近してくる機影を捉えた。
「何だ?
8時方向から、何かが接近してきます!!」
と言うショーゴ。
「何かって何よ?」
と訊くエリー。
「わかりません…
あっ!!
反応が3つに増えました!!」
と叫ぶショーゴ。
「増えた?
どういうこったよ!?」
と訊くラノ。
「プラズマリアクターのプラズマエネルギー値測定…
これは…
モビルスーツです!!」
と叫ぶショーゴ。
(!!)
驚愕するエリーとラノ。
モビルスーツを保持している宇宙船といえば
軍
か
宇宙海賊
のどちらかだ。
軍だとすれば、スターライト号が誤って積んだコンテナを受け取るためだけに、わざわざモビルスーツを発進させたりしない。
何より、カラバ宇宙港は正面なのに、わざわざ
宇宙海賊だ―。