夢特典は皇帝竜の魔法? 作:流星群
主人公がチームの先輩ナツと同期のルーシィの為に生み出した魔法が猛威を振るいます。
1人の金髪少女が
(あたしがナツを助ける…!!)
ナツが捕まった絶望的な状況下でリンから最強の
今までは敵に狙われ、仲間が傷つくたびに自責の念に駆られていたあたしだけど、リンから「お前が救うんだ」という言葉と強大な魔法を託されたことで、「自分の足で立ち、仲間を助ける」という強い覚悟が決まっていた。あたしはもう護られるヒロインじゃないんだ。
遂に
『入れ』
ジョゼのアナウンスが聞こえてくる。そのまま中に足を踏み入れた。
『手出しはするな、そのまま上に来い』
ジョゼがアナウンスをすると、
(リン、あたし信じてるから)
ギルドの中に入った。あたしには迷いはなく、少し震えながらも真っ直ぐに歩く。リンの怒りと願いがあたしに施した魔法として継承されているのを肌で感じていた。
あたしにリンの施した魔法は、リンの激しい憤りと「ナツを助けたい」という切実な願いそのものだと感じていた。その熱量を肌で感じている。リンから託された自分を守るフリードの術式(ラクリマ)の恩恵を感じながらも、「リンの想いを無駄にはしない」という純粋かつ複雑な一進一退の決意があたしの中で固まっていた。
(ナツを復活させる…!!)
あたしの中でもう一つ力となっているのはナツへの確信だった。不思議と甚振られているナツを見ても、もはや先ほどのような、絶望はなかった。リンがあたしに力を託したということは、「ナツは必ず復活する」という未来を信じきっている状態だとあたしは強く確信していた。
「来ましたか、逃げずに立ち向かって来た事は褒めて差し上げましょう、ま、逃げた所でギルドごと潰して差し上げますが」
あたしはジョゼのいる階層に来た。そのまま通路を進む。敵兵達があたしを取り囲んだ。その先には捕まったナツがいる。隣にはガジルが立っていた。いつものあたしなら怯えて固まってると思うけど今は違う。
(あんた達を絶対に許さない…!!)
あたしの中で
「よし、お前ら、外にいるあの新人に向かって一斉攻撃だ。とどめは私がさす。ルーシィは拘束しろ」
ジョゼが命令を出した。分かっていたけど、あたし達を誰一人無事で帰す気なんてなかった。
敵兵があたしに触れようとした瞬間を狙ってあたしはリンから託された魔力を解放した。
この状況をひっくり返すための最高の魔法。リンが密かにナツの為に用意したフィールド。
「フィールド魔法、天体空間・プロミネンス
発動!!」
瞬間、
ルーシィのフィールド魔法発動と同時に、周囲の空間が「天体空間(宇宙)」を模した闇と星々の輝きに塗り替えられた。
これにより、
それだけじゃない。
ドオオオオオッ
「「「「うわあああああ!!!」」」」
爆炎が
超高温の
ルーシィに近づこうとした兵士たちは、その空間の熱気に耐えられず、発動しているルーシィに触れようなら触れる前に蒸発、あるいは深刻な火傷を負って戦意を喪失しかねない。
ルーシィへの影響はと言うと、フリード・ジャスティーンの術式が仕込まれたラクリマによって、ルーシィ自身はこの地獄のような熱から完全に隔離・保護されていた。
「おのれええええ!!!」
ジョゼも例外ではなく、この規格外の魔法には対処出来ずにいた。エレメント4の兎々丸も、炎をコントロールできるとはいえ、耐性があるわけではない為、フィールド魔法には対処出来ずにいる。
そんな中、このフィールドの恩恵を受ける人物がいた。
「貰った!!」
「なっ…!!」
フィールド魔法の炎が1人の人物によって吸い込まれた。そう、炎の滅竜魔道士であるナツ・ドラグニルだ。
この魔法の真骨頂は単なる攻撃ではなく、「火」そのものであるためナツにとって最強の
空間を満たす「
リンの魔力がルーシィを通じて供給されるため、ナツは通常の火を食べるよりも遥かに高出力な、太陽の炎を纏うことが可能になった。
「サンキュー、ルーシィ、リン!!」
「うん!!」
ナツは炎を食って回復するなり、鎖と枷を引きちぎった。
「っ、ガジル、兎々丸!!何をしている!!
ナツ・ドラグニルを片付けろ!!」
ジョゼが魔力を纏ってフィールド魔法の炎をガードしながら2人に怒鳴りつける。このフィールド魔法下で戦うことはガジル達にとってあまりにも無理難題だったが、ジョゼの命令は絶対である為、兎々丸は刀を、ガジルは鉄となった腕でナツに攻撃した。
ギラリとナツの目が光る。
ドゴオオオオッ
「ごふっ…!!」
「がっ…!!」
瞬間、ガジルは天井に、兎々丸は壁に叩きつけられた。兎々丸はそのまま気絶して動かなくなった。
「くそっ…!!鉄竜の咆哮!!」
ガジルは鉄の刃のブレスを放った。
しかしナツはそれを素手で受け止め、弾き返した。
「なっ、くそっ!!」
ガジルが鉄竜の力で攻め込もうとしても、ルーシィを中心に渦巻くプロミネンスの超高温が鉄を融点にまで追い込んでいた。
リンの付加術は「敵を拒絶する」意志が強いため、ガジルがナツに触れる前に、空間そのものが放つ熱量と重圧によって「鉄の体が赤熱し、近寄ることすら困難」な状況に陥っていた。
「ギルドの痛みを返してやる!!
そのままナツはガジルに攻撃する。明らかにナツの方が強く、ガジルが倒されるのは時間の問題だった。
「くっ…、おのれええええ!!」
「!!」
ジョゼがなりふり構わずターゲットをルーシィに絞り、禍々しい「ゴースト波」を放った。ジョゼの魔法がルーシィに襲いかかる。ジョゼの攻撃は、受ければ精神ごと破壊されるような凶悪な圧力を放っている。
ゴースト波がルーシィに激突…
「
「なっ…!!」
「リン…!!」
しかし光の速度で割って入ったリンがジョゼの魔法を魔力で吹き飛ばした。
ジョゼの魔法を「蒼光」となって打ち砕き、自分を守るために割って入ったリンを見たルーシィの心境は、「究極の安堵」と「リンへの深い畏怖」が混ざり合った複雑なものになった。死を覚悟した瞬間に現れたリンの背中は、ルーシィにとって「絶対に届かないはずの絶望を遮断する、最強の盾」にすら見えた。
「悲しい…」
「リン!!気をつけろ!!」
ナツが叫んだ。リンの斜め後ろにエレメント4の大空のアリアが現れる。彼はナツにも使った、対象を魔力欠乏症に陥れる魔法を発動させようとしていた。
「空域、め「
しかし光となったリンに反応出来ず、突撃で吹き飛ばされた。そのまま倒れたアリア。リンにとってエレメント4は敵ではなかった。
光の魔法でギルドに突っ込み、ジョゼの攻撃を吹き飛ばし、襲って来た魔道士を壁に殴りつけた俺はルーシィの前に立った。
「リン、あたし信じてたよ…!!」
「ルーシィ、本当によくやった、だが、これで終わりじゃない、鍵は持ってるな!?」
「うん…!!」
「おいリン、てめえ、1番美味しいとこ持って行ったな!!帰ったら勝負しようぜ!!」
「ナツ、勿論だ!!だがその前に…!!」
俺とナツは拳を振り被る。
そして…
「「こいつらをぶっ飛ばす!!」」
ドゴオオオオッ
ナツはガジルに、俺はジョゼに拳を振るった。敵2人が吹き飛び、壁に激突する。
「ナツ、もう炎は十分だろ!?」
「ああ、余裕だね!!今の俺ならこんな奴ら蹴散らしてやるぜ!!」
「あたしも行くよ!!」
ルーシィが鍵を構えた。
俺はそれを見て魔法を発動する。プロミネンスがナツ専用のフィールド魔法なら、今から発動するフィールド魔法はルーシィ専用の魔法。
「フィールド魔法、天体空間・
瞬間、燃え盛るプロミネンスの紅炎が瞬時に収束し、周囲は底知れぬ「紺碧の深淵」へと変貌した。地響きや爆発音が消え、真空のような静寂と、息を呑むほど美しい「本物の宇宙」が戦場を包み込む。
俺はルーシィの肩を叩いた。
「兵隊を任せたぞ」
「うん…!!」
ルーシィは緊張しながらも、力強く返した。
と言う訳で1話で収まりきれなかったので、ルーシィのフィールド魔法はまた次回に繰り越します。