夢特典は皇帝竜の魔法?   作:流星群

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久しぶりです。

いきなりですが…
原作改悪です。


しかし最後には彼にも威厳を持たせます。







夢の捕虜

 

 

「ナツ!!」

 

 

眼の前の光景を見たルーシィが悲鳴をあげる。俺とルーシィの眼の前にはボロボロのナツが映っている。

 

ジョゼか鉄の滅竜魔道士の仕業で傷付けられたナツが拘束具で幽鬼の支配者(ファントムロード)本部の兵隊によって前に出され、見せつけられていた。

 

 

「ルーシィ・ハートフィリア、1人で我がギルドまで歩いてくるが良い。隣の新人魔道士。妙な事をしたらこの少年、火竜(サラマンダー)の命は無いと思え」

 

 

ジョゼのアナウンスが俺とルーシィの方に聞こえてくる。同時にガジルが拘束されて動けないボロボロのナツを殴りつけた。

 

 

「おらよ!!」

 

「がああああああ!!」

 

「やめて!!お願い!!あたしが捕まるから!!」

 

 

ナツの苦悶の声が聞こえてくる。ルーシィはあまりの光景に叫び、歯を食い縛りながらも、ナツを助けようと、俺の魔法から降りようとするのを俺は止めた。

 

何故こんな事になっているのか分からないが、作戦の練り直しが俺の手に掛かっていた。

 

 

「ルーシィ、落ち着け、このまま行ったら全てが破滅する」

 

「でも!!」

 

「大丈夫、ナツを見捨てない、俺達の大事な先輩だ。良いか…作戦変更だ」

 

 

俺は小さな声でルーシィに耳打ちし、その手に魔力を込めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

…俺達がファントムロードの前に飛行魔法で現れ、俺が妖精のギルドマークを空に撃ち出した。

 

ファントムロードの本部が俺達を見つけた途端、ギルドの脚を止めた。そのまま中から現れたのは1つの大きな砲台。殺戮兵器・魔導収束砲ジュピターが俺達を殺そうとばかりに向けられた。

 

 

「消せ」

 

 

中からジョゼの声が聞こえて来たと同時に、ジュピターの魔力が膨大に膨れ上がっていく。

 

 

「あ…、あ…」

 

 

ルーシィはジュピターを見てその光景に圧倒され、俺に掴まり震えていた。あんな大きな砲台が俺達の命を吹き飛ばそうとしているのだから当然の反応だった。

 

ジュピターの魔力は高まり、俺達の後ろのマグノリアの街ごと吹き飛びそうな程膨れ上がっていく。

 

そして遂に…

 

 

ドオオオオオッ

 

 

街を1つ消し飛ばす殺戮兵器魔法が飛ばされた。様々な属性が入り混じった漆黒の巨大なエネルギー弾が一直線に俺達の方に飛んでくる。

 

 

煉獄砕(アビス・ブ)……」

 

 

煉獄砕破を撃とうと魔法陣を生成しようとして身構えた俺。何も無ければ、このままギルドごと吹き飛ばすつもりだった。

 

しかし…俺は嗅覚で知ってる人のものを感じ取り、視覚の隅に桜色の髪が映った。

 

 

即座に魔力を解除した俺は別の魔法で対抗する事にした。

 

 

帝王破壊光線(デストロイド・カイザー)!!」

 

 

闇を纏った暗い金色の光の稲妻が眼の前の強大なエネルギー弾に降り注ぎいだ。

 

 

ドオオオオオッ

 

 

「くっ…」

 

 

エネルギー弾を少しずつ破壊していくが、迫りくる魔力。

俺はこれまでのダメージで上がった魔力による出力を更にブーストする。

 

 

「はあああああっ…!!!」

 

 

 

カッ

 

バリバリバリバリッ

 

 

遂にジュピターのエネルギー弾が破裂した。俺達の眼の前で大爆発が起きる。その轟音からルーシィを護る為に彼女の耳を塞いだ。

 

 

「はあ、はあ…、」

 

「す、凄い…」

 

 

肩で息をする俺と、隣で俺を見上げるルーシィ。今の俺では習得したばかりで威力が足りない魔法の出力を無理やり上げたから、悪い意味で消耗した。

 

 

「くっ…、あの砲台が邪魔だな…」

 

 

俺は砲台を見た。

 

このままだとあの砲台から魔法が連続で撃たれる。

敵に撃たれる前に、俺はもう一枚魔法陣を発動した。

 

 

 

破壊電撃(デストロイト・スパーク)!!」

 

 

ドガアアアアッ

 

 

すかさず砲台めがけて魔法を放つ。電撃波が砲台とその中にある魔力源を破壊した。

 

 

「おのれええ!!よくも我が魔導収束砲ジュピターを!!この私に傷をつけただけでなくギルドまで潰すとは!!貴様だけは絶対に許さん!!」

 

 

中からジョゼの怒鳴り声が聞こえてくる。

 

 

「よくもギルドを…!!だがここまでだ。この少年を見るんだな」

 

 

そう言うと中から拘束された1人の青少年が出て来た。首にマフラー、桜色の髪、魔道士らしい軽装備の少年…。

 

信じられない、信じられなかった。

 

だが、紛れもなく、それは俺達の知っている人物だった。

 

 

「嘘だろ…!!」

 

「ナツ…!!」

 

 

俺は自分の目が信じられなかった。俺達をギルドに導いたあのナツが敵のギルドに捕まり、無力化されていた。隣にいたルーシィはその恐ろしい光景に悲鳴をあげた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事は悪い方に進んでいた。

 

殴り込みに行かなかった面子は無事だ。俺がルーシィを攫いに来たエレメント4の2人、そしてジョゼの魔の手から何とか護り、病院に戻ってルーシィをレビィ達に任せた後、ラクサスの所に行った。

 

俺の報告は病室のラクサスの怒りを買い、ラクサスに「幽鬼の支配者(ファントムロード)を潰せ、出来ないならギルドをやめろ」と命令されて、俺はラクサスに認めて貰うために動く事にした。

 

ルーシィを連れて病院を出た時、ギルドへと戻るフェアリーテイルの面々を見た。

 

その中にナツがいないのが気になったが、まさかこんな形で会うとは思いもしなかった。

 

後でナツの相棒の猫、ハッピーから聞いた話だが、一連の事が起きた裏で妖精の尻尾(フェアリーテイル)の大半はやはりファントムロード支部へと殴り込んでいたようだ。

 

俺が介入したとは言え、鉄の滅竜魔道士にレビィさん達シャドウギアが襲われ、負傷した事には変わりはなく、マスターやナツ達の怒りは収まらなかった。ギルドのほぼ総力で幽鬼の支配者(ファントムロード)に復讐しに行った。

 

しかし、幽鬼の支配者(ファントムロード)に殴り込んだ妖精の尻尾(フェアリーテイル)の殴り込みは大失敗となった。

 

最初こそ圧倒していたのだが、マスターがジョゼがいると思っていた最上階に向かった所で、鉄を食って復活したガジルが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の前に現れたのだ。ナツが応戦し、ガジルを防戦に追い込んだ。戦況を見ている者はナツが勝つかと思った。

 

しかしガジルが鉄を食って回復しながら、ナツと戦い、互角とまでいかないが、4・6くらいに持ち込んだ。

 

一方マスター・マカロフはジョゼを討ち取りに最上階に移動していた。

 

最上階に行ったマカロフを待ち構えていたのはジョゼの思念体だった。

 

 

「思念体だからと舐めない方が良いですよ、貴方1人くらい思念体の私1人で十分だ」

 

 

ジョゼは負傷しており思念体だったが、マカロフに攻撃してきた。マカロフは応戦するがジョゼが思念体である以上敵にダメージが通らない。

 

 

「悲しい…」

 

(しまった…、こやつ、気配が無い…!!)

 

 

マカロフをジョゼが攻撃している隙に、背後に立ったエレメント4大空のアリアがマカロフを闇討ち、「空域・絶」でマカロフの魔法を霧散させ、魔力欠乏症に陥らせた。  

 

そのままアリアによって落とされ、皆のいる1階に墜ちるマスター・マカロフ。

 

 

「魔力が…儂の魔力が…」

 

「嘘だろ…!?」

 

「あり得ねえ、マスターが唯の爺さんになっちまったってのか…!?」

 

 

これに動揺した妖精の尻尾(フェアリーテイル)は途端に士気を失った。メンバーの大半が敵の数の前に押され始め、エルザさんの命令で撤退となった。

 

ナツも他のメンバーと撤退する気でいた。

 

 

「で、ルーシィとやらは捕まったのか?」

 

「何っ…!?」

 

 

ガジルが呟いた一言がなければの話だった。

 

 

襲って来た敵兵の1人を捕まえ、炎で燃やしながら、ギルドの本部の場所を聞いた。本部は丘にあると聞いたナツはそこまで走って行った。

 

本部を破壊して、ルーシィを探すが何処にもいなかった。

 

代わりにいたのは…

 

 

「ほう…、妖精の尻尾(フェアリーテイル)滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)である火竜(サラマンダー)、飛んで火に入る夏の虫とはこの事だな」

 

 

ルーシィを捕獲する事に失敗し、戻って来たジョゼだった。その隣にはソルを抱えたジュビアもいた。

 

怒るナツはジョゼと戦ったが、ジョゼは先程俺にやられた報復としてナツを圧倒的な魔力で圧倒し、倒してしまった。

 

そのまま本部に来たガジルにも嬲られ、アリアによって魔力欠乏症にさせられたナツはボロボロで動けない。

 

 

仲間を助けるつもりで向かった先、捕虜の身となったナツの心境は計り知れない。不甲斐なさへの憤りは相当なものだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「許せない…」

 

「リン…」

 

 

ルーシィが怒る俺に気付いて心配そうな視線を向ける。

 

幽鬼の支配者(ファントムロード)に拘束され、ボロボロのナツを見る俺を、今支配しているのは「激しい自己嫌悪」と「抑えきれない怒り」だった。

 

俺自身が強大な力を持ちながら、敬愛している「兄貴分」であるナツがこれほどまでに貶められる状況になってしまったことに対し、強い衝撃を受ける。

 

そして目の前の凄惨な現実に精神が追いつかず、内心激昂すると同時に眼の前の現実に打ちのめされる。

 

殺意に近い怒りが湧いてくるのが分かった。精神の未熟さゆえに感情のコントロールが効かなくなり、ナツを傷つけた敵ギルドの面々、特に実行犯であるジョゼとガジルに対して、容赦のない破壊衝動が湧き出して来た。

 

 

「…ルーシィ、作戦がある」

 

「ひっぐ…、あたし…どうすれば…」

 

 

感情を抑えて泣きそうなルーシィに作戦を伝える。

 

落ち着け俺。

 

1番辛いのは俺でもナツでも無く、ルーシィだ。

 

彼女はきっと自分を助けるためにナツが犠牲になったという事実から、「深い罪悪感」と「絶望的な悲しみ」に支配されてる。

ファントムロードの狙いが自分(ハートフィリア家)にあることを自覚している故に、「自分のせいでナツがこんな目に遭っている」という痛切な自責の念に駆られてるだろう。

 

加えて無敵に見えるナツが一方的に嬲られている姿を見て、現実を受け入れられずパニックに近い状態に陥ってるかもしれない。

 

ここで俺が暴走したら、さらなる惨劇が起きることへの恐怖と、止めなければならないという使命感の間で潰されてしまう。

 

 

「リン…あたし…」

 

「大丈夫…、勝つよ、俺達でナツを助ける…!!自分を責めるな、ルーシィ。お前が犠牲になる必要なんてどこにもない」

 

「でも…!!」

 

「身を差し出そうとするな、今のあいつを、ナツを、そして俺たちのギルドを救えるのは……お前なんだ」

 

 

俺はルーシィに言葉を紡ぐ事で再度自分を落ち着かせた。

 

こんな時の為のビッグスローさんから貰った中継ラクリマと術式の防御を今両立しているんだ。幽鬼の支配者(ファントムロード)が俺達2人にジュピターを放った事も、ナツを捕虜にして嬲り、ルーシィを脅迫している所も全て中継で流している。

 

ルーシィに魔力を込める。

 

 

「リン、何この魔力…」

 

「これか?いつかルーシィとナツと仕事に行くときに使おうと思って生み出したものだ…」

 

 

そして…、俺がチームである先輩のナツと同期のルーシィの為に編み出したものを開放する時だった。

 

ルーシィに付加術をかけて、飛行魔法から降ろした。

 

 

「ルーシィ、頼んだよ」

 

「うん…!!」

 

 

ルーシィは幽鬼の支配者(ファントムロード)に向かって1人歩き出した。

 

その震えながらも真っ直ぐな背中を見て俺は再度決意をした。必ず勝ってギルドに帰る。そしてルーシィと一緒にギルドメンバーに頭を下げよう。

 

俺はそう誓ってルーシィを1人、敵ギルドに送り出した。

 

幽鬼の支配者(ファントムロード)、ジョゼ…、ナツを捕虜にした事を今、後悔させてやる…!!

 

 

 

 

 

 

 

マグノリアの病院の1室。

 

 

「情けねえなあ、ナツの奴」

 

 

ビッグスローがリンに持たせたラクリマにより、フィオーレ中に放送されている中継を見て、幽鬼の支配者(ファントムロード)に捕まってるナツを見たラクサスの心境。

 

それは、「弱者であるナツへの失望」と「リンの覚醒への期待」が混ざり合った、彼らしい傲岸不遜なものだった。

 

彼は「弱者は切り捨てる」という信念の再確認をした。

 

ラクサスは「弱小ギルド化したフェアリーテイル」を嫌悪しており、ナツが捕まって嬲られる姿を「弱ければああなるのは当然だ」と冷淡に見下していた。彼にとって、中継される無様な姿は自分の正しさを証明する材料に過ぎなかった。

 

 

「…さあ、リンお前ならどうする?」

 

 

ラクサスは興味半分に中継を見ていた。

 

中継を見てもう一つ彼の中にあるもの。それはリンへの「試練」と「選別」。

 

ラクサスはリンの潜在能力(皇帝竜の魔法)を高く評価していた。彼を「自分たちの側に立つべき強者」として認めていたからこそ、あえてリンをルーシィと共に現場に向かわせ、凄惨な光景を見せたのだった。

 

これからラクサスが支配するギルドに残すつもりでいるリンの中にある「甘さ(精神的な未熟さ)」を捨てさせ、強者としての本能を覚醒させるための荒療治という側面もあった。

 

 

「ふん、面白い事になってきたな、フリード」

 

「ラクサス…」

 

 

ラクサスの中にもう一つあるもの。それは退屈しのぎと愉悦だった。

 

「面白いことになりそうだ」という娯楽的な視点も持っていた。リンが絶望し、怒り狂ってファントムを壊滅させるか、あるいはそのまま潰れるか。どちらにせよギルドの変革に繋がると考え、高みの見物を決め込んでいる。

 

 

全ては彼の中で「リンならこの状況をひっくり返せる」と確定してるからこそ、出て来る感情だった。

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強候補の1人であるラクサス・ドレアー。彼は自分の同胞を助ける事もなく、ただ彼、リンの動向を見守るのみだった。

 

 

 

 

 

 






と言う訳でいきなりきつい展開になりました。
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