夢特典は皇帝竜の魔法?   作:流星群

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前話に続いて幽鬼の支配者編です。







夢の幽鬼

 

 

翌日、回復しきってないシャドウ・ギアの3人を病院まで送った。その際に病院にいた妖精の尻尾のチーム雷神衆であるエバーグリーン、ビッグスローに会った。病院の人達にも併せて事情を説明するとラクサスとは別の病室へ3人は寝かされた。

 

3人を任せてアパートに戻るとナツ達が起きていた。一連の事をエルザさん達に話すと激怒していた。

 

ギルドへ行くとエルザさんからマスターへ報告が行き、それを聞いていたギルドメンバー同士で話が広がっていった。

 

 

「ボロ酒場までは我慢出来たが、ガキの血を見て黙ってる親はいねえんだよ」

 

 

そう言うとマスターは杖を握り潰した。

 

 

「戦争じゃ」

 

 

こうして妖精の尻尾(フェアリーテイル)幽鬼の支配者(ファントム・ロード)に殴り込みに行った。

 

 

 

 

マグノリアの街の病院。

 

俺は病院の一室にいた。ルーシィと2人でシャドウ・ギアの看病をしていた。

 

 

「リンは幽鬼の支配者(ファントム・ロード)に行かなかったのね」

 

「他のギルドに殴り込みはちょっとな…ていうか気付いたら皆いなくなってた。なんていうか…俺達新人にも気を使って欲しいぜ」

 

「ふふ、そうよね。せめて何人か残ってても良いのに」

 

 

ふと周りをみたら妖精の尻尾の皆は居なくなっていた。

殴り込み自体どうかと思うが、俺達新人の面倒を見る面子を残して欲しいものだ。

 

俺はシャドウ・ギアの面々を見ながら、これからあるかも知れない戦いに緊張し、そっと呼吸を整えて何とか落ち着かない気分を抑えようとした。

 

 

「……?」

 

「……」

 

 

そうしてると隣の椅子に座ってるルーシィが俺の方を見ている。何と言うか視線が俺の横顔をロックオンしている。じーっと見てるのが分かる。

こんな緊急事態に変な気分だし恥ずかしいからやめて欲しい。

 

誤魔化すように溜息を吐くと隣でルーシィがボソリと呟いた。

 

 

「…まあ、私はリンと一緒なら別に良いかもね」

 

「え?」

 

「ひゃっ!えっ、聞こえたの!?ううん、何でも無い何でも無い。その、護衛よ、護衛」

 

 

小さな、しかし聞こえてしまった言葉に反応すると慌てて弁解するルーシィ。恥ずかしいのか頬が赤らんでる。期待してしまった俺の心を返せ。

 

それはそうと、お腹空いてきた。昨日の夜から何も食べてないからな。シャドウ・ギアの3人とルーシィも同じだろう。

 

 

「…食料買ってくる。少し待っててくれ」

 

「あ、私も行く。レビィちゃん、ちょっと空けるね」

 

「うん、2人共、気を付けてね」

 

 

シャドウ・ギアに断りを入れて病院を出る。病院には雷神衆もいる。襲われる心配は無いだろう。

 

ルーシィと2人で近くの店に向かう。5人分、否、雷神衆とラクサスの分も含めると9人分か。

 

 

「ねえ、それ多過ぎない?」

 

 

ラクサスの事情を知らないルーシィが俺の購入した量を見て驚く。

 

 

「実は知り合いが病院にいてな。その分も買ったんだ」

 

「何人いるのよ」

 

「4人だ」

 

「全部で9人分じゃないっ、凄い出費ね」

 

 

そのまま病院への道を2人歩く。

 

 

向こう側の道から1人歩いてくる。急に雨が降ってきた。

 

 

「しんしんと…」

 

「えっ、何?」

 

 

青髪の女性が此方に歩いてくる。同時に雨も激しくなってきた。

 

この人の魔法だろうか…

 

 

「そう、ジュビアは雨女。しんしんと…」

 

 

どうやらそのようだ。

 

 

「楽しかったわ。ご機嫌よう。しんしんと…」

 

「何?何だったの?」

 

 

その女性は俺達の横をそのまま通り過ぎようとした。

 

 

「ノンノンノン、ノンノンノン、3、3、7のノンでボンジュール」

 

 

突然地面からニョキッとモノクルをかけた中年の男が現れた。地面と一体化する魔法だろうか。

 

 

「ジュビア様、仕事放棄は行けませんな。私の目が囁いてます。この(マドモアゼル)こそが我々の標的(シブル)であると」

 

「あら、この娘だったの?」

 

 

青髪の女性が振り返った。

 

 

標的(シブル)…標的!!」 

 

「!!」

 

 

ルーシィが呟く。

 

青髪の女が手をかざした。

 

 

「…っ!!」

 

「ウォーター・ロック」

 

岩の協奏曲(ロッシュ・コンセルト)

 

 

咄嗟に魔法を発動させてルーシィを抱き抱えて横に跳んだ。

直後、俺のいた所に岩の破片が飛んで来て、ルーシィがいた場所に水球が出来た。

 

 

「おや、避けられてしまいましたか。貴方には眠って貰おうと思ったのですが」

 

「ジュビアとソルの攻撃を躱すなんて。貴方何者ですか?」

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の新人魔道士だ。」

 

「不覚です。見習いに技を避けられるなんて」

 

「ノンノンノン、ジュビア様、偶々です。次はありませんよ新人様。我々偉大なる幽鬼の支配者(ファントム・ロード)、エレメント4の実力見せて差し上げましょう。

石膏の奏鳴曲(プラトールソナート)!!」 

 

「!!」

 

 

モノクル男が魔法を発動する。砂が固まって大きな拳になったような攻撃が飛んでくる。

再びルーシィを抱えて攻撃を躱す。地面に拳がぶつかり破壊する。

 

 

「ウォーター・サイクロン!!!」

 

蒼光(ブルー・レイ)!!」

 

 

着地した所に青髪の女が攻撃してくる。ルーシィを抱えたまま光となって水の竜巻を躱し続ける。

 

 

「ど、どうして当たらないっ!!」

 

 

青髪の女は攻撃が当たらずに焦り始める。

 

 

 

「ノンノンノン、中々の実力者ですね。しかしこれならどうでしょう砂の舞(サープル・ダンス)!!」

 

蒼超光壁(ブルー・レイ・バリア)

 

 

ルーシィに防御魔法をかけると同時にモノクル男が砂嵐を引き起こした。辺りが砂一面になり辺りが見えなくなる。

 

しかし何だろう、聴覚と嗅覚のせいで2人が何処にいるのかが分かった。

 

そして、その他にも…

 

 

「ウォータースライサー!!」

 

岩の協奏曲(ロッシュ・コンセルト)!!」

 

「!!」

 

 

死角から水の刃と岩の破片が飛んで来た。雷を纏った拳でガードする。

 

 

極獄の渦(アブソリュート・ヘル・ホール)

 

「「!!」」

 

 

闇の渦を発動させる。空に現れたその渦は水、と砂を吸収し、大きく広がっていく。やがて砂嵐を飲み込み、辺りの景色が元に戻る。

 

 

「なっ、これでも私エレメント4の1人。大地のソルですぞ!!こんな馬鹿な!!」

 

蒼雷(ブルー・スパーク)

 

「がああああああ!!!」

 

「ソル!!」

 

 

モノクル男に天から降り注いだ青光の稲妻が墜ちる。モノクル男はバタリと倒れた。

 

 

「そんな…」

 

「どうする。まだ続けるか?」

 

「くっ…」

 

 

青髪の女は歯噛みする。

 

 

「お前に聞きたい事がある。何故ルーシィを標的と呼んだ?」

 

「っ…」

 

「俺の質問に答えればその男を連れて帰って良い。だが答えないならその男諸共捕らえるぞ」

 

 

青髪の女と睨み合う。

 

背後からの魔力を警戒しながら…魔力を込める。

 

青髪の女の口元が笑った。

 

 

「分かりました。答えます。私達がルーシィを狙う理由は…」

 

「デッド・ウェイブ」

 

蒼光(ブルー・レイ)!!」

 

 

瞬間、背後から闇の魔力が飛んでくる。幽霊、死を体現ししたような不気味な魔力だった。

 

光となって避ける。

 

 

「ほう、不意を打ったつもりでしたが、この魔法を避けるとは、妖精の尻尾(フェアリーテイル)め、まだこんな魔道士を隠してたのですね」

 

 

怨霊のような魔力が魔法を撃った方に戻って行く。魔法をコントロールしているようだ。

 

光の壁に護られたルーシィを庇うように立ち、邪悪な魔力の持ち主と向き合う。

憎悪の目を向ける髭と顎が特徴的な中年の男が立っていた。

 

 

「いやはや実に見事ですよ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の誰かさん。我がギルドの面子の攻撃をいとも簡単に捌くとは…

これはメンバーを入れ替えた方が良いですかねえ?なあ、役立たずのジュビアにソル」

 

「っ…」

 

 

中年男はそう言うと先程の2人を睨んだ。役立たずと言われて悔しそうにするジュビアと呼ばれた女性。

 

俺とてギルドのあり方を知らない新人だが…

 

 

「傷ついたギルドメンバーを労らないのか?」

 

「護衛1人倒せず、娘っ子1人連れてこられない役立たず等、我がギルドには必要ありませんよ。我が最強ギルド、幽鬼の支配者(ファントム・ロード)にはね」

 

「…お前もエレメント4か?」

 

「冗談のつもりですかな?私の名前を知らないとは。まっ、世間知らずの新人の貴方に特別に自己紹介して差し上げましょう。私は幽鬼の支配者(ファントム・ロード)のギルドマスター。聖十大魔導士のジョゼ・ポーラと申します。以後お見知り置きを」

 

 

なんと俺達の目の前に現れたのはマスター・マカロフと同じ聖十大魔導士の称号を持つ敵ギルドのマスター・ジョゼだった。

 

 

幽鬼(ファントム)のマスター…、貴方がレビィちゃんを…!!」

 

「ふっ、とんでもない。あれは私の命令ではありません。ガジルが勝手にやった事ですよ。あの使えないクズがね」

 

 

ルーシィの怒りの声に対してなんでもないかのように返答するマスター・ジョゼ。何と言うかギルドメンバーに対しての情愛を感じない。駒としか見てないような感じだ。

 

 

「自己紹介はこれくらいで良いでしょう。戦いを始める前に私から提案があります。返答次第では貴方達妖精の尻尾(フェアリーテイル)と我がギルド幽鬼の支配者(ファントム・ロード)は戦争しなくても済むのですよ」

 

「今更何を言ってるの…」  

 

  

ルーシィの言葉に構わず話続けるジョゼ。

 

 

「内容は単純です。ルーシィさん、ついでにそこの若い貴方、貴方達2人で我がギルドに入りませんか?」

 

「はあ!?何を言ってるの…!?」

 

 

俺の代わりにルーシィが驚愕混じりの怒りの声をあげる。俺も似たような気分だった。

 

 

「そうですね、先ずは我がギルドに来た依頼の話からしましょう」

 

 

ジョゼは語り始める。

 

 

「数日前、我がギルドに依頼が届いたのですよ。差出人はハートフィリア家の主、つまり貴方の父親からの依頼ですよ。令嬢のルーシィ・ハートフィリアさん」

 

「なっ!なんで…っ」

 

 

自分の家の話を聞かされて驚くルーシィ。令嬢か…。ルーシィの親って金持ちだったんだな。

 

 

「依頼内容は単純。貴方を家に連れて来るように依頼されました」

 

「そんな…ウソ…なんであの人が…」

 

「それは勿論、可愛い娘が家出をしたら捜すでしょう普通」

 

「しない!!あの人はそんな事気にする人じゃない!!あたし絶対に帰らないから!!あんな家には帰らない!!」

 

 

ルーシィはあり得ないとばかりに拒絶する。一体彼女の家にどんな事情があるのだろうか。

 

 

「行かない!!そんな依頼なら、私話に乗らない!!」

 

「ふむ、困ったお嬢様だ。ま、良いでしょう。特別にですよ。それならそれで此方にも名案があります」

 

 

ジョゼはやれやれと言うように再び話続ける。

 

 

「そう身構えずに、素晴らしい提案ですよ。もし貴方達2人、最悪ルーシィさん1人でも構いません。妖精の尻尾(フェアリーテイル)を辞めて私のギルドに入って頂けるのでしたら、妖精の尻尾(フェアリーテイル)との戦争も中断し、貴方の父親の依頼も破棄します。更には私自らがルーシィさん、貴方を父親の手から護って差し上げましょう」

 

「なっ、それ、どういう意味よ!?」

 

「そのままの意味ですよ。もし私と一緒に来てくれるのであれば、妖精の尻尾(フェアリーテイル)との戦争を一旦は止めます。これ以上我がギルドと争って仲間達が傷つくのは嫌でしょう?加えて我がギルドの勢力はこれでもフィオーレ1です。貴方を父親の手から護るのには充分過ぎる程の力がありますよ」

 

 

ジョゼはそう提案してきた。ルーシィが妖精の尻尾(フェアリーテイル)を抜けて、更には幽鬼の支配者(ファントム・ロード)に入れば、彼女の父親の依頼を破棄し、更には魔道士としての仕事を続けられるとの事だ。ジョゼにとってどんなメリットがあるのかは不明だが、ルーシィにとっては一見悪い部分が少ないように思える。言葉をそのまま受け取れば、確かに取り引きとしては悪くない提案に見えるかも知れない。

 

 

「まあ、ルーシィさん1人では寂しいでしょう。ですからそこの若い貴方、もしルーシィさんが心配なら貴方も着いてきて良いのですよ。幽鬼の支配者(ファントム・ロード)には貴方を満足させられる程の仕事があります。貴方が望むのでしたら我がギルドの幹部にでもさせてあげましょう。ルーシィさんと一緒にいられれば貴方自身が彼女を護ってあげられます。悪い提案では無いどころか良い話ではありませんか。この機会に是非我がギルドへ」

 

「「……」」

 

 

ジョゼはそう言うと口を閉じた。俺とルーシィは無言になる。俺達が仲間を護る為にはジョゼの提案に乗るべきなのかもしれない。

 

…最もそれはこの男、更には今となっては俺達の仕事仲間であるギルドメンバーに暴行を加えたこの男のギルドを信用出来るのであればだが。

 

 

「…レビィちゃん達を傷つけておいて今更何よ。あんたらを信用出来ない。何があっても私は話に乗らないから!!」

 

「そう言うわけだ。信用出来ない。帰ってくれ」

 

 

俺とルーシィの答えはNOだ。

 

「ほう」とジョゼの顔が変わった。

 

 

「なら死ねよ。若造が」

 

「!!」

 

 

ドウッ!!!

 

 

瞬間、俺の方に螺旋状のゴースト波が飛んで来た。咄嗟に躱したが、肩に掠った。血が噴き出る。…同時に俺の魔力も上がった。

 

 

「愚か者が、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の屑どもに味方した事を後悔するが良い!!屑ギルド諸共今ここで貴様を潰してやる!!」

 

「本性が出たな!!ギルドマスターよ!!」

 

 

ジョゼがゴースト波を放ってくる。上がった魔力を使って青い雷で相殺、そのまま跳ね返す。

間髪を入れずに魔法を撃ち込む。

 

 

破壊電撃(デストロイト・スパーク)!!」

 

「デッド・ウェイブ…があああああっ!!!」

 

 

幽霊の攻撃を雷が消し去り、ジョゼに電撃波が命中する。雷がジョゼの身体を破壊する。肩を抑える。

 

しかしもう片方の手で魔法を放ってきた。

 

 

幽霊(ジェイド)!!我が幽兵に殺されるがいい!!」

 

 

ジョゼが幽霊の兵隊を大量に放出してくる。

 

その一体一体が意思を持ってるかのように俺とルーシィに向かってくる。ルーシィは光の壁に護られてるが、俺は生身だ。

 

 

蒼雷(ブルー・スパーク)!!」

 

 

雷で幽兵を何体か消し去る。

 

 

「くくくっ…」

 

「!!!」 

 

 

ジョゼが不気味に笑う。同時に幽兵が復活する。

どうやら再生するようだ。ならば方法は1つしか無い。

 

 

極獄の渦(アブソリュート・ヘル・ホール)!!」

 

「くっ…!!!」

 

 

空中に闇の渦を作り出す。魔法、魔力生命体に対するブラック・ホールの如く、大量の幽兵を飲み込んで行く。飲み込めば飲み込む程大きくなる。

 

 

「何っ!?」

 

帝王破壊光線(デストロイト・カイザー)!!」

 

「ぐあああああ!!」 

 

 

闇を纏った暗い金色の光の稲妻がジョゼに降り注ぎ、その身体を浮き上がらせる。その威力に流石のギルドマスターも驚いたようだ。大きなダメージを受けたようだ。

 

空中では闇の渦が魔力生命体を飲み込む。

地上にいる魔力の高いジョゼ達の身体も浮き上がり、その魔力を闇の渦に吸われて行く。

 

 

「くっ…幽霊の却火(ゴースト・バースト)!!」

 

 

ジョゼは鬼火のような炎を放った。辺りが燃え上がる。

 

 

「くっ…街を燃やす気か!!」

 

「てめえは後で必ず倒す!!首を洗って待ってろ!!幽兵(ジェイド)!!!」

 

 

そう言うとルーシィの方に魔法を放った。大量の幽兵だった。光の壁があるとは言え危険だった。俺はその魔力をガードする。

 

 

「くくくっ…幽霊(ジェイド)は触れた途端に魔力を吸い取る!!」

 

 

ジョゼが笑った。数体に触れてしまった俺は魔力を吸い取られ…

 

あれ、吸い取られないぞ。

 

代わりに雷が身体に降り注いだ。痛い!!

そして魔力が更に上がった。

 

 

「何っ!?」

 

 

ジョゼが驚いた。自分の魔法の効果が魔力ダウンからダメージを与える方向に転換されているのだから驚くのも当然だった。加えて俺の魔力は上昇した。

 

痛みで一瞬、魔法が途切れた。闇の渦が途切れる。

 

 

「ウォータースライサー!!」

 

 

青髪の女性が魔法を放ってくる。咄嗟に雷で吹き飛ばす。

 

 

「覚えてろ!!妖精の屑が!!」

 

 

その隙をついてジョゼ達は逃げ出した。炎を闇の渦で吸収する頃には辺りからジョゼの魔力は消えていた。

 

 

…逃げられたようだ。

 

 

「追い返した…の…?」

 

「らしい…な…」

 

「……」

 

「戻ろう、病院の皆についてないと…」

 

「うん…」

 

 

ルーシィは暗い顔をしていた。ギルドが襲われた事を気にしてるのだろうか。

 

 

「何があってもルーシィのせいじゃない。幽鬼(ファントム)の奴らが勝手にやった事だ」

 

「でも!!」

 

 

ルーシィの肩に手を置く。震える彼女を見て、思わずそのまま自分の方に引き寄せてしまった。

 

 

「悪意に負けちゃ駄目だ。幽鬼の支配者(ファントム・ロード)に捕まったら終わりだ。俺の予想だけど、あのマスターきっと君の身を拘束して、君の身と引き換えに金持ちの父親から金を毟り取る気だよ」

 

「っ…」

 

 

どう見てもあのマスターが唯でルーシィを父親に引き渡すようには見えない。俺の話を聞くとルーシィは歯噛みする。

 

 

「負けるな。絶対に身を差し出しちゃ駄目だ。もしそんな事したら俺は一生ルーシィを恨む」

 

「リン…」

 

 

頬に涙を流すルーシィを連れて俺は病院へと戻るのだった。

 

 





今回ジョゼがルーシィの誘拐に参加したのはガジルがやられたので、妖精の尻尾を警戒していたからです。

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