2話でAFOさんはマスクをつけていると書いていましたが、時系列的にまだ大怪我していませんでした。
冥との出会いはオールマイトとの戦いの数年前の出来事です。
では本編どうぞ
冥は新しい環境に少しずつ慣れてきていた。
悪夢も未だ見ることがあるが、その頻度も減っていった。
これまでとは違う場所で、誰かに怯えることも、冷たい視線に晒されることもない日々。
それだけで、彼女にとっては十分な安らぎだった。
ある日、父オールフォーワンが言った。
「今日は僕と一緒に来てもらいたいところがある。」
何だろう。どこへ行くのだろうか。
不安げな顔になっていたのか、お父様は優しく答えてくれた。
「心配しなくていい、僕の友人に会いに行くだけだ。」
お父様のお友達のところに行くらしい。私はお父様に連れられ黒い靄に入った。
瞬きする間もなく視界が変わり、彼女は見知らぬ場所に立っていた。
そこはどこか冷たく、見回すといくつもの培養カプセルがある。どうやら研究所のようだ。
「さぁ、ドクターが君を待っているよ」
ドクターとは誰だろうか。そんなことを考えながら私はお父様と共に部屋の奥へと足を進めた。
そこには白衣をまとい、ゴーグルのようなメガネをしている年老いた男が立っていた。
彼は殻木球大といい、お父様の側近の一人らしい。
ドクターは冥を見つめ、まるで宝物を前にしたかのように、興味深げな眼差しを向けていた。そして少し離れた場所で、お父様とドクターが会話を交わし始めた。
冥には何のことを話しているのか理解できなかったが、ちらりと耳に入ってくる言葉に興味をそそられた。
「この子が……」
「嗚呼、彼女は…マキアすら超える可能性がある…」
「先天的な変異細胞……天然のマスターピースに近しき存在。なんとも興味深い…」
その言葉に、冥は小さく首を傾げた。
「マキア」や「マスターピース」など言葉の意味がわからず、思わず尋ねようと口を開くが、お父様の視線はドクターから逸れない。
その様子に、冥は少し不安を感じたが、同時に何か重大なことが起ころうとしているのだと胸が高鳴った。
ドクターがゆっくりと冥に向き直り、彼女に微笑みを浮かべた。
「お嬢ちゃんは特別な存在なんじゃよ」
その一言に、冥の心がぴんと張り詰めた。
「冥、君の体は、普通の人間とは少し違っている。先天的に変異した細胞を持っているんだ。そのおかげで、適応能力が非常に高く、僕の見立てでは……複数の個性を受け入れることができると考えている。」
冥の目が驚きに見開かれた。「複数の個性?」と、小さく反芻する。
ドクターが続けて言った。
「そうじゃ、君は他の誰とも違う、特別な人間なんじゃよ。」
その言葉を聞くたびに、冥の心は喜びに溢れていった。今まで失敗作と呼ばれてきた自分が、ここでは「特別な存在」だと、こんなに褒められるなんて。胸の奥からじんわりと嬉しさが込み上げてくる。
「わたし……本当に特別なんですか?」と、冥は信じられないような声で呟いた。
ドクターもお父様も頷いた。お父様は私の肩に手を置き、言った。
「君は、僕たちにとってかけがえのない存在だよ、冥」
私はその言葉に喜びを隠せなかった。
それと同時にお父様の期待に応えたいと強く願った。
「お父様、私が複数の個性?を受け入れることができたら、お父様は嬉しいですか?」
そう尋ねるとお父様は「もちろんだとも!」そう答えた。
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そこから、私の新しい生活が幕を開けた。
毎日、個性の訓練に取り組み、ドクターの研究の手伝いをすることが日課になった。
少しずつ、お父様は私に個性を与えた。
ドクターの研究所には見たことのない機械や資料が山のようにあって、脳無という存在について少しずつ知識を深めていった。
ドクターは研究内容を丁寧に説明してくれ、私が「分からない」と言えば一つひとつ根気よく教えてくれた。
その一方で、私の個性を引き出す訓練も欠かさなかった。私が個性をどう操るべきか、何を意識すべきかをお父様やドクターがいつも教えてくれた。
けれど、私が一番強く望んだのは、個性に頼らない力――体術を身につけることだった。
もともと無個性だった私は、自分の力だけで戦えるようになりたかったのだ。
お父様に頼んで、体術の訓練を受けさせてもらうことにした。
訓練は過酷で、何度も挫けそうになることもあったが、そのたびにお父様の言葉が支えとなった。
「君には可能性がある」と言われると、不思議と力が湧いてくる。
自分が特別で、誰かに必要とされている――そんな思いが、私を強くしてくれたのだ。
訓練と研究の繰り返しの日々は、身体だけでなく心も鍛えてくれた。
ドクターの話を聞くうちに、脳無についての知識も広がり、私もドクターみたいに研究してみたいと思うようにもなった。
お父様が用意してくれた環境で、少しずつ成長している自分が感じられて、その実感が私にとって何よりも幸せだった。
辛いと感じる瞬間ももちろんあった。
汗と涙で床に倒れ込むような訓練も、研究の手伝いも、私にとっては決して簡単ではなかった。
でも、誰かに必要とされている実感があったからこそ、乗り越えられた。
何より、お父様が見守ってくれる中で、私は一歩一歩成長していく自分を誇らしく思ったのだ。
冥の秘密が明かされました。
〈冥の特殊な細胞〉
適応能力が優れています。
例として挙げると細胞が熱に適応していき熱によるダメージが軽減される。的な感じです。
※炎を食らった、すぐに適応そして無効化ではなく、何度も食らうことで徐々に適応していき耐性がつくといったものです。
個性複数所持については、通常複数の個性で負荷に耐えられないが、その負荷を徐々に適応することで複数所持を可能とさせます。そのため一度に与える個性が多すぎると適応が追いつかず、冥でも耐えることはできません。
次回は冥のプロフィールと個性について紹介します。