夢特典は皇帝竜の魔法?   作:流星群

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夢の決意

 

 

ルーシィの手を引いて病院に戻る。シャドウ・ギアのメンバーがいる病室に入る。

 

 

「お待たせ」 

 

「お帰り…って、どうしたのリン。また傷増えてない!?」

 

 

迎え入れたレビィが俺に目を向ける。

 

 

「何も無かったさ」

 

「…嘘だよ。肩の傷が凄いもん。それにまた少しだけど魔力が上がってる」

 

 

レビィが驚いて俺を心配するが、正直何も言わないで欲しかった。隣にいるルーシィは俯いたままだった。

持ってきた食料をレビィ達に渡す。

 

 

「ありがとう、お腹空いてたんだ。ルーちゃんもお疲れ様」

 

「……」

 

「ルーちゃん?」

 

 

ルーシィはずっと下を向いている。歯噛みしながらも何かを言おうとしている。そして呟いた。

 

 

「……ごめん……」

 

「えっ…ルーちゃん?どうしたの?」

 

「ごめんなさいっ!!」

 

 

そう叫んで思いっ切り頭を下げた。

 

 

「ど、どうしたの、ルーちゃん」

 

「な、なんで頭を下げるんだよ」

 

 

突然のルーシィの謝罪にオロオロするレビィ達。

 

 

「ごめん、全部私が悪いんだ。私が…勝手に家出したから…」

 

「る、ルーちゃん落ち着こう、ね?」

 

 

涙まで流し始めて話始めるルーシィ。レビィ達は困惑している。

 

 

「私が家出したから、皆が襲われたんだよ…分かってる。私のせいだって…それでも私…妖精の尻尾(フェアリーテイル)にいたいよ…」

 

「居れば良いよっ!ううん、いてよ。何があったの?全部吐き出してっ!」

 

 

レビィはルーシィの肩を叩いた。ジェットとドロイは困惑しながらもルーシィの方に近づいて背中を擦る。

 

 

「私は…」

 

 

それからルーシィは話始める。

今回幽鬼の支配者(ファントム・ロード)に来た依頼の事、幽鬼の支配者(ファントム・ロード)妖精の尻尾(フェアリーテイル)を襲って来たこと、幽鬼の支配者(ファントム・ロード)もといジョゼから持ちかけられた移籍の話を断った事、そして自分と父親の関係の事を話した。

 

シャドウ・ギアの3人は黙って聞いていたが、ジョゼから持ちかけられた俺とルーシィの移籍の話を聞くと憤った。

 

 

「絶対に行っちゃ駄目だよ、ルーちゃん。幽鬼(ファントム)なんかに入っちゃ駄目!!」

 

「そうだぜ、ジョゼの奴がルーシィとリンをただでギルドに入れる訳ねえって」

 

「きっとギルドの名声を取り返す為にリンを散々働かせて、ルーシィのパパから金を毟り取るんだ。それで使えなくなったら2人共ポイだと思うぜ」

 

 

レビィだけでなくジェットとドロイも残るようにルーシィを説得する。レビィがルーシィを抱き締めた。

 

 

「ルーちゃん、行っちゃ駄目。私達友達だよ」

 

「レビィちゃん…」

 

 

ルーシィは大粒の涙を流しながらもレビィと抱き合った。

 

俺はその光景を見て、取り敢えず安心した。ルーシィが身を売るかもしれないと思っていたが、その気配りは不要のようだ。

 

 

「先輩方、ルーシィをお願いします」

 

「おお、何処に行くんだ?」

 

「知り合いの所に。食料だけ届けて戻ります」

 

 

部屋を出る。そのままいくつか離れた部屋へと向かう。

 

ドアを開けた。

 

 

「リン、お前、また来たのか」

 

「雷神衆に入りたいのか?俺は歓迎するぜベイビー」

 

「…顔だけは合格ね。後魔力も」

 

 

フリード、ビッグスロー、エバの順番で俺を出迎える。

 

 

「…リン、何だその傷は」

 

 

ベッドから俺を見るラクサスが少し睨むように呟いた。

その視線に困惑する。

俺は先程の事を話すかどうか迷うが、共有しておく事にした。

 

 

「すみません、実は…」

 

 

俺は先程起きた事を話した。ラクサスと雷神衆は黙って聞いていた。

 

が、話が終わるとラクサスは怒りの表情を見せた。

 

 

「リン、てめえ…それで2度も幽鬼(ファントム)の野郎共を逃がしたのか?」

 

「えっ…」

 

「ウチのギルドを舐めてかかって来た屑ギルドの奴らを2回も逃がしたのかって聞いてるんだよ!!」

 

 

ラクサスは雷まで迸らせて俺を怒鳴りつけた。

 

 

「てめえなら拘束する事が出来た筈だ。何故やらなかった」

 

「こ、今回みたいな事は初めてでして…」

 

「ジョゼの野郎から何故ウチが襲われたか聞いたんだろ?またあのルーシィとやらを捕らえに来ると分かっててか!?ふざけるのも大概にしろよ!!」

 

「っ…!!」

 

 

ドガガガガガッと俺に雷をぶつけるラクサス。本当に怒っていた。

 

 

「てめえとルーシィを狙ってまた来るんだろ?だったらやる事は決まってるよなあ?」

 

「何をすれば良いのですか…」

 

「二度とウチのギルドが舐められないやり方で奴等を蹴散らせ。圧倒的な力の差を見せつけろ。てめえがやらねえなら俺が代わりにやる。だがその時はてめえとルーシィにはギルドを出ていって貰う」

 

「……」

 

 

幽鬼の支配者(ファントム・ロード)に舐められるような弱者はギルドに必要無いと言う事だった。

 

 

「リン、お前ならやれる筈だ。今からすべき事は分かってるな?」

 

「ラクサスさん…」

 

「リン、行って来い。ビッグスロー」

 

「ああ、分かったよフリード」

 

 

フリードに名前を呼ばれたビッグスローが彼の周りにあるラクリマに魔法をかける。フリードが更に何かの魔法を被せた。

 

 

「今回だけだ。特別に貸してやる。防御魔法が掛かった術式だ」

 

「このラクリマを持ってるだけであらゆる敵の攻撃を無効化する。ついでにだがこのラクリマに映像を映せばそこからフィオーレ中のライブ配信のラクリマに映像を流せる。王国中の奴らに分かるように勝って来いよベイビー」

 

「行ってらっしゃい。ルーシィと一緒に。次に病院に戻って来る頃にはうちらの応対が変わってるようにして」

 

 

そう言うとエバは俺の背中を押した。

病室のドアに手をかける。

 

 

「リン、俺をがっかりさせるなよ」

 

 

ラクサスが最後に声をかけた。

 

病室を出て、真っすぐに先程の病室に向かう。

 

 

「あ、リン」

 

「待たせました」

 

 

レビィが真っ先に声をかける。

 

俺はそのままルーシィの元へと向かう。

 

 

「ちょっと良いかな、暫く借りてくよ」

 

「あ、うん」

 

 

困惑していたがレビィの許可を得たのでそのまま手を引いて病室を出る。そのまま病院を出た。

そのままマグノリアの街を歩く。

 

 

「!!隠れろ…!!」

 

 

一群の集団がマグノリアの街に入って来た。遠目に見たが、結構な数の人間がボロボロになっていた。

俺とルーシィには分かる。あれはウチのギルドだった。

 

どうやら殴り込みは失敗したらしい。

 

 

俺とルーシィは建物の陰に隠れて戻って来た皆を見ていた。

 

 

「リン?」

 

「ルーシィ、これから俺達はやるべき事がある」

 

「えっ…」

 

 

当惑するルーシィの目を見る。

 

 

「今から行こう」

 

「何処に…」

 

幽鬼の支配者(ファントム・ロード)にだ。俺達でケリをつけるよ」

 

「リン…」

 

「許せないんだろ。ギルドの皆が自分の代わりに傷つくのが。やるせないんだろ、自分が戦力になれずに何も出来ないのが、だったらやる事は決まってる」

 

「……」

 

 

ルーシィの背中に手を当てる。そして力強く宣言する。

 

 

「これ以上ウチのギルドが傷つく前に俺とルーシィで幽鬼の支配者(ファントム・ロード)を倒す」

 

「リン…!!」

 

 

ルーシィの胸の鼓動がドクンとなったのが分かった。

 

 

「2人で決着を着けに行くんだ」

 

「リン…私とで良いの…!?」

 

「ああ、ルーシィとが良い。ルーシィとじゃないと意味が無いんだ。今の俺のパートナーはルーシィだけだ」

 

 

震えるルーシィの頭に手を乗せる。絶対に出来るはずが無いことなのに不思議と全然恥ずかしげもなくそれが出来た。

 

 

「俺は行く。必ず幽鬼の支配者(ファントム・ロード)を倒す。それで俺に全部任せて何もしないなんてルーシィは許せ無いだろ」

 

「当たり前よ!リンに全部丸投げになんて出来ない!!」

 

 

震えてるが力強く宣言するルーシィ。それでこそルーシィだ。

 

 

「行こう」

 

「うんっ!!」

 

 

俺はルーシィの身体を浮かせた。そのままマグノリアの街の外、北東に向かって飛行する。

 

そのままマグノリアの街の郊外へと向かう。

 

ドスン、ドスン、と何かが歩いてくる音がする。

 

目の良い俺は遠目にもそれが何なのかが分かった。

 

六本の脚を装備しており、その脚で歩いてくるギルド。あのギルドマークは間違い無かった。中にいる魔力には覚えがある。数時間前、及び昨日の夜に交戦した魔力の持ち主のものだった。俺が知ってる魔力だった。

 

 

幽鬼の支配者(ファントム・ロード)!!」

 

「来たわね…!!」

 

 

俺はルーシィと共に飛行魔法でマグノリアの郊外に着くと、空に向かって大きなギルドマークを魔法で打ち上げた。

 

 

『待ち構えていたか…妖精の尻尾(フェアリーテイル)ううっ!!!』

 

 

中からジョゼの声が聞こえてきた。

 

 

「良いか、ルーシィ、作戦は…」

 

「…分かったわ…!!」

 

 

俺達は幽鬼(ファントム)のギルドを見ながら作戦を決めた。

幽鬼(ファントム)のギルドが変形した。

 

中から銃口が出て来た。魔力が収束していく。

 

 

(…何としてでもギルドに残る!!)

 

 

俺はそう心に誓って魔力を込めた。

 






因みに妖精の尻尾の殴り込みについては次の話で説明します。
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