夢特典は皇帝竜の魔法?   作:流星群

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ナツのターンが終わり、ルーシィと主人公のターンです。




夢の決着

 

 

俺が発動したフィールド魔法は幽鬼の支配者(ファントムロード)のギルド内だけでなく、外にまで広がった。

 

突然、現れた星々の空間に幽鬼の支配者(ファントムロード)は静まり返った。あまりにも静かで、それでいて美しい宇宙空間。暫くの間、声を発する者はいなかった。

 

 

「これが…、あたし専用の魔法空間なの…!?」

 

 

無限の星路が広がる中、ルーシィが少し震える声を発した。恐怖ではなく、高揚の震えに思えた。ルーシィの足元から銀河のような光の道が広がり、彼女を取り囲むように黄道十二門の巨大な紋章がホログラムのように浮かび上がる。

 

 

「くっ…、今だ!!お前達、やれー!!」

 

 

炎が消えたのを良いことに俺達に攻撃命令を出すジョゼ。他の兵隊達も炎のフィールド魔法が消えたから倒そうと向かって来た。

 

この人数を幾らナツがいるとは言え、俺がルーシィを護りながら戦うのは非常に難しい。ルーシィが唯の女の子だったら俺とナツはルーシィを連れて撤退していただろう。

 

 

しかし、俺の後ろにいるのは他でも無い、この空間の恩恵を最大限まで利用できる黄道十二門のオーナーであり、星霊魔道士であるルーシィだ。

 

故に、

 

 

「ルーシィ!!」

 

「うん、任せて、開け、宝瓶宮の扉、アクエリアス!!」

 

 

星霊界のゲートを潜って現れたのは下半身が魚の星霊アクエリアス。通常では召喚条件に水が必要なのだが、このフィールド魔法空間であれば、召喚条件を無視して召喚できる。

 

 

「ふん、水も無い所から呼びやがって、てめえの仕業か?顔だけイケメンさんよお」

 

「アクエリアス、お願い!!」

 

「へっ、任せな!!言われなくてもギルドごと吹き飛ばしてやるわあ!!」

 

「「「「うわあああああ!!!」」」」

 

 

アクエリアスは瓶から大量の水を放出し、幽鬼の支配者(ファントムロード)の軍勢を激流に巻き込んだ。いつもよりも勢いがある激流に幽鬼の支配者(ファントムロード)の集団は水に飲まれていく。

 

 

「ルーシィ、もっとだ!!」

 

「うん、開け、処女宮、金子宮の扉、バルゴ、タウロス!!」

 

「お役に立てて何よりです、姫」

 

「MOー、いつにも増してナイスバディですなあ」

 

「2人とも、お願いっ!!」

 

「任せてください」

 

「MOー、ルーシィさんに触れる者は許すマジ」

 

 

召喚されたバルゴとタウロスは持ち前の怪力で次々に敵を倒して行く。幽鬼の支配者(ファントムロード)の兵隊達は次々に吹き飛ばされていった。

 

 

通常、星霊召喚には魔力消費とゲートの制限があるが、このフィールド内では「ルーシィが想い描くだけ」で星霊たちが次々と実体化できる。

 

 

「これ、全部私の力なの……?」

 

 

いつもより遥かに強い星霊を見てルーシィは困惑する。

 

 

「ああ、これが本来のルーシィの輝きだ」

 

「そう、あたし、戦えるんだ…!!」

 

 

ルーシィは拳を握りしめた。怒りの表情のジョゼが立ち上がり、ゴーストの魔法を放つ。

 

 

「くっ…調子に乗るなあ!!」

 

「アクエリアス!!」

 

「へっ、使われてやるよ!!」

 

 

アクエリアスが水で迎撃する。ジョゼは魔法を放つが、フィールドの星々の光がアクエリアスの魔力を大きく増強し、ジョゼの魔力を完全に消し去る。

 

ジョゼが放つ「幽兵(ゴースト)」が、星々の輝きに触れただけで塵となって消えていく光景を見て、ルーシィは驚いているように見える。そして、胸に手を当てて、俺の方を見ていた。

 

その口から、「リンの隣なら、この宇宙(フィールド)では、あたしが神様なんだ…」と呟いたのが聞こえた。

 

 

「こ、こんな馬鹿な…!!」

 

 

ジョゼが信じられないと言わんばかりに、わなわなと震えた。自分の魔法が通用しない「法則が書き換えられた空間」で、ルーシィが指揮する星霊たちの総攻撃を受けるジョゼは、もはやギルドマスターとしての威厳すら保てず、ただの無力な人間に成り下がったように見えた。

 

ルーシィは更に巨蟹宮のキャンサー、更にいつ手に入れたのか人馬宮のサジタリウスを召喚した。一体、二体ではなく、まるで軍隊のように星霊たちが現れ、それぞれが俺の発動したフィールド魔法の魔力を纏っているため、一体一体が聖十大魔道に匹敵すると思える程のオーラを放っていた。

 

 

ジョゼは攻撃を受けて、その身体が傾いた。

 

 

「馬鹿な……あり得ん! この女は、ただのハートフィリアの出来損ないではなかったのか!?何故私が新人2人如きに押されるんだ!!」

 

 

ジョゼの叫びは最もだった。俺自身驚いている。夢特典で貰った魔法だけでなく、この身体がこんなに魔力適性があり、様々な魔法を覚えられるとは思いもしなかった。

 

隣を見る。ルーシィはもう十分活躍したと思う。彼女の自尊心は満たされただろう。もう終わりにする事にした。

 

 

「よくも我がギルドを…!!だがお前さえ潰せばこの魔法も消えるはずだ!!デッドウェイブ!!」

 

 

ジョゼが俺に狙いを切り替えて攻撃して来る。俺は魔力でそのゴースト波を吹き飛ばした。

 

 

「随分と俺達の評価が低かったんだな、その計算違いに感謝するよ。蒼雷(ブルー・スパーク)!!」

 

 

ジョゼを雷で外に吹き飛ばす。そのまま空いた穴から俺も外に走った。

 

 

「ナツ、ルーシィ、中を頼んだ!!」

 

「おう!!止めを刺してこい!!」

 

「リン、気をつけて!!こっちは直ぐに終わるから!!」

 

 

蒼光となって外に出た。

外にまで、フィールド魔法の空間は広がっており、マグノリアの街は星々の空間となっていた。

 

 

「こんな馬鹿な、あり得ん、王国一のギルドがこんな屑共にやられるだと…!!」

 

 

地上に落とされたジョゼの前に俺が立った。

 

 

「あり得ん、あり得ん、現に私はマカロフを倒したんだ!!マカロフのギルドの新人2人にここまでやられるなんてあり得ない!!」

 

 

マスターがやられたのか…、その言葉が本当なら随分卑怯な手を使ったようだな。あのマスター・マカロフが眼の前の男に劣っているようには俺は思えなかった。ジョゼは俺を睨んだ。

 

 

「お前1人さえ叩き潰せば、他2人は崩れるはずだ!!このまま私がやられると思うなよ!!死の魔力発動!!」

 

 

瞬間、辺りが闇に染まり、ジョゼのゴーストの魔力で包まれる。

 

 

「ふはははは、貴様はもう終わりだ!!この空間では私以外の魔道士の命を少しずつ削っていく!!傷ついたその身体がいつまで耐えられるか見物だ!!」

 

 

ジョゼの言う通り、闇の魔力が辺りを蝕んでいた。ジョゼの魔力が触れるだけで、近くにいる皆は苦しそうに倒れて行く。それは幽鬼の支配者(ファントムロード)の面々も例外ではない。

 

俺は敢えてジョゼの魔力を避けなかった。ジョゼの魔力が俺に衝突し、それに反応した俺の身体がその効果を無効にし、雷が俺の身体を削る。

 

同時に俺の魔力も上がった。ラクサスとの十年クエストとジョゼとの戦いのダメージで俺の魔力は跳ね上がっていた。

 

行ける、今の魔力ならあの技が撃てる。

 

 

「ふはははは、幾ら魔力が上がった所でその身体では立ち続けるのも限界だ!!そのまま倒れるまで無駄に魔力を上げ続けるんだな!!」

 

 

ジョゼの言葉を無視する。

 

 

そのまま空中に飛んだ。

 

ピーッと口笛を吹く。地面が震えた。

 

辺りが隆起する。ドガッ!!!、バリバリバリッ!!!と地面が割れる。

 

 

「な、なんだその魔法は…!!」

 

 

ジョゼが叫んだ。

地面が突き破られる。地震か地割れか、火山が噴火するみたいな程の揺れ。

 

割れた地面から硬く巨大な頭部が出てくる。

そしてその下からはその頭部よりも遥かに大きな身体が出てくる。

 

そして巨翼と尾が出てきた。

 

 

「なっ…ドラゴンだと…!!」

 

「リン…!!」

 

「!!」

 

 

ナツに倒されたガジルが驚愕の声をあげた。

敵を倒したナツとルーシィも驚いてこちらを見ている。

 

 

グオオオオオオッ

 

 

現れたその頭部が咆哮する。

 

 

地面から5頭、北の大地の空の王者を体現した竜が現れた。

 

スタンダードであり、特徴の無いどの地にも適応可能な姿の竜達が地面から復活する。

 

巨体が宙を飛び回る。

 

一時的に蘇生された事もあって、全身に闇の瘴気を纏っている。

 

 

グオオオオオオッ

 

 

 

しかし、フィールド魔法・真星の宇宙の効果で身体が青く光った。星屑の竜、スターダストドラゴンの輝きを体現したような姿で空を飛び回る竜達。

 

その姿はとても神々しかった。宇宙の神の竜のような姿で上空を飛び回る竜達。

 

 

そして、旋回して一気に寄ってきてそのデカい頭同士をぶつけあいながら、身体中に噛み付いた。

 

 

「…!!!…!!!!!」

 

 

痛みで声が上がらない。今までのダメージが大きく、意識を保つだけでやっとだった。

その牙だけでも俺の身体と変わらないサイズ。全身が引き千切れそうだ。

身体が砕けないのは夢だからだろう。

 

 

「皇帝竜……」

 

 

飛び上がる。身体を回転させる。

 

 

カッと辺りが赤黒く光る。

 

 

「1号……!!!」

 

 

 

 

全身に痛みが走る。

が、ジョゼに向かってエネルギー弾を放った。

 

 

ゴオオオオオオッ

 

 

凄い勢いと威力のエネルギー弾が星々の空間を通過した。

余波で暴風が発生していた。

 

そしてそのエネルギー弾を一時蘇生された巨大な竜達が追いかける。

 

ジョゼにエネルギー弾が直撃した。

 

 

「ぐあああああああ!!!」

 

 

エネルギー弾に吹き飛ばされたジョゼは大きく吹き飛ばされた。

 

 

そのままジョゼ目掛けて、5頭の星の光を纏った巨大なドラゴンが迫る。

 

 

「止まれ…!!」

 

 

俺はジョゼに竜が突撃する寸前で魔法を止めた。俺に制御された竜の身体が静止する。

 

そのまま停滞する。再度の攻撃命令を待っているかのようだ。

 

 

勝負は付いた。悪人とは言え人を殺す気は俺には無かった。

 

 

「もう、良い」

 

 

ジョゼに止めを刺そうとしていた竜達は空中で静止していた。そして、蘇生効果が切れると共に、その姿を徐々に光となって消していった。

 

ナツとルーシィが上から降りてきた。

 

俺はナツに目配をし、ルーシィとそのままジョゼの前に立った。ジョゼは先程のダメージで動くことすら出来無かった。

 

 

「俺達は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の新人として生きていく。お前達のギルドには入らない」

 

「あたしは妖精の尻尾(フェアリーテイル)に残る、もしこれ以上ギルドを傷つけるならあたし達が許さないから」

 

「ぐっ……、こんな、事が…!!」

 

 

その言葉を最後にジョゼは力尽きた。そのまま動けないジョゼに背を向けた。

 

 

そのままナツ達の方に向かう。ビッグスローのラクリマの中継が同時に終わった。

 

瞬間、周囲の街、特にマグノリアの街から大歓声が上がった気がした。

 

 

 






と言う訳で大勝利しました。

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