夢特典は皇帝竜の魔法?   作:流星群

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今回の話は原作改変に繋がります。

いや、改悪かも…





夢の吹雪

 

 

猛吹雪の中、俺の目の前には巨大な白い魔物。

 

そしてその顎の下には…

 

 

「ラクサスさん!!」

 

「…っ…があああああっ……!!リンっ!!行けっ!!俺は魔法で離脱出来る!!今のうちに撃てー!!」

 

 

雪に血が飛び散る。怪物の巨大な顎に噛みつかれたラクサスが叫ぶ。

 

 

「ラクサスさん!!…っ…皇帝竜…」

 

 

掛け声と同時に俺の身体が赤黒く光る。

 

 

「1号っ!!!」

 

 

俺は魔法を撃った。

 

 

直径数十メートルの紅黒い巨大なエネルギーの塊が怪物に向かって突撃していく。それに突撃し、加速させる5頭のドラゴン。

 

 

「…うおおおっ!!!」

 

 

ラクサスさんはすかさず自分の身体を雷へと変化させ離脱する。

そのままエネルギー弾を躱し、そして俺の隣に落ちた。その腕は噛み砕かれており、血がドクドクと流れている。

 

 

「ラクサスさん!!」

 

「ぐうううっ!!どうだっ、化け物めっ…!!」

 

 

同時にドゴオオオオッと雪山が大きく削れる音がする。エネルギー弾が巨大な魔物に激突した。

魔物は防御魔法陣を重ねて耐えようとするが、簡単に破られ、そのままエネルギー弾に飲み込まれる。

『グオオオオオオオッ!!!』と咆哮し、やがてその姿を消していく。

 

 

終わると俺達の視界には大きく削られた雪山が映る。魔物は肉片も残さず消し去ったようだ。

 

 

辺りの吹雪が止んだ。同時に村の方から歓声が聞こえたのが分かった。

 

 

慌ててラクサスに回復魔法をかける。潰れていた腕が元通りになっていく。同時に俺の身体に雷が降り注ぎ、俺もダメージを受ける。

 

 

「…っ…リン、もう終わりにしろっ…」

 

 

腕が回復するとラクサスは俺を突き飛ばした。「十分だ、もう寄せ」と一言言い、何とか立ち上がろうとする。しかしフラフラで立ち上がれない。俺は肩を貸しに下に入り、彼を支えた。

 

 

「ふっ、S級の俺がS級じゃねえてめえに支えられるとはな…情けねえ…」

 

「勝てたのはラクサスさんのお陰です。戻りましょう」

 

「ああ、2人してボロボロじゃあギルドの奴らには会えねえな…にしてもお前の技はよう…」

 

 

このまま帰ったら何をしていたのか問われるのは間違い無いだろう。病院に隠れてるしかない。

 

 

 

「……リン…お前…魔力上がってないか…?」

 

「えっ…?」

 

 

ふと気付いた。俺の魔力が戦闘前よりも上がっていた。

 

ボロボロの身体を引きずって村の方に戻る。直ぐに村人が駆け寄って来た。応急処置を受ける俺とラクサス。依頼主のエリスさんも来て魔物の討伐に喜んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

今回のクエストで俺達が苦戦した魔物。

 

 

その名もデスウルフ。

 

村を襲う強大な魔狼。群れで行動する。白い毛色に紅く光る眼。身体の大きさは通常個体だと10メートル程。

 

その身体能力は高く、ひとっ飛びで高い崖を軽々と超えられる程である。その顎は岩をも砕く。

 

人里に現れようならば家の壁など軽々と破壊し侵入。そして人を喰らう。

 

それだけでなく、デスウルフに噛みつかれた者は魔力が漏洩し、終いには魔力欠乏症の症状に襲われる。ただでさえ強いデスウルフなのだが彼らは集団、群れで行動している。その為、魔道士でも突破するのは非常に難しいと言う。

 

要は危険生物である。

 

人が住めない寒冷地でしか生息出来ない為、普通は人との接触は無い。デスウルフは人里までは降りてこないのだ。

 

要は住み分けが出来てるのである。

 

しかしここ最近、このフリーズランドの地でデスウルフが増えて来た。

その為群れ同士の縄張り争いが発生し、山の中腹まで追い出された群れが出て来た。

中腹にもデスウルフの獲物はいるが頂付近よりもその数が少ない。その為人里にまで降りて村を襲撃するようになった。

 

 

その為、村では魔道士が結界を張って侵入を防いでいたのだが、突然、それは現れた。

 

 

結界を破る能力を持つ巨大なボスウルフ。見た人によると身体の大きさは40メートルもあり、両肩には巨大な棘が生えている。その化け物がいる場所は猛吹雪に見舞われ、辺りは雪景色に変わる。それによって村は襲われ、1つの村が壊滅した。

 

ボスウルフが降りてくる前に新たに結界を用意し、魔道士を呼んだが、足止めするので手一杯で倒すには至らなかったらしい。

 

領主であるエリスさんの一家は次々に凄腕の魔道士を呼んだ。しかしデスウルフの群れの力と、ボスウルフの強さにある者は魔力欠乏症に、ある者は恐怖に見舞われてことごとく敗れていったのだ。

 

じりじりとデスウルフの群れは生息域を広めていった。ここより80キロ北部の村がやられ、今この屋敷周りの村が全滅するのも時間の問題だった。

 

村人は避難して行ったが、ボスウルフの能力を考えると、亜寒帯どころか温帯に近いこの村もやられる日も遠くないとの事だ。

 

ボスウルフを討伐して、デスウルフの群れを追い返して欲しいと言うのがエリスさんの願いだった。

 

 

 

「話は分かった。俺達をそのボスウルフがいる場所まで連れて行け」

 

 

ラクサスの言葉に彼女は頷いた。

 

エリスさんに連れられて北の村の方へと向かった。

 

そして辿り着いた。

 

 

まず、村には結界が張られていたが北東の一部が破壊されていた。恐らくそこからデスウルフは侵入したらしい。

 

襲われていると言う村を見ると家はボロボロであり、食料は喰われていた。これも全てデスウルフの仕業だとエリスさんは言った。

 

昼間は北の森の中で休んでるらしい。

 

恐らく今夜もデスウルフはこの村にやってくるとの事だ。

 

 

「話は分かりました。俺達で討伐します。後はどうやっておびき寄せるかですが…」

 

 

作戦会議が始まった。作戦は至ってシンプルなものだった。まず、草食動物の肉をこの村に置いておく。匂いにおびき寄せられたデスウルフがやってくる。そこで戦うと言う単純なものだ。

 

エリスさん曰く、デスウルフは罠の匂いを嗅ぎ分ける事が出来るうえに力が強すぎて通常個体でも罠が通用しないようだ。即ち武器による攻撃は効かないも同然。なら魔法で倒すしかない。

 

 

囮の肉を用意して夜まで待つことになった。俺はエリスさんに頼んで辺りには結界を張り直して貰った。

 

 

 

夜になった。

 

辺りに吹雪が現れる。自然のものではないようだ。来たか…。

 

肉の匂いにおびき寄せられてデスウルフの群れが村に入ってくる。結界が張ってある為、村に入れないがその周りに密集した。

 

やがて通常のデスウルフの何倍もデカいボスウルフが現れた。そのボスウルフは結界にぶつかると止まった。

 

 

「おい、あれを見ろ」

 

 

ラクサスが指差す先を見る。

 

ボスウルフは肩の棘から魔力を発した。そのまま肩をぶつけるように斜めに突撃する。肩の棘が結界に刺さる。

すると結界が破れて穴が出来た。

 

そのままボスウルフは肩のスパイクで結界を破壊し続けた。

 

 

やがてボスウルフが入れるサイズに結界の穴が広がる。

 

 

「あの肩の棘を破壊すれば…結界が破れないみたいですね?」

 

「そのようだな、わざわざ肉をくれてやる理由もねえ、攻撃するぞ!!」

 

 

言うなり物陰から2人で突撃する。デスウルフ達は直ぐに気付いて俺達に向かって走ってくる。

 

 

「レイジングボルト!!」

 

破壊電撃(デストロイト・スパーク)!!!」

 

 

共に雷の魔法で攻撃する。目の前のデスウルフ達が雷で破壊された。2つの雷は群れの中にまで突き進んで行き、魔物達を吹き飛ばす。

 

 

「やるじゃねえか」

 

「ラクサスさんこそ、流石です」

 

「くくくっ…このまま押し切るぞ!!」

 

「はいっ!!」

 

 

そのまま突っ込んでいく。飛行魔法で空へ飛ぶ。ラクサスさんも雷を纏って飛んだ。デスウルフが届かない所から遠距離攻撃をする。

 

10頭、20頭と次々に倒れていくデスウルフ。

 

しかし数が一向に減らない。森の奥からどんどん出て来る。

 

 

「っ…!!リン、ボスウルフに攻撃するぞ!!」

 

「分かりました!!」

 

 

2人でボスウルフを攻撃する。狙いは両肩の棘だ。

 

 

「雷竜の咆哮!!」

 

蒼雷(ブルー・スパーク)!!」

 

 

2人で両肩に攻撃する。

 

 

「何っ!!」

 

 

しかし、両肩の棘から防御魔法陣が展開されるとその攻撃を防ぐ。そして掻き消してしまった。生半可な攻撃では破壊されないようだ。

 

ボスウルフが吠える。

 

 

吹雪がより強くなる。

 

 

ここは雪山。見てる者はいない。

 

しかしこのまま撃てば地形を変えてしまう。

 

だったら…

 

 

俺は巨大な魔法陣を発動させる。

 

 

極獄の渦(アブソリュート・ヘル・ホール)

 

 

空にブラックホールのような渦を作る。闇の渦は飛んでる俺達でさえ魔法で踏ん張らないと引き込んでしまうかの如く辺りを飲み込んでいった。

 

 

『ウオオオオオオッ』

 

 

デスウルフが全て浮き上がる。そのまま黒い渦に飲み込まれていく。皆、悲鳴を上げて消えていった。闇の渦はその身体を徐々に破壊し、粉々に消し去っていく。

 

だが、俺の狙いは通常のデスウルフでは無い。

 

ボスの方を見る。

 

地面に脚をつけて踏ん張っている。

 

 

『グオオオオオオッ!!!』

 

 

しかし、徐々に地面から脚が離れていく。そのまま周りのデスウルフと共にボスウルフの巨体は浮き上がり、渦に引き込まれた。

 

 

しかしその身体は崩れない。

 

だが、俺の目的はボスウルフを空に浮かばせる事。

 

これで心置きなく魔法を放てる。

 

 

好機だ。

 

 

 

とどめの一撃を食らわせる。

 

両手を構える。魔法陣が現れ、巨大化する。

 

最大サイズの魔法陣を構える。

 

 

 

煉獄砕破(アビス・ブレイク)!!!!」

 

 

空に向かって暗黒の波動が放たれた。

 

もの凄い豪風が発生した。

 

それはボスウルフの周りにいるデスウルフを次々に飲み込んで行き、一気にボスウルフへと飛んで行く。

 

 

『オオオオオオオッ!!!』

 

 

ボスウルフの叫び声が辺り一帯に響いた。

 

強風で吹雪が吹き飛ばされる。

 

 

やがて破壊光線は空の彼方へ消えて行き、辺りが元に戻った。

 

ドサッと何か大きな物が落ちてくる。

 

ボスウルフだ。倒しただろうか?

 

近寄ろうとして止まる。

 

その巨体が動いた。

 

 

『グルルルルルッ!!!』

 

 

「なっ…!!」

 

「嘘だろっ…!!」

 

 

なんと身体中から血を流し、両肩の棘は折れ、消え去ったもののボスウルフは生きていた。

 

 

そのまま俺の方に飛び掛かってくる。

 

その瞬間、ラクサスの方で眩い程の光が発生した。

 

 

妖精の法律(フェアリー・ロウ)発動!!」

 

 

瞬間、眩い程の光が辺りを包む。その光は俺が打ち漏らしたデスウルフを消し去るのは勿論、ボスウルフへと収束し、それを飲み込んでいった。

 

光が消えた時、そこには真っ白になったボスウルフだけがいた。周りのデスウルフは皆消滅したようだ。

 

ラクサスは荒い息を吐いてる。

 

 

「やったか…!?」

 

「……」

 

 

 

2人で近づくこうとする。脚でそっと触ってみる。

 

…動かない。

 

倒した。

 

そう思った時だった。

 

 

『グオオオオオオッ!!!』

 

 

「何だとっ!」

 

「っ…!!」

 

 

なんとボスウルフが立ち上がった。

 

そして、そのまま俺達に猛吹雪を放ってくる。視界が遮られる。嗅覚と聴覚だけで敵の居場所を判断する。

 

 

「…っ…!!」

 

『グオオオオオオッ!!』

 

 

猛吹雪の中、ボスウルフの攻撃を何とか避けた。

 

しかしこのままだと2人共いずれ殺られる。

 

ラクサスの超技でも煉獄砕破(アビス・ブレイク)でも倒せない。

 

 

なら、残ってるのはあの技しかない。

 

俺はもう一度魔法陣を発動させる。

 

 

極獄の渦(アブソリュート・ヘル・ホール)

 

 

再び現れる闇の渦、猛吹雪の雪を飲み込んで行き、視界がある程度クリアになっていく。

 

吹雪がある程度消え、ボスウルフとラクサスの姿が見える。

 

 

これが最後のチャンスだ。ボスウルフを倒す為に俺は指笛をピーっと吹いた。

 

ゴゴゴゴゴッと辺りが揺れる。

 

雪景色の中地面が割れる。

 

そして…

 

 

「なっ、リン、お前っ、嘘だろっ!!」

 

 

『オオオオオオオッ!!!』

 

『ギャオオオオオオッ!!!』

 

 

ラクサスの叫び声と同時に割れた地面から巨大な何かが飛び出した。

 

それは目の前のボスウルフよりも大きな巨体だった。

 

それが5体。

 

幅広い翼を広げ、白や青の線が入った身体で縦横無尽に空を飛び回る。長い尾がヒュンヒュンと辺りの空を切る。

明らかに雪や氷属性複合の竜達だった。体色が白が基調である。

 

 

そして俺の方に一直線に飛んで来た。

 

 

『グオオオオオオッ!!!』

 

『ギャウウウウッ!!!』

 

「…っ…!!!」

 

 

そして、空中にいる俺の脚に、腕に胴体に噛み付いた。身体に噛み付かれた俺の身体が白い吹雪の中、赤黒く光る。

 

 

「皇帝竜…」

 

『グオオオオオオッ!!!』

 

 

 

技を撃とうとした瞬間、ボスウルフが俺に飛び掛かって来た。

 

やばい…このままだと撃つ前に殺される!!

 

 

「うおおおおおっ!!!」

 

『ガウウウウウッ!!』

 

 

何とラクサスがボスウルフの顔面に突撃した。

そのまま雷の拳で殴りつける。

 

 

しかし…

 

 

『グオオオオオオッ!!!』

 

「ごふっ…!!!…があああああっ!!!」

 

 

ラクサスが悲鳴をあげる。即座に反撃に転じたボスウルフがラクサスを払い除け、その腕に噛み付いたのだ。バキバキバキバキッと酷い音がする。

 

 

「ラクサスさん!!!…っ…くそっ…」

 

「来るなー!!!リンっ!!!その技を撃てー!!!」

 

 

助太刀に入ろうとした俺をラクサスが止める。

 

 

「…っ…があああああっ……!!リンっ!!行けっ!!俺は魔法で離脱出来る!!今のうちに撃てー!!」

 

 

雪に血が飛び散る。怪物の巨大な顎に噛みつかれたラクサスが叫ぶ。

 

 

「ラクサスさん!!…っ…皇帝竜…」

 

 

掛け声と同時に俺の身体が赤黒く光る。そのまま空中で身体を回転させる。

 

 

「1号っ!!!」

 

 

轟音と共にエネルギー弾がボスウルフ目掛けて飛んで行く。ラクサスも雷となって離脱した。そのまま俺の横に落ちる。

 

瞬間、激痛が俺を襲った。

 

 

 

 

 

 

 

魔物を討伐した俺達は凄く高額な報奨金を受け取った。

 

しかし今回の依頼でラクサスはボロボロになった。魔力欠乏症に陥るかと思ったが村の医者の診察だとそうはなってない様子だ。

 

思い当たるのは俺の回復魔法。

 

効果は相手の傷を治し、自分にそれが跳ね返ってくる感じだと思っていたがもしかして…

 

 

「魔力欠乏症、いや、相手の病気も治せるのか?」

 

 

加えて戦闘前よりも魔力が上がっている。

 

もしかしたらダメージを受けると魔力が上がるのかも知れない。

 

俺は自分の能力に期待を膨らまして、ラクサスと2人、マグノリアの街へと戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 






今回の魔物。

デスウルフ。

ボスは聖十1位のゴッドセレナでも苦戦する…或いは倒せないかもしれないくらい強いです。






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