合宿2日目 。
朝日が昇り始め、ひんやりとした空気が漂う中、A組の面々は体操着姿で宿泊施設の前に集まっていた。
まだ眠気が残る者もいれば、すでに気を引き締めている者もいる。そんな中、イレイザーヘッドが前に立ち、静かに口を開いた。
「おはよう、諸君」
彼の一言で、全員の意識が一気に引き締まる。
「本日から本格的な強化合宿を始める。この合宿の目的は、全員の強化及び、それによる仮免取得。そして――」
一瞬間を置き、イレイザーは鋭い視線を生徒たちへと向ける。
「具体的になりつつある敵意に立ち向かうための準備だ。心して臨むように」
緊迫感のある言葉に、全員がゴクリと息を飲む。
そんな中、イレイザーはおもむろにソフトボールを取り出し、それを灯里へと投げた。
「というわけで橘、こいつを投げてみろ」
灯里はキャッチしたボールを見つめ、すぐに何の意図かを察する。
それは、入学当初に行った個性把握テストのソフトボール投げと同じものだった。
「入学直後の記録は820m…どれだけ伸びているかな」
淡々としたイレイザーの言葉を受け、灯里は軽く肩を回し、握り直したボールを握りしめる。
深呼吸し、一気に腕を振り抜く――
ボールは勢いよく空へと放たれ、さらにその直後、灯里は蝶を生み出し、ボールへと放つ。
BOOON!と爆発が起こり、その衝撃によってボールはさらに加速し、空高く飛び去っていった。
ピピッ…
計測機が距離を測定し、数値が表示される。
「1030.5m」
「おおっ! 1000m超えてる!!」
「この三ヶ月色々濃かったもんな…!」
周囲からどよめきが上がる。
しかし、イレイザーはそれを特に感慨もなく受け流し、次の人物へと目を向けた。
「じゃあ爆豪、お前の前回の記録は705.2m。お前もやってみろ」
そう言いながらボールを手渡す。
周囲では「爆豪も1000m超えるんじゃないか?」と期待の声が上がる。
爆豪は無言でボールを握りしめ、深く息を吸い込んだ。
「んじゃ……くたばれ!!!」
爆破とともにボールを放つ。空中で弾ける火花が、その勢いをさらに加速させた。
ピピッ…
計測機が再び距離を測定する。
「709.6m」
「えっ……?」
期待とは裏腹に、表示された数字はほぼ変わらない結果だった。
灯里の記録が伸びていたのに対し、爆豪はほとんど変化していない。
「おい、蝶女」
予想外の結果に困惑した爆豪が、灯里へと詰め寄る。
「なんでお前の記録が伸びてて、俺の記録が伸びてねェんだよ!!」
「あー……そんなこと言われても……」
灯里は肩をすくめながら苦笑いを浮かべる。
爆豪は明らかに納得がいかない様子だったが、そこでイレイザーが間に入る。
「約三ヶ月間、様々な経験を経て、確かに君たちは成長している」
イレイザーの言葉に、一同が耳を傾ける。
「だが、それはあくまでも精神面や技術面、“個性”そのものは成長していない」
その言葉に、皆は一瞬考え込む。
「じゃあ、なんで橘だけ……?」
ふと、クラスメイトの間に新たな疑問が生まれる。
明らかに灯里の“個性”は成長している。それはなぜなのか。
イレイザーは生徒たちの疑問を察し、灯里に視線を向ける。
「橘、お前は放課後定期的に訓練所を借りていたな。何をしていた?」
「えっと……蝶の火力を上げた状態での維持と、炎の操作性の調整をしました」
灯里は特に気負うことなく、淡々と答える。
「橘が行っていたのは“個性伸ばし”だ」
イレイザーは視線をクラス全体へと向ける。
「個性は、使い続ければより強くなる」
その言葉に、クラスメイトたちはそれぞれの個性について考え始めた。
「今日から君らの個性を伸ばす」
静寂が走る。
「死ぬほどキツイが――くれぐれも、死なないようにな」
こうして、地獄の強化合宿が幕を開けた。
阿鼻叫喚の地獄絵図。
広場には、悲鳴と怒号が飛び交い、汗と土埃が入り混じる。
目の前に広がるのは、壮絶な訓練風景。
殴り合う者、食事という名の苦行に耐えながら必死に胃へと押し込む者、崖をよじ登る者――あちこちから叫び声が上がり、まるで戦場のような光景が広がっていた。
ちょうどやって来たB組の生徒たちは、どこか引き気味にA組の訓練を見つめている。
そんな喧騒の中――
灯里はひとり、静かに佇んでいた。
ピクシーボブが作り出した土の足場に座り、目を閉じる。
“瞑想”
周囲の混沌とは対照的に、灯里の周りだけがまるで別世界のように静かだった。
空間には、彼女の生み出した無数の蝶が漂い、炎の輝きを微かに放っている。
炎華の蝶には操作範囲と滞在時間が決まっている。
そのため、灯里は最大火力の蝶をより長く安定して留めるための訓練を行っていた。
炎を凝縮し、制御することで、滞在時間を伸ばしつつ、見た目には通常の蝶と変わらないよう調整する。
ほんの少しでも均衡を崩せば、蝶は爆ぜ、周囲の蝶に誘爆する危険がある。
慎重に、冷静に心を鎮め、制御する。
全身の感覚を研ぎ澄ませ、微細な調整を加え続けるのだった。
夕暮れ時。
疲れ切った生徒たちは、夕飯の準備に取り掛かっていた。
料理に慣れていない者は、食材の扱いに苦戦しながらも試行錯誤を繰り返していた。一方で、手際よく包丁を扱い、淡々と作業をこなす者もいる。
灯里は慣れた手つきで淡々と食材を切り分けていた。
包丁の刃がまな板に当たる軽快な音が響き、次々と野菜が適切な大きさに揃えられていく。
そんな中、「火が欲しい」と声がかかる。灯里は包丁を置き、立ち上がろうとした。
「ちょっと待ってね」
そう言いかけた瞬間、横から声がした。
「俺がいくよ」
水場で作業していた焦凍が、静かに歩み寄る。
片手を軽くかざすと、赤い炎が灯り、鍋の底に火が移った。
他からも声がかかり、焦凍は次々と火をつけて回っていた。
灯里は一瞬だけ轟の背中を見送ると、再び作業へと戻った。
──そして、なんとかカレーが完成する。
「「いただきまーす!!!」」
疲労と空腹が相まって、誰もが勢いよくカレーをかき込む。
「ヤオモモがっつくねー!」
普段は上品に食事をする彼女が、今日は珍しくスプーンを忙しく動かしている。
どうやら脂質を様々な原子に変換し、たくさん蓄えるほどたくさん出せるらしく、エネルギーを補給する必要があるらしい。
「うんこみてえ」
瀬呂がボソリと漏らすと、八百万は一瞬フリーズした。
即座に「謝れ!!」と耳郎の平手打ちが飛び、瀬呂は吹っ飛ばされた。
その間も、食事は続く。
灯里も静かにスプーンを口へ運んでいた。
──そんな中、ふと視界の隅で緑谷が席を立つのが見えた。
彼は誰にも声をかけず、一人でどこかへ向かっていく。
灯里は特に気に留めることなくカレーを食べ続けたが、後から聞いた話によると洸汰のもとへ行っていたらしい。
どこか緑谷の表情が硬く聞いてみると、どうやら洸汰君は超人社会そのものを嫌ってるらしく、なんと言うべきかわからなく悩んでいるそうだ。
その言葉に、灯里は小さく息をついた。
「別に、無理に言う必要ないんじゃない?」
「え?」
緑谷は意外そうに目を丸くする。
「なんで超人社会を嫌ってるか、詳しくは知らないけど……それぞれ事情があるし、無理に首を突っ込んでもあまりよくないと思うよ。緑谷君って、そういうところあるし」
「うぅ……確かに……」
緑谷は落ち込みながらも、どこか納得したようだった。
「……でも、何かしてあげたいって気持ちはあるんだ」
灯里は少し考えたあと、静かに口を開く。
「あえて言うなら、下手に肯定しないことかな」
「下手に……?」
「彼の素振りを見る限り、ヒーローを良く思ってないのは確か。でも、あの年齢でヒーローを嫌ってるとなると……親がヒーローだったりするケースが多いかな?」
「……っ!」
緑谷は驚いたように息を飲む。
「だとしたら、ヒーローに憧れる自分たちとは真逆の立場にいる人間ってこと。下手な肯定は逆効果だと思うよ」
緑谷はしばらく考え込んだあと、ふっと表情を和らげた。
「そうだね……話聞いてくれて、ありがとう」
「じゃ、私は部屋に戻るね」
「あ、うん。おやすみ」
灯里は軽く手を振り、その場を後にした。
夜の冷えた空気を感じながら、静かに歩き出す。
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合宿3日目。
2日目に続き、生徒たちは個性伸ばしの特訓に励んでいた。
各々が己の個性を限界まで引き出し、少しでも成長しようと必死に食らいついている。
「補習組、動き止まっているぞ」
疲労の色が濃くなり始める中、イレイザーヘッドの厳しい声が響く。
補習組のメンバーは特に疲弊していた。遅くまで補習授業を受けた上での朝早い訓練。体力も気力も限界に近い。
「だから言ったろキツイって」
イレイザーヘッドが鋭い眼光を向ける。
「そう言えば相澤先生、もう三日目ですが」
「言ったそばからフラっとくるな」
緑谷はオールマイトや他の先生が来ないのか尋ねていた。
だが、オールマイトは敵側の目的の一つと推測されていて、必要最低限と言われるのだった。
「ねこねこねこ…それより皆、今日の晩はクラス対抗肝試しを結構するよ!」
アメとムチ。
散々鍛えられた後に与えられた息抜きの時間は、彼らにとってこの上なく魅力的に思えた。
──そして、日中の訓練が終わり、夕食の肉じゃがを作り終えた頃、日はすっかり落ちていた。
「腹もふくれた、皿も洗った! お次は……」
「肝を試す時間だ」
芦戸の弾んだ声とともに、待ちに待った肝試しが始まろうとしていた。
「その前に大変心苦しいが、補習組は俺と補習授業だ」
「ウソだろ」
補習組は無情にも引きずられていくのだった。
ペアはくじ引きで決められ、灯里は青山と組むことになった。
「肝試しかぁ……」
灯里は青山と共に、指定されたルートを進んでいた。
最初こそ青山は騒いでいたが、肝試しが始まってしばらくすると、辺りは静寂に包まれる。
暗闇の中、森の奥へと足を進めていく。
そして、ルートの途中に置かれたお札が見えてきた――その時だった。
「……ッ」
鼻を突く焦げ臭い匂いとともに、辺りに濃い煙が漂い始めた。
「これは……ガス?」
直感的に異変を察した灯里は、すぐさま青山に声をかけた。
「戻るよ!」
急いで引き返そうとするも、ガスは徐々に濃くなり、視界はどんどん悪くなっていく。
ふと後ろを振り返るが、先程まで後ろにいた青山の姿はなかった。
灯里は周囲を見渡すが、すでにガスが視界を遮り、青山の姿は見えない。
……はぐれたか
探しても良かったが、そもそも、灯里にとって青山の安否は重要ではなかった。
自ら動く気はない……このまま施設へ戻ろう
進行方向を変えることなく施設を目指して歩き始める。
しかし、歩を進めるごとにガスは徐々に薄れていく。
マスタードがやられたか…
ガスが晴れ、周囲の視界が開けた頃だった。
「おぃおぃ、こんなとこにも雄英生がいるぜ」
灯里の足が止まる。
月明かりに照らされた先――そこには、荼毘とトゥワイスの姿があった。
「こいつも捕まえるか? いや、この子は逃してあげよう」
開闢行動隊は、灯里が冥ということを知らない。
トゥワイスが戦闘態勢を取り、灯里もまた構えをとる。
静寂が流れる。
……が、次の瞬間、灯里は一瞬の隙を突いて後方へ跳んだ。
「ッ!」
反射的に追いかけようとするトゥワイス。
「おい、待て! 逃げろよ!」
だが、荼毘がトゥワイスを止める。
「まずは目的が優先だ。無理に追いかけなくてもいい」
灯里は迷わずその場を離れ、森の奥へと駆けていくのだった。
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一方その頃、焦凍と爆豪はムーンフィッシュと対峙していた。
月明かりに照らされた歯が、不気味に光る。
「近付けねえ! クソ、最大火力でブッ飛ばすしか…」
爆豪が拳を握り、手に溜めた爆破の火花が明滅する。
「ダメだ」
焦凍が冷静に制止する。
「木ィ燃えてもソッコー氷で覆え!!!」
「爆発はこっちの視界も塞がれる! 仕留めきれなかったらどうなる!?」
ムーンフィッシュは個性“歯刃”を駆使し、次々と鋭利な刃を飛ばしてくる。
一撃でも受ければ致命傷になりかねない。
場所は森林地帯。
爆豪の爆破や焦凍の炎は、大規模な火災を引き起こす危険性があった。
さらに周囲には、微かに立ち込めるガスの気配がある。
もし引火すれば、森全体が炎に包まれる可能性もあった。
「手数も距離も向こうに分があるんだぞ!」
焦凍が冷静に状況を判断しながら、氷を展開する。
その時──
「いた! 氷が見える、交戦中だ!」
遠くから緑谷の叫び声が響いた。
障子に背負われた緑谷が木々をかき分け、戦場に姿を現す。
その背後には、巨大な黒い影──ダークシャドウが木を投げ飛ばしながら迫っていた。
「爆豪! 轟! どちらか頼む! 光を!!!」
ムーンフィッシュは歯を伸ばし、ダークシャドウへと攻撃を仕掛ける。
だが──
ムーンフィッシュは無抵抗に地面に叩きつけられる。
圧倒的な暴力の前にねじ伏せられるのだった。
しかし、ムーンフィッシュはそれでも動きを止めなかった。
「肉〜〜駄目だぁああ、駄目だ駄目だ許せない」
「その子たちの断面を見るのは僕だぁあ!横取りするなぁあああああ!!!」
ムーンフィッシュは再び攻撃を仕掛ける、が……
「強請ルナ、三下!」
ダークシャドウの腕が唸り、ムーンフィッシュを一撃で吹き飛ばした。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛暴れ足リンゾア゛ア゛ア゛ア゛!!!」
さらにダークシャドウは暴れようとするが、隙を見た爆豪と焦凍は個性で光を生み出す。
閃光が一瞬、辺りを白く染めた。
ダークシャドウの暴走は、光を浴びたことで瞬時に鎮まった。
怯んだ影は常闇の元へと戻り、暴走は収束するのだった。
ダークシャドウの暴走は、障子の複製の腕がトバされた瞬間、怒りに任せダークシャドウを解き放ったことが原因だそうだ。
そして、緑谷、障子、常闇、焦凍、爆豪という最強のメンツが集まり、最も安全と考えられる施設へ向かおうと話している中、草むらからガサガサと音が鳴る。
「皆、すごい音したけど、そっちは大丈夫!?」
草むらから出て来たのは灯里だ。
彼女は戦闘を極力避け、施設へ向かっていたが、激しい戦闘音を聞きつけ、急行していたのだった。
「橘さん!」
「君は相変わらず酷い怪我してるんだね」
灯里は緑谷の姿を一瞥し、呆れたように小さく息をつく。
「今から爆豪君護送する感じ? 私も手伝うよ」
「俺を守るんじゃねぇ、クソ共!!!」
爆豪が苛立ったように叫ぶが、誰も気にせず準備を進める。
「急ごう」
こうして、緑谷、障子、常闇、焦凍そして灯里の5人は、爆豪を守りながら施設へ向かうのだった。
しばらく歩くと麗日さんと蛙吹さんと合流した。
2人はどうやらトガちゃんと戦闘していたらしい。
「とりあえず無事でよかった…そうだ一緒に来て!僕ら今かっちゃんを護衛しつつ施設へ向かっているんだ」
緑谷の発言に麗日と蛙吹は首を傾げる。
「……ん?」
「その爆豪ちゃんはどこにいるの?」
「え?」
「何を言ってるんだ、かっちゃんなら後ろに…」
振り返ると爆豪の姿はなく、先程までいた常闇の姿までなかった。
「彼なら俺のマジックで貰っちゃった。こいつはヒーロー側にいるべき人材じゃねえ、もっと輝ける舞台へ俺たちが連れていくよ」
木の上から軽快な声が響く。Mr.コンプレス。
仮面の奥からこちらを見下ろし、彼は手のひらの上で小さな球を転がしていた。
「返せ!!」
緑谷達は誰も油断はしていなかった。だがMr.コンプレスの個性“圧縮”により音もなく爆豪と常闇を回収していたのだ。
唯一灯里はかすかな音と気配から察知はできていたが、当然それを言う意味もなく、良い動きをするなと思っていた。
コンプレスは軽々と焦凍の攻撃を避け、素早く木々の上を駆け抜けていく。
「開闢行動隊!目標回収達成だ!短い間だったがこれにて幕引き!!予定通りこの通信後5分以内に”回収地点“へ向かえ!」
コンプレスの言葉に緑谷たちは焦り、全力で追う。だが素早い彼には追いつけず、一方的に距離を広げられていく。
そんな中、緑谷は即座に指示を出す。
「麗日さん僕らを浮かして早く!そして蛙吹さんの舌で思いっきり投げて、障子くんは腕で軌道修正しつつ僕らをけん引して!橘さんは炎で速度と調整を!」
緑谷の人間弾の提案に、皆が納得し、即座に行動を開始する。
怪我が酷いことから、緑谷は残るように言うが、彼は無理をしてでもついてくるつもりだった。
「おおおおおお!」
4人は宙を舞い、勢いよくコンプレスに突撃し、そのまま地面へと落下する。
だが、落下地点は開闢行動隊の集合場所。
荼毘、トゥワイス、トガがすでに集まっていた。
「知ってるぜこのガキ共!誰だ!?」
「避けろMr.」
荼毘が蒼炎を放つ。
「バッカ冷た!?」
4人は即座に距離を取り、警戒を強める。
しかし、トゥワイスとトガが攻撃を仕掛け、コンプレスと荼毘に近づくことはできなかった。
「爆豪は?」
「もちろん………!?」
コンプレスはポケットを漁るが圧縮した球がないことに気づく。
「三人とも逃げるぞ」
障子は短時間でコンプレスのポケットから球を回収していたのだ。
4人はすぐさま走り出す。荼毘は少し焦るが、コンプレスは余裕の態度を崩さない。
「っし、でかした!!」
灯里、障子、焦凍、緑谷の4人は走り出し、必死に距離を稼ぐ。
だが、目の前に黒霧が現れ、道を塞いだ。
「合図から5分経ちました。行きますよ、荼毘」
「トゥッ!」
「ごめんね、出久くん。またね」
トゥワイスとトガはワープゲートに入り、姿を消す。
「待て、まだ目標が…」
「ああ…アレはどうやら走り出すほど嬉しかったみたいなんで、プレゼントしよう。悪い癖だよ。マジックの基本でね、モノを見せびらかす時ってのは…」
コンプレスは仮面を外し、口から爆豪と常闇が入った球を取り出す。
「
障子の持っていた球が弾け、中から飛び出したのは――ダミー。
焦凍の氷が飛び出す。
「そんじゃー、お後がよろしいようで…」
荼毘とコンプレスがワープゲートで消えかけたその瞬間――
草むらから、一線の光が放たれた。
コンプレスの仮面が割れ、思わず口から球を吐き出してしまう。
青山優雅……
障子と焦凍は即座に手を伸ばす。
一つは障子がキャッチする。焦凍も手を伸ばすが、荼毘が先に取り、空振りするのだった。
「悲しいなあ、轟焦凍」
荼毘とコンプレスは個性を解除し、手元の球を確認する。
「問題なし」
「かっちゃん!!」
「来んな、デク」
その一言を残し、荼毘、コンプレス、そして爆豪は完全に姿を消すのだった。
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完全敗北。
生徒40名の内、意識不明の重体15名、重・軽傷者11名、行方不明1名
プロヒーロー6名の内、1名頭を強く打たれ重症、1名がコスチュームの一部と思われる痕跡を残し行方不明
敵側は3名現行犯逮捕、3名を残し他の敵は跡形もなく姿を消したのだった。
肝試しペアは原作とほぼ変わってません。少しペアを変えただけで流れに影響はないです。
セリフは飛ばし飛ばしで、少し雑なとこもありますがお許しください。
あとラグドールの“サーチ”は居場所や弱点などだけにして、個性の詳細まではわからないようにさせていただきました。個性の詳細までわかると冥の複数個性持ちがバレてしまうので、ここは調整させてもらいました。