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ショーゴ達を護送する巡洋艦ヴォスニアが、カラバ宇宙港を出港した―。
ヴォスニアのモビルスーツ格納庫に搬入されたガンダムを見る、オスカーとイワン。
ヴォスニアは
常用8機
予備2機
計10機のモビルスーツを搭載できるが、格納庫内にはガンダムと、4機のゼム・ネクストしか搭載されていない。
しかし、オスカーは、ゼム・ネクストが4機しか搭載されていないことに疑問を感じていた。
ジャンブーロを出発する際、イワンから
「囚人の護送任務のためだけに、モビルスーツを10機も搭載する必要は無い」
とは聞かされてはいた。
だが、どうにも、腑に落ちない…。
たしかに、今回の任務は
海賊達が使っているモビルスーツは、各コロニー国家の軍から退役した旧型機だが、それでも、戦艦を撃沈できるくらいの性能はあるのだ。
ヴォスニアに搭載されているゼム・ネクストも、現在、ジャンブーロ連邦軍の主力モビルスーツとはいえ、大戦時の主力モビルスーツだったゼムの近代化改修機であり、そういった意味では、ゼム・ネクストも旧型モビルスーツといえる。
戦艦も撃沈できる旧型モビルスーツ
を使用する海賊からの襲撃を
たった4機の近代化改修された旧型モビルスーツ
で防ぎきれるだろうか―?
オスカーとイワンは、ガンダムに向かう。
ガンダムには、数名の整備士達が整備を行っていた。
コクピット内の整備をしているのは、白いヘルメットをかぶった整備士だった。
「ご苦労。
君の名前は?」
と訊くオスカー。
「オレッスかぁ?
ガンダムの
タケオ・ワッタ
ッス☆」
と名乗るワッタ。
「オスカー・リッチマン少佐だ。」
と、オスカーの階級を聞いて
「失礼しました、少佐殿!!」
と、敬礼するワッタ。
「コクピットの整備をしているということは、君もマシン・シンクロニティが使えるのか?」
と訊くオスカーに
「はいっ!!
これより、ガンダムのAIの調整をするところであります!!」
と言うワッタ。
「見物させてもらおう。」
と言うオスカーに、ワッタは
「どうぞ☆」
と言ってコクピットに座って、かぶっていた白いヘルメットをはずす。
そして、天井に備え付けられているマシン・シンクロニティ用のヘルメットをかぶった。
「おしゃべりなAIッスねぇ☆」
と、元のしゃべり方に戻ってしまうワッタ…。
「これを動かしたオータという少年も、同じようなことを言っていた。
正直、私には何のことなのか、さっぱりわからないのだが…。」
と言うオスカー。
「オレも聞いてるッス☆
なんか、民間人の野郎が動かしたそうッスね。
そいつも、マシン・シンクロニティが使えたんスねぇ☆
AIとの会話は、オレ達みたいなマシン・シンクロニティを使える者じゃないと、わからない概念ッス☆」
と言うワッタ。
「チーフ。
私には
どうしても、わからないことがある。」
と言うオスカー。
「何スか?」
と訊くワッタに
「なぜ、モビルスーツにマシン・シンクロニティシステムが採用されたのだ?」
と言うオスカー。
「そんなこと、オレに訊かれても、わからないんスけど…
たぶん
操縦訓練時間の短縮
なんじゃないスか?」
と言うワッタ。
「訓練時間の短縮?」
と訊くオスカーに
「レバー動かすよりも、頭で考えて動かす方が楽ッスからね☆」
と言うワッタ。
「モビルスーツの操縦は、ゲームじゃないんだぞ!!」
と怒るオスカー。
「オレにキレられても困るッスよぉ★」
と言うワッタ。
「まぁ、いい…。
整備、よろしく頼む。」
と言って離れるオスカーとイワン。
そして、
「大尉。
君は、さっきの彼の話をどう思う?」
と訊くオスカーに
「マシン・シンクロニティのことですか?」
と訊くイワン。
「うむ。
思考コントロールでモビルスーツを操縦することについて、君はどう思う?」
と訊くオスカーに
「たしかに…
あのタケオチーフの言う通り、訓練時間の短縮や訓練コストの削減にはなりますね。
しかし、少佐が立腹されたように、兵器をゲーム感覚で扱うのも、如何なものかと…。」
と言うイワン。
「その通りだ。
時代の流れかもしれんが、軍は、そういう流れに乗ってはいけない。
私個人としては、ガンダムが採用されないことを祈るよ。」
と言うオスカー。
そして、2人は
◆
シーラの海賊団の母艦が暗礁宙域を出て2時間40分後―。
レーダーがヴォスニアを捉えた。
「予定よりも早く
と報告するオペレーター。
「よしッ!!
モビルスーツ隊を出しなッ!!
ここでしくじったら、後は無いよッ!!」
と叫ぶシーラ―。
モビルスーツの格納庫では―
(本当にコイツ…
大丈夫なんだろうな…?)
と、不安を抱きながら、ゲルーグのコクピットに入るロガ。
コクピットハッチが閉まると、頭部のモノアイにピンク色の光が灯る。
そして、リニアカタパルトに乗る。
「ロガ!!
ゲルーグ、出るぞ!!」
と申告し、ゲルーグを発進させるロガ。
シーラ海賊団のモビルスーツ隊、最後の出撃だ…。
◇
一方、ヴォスニアでは―。
「5時方向より、接近する機影あり!!
これは…
モビルスーツです!!」
と叫ぶオペレーター。
「モビルスーツだと!?
なぜだ!?」
と驚くヴォスニアの艦長。
「海賊か!?」
と言うオスカー。
「機種特定!!
ザルク5
ゲルーグ1」
と報せるオペレーター。
「ゲ…ゲルーグだと…!?」
と驚くヴォスニアの艦長。
そして
「モビルスーツ隊を発進させろ!!」
と叫ぶ。
「艦長!!
自分も出撃します!!」
と言うイワン。
「いいのか、大尉?」
と訊くオスカーに
「大丈夫です、少佐!!」
と答えるイワン。
そして
「艦長!!
自分は
ガンダムの出撃
を進言します!!」
と言い出すイワン。
「何を言うんだ、大尉!?」
と叫ぶオスカー。
「今、本艦にはモビルスーツが4機しかありません!!
海賊は旧型とはいえ、数で勝っています!!
しかも、その内の1機はゲルーグです!!
ゲルーグは現在でも、ディオン軍の主力モビルスーツとして使われている高性能機です!!」
と力説するイワン。
「オスカー少佐は、どう考える?」
と訊くヴォスニアの艦長。
「この件に関し、自分には決定権は無いものと考えます。
しかし、イワン大尉の進言も無視できません。」
と言うオスカー。
「全責任は、私が負います!!」
と言うイワン。
「わかった。
この件に関する全権をイワン大尉に委ねる!!」
と言う艦長。
「ありがとうございます!!」
と、イワンは敬礼して艦橋から出ていった―。
「頼もしい部下ではないか☆」
と、目を細める艦長。
「しかし…
なぜ、大尉自身が出撃する必要があるのでしょうか?」
と言うオスカー。
「ど…どういうことかね?」
と訊く艦長。
「何か考えがあってのことだとは思いますが…
それを確認するために、あえて行かせました。」
と言うオスカー―。