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3ヶ月後―。
コロニー国家・ジャンブーロ連邦の軍刑務所前に、エリーとラノがいた。
待つこと数分―。
ショーゴが出てきた。
「ひさしぶり★
2人とも…★」
と力なく挨拶するショーゴ。
そして
(これで…
ようやく終わったな…★)
と、これまでの出来事を振り返る―。
▽
ジャンブーロ連邦軍が開発した新型モビルスーツ・ガンダム強奪未遂事件の顛末―。
事の発端は、連邦軍大尉のイワン・マクドナルドがギャンブルで2000万もの借金を作った事だ。
借金返済のため、イワンは
海賊にガンダムを売り渡す
ことを画策した。
ガンダムの情報を海賊にリークし、ガルダ・ロジスティクス社のスペーストレーラーにガンダムが入ったコンテナを載せ、海賊に強奪させる手筈だったが、ここで想定外の事が起きる。
この時点で、イワンの計画は完全に瓦解したのだが、それでも、イワンは次の手を打った。
ショーゴ達をガンダムの無断使用の罪でジャンブーロに護送中を海賊に襲撃させ、海賊撃退を口実にガンダムを出撃させ、直接、ガンダムを海賊に引き渡そうとしたのだ。
ガンダムを出撃させ、海賊に引き合わせることには成功したが、海賊に裏切られ、イワンは非業の死を遂げた…。
身内の不祥事に加え、新兵器が海賊に奪われそうになったなんてことが世間に知られたら大スキャンダルになることを懸念した軍は、イワンは海賊との戦闘で戦死したことにして、この事件を隠蔽した。
この事件に巻き込まれたガルダ・ロジスティクス社の社員ショーゴ・オータに関しては、民間人が軍の新兵器を無断使用したとはいえ、海賊の撃退し、ガンダムの強奪阻止に貢献したことをふまえ、3ヶ月間の拘留が言い渡された。
民間人が軍の新兵器を無断使用したら、本来なら死刑だから、3ヶ月の拘留で済むなど、奇跡的な事だ。
ガンダムは、不採用となった。
今回の事件もあるが、マシン・シンクロニティという民間人でも簡単に扱える操縦システムは軍用機には不適というのが、不採用の真相だ。
不採用となったガンダムは、そのまま廃棄されるはずだった。
ところが…
なんと、廃棄されたガンダムが
ガルダ・ロジスティクス社に贈られた
のだ。
ガンダムのAIには、すでにショーゴがパイロットに登録されていることを利用して、今回の事件を明るみに出さないためにも
ガンダムはガルダ・ロジスティクス社が所有するモビルスーツ
ということにしておいて、事件の隠蔽を、より確実にするためだった。
これだと、なんだか、今回の事件にガルダ・ロジスティクス社が関わっていたかのような処置だが、本来なら軍の新兵器を無断使用した罪で倒産させられてもおかしくなかったのだから、この処遇は、むしろ奇跡的な幸運である。
ガルダ・ロジスティクス社に贈られたガンダムだが、新型機ゆえ、軍事機密も含まれていたため、廃棄されたとはいえ、そのまま譲渡するわけにもいかなかった。
大出力プラズマリアクターは、作業用モビルスーツの物に換装され、腕部のプラズマグレネードもプラズマバルカンに換装されていた。
そこに、カラバ警備隊のモビルスーツが使用しているプラズマライフルとシールド、プラズマカッターを装備すれば
、民間用のモビルスーツとしては、かなりの重武装だ。
しかし、これで海賊に襲われても、ある程度、自力で対抗できる。
なお、ガンダムという機体名は、連邦軍の新型モビルスーツの開発コードネームとのことなので、ガンダムという名前を使えないため、ショーゴが
スタァライト
と改名した。
スターライトではなく
スタァライト
なのは
スターライトは、エリーのスペーストレーラーの名前なので、エリーに拒否された
からである。
ショーゴとしては、スターライトに積まれていた縁から付けようとした名前だったが、エリーに反対されたから、スタァライトにした。
「読み方が同じ」
とキレるエリーに、ショーゴは
「表記が違う」
と、強引に押し切った…。
ガルダ・ロジスティクス社も、その後、エリーが社長になり、前社長にしてエリーの母イザベラは
名誉顧問
となった。
エリーが社長になった途端、赤字が減っていき…
2年後には、念願だった大型貨物船を購入することができた。
それにより、次第に大口の仕事も請け負えるようになっていった。
護衛のモビルスーツも、カラバ警備隊から中古のメイガン2機を譲渡されたことで、ショーゴの負担が大幅に軽減された。
D.C.0082年頃には、ガルダ・ロジスティクス社はカラバでも有名な運送会社となっていた。
そして、月日は流れ…
▽
D.C.0083年10月―。
ガルダ・ロジスティクス社の貨物船ネオ・スターライトは、コロニー国家デラズ人民共和国に向かうコンボイ船団に参加していた―。
順調に行けば、カラバからデラズまでは4日かかる。
しかし…
カラバを出発して2日目―。
だいたい、この頃あたりから、海賊に襲撃される。
案の定、コンボイ船団は襲撃された―。
「船団司令より緊急通信!!
海賊の襲撃です!!」
と叫ぶ、ネオ・スターライトのオペレーター。
「モビルスーツ隊の発進を!!
ショーゴ君、頼んだわよ!!」
と言う、ネオ・スターライトの女性船長(32)。
「了解!!」
と、ブリッジから出ていくショーゴ(21)。
更衣室でパイロットスーツに着替え、モビルスーツ格納庫に向かう。
そして、スタァライトのコクピットに入る。
コクピットハッチを閉め、天井に備え付けられているマシン・シンクロニティ用のヘルメットをかぶる。
『行くぞ、スタァライト!!』
《了解。
メインシステム、戦闘モードに移行します。〉
ネオ・スターライトは貨物船なので、モビルスーツ発進用のカタパルトは無い。
そのため、格納庫から、直接、発進する。
格納庫のハッチが開き、発進するスタァライトと、僚機の2機のメイガン―。
発進してまもなく、スタァライトのレーダーが敵機を捉えた…
が…
《機種特定不能。
本機のデータベースに、該当する機体のデータがありません。〉
と言う、スタァライトのAI。
『何だって!?』
と驚くショーゴ。
普通、海賊は中古のモビルスーツを使うものだが…
機種不明とは、どういうことなのか…?
『接触すれば、何かわかるかもしれない。
データ取得、頼むぞ。』
と言うショーゴ。
《了解。〉
と、迫りくる敵機を迎え撃つ
ヘルメット内側のモニターに、敵機の姿が映される。
(何だ、あのモビルスーツ?
見たことのない機体だ…。)
と、首をかしげるショーゴ。
敵機の姿は人型をしていない。
角張った戦闘機のような姿で、X字状のウイングの先端にスラスターが付いている。
敵機は、スラスターの先端から青白い光弾を撃ってきた。
《敵機の武装は
プラズマグレネード
です。〉
と言う、スタァライトのAI。
『何だって!?』
と驚くショーゴ。
プラズマグレネード―。
かつて、スタァライトがガンダムだった頃に装備していた
プラズマエネルギーを圧縮、凝縮した半固形エネルギー実体弾
を発射するという、戦艦の主砲と同じ原理の武器だ―。
敵機が撃ってきたプラズマグレネードを回避する
(思えば、あれから4年も経っているんだ…。
なら、モビルスーツがプラズマグレネードを装備していても不思議じゃないな…。
ただ…)
と、頭の中ではわかっていても、現実に目の当たりにすると、さすがに驚く…。
「2人とも気をつけろ!!
敵機の武器はプラズマグレネードだ!!
シールドでは防御できない!!
敵機からの攻撃は回避するんだ!!」
と、僚機のパイロットに向かって叫ぶショーゴ―。