神から与えられし祝福/呪い それは死徒化   作:一般通過龍

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ウルトラシリーズの要素抜きでも、ただでさえ死徒という存在はクロスオーバーしなくても世界にとって劇物にあたる存在なのに。原理血戒の特性上、どうしても世界観を特異点として掻き乱すという理由からアンチ・ヘイトタグを付けざるを得ませんよね


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来たれ、偉大なるヘカテー、ディオーネーの守護者、ペルシア人の女神、バウボ、プロウネ(カエル)、ダーツを放つ者、征服されざる者、リュディア人の女神、荒々しい者、気高い種馬、松明を保つ者、導き手、誇り高い首を屈ませる者、コレー、聞け、鋼鉄の破れざる門を破った者よ。

 

アルテミス、かつては保護者だった娘よ、力ある者、女主人、地より生まれた者、犬の指導者、全ての獣を使う者、十字路の女神、三つの頭を持つ者、光をもたらす者、尊厳ある乙女。

 

我は汝を呼ぶ。子鹿を殺す者、悪賢く、冥府の者、多くの姿ある者よ。来たれ、ヘカテー、三つの道の女神、炎を吐く亡霊らと共にある者、恐ろしい道と残酷な魅惑を定める者よ。

 

ヘカテーよ、我は汝を、早死にした者らと、妻や子を持たずに死んだ英雄ら、荒々しく声を上げ、その心に切望ある者らと共に呼ぶ。

 

彼女の上に立ち、彼女の甘い眠りを取り除け。そして上瞼が下瞼と結ぶ事の無いようにせよ。

 

そして彼女が私にのみ思い焦がれるようにせよ。もし彼女が他の男を抱いたとしたら、その男を突き飛ばし、彼女の心に私のみを抱くようにせよ。その男を即座に捨てて、我が扉の前に立ち、その魂は愛の我がベッドを恋焦がれるようにせよ。

 

ヘカテーの愛の呪文の詠唱の一部。

 

 

 

あの人はどこだろう・・・・・?

 

ある存在に意識と感覚を全て奪われた人間が廃ビルの中を彷徨い歩く。

 

「私はこっちにいるぞ」

 

 

声が聞こえる。あの人の声が・・・・・。

 

憔悴したような表情を浮かべながら、哀れな人間がカツン、カツン、と階段を少しずつ登る。第三者がいたら、まるで誰かに操られているように見えるだろう。

 

食虫植物が発する甘い香りに引き寄せられる昆虫のように、ビルの屋上に繋がる扉を開ける。

 

そこには闇に照らされた月があった。

 

違う。正体は月ではない。一人の女性だった。

 

女性のあまりの美しさに月の光が一点に集中しているから、闇に包まれた屋上の中で光輝を放つ月のように見えたのだ。

 

血袋(人間)。ここまできたことに褒美をとらせよう。私の口付けによって、死ぬということだがな」

 

こんなにも美しい女性がいるのだろうかと意識する前に、彼は美に溺れてしまった。

 

赤い瞳を輝かせながら、彼女の顔は妖しい朱唇を、魅了されてしまった人間の唇に恋人のごとく重ねたのであった。

 

二秒・・・・・・・。三秒・・・・・・・・。見る者とてない闇の中の妖美な時間であった。その吸血行為は誰にも邪魔されないだろう。彼女の一挙一動が美しいから。

 

見よ!証拠に闇が意思を持ったように動き出して、誰にも見られないように計らっているではないか!!

 

おおっ。美貌とは極めたら世界そのものが味方するのか!?

 

つい、と白い美貌が離れた。獲物になった人間の顔はまだそこにある。360°包み込むドームのように貼られた闇が晴れた。

 

ああ、誰もこの娘の美貌には及ぶまい。

 

夜風に委ねた青い髪はゆるやかで右へなびき、雪のような肌と一緒に、身に付けている青色の着物さえ夜の闇に溶け込ませないように月が精一杯光り輝かせる。美の基準は年月、時代、国とともに変わるというが、二十歳をさほど超えていまいと思われる娘の美貌はあらゆる条件を克服した永遠不変のものであった。

 

 

廃ビルの屋上で月夜に照らし出された犠牲者の顔は木乃伊(ミイラ)の如く干からびていた。そして、彼女の深い青い影がどこまでも伸びる。

 

やがてその青い影は地面へと枯れ木みたいにぎくしゃくと倒れ込んだ犠牲者の死体に絡みついたと思うと、唐突に屋上のアスファルトから乖離し、ヒトのカタチから怪しいケモノのようなカタチになる。

 

瞬きも許されない次の瞬間、そこには何も無かった。怪獣として具現化しそうだった影も。欠片も残さずに捕食されそうだった死体も。あるのは彼女の影だけ。ただし、その影の色はより深く美しく輝いていた。

 

 

私は死徒である。

 

人間からメツオーガと呼ばれる怪獣に転生して、ウルトラマンによって殺されたと思ったら、月の女神その人のヘカテと暗黒悪意マーラーによって、ミハイル・ロア・バルダムヨォン式の憑依転生方法でこの世界で過ごしていた人間の身体を乗っ取って、性格を塗り潰した形で原理血戒(イデアブラッド)と一緒に呪術廻戦世界に誕生したメツオロチの力を保有する死徒である。

 

我ながら、なんとも奇想天外な人生を送っているものだ。

 

勿論、フグが自身の毒で死なないように原理血戒の呪いには押し潰されていない。メツオーガとして千年以上も生きているし、死徒としての才能も神から持たされているゆえに。

 

原理や超抜能力はヘカテ様関連の能力だ。どうやら、メツオロチとしての力は別枠扱いされているらしい。この世界に転生する前は、メツオロチとしての力が原理扱いされると思ったが、そうではなかった。おそらく、私という死徒が吸血鬼の神様としてのヘカテの眷属(子供)扱いされているから、こういう原理になったのだろう。

 

ただし、もしかしたら死徒として超抜能力の一つである獣化は怪獣娘形態や怪獣形態が該当するかもしれない。

 

そして先程、哀れな人間(エサ)を釣った美貌の正体は、ヘカテ神の愛の呪文。ギリシア魔術を元にした超抜能力だ。生態の一つである、非存在化中の私を見える(・・・)人間。呪術廻戦風に(こちらで)言えば、呪術師としての才能がある人間を判別しながら、その美貌を活かして狩りをしているのだ。

 

基本的に何でも喰えるメツオロチとしての特性。マイナスエネルギー(負の感情)を糧に出来るウルトラ怪獣の特性で、呪霊を筆頭とした色々な存在を美味しく捕食できるが、やっぱり人間の()と情報が一番美味と感じる。

 

流石は人類。この世界の地球の霊長は呪霊という絞りカスでなく、人間という証を私が認めて肯定しましょう。だからこそ、死徒として貴方達が紡いできた世界の法則(テクスチャ)。人類史を否定して汚染する価値はあるということです。

 

死体を残さずに全て喰った様子から分かるように、同族(仲間)の死徒は今のところ増やすつもりはありませんが。

 

 

彼女という死徒の超抜能力(美貌)はこの世界の存在には誰にも負けることはないだろう。本人もそう確信していた。

 

もしも彼女の美貌と張り合おうとしたら、それこそ同じ規格外の美貌持ち。Fate/strangefakeでミサイルを美しさだけで無効化する芸当を見せたイシュタルや魔界都市新宿や吸血鬼ハンターDという作品に登場する秋せつらや『姫』やドクター・メフィスト、吸血鬼ハンターDを筆頭とした存在を連れてくるしかないだろう。

 

「死徒として生きるのも悪くはないな」

 

ぐずりぐずりと何かが蠢いた音がした。

 

それは彼女が内包している概念核。

 

「この世界でも霊長の覇者としての立場に着いている、一人の人間として偽装して生きるのも」

 

次の瞬間、彼女の身体つきや顔つきが脈動して全く異なる女性の外見が現れた。銀の髪に金色の瞳をした人間が。

 

「赤と金は魔性の色、青と銀は神聖の色。両方兼ね備えている神に祝福された死徒という者ほど皮肉なモノはないですね。この世界に聖堂教会がいたら、真っ先に狩られることになるでしょう」

 

それはジェスター・カルトゥーレという死徒が保有する超抜能力と同じ性質を持っていた。ただし、本家と違って原理血戒を授けてくれた相手が三相の女神故に三つの概念核しかないが。けれど、怪獣としての側面。死徒としての側面。転生した直後に汚染して取り込んだこの世界の人間としての側面。この三つを所持する彼女にとってはそれで充分。

 

三つの身体を持つ程度の能力は強いのだ。

 

「さて、騒ぎにならない内に退散しましょう。存在するだけで世界を汚染してテクスチャルールを塗り替える特異点たる死徒だから。窓や天元が日本全土に貼っている浄界(結界)に感知されやすいのが本当に難儀なモノです」

 

高レベルの死徒が保有する超抜能力の一つ。空間支配という能力で、世界に発生した自身という異物(イレギュラー)の正体を確認しようとする者。ここに来ようとした呪術師の正体を、自身という死徒と結ばれた因果を辿ることで感知した彼女という人間は唐突に発生した闇夜の霧に染み込むように廃ビルの屋上から消えていった。

 

 

 

「まただ・・・・・・。六眼でも見つけることができないくらいに残穢や痕跡が途中から綺麗さっぱりに消えている」




オリ主死徒が怪獣として暴れない理由?
可能性の感知とも呼べる域まで達した空間支配で、派手に暴れたらウルトラマンが降臨して目的達成できずに自身が荼毘に伏すと悟っているからです。
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