個人的には出生の関係上、虎杖悠仁に可能性を感じています。
銀の髪に金の瞳をした美しい女性が仙台の街を歩いていた。
太陽に照らされながら活動する着物の女の正体は死徒でもない怪獣でもない人間としての姿のメツ=ストリガ=モルモー=ラミア=アラ=ガアシエンディエタ=オロチであった。
人面獣心のクソ女!!と罵倒できる二つの貌と比べたら、人間アラとして振る舞っている彼女の性格はまだまとも、人格者と呼べるだろう。
人間の社会を乱さずに大人しく慎ましく過ごすことができる人格をしているから。
さて、そんな彼女はちょっとしたトラブルに出会って困った顔をしていた。
「お姉ちゃん、オレらと付き合わねえか?」
「いい遊びを教えてあげるからさ!」
二人組の不良に絡まれていたのである。
怪獣や死徒としての側面を前面に押し出している彼女だったら、
住んでいる家がある場所では、仮にも善性に溢れたお嬢様として名を通していたから。憑依形式の転生だったが、この世界で生きていたアラという人間の性格をインプットして行動するように心掛けていたから。
それでも虐殺を平然と、笑顔で、楽しんで行うことができる悪性の存在故に、殺すという選択肢が人間アラとして生きている彼女の日常生活に常に入っているが。
嫌ですわね。なんでこうも絡んでくるのかしら。今のところ、人間としての私のKILL数は自慢のゼロなのに。それほど殺されたいのかしら。品性下劣な血袋どもは。
今の彼女は気づいてないが、こういう輩に絡まれる理由は簡単だった。人間アラが今の状態になるまで、両親に蝶よ花よと愛でられて育ってきた箱入りお嬢様だったからだ。
そして、街を歩けば男性は愚か、女性ですらその美しさに一度は振り向くであろう程の、スクリーン越しに何人もの男達を魅了し、何人もの女の羨望を買い。一緒に一夜を過ごしたいと願わざるを得ない『美』が、人間としての彼女にあった。存在感の強すぎる可憐さを持っていた。しかも世間知らずな雰囲気を周りに無自覚に晒し出していた。
これでは高嶺の花とはいえ、ワンチャンがあるのでは?と思い込んでアタックを仕掛ける輩が出没するのも分かるだろう。
━━━━だが、ここに疑問が浮かび上がる。
何故、人間としての彼女の身体がこんなにも『美』を有しているのだ?別の使い道もある道具とはいえ、三つある面の一つの面。基本的に人間として偽装して日常生活を送る用途の
死徒としての彼女の『美』に比べれば、その美貌は粗雑なもの。人界の美と神の世界の美というくらいに差があったが、人間としての側面も美しい理由は三位一体や感染呪術、共感呪術という概念にあった。
究極の美というのは、観測者も高次元に引き上げる。美しいものを見た者は美しくなる。三つの面を持つならば、それぞれが影響しあい、ある種のエネルギーを循環する理屈で、人間としての彼女は死徒の自分が保有する性別の垣根を容易く超越する美貌に釣られるように美しくなったのだ。その影響は怪獣としての側面も受けている。
「やめろよ、嫌がっているだろ」
来た。
「げっ!?」
「西中の虎こと虎杖悠仁!!??」
二人の不良に絡まれていた彼女に助けの手を差し伸べたのは、薄茶色のツーブロックの短髪頭の少年だった。
その少年の名前は虎杖悠仁。
彼女が宮城県仙台市の街に来た理由は、虎杖悠仁という人物の顔を見るためである。大阪市と同じように死滅回遊の舞台にされる予定の仙台市に死を撒き散らすつもりではなかった。本当に、ただ単に、虎杖悠仁という人間を観察したいという純粋な気持ちでこの場所にやって来たのである。
やはりだ。デザイナーベビーと呼べる出生の関係上、呪物や毒耐性があるから死徒化の適性があるのでは?と思っていたが、死徒の適性がありますね。虎杖悠仁という人間には。
虎杖悠仁が二人組の不良に対処している間に彼女は考える。怪獣としての側面。死徒としての自分の思考を人間としての自分の思考に混ぜながら。
型月的には後に託すという思考は大事なテーマだ。同族不要!!と考えていたが、死徒と新宇宙伝説魔獣と人間の特性を兼ね備えたオンリーワンでナンバーワンな存在。実質
それとも星の輝きという主人公補正と自分好みの善性があるから放って置いた方がいいのでしょうか?もう一回ウルトラマンと戦いたいという個人的な願望を叶えるための器にするために。
それはそれとして人間としての私の手を煩わせずに済んだことに感謝をするとしよう。
「念の為確認しますが、貴方は虎杖悠仁さんで合っていますよね?私とデートしましょう」
「おう・・・・・?」
その日、虎杖悠仁は感謝として突然デートをしようと言い出す、人間としてもズレている女性と出会った。
人間としての身体はいいですね。味覚や痛覚をちゃんと感じ取れますから。怪獣や死徒としての身体もいいですが、今の世界に置ける日常生活は人間として過ごすことが一番です。
「おかわりをご所望しますわ」
「よく食べるな・・・・・」
仙台市にあるチェーンカレー店に少年と少女はいた。
死徒と怪獣と人間、三つの身体を持っているアラと宿儺の
「私という存在と付き合うことに何か文句があるのでしょうか?」
「いや、特にないよ」
前世が暴食という概念の化身と例えることができる怪獣として生きていたアラという女性が持つ驚異的なフィジカルによって、虎杖悠仁という人間は拉致同然にカレー店に無理矢理連れてこられていたのであった。
抵抗することもできたが、何故か逆らってはいけないと警報を鳴らしてきた本能を信じることで、虎杖悠仁はアラと名乗る女と一緒にカレーを食うことになったのであった。
ハバネロ入りの山盛りの激辛チーズカレーを美味しそうに食べる彼女を見て、虎杖悠仁は思う。変わっている女性だなと。特に他者に対する善意の出力方法が。
「ところで、
「俺は良いことだと思うよ」
急に世界平和の魔法という突拍子の無い話題に舵を切った彼女に少年は持ち前のコミュ力で無事についていく。
「私は一般的な目線から考えたらろくでも無いモノと断言しますわ。仮の名前として第六法こと第六魔法と呼びましょう。そもそも
「そういう考えもあるのか。難しいんだな、みんなを幸せにするということは」
「後はみんなが満たされたことで、幸せという概念に発展性がなくなるのでは?という疑念も発生しますね」
ウルトラシリーズのファンでもあると同時に型月作品を追いかけていたファンでもあった前世の前世の人間時代の視点も交えて、冷静に客観視した第六魔法をろくでも無いモノと評した女がいた。
尚、三相の身体を概念核として内包している当人の考えとしては、全員が第六法は素晴らしいモノと肯定して、実行することで呪術廻戦世界の在り方を丸ごとひっくり返そうとしているが、その事は虎杖悠仁は知らない。この世界の誰も知らない。
「では、私はここでお暇しますわ。また会いましょう」
そう言うのが早いが、いつの間にか激辛チーズカレーを6皿も平らげていた彼女はすぐに虎杖悠仁を店に置いたまま嵐のように去っていったのであった。カレー店に律儀に2人分の食事代をちゃんと払って。
虎杖悠仁と出会って、始めて自分以外の存在と、第六法に関することを、仲良く語り合えたことで満足した彼女は人間の姿のまま、電車やバスと言った交通機関を利用して仙台市から笑顔で出ていった。
「ああ、それにしても━━━━太陽に照らされるのは、本当に、何故か、
━━━仙台市から完全に出る直前に、太陽を見上げながら浮かべていた表情と口調を一瞬だけ変えた彼女の口から出てきた独り言の意味が分かる者がいたら、誰かに向けられている言葉だと気づいただろう。
一夜に275万人以上の生命が暮らす都市が消えるという惨事が起きても人間社会はいつも通りに回る。廻る。致命的になるその時まで動き続ける。
世界終末時計の針が彼女の手によって密かに進んでいても。
少し時系列がおかしくなっているかもしれませんが許してください。