機動戦士ガンダム スタァライト   作:星龜

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イワンが警備隊の隊員2名とともに、ショーゴ達が収監されている営倉に来た。

 

警備隊の隊員が、営倉の扉を開けて

「ショーゴ・オータ、出ろ。」

と言う。

 

「何だ?」

と言うラノに

 

「たぶん、事情聴取だろう。

行ってくる。」

と、ショーゴは立ち上がり、営倉から出ていく―。

 

 

「こりゃ、運が向いてきたわよ☆」

と、ドヤ顔をするエリー。

 

「お前…

そのセリフ…

今、思いついた

だろ?」

とラノにツッこまれ

うるさいわねッ★

と、キレるエリーだったが

「だってよ…

運が向いてきたんなら

俺達だって出られる

だろ!?」

と、ラノに正論をぶつけられ、エリーは沈黙した…。

 

 

イワンと警備隊の隊員2名とともに、警備隊基地のモビルスーツ格納庫に連れられてきたショーゴ―。

 

「少佐、連れてきました。」

と言うイワン。

 

「ご苦労。」

と言って、ショーゴの前に立つオスカー。

 

「君が、ショーゴ・オータ君かね?

私は、ジャンブーロ連邦軍少佐のオスカー・リッチマンだ。」

と、ショーゴを見下ろすオスカー。

 

「はい…。」

と、オスカーを見上げるショーゴ。

 

身長170センチのショーゴには、身長185センチのオスカーは、見上げるような大男だった。

 

軍人としての威圧感が、ショーゴにさらなる圧力をかけた。

 

「手短に言う。

ガンダムのプログラムのロックを解除してほしい。」

とオスカーに言われたが

 

「何のことですか?」

と訊き返すショーゴ。

 

ガンダムのプログラムにロックをかけた憶えは無いからだ。

 

「ガンダムの戦術ドクトリンに、無用なプログラムがインプットされている。

削除しようにも、君がロックをかけているからできないのだ。」

というオスカーの発言を聞いて

 

(あのことか。

敵の戦闘能力を無力化して撃退することを、今後の全ての戦闘状況における最優先行動にしろ

っていう…。)

と、思い出すショーゴ。

 

しかし、ロックをかけた憶えは無い。

 

「リッチマン少佐が言っているのは

『敵の戦闘能力を無力化して撃退することを、今後の全ての戦闘状況における最優先行動にしろ』

というのでしょうか?」

と訊くショーゴ。

 

「そのとおりだ。」

と言うオスカー。

 

「人を殺したくなかったんです。

ただでさえ、軍のモビルスーツを無断使用しただけでも死刑なのに、殺人までしたら…。」

と言うショーゴ。

 

「若いのに賢明な判断だ。

だが、我々、軍にとっては無用なプログラムだ。

我々、軍は敵の兵士…すなわち

人を殺すのが仕事

だ。

そして、モビルスーツは、そのための道具だ。

人殺しのためのモビルスーツなのに人を殺せないというのは本末転倒なのだ。」

と言うオスカー。

 

「でも、本当にロックをかけた憶えはありません!!

そんなことをする必要も無いでしょ!?」

と言うショーゴ。

 

「では、誰がロックをかけた?」

と訊くオスカーに

 

「知りません。」

と言うショーゴ。

 

「ガンダムに触れた人間は、君以外に誰がいる?」

と訊くオスカーに

 

「僕以外、いません。」

と言うショーゴ。

 

「外部からロックをかけた可能性は?」

と訊くオスカーに

 

「それはありえませんね。

外部からアクセスされた形跡はありません。」

と、オスカーの後ろに立っている技術者が言う。

 

「君には訊いていない。」

と、振り返るオスカー。

 

「ロックをかけたのは

ガンダム自身がかけた

んじゃないんですか?」

と言うショーゴ。

 

再び、ショーゴの方に向き直るオスカー。

 

「ガンダムには

意思

がありました。

きっと、プログラムにロックをかけたのは、ガンダム自身だと思います!!」

と言うショーゴだったが

 

「オータ君…

私は、そういう

空想(ファンタジー)には興味は無い

んだ。」

と、ショーゴを否定するオスカー。

 

「もう一度言う。

ガンダムのプログラムのロックを解除してくれ。

これは

命令

だ。」

と言うオスカー。

 

「わかりました…。」

と言うショーゴ。

 

べつに、オスカーに命令されたからではない。

 

ロックをかけた・かけてないという水かけ論を終わらせるためだ。

 

ロックをかけた憶えは本当に無いのだが、しかし、本当にロックがかかっているみたいなので、それを解除できるのは自分しかいないと、ショーゴは思った―。

 

 

メカニックマン達が、メンテナンスベッドに寝ているガンダムの上半身を起こす。

 

そして、コクピットに入るショーゴ。

 

コクピットハッチを閉めると、コクピット内は真っ暗になるが、計器の光で、コクピット内は、ほのかに明るくなる。

 

コクピットの天井に備えつけられている、マシン・シンクロニティ用のヘルメットをかぶる。

 

ヘルメット内側のモニターに、外の景色が映し出される。

 

《こんにちは、マスター。〉

と言う、ガンダムのAI。

 

『こんにちは、ガンダム。

今日は、君に頼みがあるんだ。』

と言う、ショーゴの意識―。

 

 

外では、技術者がモニタリングしていた。

 

「な…何だ、これは…!?」

と、顔面蒼白の技術者。

 

「どうした?」

と訊くオスカー。

 

「し…信じられない…!!

ガンダムが…

ガンダムが、あの少年と

会話

しているのです…!!」

と言う技術者。

 

「どういうことかね?」

と訊くオスカーに

 

「ガンダムには、マシン・シンクロニティ用のAIが搭載されていますが…

そのAIが、少年に語りかけているのです…!!」

と言う技術者。

 

(モビルスーツがしゃべるだと…?

そんなバカな話が…?)

と、オスカーは首をひねった…。

 

 

ガンダムのコクピット内では…

 

『前に、君の戦術ドクトリンに登録した、戦闘時の最優先行動を削除してほしい。』

と言う、ショーゴの意識。

 

《命令の意図を理解しかねます。〉

と、ショーゴの命令を拒否するガンダムのAI。

 

『あの命令は、本来、君には必要の無い命令なんだ。

あの命令のせいで、君は本来の用途に使用できないんだ。

もう一度言う。

戦術ドクトリンに登録されている、戦闘時の最優先行動を削除してくれ。』

と言う、ショーゴの意識。

 

すると…

 

《削除する理由がありません。〉

と、またしても、ガンダムのAIが、ショーゴの命令を拒否した。

 

これには、ショーゴも驚いた。

 

『ど…どうして…?』

と訊く、ショーゴの意識。

 

《あの命令は

私の戦術行動において、もっとも有効な命令である

と判断します。〉

と言う、ガンダムのAI。

 

(そんな…!?

まさか…

ロックをかけたのは…

ガンダム自身…!?

いや…

ロックをかけたんじゃなくて

ガンダムがプログラムの削除を拒否している

んだ…!!)

と驚くショーゴ―。

 

 

外でモニタリングをしている技術者も…

 

そして、技術者が持つタブレットの画面を見たオスカーも驚愕していた…。

 

「バカな!?

なぜ、モビルスーツが人間の命令を拒否するんだ!?」

と、技術者の胸ぐらをつかみ上げるオスカー。

 

「しょ…少佐…!?」

と、止めに入るイワン。

 

「わ…わかりません!!

私にも、なぜ、このようなことが起きるのか…

皆目、見当がつかないのです…!!」

と叫ぶや、オスカーから解放される技術者。

 

 

まもなく、ガンダムのコクピットからショーゴが出てきた。

 

「すみません、リッチマン少佐…。

削除できませんでした…。

その…

ガンダムが拒否したんです。」

と言うショーゴ。

 

「あぁ…。

悪いが、モニタリングしていた…。

正直…

私も信じられん…。」

と言うオスカー。

 

「僕は…

どうなるのですか?」

と訊くショーゴ。

 

民間人が軍のモビルスーツを無断使用した挙句、勝手なプログラムをインプットしていまい、戦闘用モビルスーツとして使えなくしてしまったのだ…。

 

間違いなく、死刑だろう…。

 

「君達の処遇については、再度、協議する…。」

とオスカーに言われたショーゴは、再び、営倉に戻された―。

 

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